新年初日から仕事をしておりますTackで御座います。
今回の投稿でカルネ村に行く展開となりましたエイジの物語、これから何処へ向かうのか。
今年も応援宜しくお願いします。
追記
慌てて投稿した為、タイトルがずれておりましたので修正致しました。
モモンガさんとの話し合いを行った次の日、俺は昨日から待機させているシュバルツの分身の下を訪れていた。
エイジ《──というのが昨日モモンガさんと話し合った今後の動きだ》
シュバルツF《分かった》
今俺はシュバルツFと共に森の中に居た。発見した中でまだ無事だった二つの集落の内、人間が住む村の直ぐ側にあった森だ。
既に朝日は登っており、木々の隙間から正に木漏れ日といった光があちこちを照らしている。かつて俺とモモンガさんが暮らしていた世界には無かった自然がそこには存在していた。
俺達AOGのメンバーに自然を愛した人が居たのだが、彼なら奇声をあげて喜んだ事だろう。
感知スキルに反応は無かったが、念の為二人とも隠密スキル、更には『伝言』で話をしているので周囲からは姿も見えず声も聞こえない事だろう。
シュバルツF《所でエイジ、私はまだ待機していた方が良いか?》
エイジ《ん? 何かあるのか?》
シュバルツF《うむ。実はだな、エイジが来る前この森に統一感の無い武装をした人間が数人入って来ていてな》
エイジ《野盗か何かか?》
シュバルツF《いや……、只の賊では無いだろう。少し荒いが統率された動き、首から下げたデザインが酷似する銀と銅のプレート、そして極めつけは依頼という単語だ。これらから察するに──》
エイジ《──その目的が合法だろうと非合法だろうと、何らかの組織だった動きをしているのは間違い無い……か。んで? そいつらがどうしたんだ?》
シュバルツF《うむ。その者達の会話の中に【エ・ランテル】という言葉が出てきてな、どうやらここからそう遠くない都市の名らしいのだが》
あぁ、何となくだが分かった気がする。要するにシュバルツFが言いたい事はこうだろう。
今の所こちらが知る唯一の都市である場所。そこを私が偵察に行った方が良いのではないか? 恐らくそう言いたいのだ。
彼<分身>の言う事も分かるが俺は迷った。幾らシュバルツといえど、大量の分身を出すのに負担0とはいかないだろう。現に今日もここと南西、──つまりは蜥蜴人の集落がある方向以外の各方角に、行動に幅を持たせる為二人一組で分身を送り出している。合計十四体もの分身が既に行動しているのだ。そんな中新たに分身を派遣して貰うのは流石に気が引けた。
う~ん、どうしたものか。
俺は考え込んだ。そこへ、シュバルツFから少し呆れを含んだトーンの言葉が出る。
シュバルツF《どうせお前の事だから「シュバルツの本体に負担がかかる」等と考えているのだろう? 全くお前と言う奴は……。》
エイジ《当たりだよ、兄さん》
俺とシュバルツFは「フフッ」と鼻で笑い合いながら話を続けた。どうせ二人きりなのだからこの呼び方でも構うまい。
エイジ《ならこうしよう。兄さんはそのエ・ランテルという場所を先に行って偵察してきてくれ。俺は蜥蜴人の集落の方を見回ってから一旦ナザリックに戻る。なぁに、襲撃者もこんな日の出ている時間から襲いはしないだろう》
シュバルツF《……少し楽観視してはいないか? もしその読みが外れれば、あの平和な村で略奪や虐殺が行われ、村人達の笑い声が悲鳴に変わるのかもしれないのだぞ?》
エイジ《そうかもしれんが襲撃といえば夜だろう? それにモモンガさんがアイテムで監視してくれている筈だから大丈夫さ》
「そこまで言うなら」と、少し不満気だったがとりあえず納得してくれた。……俺は少し見立てが甘いのかな?
