G-generation Break Destiny   作:ソースカ・ツドン

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PHASE 1

低軌道会戦

 

第八艦隊と合流したアークエンジェルがまさに大気圏に突入し、アラスカに降下しようと言うタイミングでザフトのクルーゼ隊が強襲を仕掛けた戦いである。

この戦闘でアークエンジェルを庇った第八艦隊は壊滅、司令官デュエイン・ハルバートンは戦死した上、アークエンジェルは降下軌道を外れ敵勢力圏のただ中、北アフリカに降下してしまう。

自分で作った兵器で敵に痛撃され、たった一機のMSと艦の為に艦隊丸ご無駄死にさせたハルバートンを智将とは、クルーゼは過大評価しすぎだ。

 

それはともかく。

この戦いでアークエンジェルを上手くアラスカに降ろしてしまえば、キラ・ヤマトがプラントに行きラクス・クラインとの再会する可能性を大きく減らすことができる。このイベントを回避出来れば三隻同盟が仮に成立してもキラ・ヤマト不在で大きく戦力を削ぎ、影響力を小さくできる。

 

こちらの戦術目標はアークエンジェルのアラスカ降下だ。ついでにハルバートンはともかく第八艦隊の戦力を保全すれば宇宙の戦力バランスが連合に傾き、ザフトの地上戦力をある程度抑制出来るはずだ。

それならこちらの戦力で最大の効果を出すには敵Gの撃破もしくは母艦への強襲か。

 

 

 

 

 

「間もなく目視で第八艦隊を捉える距離です」

 

ニキ・テイラーの報告にブリッジの空気が引き締まる。今回はオペレーターを担当している。ラ・ミラ・ルナは未だにペーパーカンパニーの方に張り付いて動けない。これはこれで不憫だ…

 

「よし、予定通りこの後は戦闘を確認次第MS隊とベースジャバーを発進させる。パイロットはコクピット待機」

 

艦長ゼノン・ティーゲルの指示で動き出すパイロット4人。ジンにエルンスト・イェーガーが搭乗し母艦の直掩に残り、マーク・ギルダー、クレア・ヒースロー、そして俺の3人がゲタ付ジェガンに乗りクルーゼ隊に強襲を仕掛ける作戦だ。

 

『砲撃を確認した。MS隊は発進開始、ベースジャバーも放出するぞ、急げよ!』

 

「MS隊発進する!マーク!仮面野郎の艦は任せた!」

 

『了解だ司令官殿、仕事はキッチリこなしてみせるさ』

 

「クレア、俺たちの仕事はお坊ちゃん達の足止めだ、無理はするなよ」

 

『ふっ、足止めと言わず倒してしまってもいいんでしょ?』

 

おいそれフラグじゃないのか?

微妙な空気になってしまったが、ベースジャバーの準備も出来た、さっさと行こうか。

 

「シンヤ・アカシ、ジェガン発進する!」

 

『クレア、いっきまーす!』

 

『ジェガン、ギルダー機行ってくるぜ』

 

カタパルトがない為、ベースジャバーに搭乗し発進する。俺たちの初めての軍事介入だ、ここで成功させて弾みをつけたいな。

 

コンテナから出てきたベースジャバーにクレアのジェガンと共に機体を固定する。間髪入れず火を噴くバーニア、慣性にシートへ押し付けられる身体、そして近づく戦場。向こうもこちらに気が付きMAが数機接近してくる。やはり警戒されているか。

 

「こちら統合参謀本部直属の第113独立機動大隊だ。第八艦隊、応答願う」

 

『こちら第八艦隊旗艦メネラオス。当艦隊は戦闘行動中である、貴隊の目的は何か』

 

「ザフトに強襲を受けている貴艦隊の援護だ」

 

『・・・こちらの戦力は充分である。貴隊の援護は不要である』

 

おいおいマジかよ。MSとMAのキルレート考えろよ、今もまさに機動戦力がすり潰されているんだぞ。

 

「私の目にはMAが次々と撃墜されて居るように見えるが」

 

『・・・機密性の高い任務を遂行中である。貴隊の合流は認められない』

 

