武の竜神と死の支配者   作:Tack

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 今回試験的に書き方を変えております。
 「読み辛い」「誰が話してるのか分からない」等の意見が多ければ戻し、そうでなければ継続していくつもりです。
 更に、今回の話から御都合ワールドが加速していく事を先に御詫びさせて頂きます。


第十五話【神となった日③】

 俺が到着した時、先に村へと向かっていたデスナイトはモモンガさん。──もといアインズさんの命令を守り、村を襲った騎士達を攻撃していた。

 これから殺すつもりだったのか、村の中央に村人達が集められ、それを包囲する様に騎士達が配置されていた様だった。

 

 

「オォォォォォっ!!」

 

「あ、あ、あ、うわぁぁぁっ!」

 

 

 だが、今やその包囲はデスナイトによって完全に崩されている。

 しかも周囲には既にデスナイトによって殺されたであろう騎士の死体が転がっており、その中の幾つかは動死体(ゾンビ)となり動き始めていた。

 奴等からしてみれば絶望的な状況だ。

 

 

「だ! 誰かあの化物を抑えよーっ!」

 

 

 妙に甲高い声に気付きそちらを見ると、ガクガクと震えた情けない顔の男が居た。

 状況を判断した後、アインズさんに俺の命令も受け付けるかの確認した上でデスナイトに命令を出す。

 

 

「デスナイトよ! 一旦攻撃を中止し待機だ!」

 

「……」

 

「良し。……で、お前が隊長だな?」

 

「ひぃぃっ!」

 

 

 デスナイトへその場待機を命じ、ドスを効かせた声を出しながらその男に近付いて行った。するといきなり土下座をし、そのまま命乞いをしてきた。

 

 

「お、お前! い、いや貴方様がこの化物の主人なのでしょう!? どうか! 命ばかりはお助けを! お、お金なら幾らでもあげましゅう!」

 

 

 ……心を読む迄も無くクズと判断した。なるべく苦しい殺し方をしてやろう。

 俺は助けるかどうか考えるフリをしながら、別動隊として来ている筈のシュバルツへと伝言(メッセージ)を飛ばした。

 

 

《どうした? 私なら既に村の付近に潜伏しているぞ?》

 

《頼みたい事があってな。今現在この村の周囲に他の敵は確認出来るか?》

 

《あぁ、居るぞ。鎧が此方で確認した物と同じだからな、そこから察するに奴等の一員だろう。捕縛して尋問といった所か?》

 

《話が早くて助かるよ。送り先はナザリックにしてくれ、デミウルゴスにも軽く話は通してある。……笑いながら他者を殺して回っていたヤツらだ、尋問後は更に地獄を見せてやろう》

 

《分かった。エイジ、お前がそう望むなら》

 

 

 シュバルツが伝言(メッセージ)を切る雰囲気を出した時、俺は言い忘れていた事を告げた。

 

 

《それと、これから俺の事はドモンと呼んでくれ。武神覇竜ドモン・カッシュと》

 

《……分かった。ドモン》

 

 

 何か思う所があるのか、シュバルツの返答には若干の間があった。

 やはり映像の中での名前と一緒では不味かっただろうか? そんな事を思ったが、今は此方の問題を解決するのが先だ。

 シュバルツへの頼み事は済んだので、後はみっともなく俺の足元に這いつくばっているこの男、それと周りの騎士達をどうするかだ。

 だが、まずは村人達の安全確保と行こう。

 

 

「村人達よ! 聞こえるか! 聞こえているのなら返事をしろ!」

 

 

 村人達は俺がまだ味方かどうか判断に困っていた。しかし、やがてその中から一人の老人が出てくる。

 

 

「き、聞こえております……」

 

「良し」

 

 

 返事をしたのは村長だった。襲われていたのでしょうがない事だがかなり疲弊している。

 ……それにしてもこのスキル(竜眼看破)は本当に便利だ。わざわざ身分や状況等を聞かずとも話を進める事が出来る。

 しかし、念には念を入れておこう。

 

 

「お前達はこの騎士達に襲われる理由に心当たりがあるか? 要するにこの騎士達の行動に正当性があると思うかという事だ」

 

「い、いえ。皆目見当がつきません……。ここカルネ村は至って普通の村ですので」

 

 

 白だな。俺はそう思った。

 人間という生き物は嘘を吐く時、必ず何らかしらのアクションがあるものだ。

 もしそれを隠すテクニックを持っていて判断に困る場合はスキルで心を読めばいい。逆に俺が心を読む事を知っており、それに対して何らかの対策を講じていればアクションを見ればいい。

