今回はちょっとシリアスです。
chapter.1 望まぬ再開
通路の壁と空中に文字や映像が映し出され、学生たちは進みながら興奮していた。
映し出された文字には「Xioへようこそ」と書かれていた。
本日Xio日本支部では全国の高校から抽選で選ばれた学校が見学に来ていた。
来ていたのは千葉県にある総武高校。八幡と因縁がある者たちが多く通う学校である。
「ご存知のように今から15年前、太陽の異常爆発『ウルトラフレア』によって地球各地に存在していたオーパーツ、『スパークドールズ』の多くが怪獣化してしまうという大災害が起きました。この非常事態に対し人類は『UNVER』を組織したのです。」
生徒たちはガイド役の女性の説明を聞きながら進んでいた。
UNVERの正式名称はUltimate Noxious event Versus Earth Rangerで、その意味は究極の有害事象に対抗する地球レンジャーのことである。
「UNVERの目的は未だ不安定な状態で各地に散在するスパークドールズを発見、回収し厳重に管理、研究することです」
説明に対して生徒たちからは「おぉ~」や「なるほどー」などといった声が上がる。
そうこうしているうちに基地内見学は終盤へと差し掛かる。最後の見学先は整備ルームである。
「そして人類に害をなす怪獣や異星人に対抗する防衛部隊としてUNVERはXeno(未知なる) invasion(外敵からの) outcutters(防衛戦闘部隊)、通称『Xio』を設立しました」
説明が終わると学生たちは整備ルームにあるXioの車両に近づいていく。
「うおぉー、すげぇ!!」
「きゃー、かっこいい!」
普段はよく見れない車両を前にして学生たちのテンションは上がりっぱなしである。
車両を見ていた学生たちは次に壁に垂直にぶら下がっている機体に目を移す。
銀色を主体に赤、青、黄の3色が所々に配色された流線型の機体。
これこそがXioのほこる主力メカ、Xioマスケッティである。
1人の少女が近くで見ようと前に進んだとき運悪くヒトとぶつかってしまった。
「キャッ!」
「ちょっと結衣、ダイジョウ…」
結衣と呼ばれた女子は起こそうとしてくれた友達がかけてきた言葉が途中で途切れたのを不思議に思い顔を上げてみた。
すると目の前に宇宙人がいた。
「「キャーーーーーー!!!」」
「フン」
一息鼻を鳴らすと宇宙人は驚く生徒たちに目もくれず何事もなかったかのように立ち去っていく。
立ち去る宇宙人の後から白衣を着た2人組がやってきて宇宙人とごく当たり前に話を始める。
「博士ってば、あたしの新発明飲んじゃったんだよね?」
「知らん」
「透明リキッドですよ!机の上に置いておいたのに」
「わしが飲んだのなら透明になってるはずだ。つまり飲んでないか、お前の発明が失敗したかだ」
博士と呼ばれた宇宙人はかけられた疑惑を否定し得意げになる。だが次の一言で状況は一変する。
「効いてくるのは7時間後だもーん」
「えぇっ!?」
「あっ!やっぱり」
「やっぱりー!」
「しまった!」
結局新発明を飲んだことがばれて博士は白衣の2人に連れ去られてしまう。
あっけにとられている生徒たちにガイドの女性からようやく説明が入る。
「Xioでは人間に友好的な宇宙人に研究活動を手伝ってもらっています。Xioのスーパーテクノロジーの多くはあのファントン星人グルマン博士のご協力の賜物です」
説明が聞こえていたのか先ほどの白衣の女性が振り返り、学生たちに聞こえるように反論する。
「博士だけで開発したんじゃないもん」
そういってまた去っていった。
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見学を終えた学生たちは会議室に集められ椅子に座っていた。
そこへXioの隊長を務める神木隊長がやってきて学生たちに話を始める。
「基地内見学を終えた君たちの感想を聞かせてもらえるかな」
隊長がそういうと茶髪でやんちゃそうな男子学生が手を上げる。