「新型のMS搭載型戦闘艦と敵に強奪されたMS、機密とやらは後どれだけ残っているのか?」

 

『第八艦隊司令のハルバートンだ。我が精鋭達はザフトを撃退出来るだけの力を持っている!ブルーコスモスの犬の助力など不要だ!』

 

確かにアズラエルからは便宜を図ってもらってはいるが・・・これは時間の無駄か。

 

「了解した。合流はせずにこちらはこちらで好きにやらせてもらう」

 

『待て、どうするつもりだ!』

 

「ザフトの諸君にも艦対MS戦闘を教育して来ます。では」

 

通信の向こうで何やらハルバートンが喚いていたようだが、どうせすぐに気にする余裕など無くなるだろう。

 

『マークに合流するのー?』

 

「そうだな・・・マークとは別ルートで敵艦にアプローチをかける。ベースジャバーのコントロールは任せた、俺は邪魔になりそうな奴を迎撃する」

 

『おっけーアイハブコントロール!トランザムいっくよー!』

 

「おいちょっとまt」

 

瞬間、被弾したかと思うような爆音と衝撃が襲う。なんだこのムチャクチャな加速は!

 

「クレア何をしたんだ!」

 

『えっ?熱核ギガブースターを使ったんだよ』

 

SFSにオプションパーツ付けられるなんて聞いてないぞ!

 

『突っ込むよ~!God Save Ireland!』

 

ひどい振動とGに耐えていると、あっという間に第八艦隊の脇を抜けて敵左翼の外側に出る。ザフトのMSが反応してこちらに銃口を向けるが、掠りもせず後方へと流れて消えていく。進路上に飛び出してきた数機のジンにビームライフルを連射し火球に変える。

 

『うかつに前に出て来るから!』

 

それにしてもこの娘ノリノリである。

だが今ので敵が動揺している。この隙に敵艦まで一気に肉迫する!

敵艦からの迎撃のビーム砲、レールキャノン、ミサイルがまるで炎の壁のように目前に迫る。それを推力とジェガンのメインブースターの力業で強引に避ける。

 

『これぞ人呼んでクレアスペシャルぅぅぅ!!』

 

血吐くなよ?

なんとかかわすが次は厳しいか。しかしナスカ級が2、ローラシア級は4か。TV本編より多い気がするが、こんなものだったか?

 

「クレア!ゲタはここまでだ!」

 

『りょーかい!』

 

ベースジャバーをオートで帰還させて対艦攻撃に移行する。

ビームをかいくぐりミサイルを撃ち落として艦隊に接近する。数は多いが艦同士の連携がなければ!

 

『よりどりみどりってね…うわっ危なっ』

 

「油断するな!」

 

レールキャノンをやり過ごした後、僅かに出来た砲火の間隙に2機同時にライフルを斉射する。最左翼のローラシア級の主砲とブースターが爆発する。同時に右翼に位置するローラシア級に爆煙が上がる。慣性飛行していたマークの攻撃で艦橋とブースター、主砲にバズーカの直撃を受けて大破炎上するローラシア級。

マークがやりやすいようにこちらが派手に行ったのもあるが、自分たちでニュートロンジャマーをバラまいておいて対空監視をさぼりすぎだ。

 

『敵艦加速したよ!』

 

「MS隊と合流するつもりか!」

 

 

裏付けるようにMSを呼び戻す通信がされ、一部部隊がこちらに向かっている。早めに戦力を削りたいな。敵MSの数が正史より多く第八艦隊のダメージが大きいか。

 

『敵主力艦の戦闘力はかなり落ちている、前に出て合流を急がせろ!こいつらの火力は脅威だ!』

 

「敵艦の攻撃力を優先的に排除するぞ!このまま合流されると消耗した第八艦隊が火力で圧倒される!」

 

『おまかせってねっ』

 

先ほどのローラシア級にシールドミサイルを叩き込み大破させるが、さすがに至近距離になり対空砲火が濃度を増すとこちらの有効打が少なくなる。更にザフトのMS隊も間もなく射程圏に入る。そうなるといくらMSの性能差があるとは言え、3機だと袋叩きになりかねない。

 