 

 ならばテクニックと心を読まれない為の対策、その両方を用いる相手ならばどうするか? 答えは簡単だ。アクションを見ればいい。

 

 よく【全く隙の無い】という言葉を聞くが、あれは嘘だと思っている。全く隙の無い人間なぞ居る訳が無い。

 人間は心を持つ、故に驕りがある。その驕りがあるからこそ自分は完璧に出来ているという思いが生まれ、そこに妙な動きが出る。それを見極めるのだ。

 

 以上の事を踏まえ村長を見るが、俺の目に何も引っ掛からなかった。つまりは嘘を言っていない。

 要するにコイツら(騎士達)が何らかの目的で不当に命を奪っているという事だ。

 

 

「──だそうだが、合っているか?」

 

「ふあっ!?」

 

 

 この命乞いをする男、名前をベリュースというらしい。そのベリュースは間抜けな声で俺の言葉に顔を上げた。

 

 

「お前達は不当な理由でこの村人達の命を奪っているのか? と聞いている」

 

「い、いや……。そ、それは……」

 

 

 心を見るのも馬鹿馬鹿しいが一応見てみる。やはりと言うか何と言うか完全に黒だ。

 

 このベリュースを含めた騎士達は【バハルス帝国】という国の武装をし、その帝国と不仲である【リ・エスティーゼ王国】という国の領土内にあるこの村──カルネ村を襲った様だ。

 

 しかし、実際この騎士達は【スレイン法国】という国の部隊らしい。所謂偽装工作というやつだ。

 バハルス帝国の武装をしリ・エスティーゼ王国の領土内で暴れる。これで両国の関係が悪化し戦争に発展する。

 そこで両国が疲弊した所で漁夫の利を狙う魂胆なのだろう。現実の戦争と大して変わらない。

 

 一応この男は隊長らしいのだが、どうやら御飾りであまり詳しい事を知らない様だ。

 と言う事はこの部隊は陽動兼簡単な任務をこなす部隊といった所か。何か別の目的を持った本隊がいる筈だ、それを指揮する者こそ真の隊長だろう。

 ならばこの男は用済み。俺はそう思った。

 

 

「もういい」

 

「へっ?」

 

「お前に聞く事はもう無いと言う事だ」

 

 

 俺のその言葉を聞くやいなやベリュースの顔から血の気が失せていく。少し頭の足りない男だが、流石にこの後の事を想像出来た様だ。

 

 

「ふんっ!!」

 

ゴシャアァッ!!

 

「ぐべぉっ!?」

 

 

 俺は気弾(エア)を使いベリュースの腹を下から殴り空中へとかち上げた。

 そしてそのまま三百六十度全方位から気弾(エア)を浴びせる。

 この技は射程距離としては十数メートル程しか無いが代わりに面白い特徴がある。それは射程距離内であればどの方向にでも打てるという事。

 この特徴を生かし、コイツを全方位からの攻撃をしているという訳だ。

 

 

「あぶろぼびゃぐぶぁぼぇっ!!!」

 

「俺は優しいからな。少し力加減をしてやろう」

 

 

 勿論手を抜く気等さらさら無い。

 自分より低いレベルの相手のHPを必ず一だけ残せるスキル、『手加減』を使用しながら気弾(エア)で殴り続けた。

 身体がグチャミソになっても悲鳴は聞こえる。つまり生きている。

 

 

「ひっ……!」

 

 

 突如現れた得体の知れない存在、そしてその存在が使う得体の知れない技。それによって見るも無惨な姿になっていくベリュースを見た騎士達は恐怖した。

 そしてその内、恐怖に耐えられなくなった騎士の一人が逃げ出す。

 

 

「い、嫌だぁぁぁっ!!」

 

「デスナイト! 逃げた騎士を殺せ!」

 

「──オォォォォォっ!!!」

 

 

 逃げ出した騎士に向かって黒い霧となったデスナイトが猛スピードで追い付く。そしてその行く手を遮り、手に持ったフランベルジェを高く掲げ、一閃。

 逃げ出した騎士は斜めに真っ二つとなった。

 

 

「ひぅっ!?」

 

「逃げ出した者はそのデスナイトが殺す。……無論、この男と同じ目に遭いたいと言うのであれば俺がやるがな?」

 

 