シュバルツF《まぁ、お前が決めたならそれに従おう。……では私はそろそろ行くとするか。急遽エ・ランテルに来る場合は連絡をくれ、変装をして潜り込んでいるかもしれんからな》
エイジ《分かった。多分大丈夫だろうが気をつけてな》
シュバルツF《あぁ、それでは》
その伝言を最後に目の前の気配が消えた。もしこれがアニメだったらシュバッ!とか言うてSEが入ったんだろうか? シュバルツだけに。
……いや、何でもない。
俺はそんな下らない考えを思考から追いやり、その代わりとして「分身とはいえ何か礼でもするかな……」等と考えながら、蜥蜴人の集落を観察しているもう一人の分身の所へ向かった。
──自分が大きなミスを犯した事に気がつかないまま。
//*//
北西に居る分身の所へ向かった後でも同じ様に周囲を警戒しながら会話をし、その後俺はナザリックへと帰還した。
戻った頃には日が昇りきり、時計は丁度昼を指していた。
指輪を外して来ているので直ぐにモモンガさんの居る玉座へと向かう事が出来ない。その為、迎えのシモベを呼んで貰える様に伝言を送る。
エイジ《戻りましたよモモンガさん。迎え寄越して貰っていいですか?》
モモンガ《あ、おかえりなさいエイジさん。すぐに迎え送りますね。それと、帰って来て早々申し訳無いんですがそのまま玉座に来て貰えますか?》
エイジ《えぇ、いいですよ》
予定では今頃、モモンガさんが遠隔視の鏡<ミラー・オブ・リモート・ビューイング>というアイテムを使って例の村付近を警戒してくれてる筈だった。
このアイテムは指定した場所を遠方からでも見る事の出来る物だ。
一見便利そうだが兎に角妨害系に弱く、反撃を受ける恐れも多い為微妙アイテムとされていた。だが、今では離れた場所を偵察する為のアイテムとして期待していた。
ナーベラル「エイ──、お兄様、お帰りなさいませ」
俺を拙い言い方でお兄様と呼ぶこの黒髪のメイド。名をナーベラル・ガンマと言い、ここナザリック地下大墳墓の防衛・管理等を行う、六姉妹の戦闘メイド隊『プレアデス』の三女だ。
二重の影<ドッペルゲンガー>という様々な姿をとるのが得意な種族なのだが、彼女はそのレベルを全て職業に割り振っている為魔法職として戦闘力は高い一方、その種族特性は使えないも同然だった。
その外見についても話しておこう。
頭にはメイドらしくホワイトブリム。髪はポニーテールにしており顔立ちは端正。銀や金、黒といった色の金属で作られたであろう手甲・足甲をはめている。
しかし、その中で一番目を引くのは真ん丸の卵の様なスカートだろう。
総合すると、戦闘用に魔改造されたメイド服。うむ、この一言に尽きるな。だってしっくりくるもの。
本来ナザリック内部では普通のメイド姿なのだが、何故戦闘用の服を着ているか等は後で話そう。
エイジ「あぁ、ただいま。ナーベラル」
ナーベラル「エ、お兄様これを……」
ナーベラルが差し出した指輪を受けとり自らの指にはめる。直ぐに転移しようとしたが、このままではナーベラルを置き去りにしてしまう事に気付いた。
エイジ「モモンガさんからもう一つ指輪を受け取ってないのか?」
ナーベラル「受け取ってはおりますが、これは至高の御方が許された者にしか着用を認められない物で御座います。私の様な者が……」
エイジ「なら、今だけは着用して構わない」
ナーベラル「ですがエイジ様!」
エイジ「お兄様……だろ? それにお前が言ったんじゃないか、至高の存在に認められた者が着用出来るって」
ナーベラル「確かにそうですが……!」
う~ん、頑固だなぁ。コキュートスの時もそうだったがこれは異常だな。
モモンガさんを待たせてる訳だし、ちょっと強引にいくか。
エイジ「聞け! ナーベラル・ガンマよ!」
ナーベラル「はっ! エイジ様!」
……呼び方が完全に戻ってるがとりあえずはスルーの方向で。
エイジ「今、我が盟友にしてこのナザリックの支配者であるモモンガが俺を呼んでいる。そして、俺はお前を一人でここに残す事を良しとはしない。ならば結論は一つだろう?」
ナーベラル「……畏まりました。偉大なる御方」
エイジ「良し、では行くとしよう。そら、手を出せ」
俺はナーベラル手を取り、もう一つの指輪を彼女の白い手にはめた。
ナーベラル「!?」
何かナーベラルが顔真っ赤で驚いてるんだが……。もしかしてセクハラだったかな?
エイジ「……驚かしてすまんな、嫌だったか?」
ナーベラル「い、いえ!」
エイジ「そうか、それじゃあ行くとするか」
ナーベラル「は、はい」
未だ顔を真っ赤にしたナーベラルに疑問を感じながらも、俺は彼女と共に玉座の間へと転移した。
//*//
エイジ「何してんですか?」
玉座の間へと戻った俺達が最初に見たのは、鏡の前でいないいないばぁをした後喜び、横に控えていたセバスに賛辞を送られている魔王……。もといモモンガさんの姿だった。
モモンガ「あぁ、お帰りなさい。ナーベラルも御苦労だったな」
ナーベラル「御気遣いの御言葉感謝致します。」
いつもと同じ魔王ボイスではあるが、かつての様な気の張った感じでは無い。
食事会の一件でシモベ達は皆理解を示し、もしモモンガさんの口調が崩れたとしてもそれを気にしなくったからだ。
今の彼が出す声は威圧感を感じる事の無い物となっていた。
モモンガ「今やっと遠隔視の鏡の使い方が分かりましてね。それでセバスも喜んでくれてたんですよ。さっき『伝言』で玉座に来て欲しいって言ったのもこれ絡みだったんです」
セバス「モモンガ様はもうかれこれ数時間に渡りこのアイテムの使用法を模索されておりましたので」
ほうほうずっとやってたんですか。……ん? ちょっと待てよ?