「クレア!マークと合流して敵艦隊の懐に飛び込む!」

 

『そ、それはいくら何でも無茶じゃないかな!?』

 

「ヤツらは艦隊単位での対空戦闘に慣れていない、攻撃を制限させて俺たちはMSを、マークは対艦攻撃を続行させる!」

 

クレアからの返事を待たず敵艦隊の下方に回り込む機動をとる。マークのジェガンもこちらの動きを見て合流する。

 

『艦隊に飛び込むのか?』

 

先ほどの挟撃と言い、本当によくこちらの意図を読んでくれる。ナスカ級の一隻に射撃を集中させ進路をこじ開ける。

ザフトは個人主義の強い軍事組織だ。そこに連携の意識は薄く、個々人が各々の判断で動いている。本来高度な連携の上に成り立つ艦隊行動も、個々の艦長がその場その場で動いているにすぎない。

だから

 

「一度入り込んでしまえば効果的な対空攻撃ができなくなる!」

 

『そうは言っても、これっ、結構キツイよ~!』

 

『シンヤ、俺は機銃を先に潰すぞ!』

 

「頼む!クレアは俺の後ろに付け。敵MSを分断して各個撃破する」

 

『うっひゃ~りょーかいだよ!』

 

対艦攻撃を続行するマークを支援しつつMSを排除する。最初に突っ込んできたジンにライフルを撃ち牽制、足を止めさせたところにクレアの放ったミサイルが突き刺さる。艦を盾にするように機動し、少数の着いて来たMSを火力を集中して墜としていく。

 

『回避して!』

 

4機目を撃墜したところでクレアの切羽詰まった通信が入る。とっさに機体を捻り斜め後方に下がると目の前をビームが通り過ぎる。直撃コースだったか。

 

直前にレーダーに反応はなかった・・・ブリッツか!

それを証明するようにレーダーに先ほどまで無かった反応。襲撃者は姿を現しランサーダートを放ってくる。

 

『当たれ!』

 

『爪楊枝が当たるものかよ!』

 

やはりパイロットはニコル・アマルフィか。

射撃後の攻撃の切れ間にビームライフルを撃ち盾を構えさせる。

 

『その機体の欠点は』

 

『攻撃能力を盾に集中させすぎたことだ!』『マークそれ私のセリフ!』

 

こいつら実は余裕なんじゃないか?

射撃を集中させ攻撃を封じたところに機銃と主砲をいくつか潰したマークのジェガンがサーベルを構え間合いを詰める。切りかかる寸前のところでマシンガンの銃弾に進路を遮られ後退を余儀なくされるマーク機。射背線の先は白いシグー。クルーゼいつの間に出てきやがった。

 

『『出たな変態仮面!』』

 

『厄介なものだな君たちは!』

 

マーク機への射撃にライフルを放ち牽制する。あっさり避けられるがこれでマークも体勢を立て直す。

 

『声が荒いぜ仮面の変人』

 

『・・・躾がなっていないな』

 

「中立国のコロニーに攻撃を仕掛ける様な奴に言われる筋合いはないね」

 

体勢を立て直したマーク機へ追撃の動きを見せたブリッツにクレアのジェガンからビームが放たれ攻撃を遮る。

 

『ふん、連合のMSを製造していて中立とは笑わせてくれる』

 

「中立国が武器商人となるのは珍しいことではない。それに攻撃した挙げ句コロニーを崩壊させるとはマトモな軍人のやることではないな!」

 

マトモな奴とは最初から思ってないけどな。

ブリッツのフォローに回るシグーに更にマーク機からビームが連射される。機体を左右に振り全て避けるのは流石と言ったところか。

 

『核ミサイルで同胞を虐殺した地球人の末路として相応しいと思うがね』

 

『さすがエイプリルフールクライシスで億単位で民間人を虐殺した宇宙人は言うことが違うな!』

 

『戯れ言をっ!』

 

ニコルが先に挑発に乗ったか。ライフルを連射して突っ込んでくるブリッツに、クレアと俺の2機でライフルとグレネードの火線を張る。インターセプトしようとするシグーをマークに任せ、盾を構え回避と防御に専念させ更にライフルを連射し間合いを詰める。