 俺は未だベリュースをなぶり続けながら、情けない声を出す残りの騎士達に冷たく言い放った。

 当たり前の事だがベリュースの事も忘れてはいない。

 時折肉体や精神を回復させる為の魔法も使ってやっている。心が先に折れて貰っては困るからだ。

 

 

「さて……、そろそろ終わらせるか」

 

 

 俺は攻撃を止める。そしてグシャッと音を立てて地に倒れたベリュースに魔法をかけ全快させた。

 

 

「あ、あれ?」

 

「おぉ、気が付いたか」

 

 

 俺は回復魔法をかけられ意識を取り戻したベリュースの右肩に左手を置き、ポンポンと軽く叩いた。

 

 

「お、俺は……一体」

 

「どうやら混乱している様だな。だが安心しろ、もう怖い事は何も無い」

 

 

 精神強化の魔法をかけられながら死ぬ事も許されずに気弾(エア)を浴び続け、最早この男に正常な判断はつかなくなっていた。

 

 

「たっ、助かっ──」

 

「んな訳あるか」

 

 

 俺は左手で肩を、右手でベリュースの首を内側に捻った状態で掴み、そのまま両手に力を入れて身体を真っ二つに引き裂いた。

 そしてドベチャッと汚い音を立てて崩れた元人間を魔法で焼いた。

 

 

「貴様の様なクズにはお似合いの最期だ」

 

 

 俺は自分でも驚く程冷たく言い放った。思わずこれが精神の変化なのか、と呟いてしまう程に。

 自分の鎧に付着した返り血を魔法で落とし、残りの奴等に目を向ける。

 

 

「……さて」

 

 

 俺が騎士達の方を見ると、騎士達はガチャガチャと全身鎧(フルプレート)を鳴らしながら震えていた。

 同じ目に遭うと思ったのだろう、だがそんな事はしない。少しやり過ぎたと反省したからだ。

 俺の行為に救助対象である村人達まで発狂寸前になっていたのだ。これでは不味い、少し抑えなくては。

 

 それに何人かを生きた状態で帰し、スレイン法国とやらへの釘にも使いたい。

 誰を残すかと見回し、一番この作戦に乗り気では無かった男ロンデスを第一候補にした、その時だった。

 

 

「撤退だ!! 後方に控える部隊に連絡!! 他の者は連絡を出す迄の時間稼ぎに回れ!!」

 

 

 ロンデスが叫び、他の騎士達に命令を出す。

 この様な状況でも的確に命令を出せるのは素晴らしい、出来れば殺したく無いが。等と考えている間にも騎士達は行動する。

 

 

「急げ!! あんな死に方はしたくないだろう!!」

 

「俺がそれを黙って見ているとでも?」

 

「くっ……!」

 

 

 何人かが時間稼ぎの為俺に向かって来る。だが避ける必要は無い。

 俺は気弾(エア)を極限迄薄く引き絞り切断に特化させた、その名も『気斬(スラッシュ)』を使って向かって来た騎士達を切り刻んでいく。

 

 

「ぎゃっ!!」

 

「ぐぇっ!!」

 

「あぎゅっ!!」

 

 

 何人かをバラバラにした所であの男、ロンデスが斬りかかって来た。

 

 

「うおぉぉぉっ!!」

 

「成る程、良い太刀筋だ。だが──」

 

ビシイィッ!!

 

 

 俺はロンデスが心の中で生涯最高と自負した一撃を、指二本で挟んで止めた。

 

 

「ば、馬鹿なっ……!? この、化物めぇっ!!」

 

「フッ、化物か」

 

パキイィィィンッ!

 

 

 俺は指を外に軽く捻り剣を折る。そして一言ロンデスに向かって言いながら気斬(スラッシュ)を振るった。

 

 

「諦めるなよ?」

 

「えっ?」

 

ズシャアァッ!!