「はいっ!マジやばかったっす!俺も怪獣ぶっ倒したいっす!」
「どうして怪獣をぶっ倒したいのかな?」
「だって正義の味方ってワルモンをぶっ倒すもんっしょー!」
隊長は苦笑いをすると鋭い質問を投げ掛ける。
「なら、完全に宇宙人や怪獣が悪で我々人間が正義であると言い切れるかな?」
「いや、えぇっと」
そういわれ男子生徒は返答に困ってしまう。
「確かに宇宙人や怪獣が私たちの生活を脅かす脅威であることは皆さんも知っていることでしょう。しかし、彼らにも彼らなりの事情があり、敵意が無い者たちもいます。最初から理解しあう心が無くては我々も侵略者と変わりないものになってしまいます」
隊長の話に聞き入るように生徒たちは静かになった。
「現在Xio日本支部では他惑星との相互理解を深めるためにコンタクトチームという部署が実験段階ですが創設されました。そこでは君たちと同じくらいの年齢のメンバーが地球と惑星を繋ぐ架け橋となるため日々奮闘しています。彼らの努力によって今では様々な星の人達と手と手を繋ぐことが可能になりました。皆さんには今日の見学から少しでも他者と手をつなぐことの大切さを学んでほしいと思います」
生徒たちから拍手が上がり神木隊長の話が終了した。
ガイドから次のスケジュールが生徒たちに連絡される。
「それではこれより自由時間となります。先ほど見られなかった一般開放部分などをぜひこの機会に見て行ってください」
生徒たちは待ってましたと言わんばかりに基地の中をそれぞれで見学しに行った。
「私たちも行こう!ゆきのん!」
「ええ、わかったわ」
先ほどグルマン博士とぶつかった少女はゆきのんと呼ばれた少女とともに基地の中を見学しに行った。
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「おかしいわね、こっちで合ってるはずなのだけど…」
先ほど基地内を見学に行った少女2人は絶賛迷子中である。
なぜこうなったかというと理由は2つある。1つは片方の少女が計画も立てずにどんどん進んでいったこと。もう1つはゆきのんと呼ばれた少女が方向音痴であったことである。
こうしている間もどんどん地図から現在地が分からなくなっている。
「ねえゆきのん、こっちって入っちゃいけない場所なんじゃないの?」
「そんなことはないわ。だって案内図にはちゃんと…」
そこまで言ってもう1人の少女があることに気付く。
「ゆきのん…それ地図逆になってるよ…」
そういわれて地図を逆にしてみると見事に先ほどまでの道のりと一致した。そして現在地を見つけるとある注意書きがされていた。
“立ち入り禁止区域”と。
そのとき少女たちは後ろから声をかけられた。
「おい、ここは関係者以外立ち入り禁止だ」
「あっ、すいません。私たち道に迷っちゃって…」
そういって振り向くと同い年くらいの男女2人組が立っていた。女子の方は見覚えがないが男子の方は少女たちにとってよく知っている人物であった。
「えっ?ヒッキー?」
ヒッキーと呼ばれた少年は髪の毛にアホ毛があり、なにより目が濁っている特徴を持っていた。
彼こそ2年前に彼女たちの前から姿を消し、現在Xioの隊員となった比企谷八幡その人であった。
「由比ヶ浜…雪ノ下…」
この瞬間時間が止まったような静けさが辺りを包み込んだ。
そして2年前に止まった八幡の時間が再び動きだした。
なかなか投稿できずすいませんでした。
これからも遅い投稿になってしまいそうですが楽しんでいっていただければなによりです。
あと劇場版ウルトラマンX面白かったです。細かいミニチュアやウルトラマン対怪獣軍団など見どころがいっぱい!
ブルーレイでたら絶対予約したいです!
というわけで次回予告
Xioに見学に来た雪ノ下と由比ヶ浜に再開してしまった八幡。
その過去は彼にとって苦しいものであった。
過去を乗り越え止まったままの時間を進めることはできるのか!
次回、「決別する過去」
信じあえるパートナーが八幡の隣にいる。