G-generation Break Destiny 作:ソースカ・ツドン
その日は暑い日だった。俺こと明石信哉は連続出勤3週間目に突入し、回らない頭をカフェインで無理やり覚醒させながら通い慣れてしまった道を歩く。欠伸を噛み殺しながらいつになるか分からない次の休日に思いを馳せていると、不意に目の前が真っ白になる。そして気付くとやたら広い神殿のような所に立っていた。ふと視線を上に向ける。
「知らない天井だ…」
人生で一度は言ってみたいセリフを呟きつつ、
「あなたはもう死んじゃったから人生で一度も言えませんでしたねっ」
などとのたまう、いつの間にか現れたどこか神秘的な雰囲気の美人を見る。
「美人だなんて当たり前じゃないですかぁ、だって運命の女神様なんですからっ」
訂正、電波な残念美人だった。
「む、電波とか残念とか失礼な人ですね。」
しかもナチュラルに人の思考を読んでの発言。ぷくっと頬を膨らませるのも美女がやると絵になる。だがホラーだ。
「美女だなんておだててもホントのことですから何も出ないですよ?あ、でもお得な話を持ってきたんでした。」
最初に感じた神秘的な雰囲気は場所補正だったらしい。しかし気になる発言があった気がする。俺が死んだってマジか、今週末がリミットの仕事が3つばかりあるんだが。
「まず仕事のことを気にするとは、さすが社畜戦士ですね!」
言われてから気付くまさに見事な社畜ぶりにへこむが、ひとまず気にしないことにする。まずは事実確認が先だ。
「おお、ブラック企業で鍛えた精神力は伊達ではないですね!」
人の精神を削りに来ているのはさっきの仕返しのつもりか…何のことか分からないといった風の表情はマジっぽい。頑張れ俺、まず重要なのは現状の確認だ。
「そうです、そんなことより先程のお得な話なんですが」
そこじゃない、俺が聞きたいのは。俺が死んだとかいうトンデモ発言だ。
「そこを含めてお話ししますね。」
立ったままなのもなんですので、と電波美人が言うと何の脈絡も無く目の前にソファとテーブル、S○NYのタブレットが現れる。
神殿の神秘的な雰囲気は完全に砕かれた。
勧められるままソファに座ると再び脈絡も無く現れるのは湯呑み茶碗。良い香り誘われ一口含むと爽やかな苦味と程よい甘味がささくれ立った気持ちを落ち着かせる。いい茶葉を使ってやがる。
色々と諦めながら聞いた自称女神の話では、過労で意識を飛ばしながら歩いた俺はそのまま赤信号の交差点に出て車に轢かれあっさりご臨終したという。残した両親と大量の仕事を突然抱えることになる同僚、不幸なドライバーには悪いことをしてしまった。いや、悪いのは会社か?
そして何故現状に至るかというと、目の前の電波さんの暇つぶしだそうだ。はぁ?
「いえ、だから他の神様の書いたちょっと気に入らない運命があったのでそれに悪戯したくなりまして…」
つまり暇つぶしに見ていたガンダムSeedのシナリオが気に食わず、それを壊すために送り込む魂を探していたところにちょうど良さそうなものを見つけて呼び出したのだそうで。ある程度の原作知識があり、それを壊す意志と手段を思いつきそうな人物に力を与えて送り込み暇つぶしにしたいと。
暇すぎだろカミサマ。そんなこと出来るなら生き返らせてくれよ。
「生き返らせる権限は無いですし、そのつもりもありません!」
笑顔で言い切りやがった。
「死んじゃったのにチート転生できるんだからいいじゃないですかぁ」
確かに頑種の、特に種死のシナリオにはちょっと…いやかなり言いたいことはある。メカデザインはこの際置いておくが、メインキャラの行動が迷走しすぎだろ。種持ちの4人は言うに及ばず、出てくる大人達が政治家・軍人・宗教家問わずぶっ飛びすぎである。数少ないマトモそうな、かつ主人公の成長を促しそうな西川さんはアッサリ退場。成長の機会を奪われたシンはその後主人公の座をスーパーコーディネーター様に譲ることに。そのあまりの不憫さに同じ“シン”として思わず涙してしまった。
「それを壊せるチャンスがあるんだから、いいじゃないですか、やってから考えましょうよ!」
この自称女神の言葉に乗るのは少々癪だが、元の世界に戻れないならそれもありか。
「断っても適当にチート付けて放り込みますし!」
本当にイイ性格をしていらっしゃる。拒否権なんてなかったらしい。だったらせめて好き勝手にやらせてもらおう。
「それではそのタブレットでさくっとチートを設定して行きましょう!」
タブレットに選択出来る能力や特殊技能、兵器がズラリと表示される。
「オススメのNTと∀のセットはどうでしょうか?」
個人の力だけで世界をどうこう出来るとは思わないが、月光蝶はまずいだろ。文明崩壊させる気か?なにやらブーブー言っている駄目神は無視して目を付けていた項目をタップし詳細を表示させる。
「generation-systemとは地味なものを選びましたね。」
地味言うな。ガンダムの世界ならこれ最強じゃないか。運命を改変しようというならこれくらいの力が、システムを味方につけなければ話にならないだろ。資金さえあれば理論も技術もすっ飛ばして現物支給してくれるんだぞ。
さすがに推進剤無視やENの弾薬化は無理でも、それもキャピタルで簡単に補充できるようだし。
「そうですね、製造、修理、補給の物資は全てキャピタルで賄えます。初期資金も多めにしておきますので、これで行きますか?」
いや、使わない機能やシリーズを削除する代わりに仕様変更したりボーナスを付けられないか?
「出来ますよ。タブレットで操作してみて下さい。」
それならと、ユニットレベルと『開発』、『コレクション』を削除して設計の自由度向上を。通常利用するシリーズを『初代』『08』『CCA』『W』『00』に制限し購入コストを大幅に下げ、これ以外のシリーズは購入コストを高くする。
「そろそろいいですかぁ?」
自称女神は堪え性がないらしい。どこの乙女座だ。
まあこれでやりたいことは出来るだろう。あとはどのタイミングから介入するかだが…
「そうそう、私の希望を聞いてくれたら追加でボーナスをあげますよ?」
…聞くだけでも聞いてみよう。
「原作が始まる時点でのシナリオへの影響がほぼ無い状態にしてくれるなら、明石さんをNT・種持ち・イノベイドのどれかにしてあげます!」
種持っていてもロクな事にならなそうだし、それなら身体機能も高くなるイノベイドで寿命延ばして早めにコツコツと準備させてもらいますか。
「では行きましょうか!」
待て、転生する時期は・・・
「オモシロイ運命を期待してますよ!」
最後まで話しをきk…
そして俺の意識は真っ白に染まっていく
ちなみに作者は種も種死も嫌いではありませんがムシャクシャしてやりました。後悔はしていませんが、反省はしたいのでご意見ご感想お待ちしています。
ちょっと加筆修正しました。