 

 

 その疑問の言葉と高らかに鳴った合図の音を最期に、ロンデスの思考は停止した。

 

 

//*//

 

 

 騎士達をある程度処分した後アインズさん達と合流し、残った騎士達の内数人を逃がした。勿論奴等の正体や目的等を伝えた上で。

 それを聞いて彼は初め渋っていたが、人間至上の国家である以上俺達と必ずぶつかるであろう相手。ならばいっそ、此方が強大な力の持ち主である事を伝えて安易に手を出せない様にした方がいいと提案した。

 スキルである程度スレイン法国の情報を引き出せた事もあり、アインズさんは何とか認めてくれた。

 

 拒絶されるのではないかと思った村人達も、後から来たアインズさんやアルベドを含めて何とか受け入れてくれた。

 やはり襲われた所を救った神というのが大きかったのだろう。エンリとネムの姉妹も俺達の事を必死に説明してくれた。

 そして……。

 

 

《止めておいた方が良いと思います》

 

《やっぱりそうですよね……》

 

 

 今村人達は葬儀の為、死んだ者達を集めている最中だった。

 分かっていた事ではあったがあの姉妹の両親も死んでおり、その死体の前で二人はわんわん泣いていた。

 俺達は少し離れた所で伝言(メッセージ)で会話をしながらその様子を見ていた。

 

 

《分かっては……、いるんですが……》

 

《……ゴホン。えー、因みにメリットは?》

 

《は?》

 

 

 そのアインズさんの言葉の意味を理解するのに数秒かかった。そして、これはアインズさんなりの優しさではないかと結論付けた。

 

 

《……俺達が神である事に説得力を持たせられます》

 

《ほう……。というと、村人達はまだ俺達を疑っていると?》

 

《ええ、若干ですが疑いの心があります》

 

《それはいけない! 直ぐ彼等に教えてあげなければいけませんね。ドモンさん、方法はお任せしますので軽く奇跡でも起こして下さい》

 

《……アインズさんて、悪役RP得意なのにこういう演技力は低いんですね》

 

《何の事でしょう?》

 

 

 俺は思わず彼の顔を見ながら苦笑いした。

 彼の好意を無駄にしない為にも失敗は出来ない。そこで、アインズさんにも一芝居打って貰う為に幾つかの打ち合わせをした。

 そして、打ち合わせをし終わった俺は村人達に大声で言った。

 

 

「村人達よ! 愛する者にもう一度逢いたいか!」

 

「えっ?」

 

「何だ?」

 

「逢いたいかと聞いている! ……答えによっては俺が力を貸そう!」

 

 

 村人達はキョトンとしていた、無理もない。

 今俺が言っているのは死んだ者達を蘇らせてやると聞こえるからだ。

 

 

「あいたいよぉ……」

 

 

 ネムが泣きながら此方に来て俺に懇願する。心の中は悲しみに溢れている。

 

 

「お父さんとお母さんにあいたいよぉ。神様ぁ、お願いします」

 

 

 泣きじゃくりながら俺の側まで来たネムを、俺はしゃがんでから優しく抱き寄せて頭を撫でた。

 そして、少し泣き止んだのを見計らって離れる様に伝える。

 

 

「ネム、少し離れていなさい」

 

「……はい、神様」

 

 

 多少は落ち着いたネムが、てってってっと走って姉の所へ行く。

 それを見送った後、俺は村人達に気軽に命は蘇らせられないという旨を伝える。

 

 

「村人達よ。俺がこれからやろうとしている事は本来、世界の理から逸脱した行為である事を覚えておくのだ」

 

 

 村人達がざわつき、俺がこれからやろうとしている事の重大さを理解していく。

 そこにアインズさんも演技で補助をしてくれる。

 

 

「ドモンよ。今回ばかりは此方にも落ち度がある故私も目を瞑るが、大丈夫なのか?」

 

「これ位ならば問題は無いだろう」

 

 

 この会話の意味が分からず、村長が質問して来た。

 

 

「御話し中申し訳御座いませぬが……。神々よ、これから一体何を為さるおつもりで?」

 

「今回の事で死んだ者達を、俺の力を削る事で蘇らせる」

 

「な、なんと!?」

 

 

 薄々と思ってはいた様だが、いざ口に出すと一気に村人達の心がざわついた。心だけでなく口にまで出している。

 やはり直接言葉にするのは効果的だ。

 

 

「そ、その様な事が出来るのですか!?」

 

「……(おさ)よ。お前はまだ俺達を神と信じていないな?」

 

「そ、それは……」

 

「良い、人の子よ。……ドモンもそれ位にしてやれ」

 

「……だな。済まなかった、(おさ)よ。言い方が悪かった」

 

 

 村長は滅相も御座いませんと言って両手を振った。

 そして俺は話を戻し、この世界の法則上蘇らせられない者が出る可能性がある事も付け加えた。

 

 この世界は元々、自分達の仲間である神の管轄であり、今回はある理由によってその者の代わりに自分達が来た。その為、知らない情報や法則が多いのだと付け加えて。

 これを言っておく事で、後にこの世界の情報を聞き出す時に自然になると考えた。疑われた時用の保険も考えてある。

 

