武の竜神と死の支配者   作:Tack

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初めまして、Tack(タック)と申します。

今回が生まれて初めての投稿となります。
誤字・脱字・謎の日本語etc. 至らぬ所もあると思いますが、どうか宜しくお願い致します。
さて、この御話の主人公はロボット物の主役に憧れた筈なのになぜこの様なタイトルなのかは…、ひょっとすると知っている方ならすぐに分かるかもしれません。
あまり長くなるのも失礼なのでまた次回。



プロローグ

 薄暗く開けた空間の中、その男は静かに正座していた。

 窓は無く、木製の天井・壁の境目の部分に同じく木製の格子があるだけ。

 床には数十枚の畳が敷き詰められ、かなりの広さがあるのが分かる。

 入口から見て正面の壁の部分には『土御門流(つちみかどりゅう)』と達筆に書かれた掛軸と、その下に刀が飾られている。

 ここは彼が主を務める道場だ。

 

 その場所で道場主たるその男は、血塗られた右手に包丁を持ち、その包丁を己の腹部に向け切腹の体勢をとっていた。

 格子から伸びた街灯の明かりが包丁の存在感を高める。

 何故この男は切腹をするのか、否、しようとしているのか、答は簡単だ。

 

 

──男は罪を犯したのだ。

 

 

 それも決して許されてはいけない程の。

 そのことについては…、後に彼自身が話してくれるだろう…。

 兎に角、男は包丁を握っている手に力を込め腹に向け振り上げた。

 だがその時、ある1人の人物を思い出し手を止めた。

 

 

「……モモンガさん」

 

 

 込めていた力を緩め、それをゆっくりと膝の上に置きながら呟く。

 モモンガこと『鈴木 悟』という青年は、男が籍を置く、とあるゲーム内でのギルドの長である。

 昔危機的状況に陥ったところを救って貰い、更には男をギルドに誘ってくれた恩人にあたる人物だ。

 

 そのあるゲームとは体感型DMMO-RPG「YGGDRASIL(ユグドラシル)

 

 専用のコンソールを用いる事で、まるでゲーム内の世界へ実際に飛び込んだような感覚でプレイする事の出来るものだ。

 その特徴は大量の職業・魔法・アイテム、更に言うならば異常ともいえる膨大なデータ量によって実現した自由度。

 しかもその自由度は、課金や別売りのクリエイトツール等を使う事によって更に幅を持たせる事が出来た。

 

 西暦2126年に日本のメーカーがサービスを開始したそのゲームは、日本人特有のクリエイター魂を激しく燃え上がらせ、運営開始から数年と待たずにゲーム界のトップに登り詰めた。

 

 

──DMMO-RPGと言えばユグドラシル

 

 

 そんな言葉さえ生まれた程である。

 

 しかし、それはもはや過去の事だ。

 現在は西暦2138年。

 つまり運営開始から十二年もの時間が過ぎていた。

 その長い歳月は、類似する物や根本からユグドラシルを超えるゲームを生み出すのに十分な時間だった。

 その結果としてユグドラシルは徐々に人気が下火となり、その歴史に終止符を打つ事となった。

 つまり、サービスの終了である。

 

 さてここで話を戻そう。

 何故このタイミングでその話をしたかと言うと、今日はそのユグドラシルの長い歴史に幕が降ろされる日。

 つまりは今日こそがそのサービス終了日当日なのだ。

 

 男はその事が記されていたモモンガ()からのメールを思い出す。

 

 

『この度、○月○日(○曜日)PM12:00をもちましてユグドラシルがサービス終了となります。お忙しい事とは思いますが、宜しければログインして御話ししませんか』

 

 

 このメールの内容を思い出すのと同時に、男は包丁を片手にゆらりと起き上がった。

 

 

「多くを話せる訳ではないが、礼を欠くのは武の理に反する…か」

 

 

 独り言を呟きながら道場の離れにある自宅を目指して歩き出した。

 そしてもう一言。

 

 

「……俺は、もう武人としては失格かもしれないけどな」

 

 

 そう…、誰に聞かせる訳でもない言葉をぽつりと呟いて…。

 

 

//※//

 

 

 離れの自宅。その二階に男の自室はある。

 部屋の隅にある端末の電源を着け、傍らに置いてある専用コンソールを頭部に装着した。

 そして、バイザー部分を目に覆い被さるようにし、すぐ側にある1人用にしては大きすぎるベッドに横たわり目を閉じる。

 しかし、頭部に装着したコンソールからは中々準備完了の音声が流れてこない。

 少し目を開け、パソコン前のデジタル時計に目をやる。

 

 

──十一時五十五分。かなりギリギリである。

 

 

 モモンガ()からのメール内容によれば、ユグドラシル終了は十二時丁度。

 

 

(頼む、早くしてくれ……!)

 

 

 それからどれくらい経ったか分からない、まるで永遠に起動しないのでは? と思う程だった。

 そんな時。

 

 

「準備完了デス、ユグドラシルニダイブシマスカ?」

 

 

 と、機械的な音声のメッセージが流れる。

 男はその完了メッセージを聞き、胸中に様々な思いを駆け巡らせたが、その思いを振り切り口を開く。

 

 

「ダイブ……、開始」

 

 

 そう言って、男の意識は一時的に途切れたのだった。




ニホンゴムツカシイヨ(´;ω;`)

2016/6/11 修正
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