エイジ「聞き間違いだと思いたいんですが、今何て?」
モモンガ「え? ですから、数時間かけて【今やっと】鏡の使用法が分かった。と言ったんですけど」
背筋に冷たいものが流れた。
今やっと使用法が分かったと言う事はつまり、【俺が分身と別れた後、誰もあの村を監視していない】という事になる。
エイジ「急いであの村を映して下さい! 早く!」
俺が急に大声を出した事でモモンガさんはある程度察してくれたのか、一瞬考えた後急いで鏡の中に映る風景を切替えていく。
モモンガ「見付けた!」
エイジ「見せて下さい!」
俺が急いでモモンガさんの側に行き、鏡を横から覗き込むと、村では人々が走り回っていた。
モモンガ「……何だ? 祭りか何かか?」
注意深く観察するモモンガさんの言葉に、俺と同じく横から覗き込んできたセバスが眉を潜めながら答える。心無しか、その声には若干の怒気が含まれていた。
セバス「いえ、恐らく違うでしょう……。これは……」
エイジ「虐殺だ!」
村で行われていたのは虐殺だった。自身の職業柄、暴力関係には抵抗があった。それでも目を覆いたく【なったであろう】一方的な暴力。
馬に乗った騎士達が村の中を駆け巡り、村人に容赦無く襲いかかる。
襲われた村人は逃げ惑い、家族を守り、助けを懇願し、そして殺される。全てが一切の慈悲無く。
表情が変化しない筈のモモンガさんの顔が、「しまった!」という風に変わった様に見えた。
モモンガ「セバス! 私とエイジさんは先に行ってこの村を救助する! アルベドに直ぐ完全装備で来る様伝えろ!」
セバス「はっ!」
モモンガ「但し、世界級アイテムの所持は許可しない! そして私達が行った後、ナザリックの警戒レベルを最大にするのも忘れるな!」
セバス「了解致しましたモモンガ様!」
エイジ「これからここに『転移門』<ゲート>で門を開き、後から来るアルベドの為に開いたままにしておく! ナーベラル、お前はここを守れ!」
ナーベラル「はっ! この命に代えましても!」
エイジ「それとこの話を各階層守護者に伝達しろ! そしてシュバルツに、隠密スキル特化のシモベと共に来る様伝えるんだ!」
ナーベラル「畏まりました!」
まだ幾つか言うべき事があったのだが、鏡に映る映像を見てその内容はぶっ飛んだ。
姉妹だろうか? 十代位の見た目の少女が自分より更に幼い少女を連れて逃げていた。そして、それを追う甲冑を着た騎士。
マズい! 時間が無い!
エイジ「先に行きます!」
モモンガ「え!? ちょっとエイジさん! 服! 服そのまま!」
エイジ「あっ!? ……えぇい! もうこれで!」
俺は自分の右上腕に装着してある五色の宝石がはめられた腕輪、『天に輝く五つ星』というアイテムに目を向けた。そして、その中の一つを指で軽く押しながら叫ぶ。
エイジ「武装セットNo,2! 『武神竜』!!」
俺の装備が変化し、竜の鱗を模した濃い緑の鎧になる。兜である竜の頭部が口を開けその中に俺の顔が入る。そしてそのまま俺の顔に黒いオーラが纏わりつき固まった。
一見すると前が見えないのではないか? と思うだろうが心配は無い、視界は意外にも広いのだ。何処に目があるか分からないが。
そして、金の縁取りが成された肩当やいつもの赤いマント、更に手甲や足甲等も装着され、現実世界における古代中国の武将らが好みそうな見た目になった。
この一連の流れを説明すると、先程触れた宝石には、一瞬で装備を変更出来る様に「速攻着替え」と言う名のユグドラシル産アイテムが埋め込まれているのだ。
その着替えのリストの先頭にあったこの装備を咄嗟に装備したのだった。因みにこの装備は少しばかり思い出があるのだが……、今は関係が無い。
エイジ「良し! とりあえずこれならっ!」
事前の話し合いでは、俺達二人は通りすがりの戦士と魔法詠唱者で通す事になっていた。その為、お互いにそれらしく見える装備を用意していた。自分の【ドレスルーム】に。
くそ! やってしまった! 完全に失敗だ!
そしてその失敗は間違い無く俺のせいだ、断じてモモンガさんのせいでは無い。何故なら、俺がモモンガさんにしっかりと連絡をとっていれば防げた事態だからだ。
とにかく今は圧倒的に時間が足りない。正直命令を下す時間も惜しい位だ。
エイジ「『転移門』!」
俺が最も信頼する転移魔法を口にすると、黒くドロドロとした光の穴といった門が開く。
その移動距離は無限。更に転移失敗率0パーセントを誇る魔法だ。
エイジ「モモンガさんも早く!」
俺はそう言って『転移門』の中へ飛び込み、虐殺の行われている村へと転移した。
ナーベラルとのフラグ? Tackは耳が遠いので聞こえませんwww
次回は二人の少女の運命が変わる時です。お楽しみに。
追記:本編含めてナゾニポンゴ