 それっぽい理由を言い終わり、村人達の理解を得た所で蘇生の手順に入る。

 

 

「これで全員か?」

 

「は、はい。今回の事で命を落とした者達です。しかし、本当に大丈夫なのですか? ドモン・カッシュ様が蘇生を行われるとその御力を削る事になると仰っておられましたが……。それならばいっそ、死を司っていらっしゃいますアインズ・ウール・ゴウン様に任された方が宜しいのではないのでしょうか?」

 

「俺の事については心配するな。それと蘇生についてだが……、確かに長の言う通りアインズに頼んだ方がいい。死者に関する事なら奴の方が格段に上だからな」

 

「では、ドモン・カッシュ様が御身を削られずとも……」

 

「だが、それは出来ない」

 

「そ、それは何故ですか?」

 

「あるだろう? お前達人の子にもやってはいけない事というものが。死に対する決まり事を作ったのはアインズ自身だ、その決まり事を本人が破る訳にはいくまい」

 

「は、はぁ。成る程、そういう事で御座いましたか」

 

 

 何とか村長を納得させ、共に遺体の最終確認を行っているとアインズさんから伝言(メッセージ)が飛んで来た。

 

 

《凄ーく今更なんですが、ちゃんと蘇生するんですかね? それに派手さ目当てでアレ(・・)使うつもりなら経験値とか大丈夫ですか?》

 

《蘇生に関しては既に実験済みです、恐らく大丈夫かと。それと経験値に関してですが、俺のスキルにストックがあるので余程ユグドラシルと違いが無い限り問題はありません》

 

《経験値については分かりましたが、実験とは? もしかしてさっき姉妹を助けた時ですか?》

 

《えぇ、そうです。しかも、先程生き残りの騎士達をナザリックに送ったでしょう? そいつらを使用して実験してくれたデミウルゴスからの情報も踏まえた上で興味深い事が分かりました。》

 

《興味深い事?》

 

《はい、この世界での蘇生に関する事です。ひょっとすると、デスペナルティによって蘇生が失敗に終わる可能性があります》

 

《蘇生が失敗する? それ少し詳しく教えて下さい》

 

《はい。デミウルゴスからの報告によると、俺が鑑定してレベル五以下と判断した騎士達が蘇生に失敗し灰になったそうです》

 

《あ、成る程。それでドモンさんがやるんですね》

 

《その通りです。短杖(ワンド)とかだとデスペナルティ回避が出来ませんからね。他にも色々可能性があるんですが現状は俺がやるべきと判断しました》

 

《そこまで進めてるとは流石ですわぁ》

 

 

 俺が蘇生実験を行っていた事にアインズさんが妙に関心する。たまたま適したスキルを持ち合わせていただけであり、もし彼が同じ状況なら直ぐに行っていただろう。

 何故そんなに関心するのだろうかという事を考えながら、俺は自身の持つ唯一の蘇生魔法の名を雰囲気を出す為の言葉と共に唱えた。

 

 

「我、武の頂を守る者。我、竜を統べる者。心無き者達によって哀しみの底へ落とされた民に救いを与えん。」

 

「おぉっ!」

 

 

 俺の身体を超位魔法特有の魔方陣のドームが囲い、その姿に村人達が驚きの声を上げる。

 

 

「『救済』!!」

 

 

 超位魔法。第十位階まである魔法の上に存在する魔法。

 魔法とは言っているが、実際の所その性質はスキルに近く、一日に四回しか使う事が出来ない。

 

 そしてこの『救済』という超位魔法の効果だが、「望む対象をデスペナルティの喪失経験値の内、その半分以上を肩代わりした状態で蘇生させる」という物だ。

 好きなだけ蘇生させられるので一見便利そうだが、実はそうでもない。

 

 ユグドラシル時代の話だが、本来蘇生という行為は経験値喪失からの五レベルダウンが基本である。俺やアインズさんの様に百からダウンした場合、喪失分の経験値は中々の物で楽には稼げない。

 一部のアイテムでそれを防ぐ事が出来るが、あくまで例外だ。

 

 何が言いたいかと言うと、好きな数を蘇生出来るが代償が大きく使いにくいという事だ。

 戦闘中に行うのは勿論愚行であり、敵のど真ん中で互いに弱体化された状況に陥る事になる。

 だからと言って弱い者を蘇生させても意味が無く、今まで死に魔法と化していた。

 まさかこういう形で有効活用されるとは思ってもみなかった。

 