 

「ブリッツはここで排除させてもらう!」

 

『っく!!』

 

回避しながらなんとか反撃しようとライフルを向けるブリッツの左腕を遂にビームが貫く。バランスを崩した隙に一気に間合いを詰める。

 

「ッシ!」

 

『うわぁぁぁ!!』

 

袈裟懸けに切り下ろしたサーベルが頭部の一部と右腕を切り飛ばす。ちっ寸前のところで反応しやがった。

肌が泡立つ様な感覚を感じサーベルの追撃をやめブリッツに蹴りを入れその反動とブースターで後退する。一瞬前まで俺の機体がいた空間を貫いたのは今度はビームだった。よく邪魔が入るなおい!

 

『大丈夫かよニコル!』

 

バスターとジンが数機接近してくる。かなり主戦場に近づいてきている。思ったより戦力を削れていないな、もう少し艦にダメージを与えたいが。第八艦隊のダメージが予想以上に大きいし、そろそろ高度もまずいな。

 

『シンヤ、ローラシアとナスカが!』

 

他のザフト艦が後退を始める中、ローラシアと被弾していたナスカが1隻ずつ急加速を始めてる。特攻はゼルマンのローラシアだけじゃなかったのか!?

 

「くっ、なんとしても足を止めるぞ!」

 

『やらせはせんぞ!』

 

『ちょっと、しつこい男は嫌われるよ!?』

 

この特攻でローラシアはメネラオスと相撃ちだがナスカは・・・アークエンジェルか!

バスターとシグー、ジンからの弾幕に迂闊に近寄れず、距離を稼がれてしまう。メネラオスはともかく、アークエンジェルとストライクがアラスカに降りれなければこちらの作戦は失敗になってしまう。

 

「突破してなんとしてもナスカを止める!」

 

『やるしかないな』

 

『ビームランチャーほしいよ!』

 

「今度買ってやるよ」

 

言いながらもまず1機、バズーカを装備したジンにビームを集中させ撃墜する。その穴に飛び込もうとするがシグーから銃撃を受け後退させられる。バスターの分かりやすい射撃はまだ何とかなるが、クルーゼは本当にうざったいな。

 

『そろそろ墜ちたらどうかね!』

 

『オマエガナ!オマエガナ!』

 

クレアのネタもキレがない。そろそろ余裕がなくなってきたか。チラリと見るとローラシアとナスカはかなり先行し、第八艦隊の至近距離まで進んでいた。

この辺りが退き際か。

推進剤はまだ余裕があるが、弾薬が心許ない。

 

「マーク、クレア。潮時だ、斉射後離脱するぞ」

 

『ちっ、仕方ないか』

 

『後少しなのに~』

 

第八艦隊もかなりのダメージを受け、ここままでは包囲される危険もある。

3機揃ってのライフルの連射に続きミサイルとグレネードも撃ちきる。敵MS隊の動きが鈍った隙に離脱を開始する。

 

『逃がさん!』

 

「っとにしつこい!」

 

尚も追いすがるクルーゼのシグーに3機のビームで牽制する。あれだけ撃ってシールドをもいだだけか、ここで墜ちればよかったのに。

 

『嘘吐きだから死神のジンクスは無効だよ~!』

 

『訳の分からないことを!』

 

そりゃ中の人ネタは通じないだろうよ。クレアもメタ発言は控えろって。

 

 

 

 

 

何とか追撃を振り切り母艦に帰艦するとゼノンから通信が入る。

 

『シンヤ、第八艦隊が壊滅、ハルバートン提督も戦死した。ザフトの艦隊もかなりのダメージが出ているが、連合の宇宙戦力はこれで暫くは動けないな』

 

そして、とゼノンは一度言葉を切り、言い難そうに話す。

 

アークエンジェルはアフリカに降下した可能性が高い、と。

 

 

俺たちのファーストミッションは失敗に終わった。

 

 

 




最後までお読み頂きありがとうございます。

戦闘の描写って難しいですね。臨場感と緊張感のある戦闘を書ける方って本当に凄いと思います。
まだまだ精進しないとですね。

加筆修正しました。
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