 

「あ、あれ?」

 

「生きて、る?」

 

 

 『救済』を発動した結果、村人達は誰一人欠ける事無く蘇生した。

 恐れていたレベルダウンからの蘇生失敗も、俺が喪失分の経験値を全て負担する事によって解決出来た様だ。

 

 

「お父さん! お母さん!」

 

 

 あの姉妹の両親も無事に生き返り、感動の再開が出来た。良かった、本当に良かった。

 おっと、いかん。演技をせねば。

 

 

「うぐっ!」

 

「ドモン・カッシュ様っ!?」

 

「大丈夫かドモン!?」

 

「あぁ、取り合えずはな……」

 

 

 世界の理から外れた行為をする為に自らの存在を削ったという設定だ。

 実際経験値は消失しているが、それは自前のスキルで充分にカバー出来る範囲内なので問題は無い。

 あくまで先の説明に信憑性を出す為のものだ

 

 

「心配ない。お前達の笑顔の対価としては安いものだ」

 

「ドモン・カッシュ様……」

 

 

 生き返った村人達への説明は村長に一任した。

 説明を受けた村人達からは様々な言葉で礼を送られた。その心には、俺達を疑う気持ち等一辺も無い。

 

 再会の感動も少し落ち着いた所でこの世界の情報を色々と聞き出す事になった。

 最初は俺も一緒に聞くつもりだったが、先程姉妹達に刃を向けたアルベドを一人にしておく事は出来ず、代表としてアインズさんが村長から情報を収集する事になった。

 

 そして現在、俺はアルベドと共に村長の家の前で村を建て直す村人達を眺めていた。

 時折、俺達の前を復旧を行う資材等を持った村人が通り、その度に荷物を置き神への祈りを捧げてくる。

 

 

「これで終わればいいのだが」

 

 

 俺の言葉の真意を聞く為、アルベドが質問をしてくる。

 

 

「どういう事で御座いますか?」

 

「いや、奴等の行動やその他の要素から別に本隊がいる可能性が出てきたのだ」

 

「それは……」

 

「あぁ……、また村人達が危険に晒される事になる。しかも、先程の奴等より遥かに強い者達が来るかもしれん」

 

「その時はこの命に代えても偉大なる御方々を御守り致します」

 

「その気持ちは有り難いが、守るのはアインズさんだけでいい」

 

「……何故で御座いますか?」

 

「理由があったとは言え、俺は一度ナザリックを離れた身だ。そんな俺よりも、ずっとナザリックを守り続けたアインズさんを守る方が優先ではないか?」

 

 

 俺の言葉にアルベドは考え込み、複雑なオーラを出して黙った。

 

 

「話は変わるがアルベド。人間は嫌いか?」

 

「……恐れながら、いっそ踏み潰してしまえばどんなに綺麗になるものかと思っております」

 

「まぁ、……そうだろうな」

 

 

 予め聞いてはいたのでもう驚きはしない。だが今後もこれでは不味い。

 俺達神に仕える者がこれでは信用も得られはしない。何か手を打つ必要がある。

 幾つかの案が浮かんだ所で村長の家からアインズさんが出てきた。

 

 

「では私達は行く。暫くしたら使いの者をここへ送ろう、何かあればその者に頼むといいだろう」

 

「何から何まで有難う御座います、アインズ様」

 

「うむ、良き生を送るのだぞ」

 

「終わったか?」

 

「あぁ、色々な事を聞けた」

 

 

 アインズさんが村長から聞いた情報は伝言(メッセージ)でかいつまんだ状態で聞いていた。

 その情報はある程度有益な物であり、それらを元に端末のデータを更新した。後でデミウルゴスにも同じ端末を用意して作戦の立案等に生かして貰うとしよう。

 

 

「これからどうするアインズ」

 

「うむ、まずは戻ってこの村を復旧する為の──。何だ?」

 

 

 アインズさんが言葉を切り村の正面の方を見た。俺もそれに釣られて同じ方向を見ると、村の周辺を見回っていた若い村人が息を切らせながら走って来ていた。

 

 

「そっ! 村長ーっ! 大変ですっ! また武器を持った奴等が!」

 

 

 迫る謎の存在。この報を聞き、俺達は若干うんざりしながら呟いた。

 

 

「また厄介事か……」

 

「まぁ、しょうがないですよ。アインズさん、どうせだから問題を処理してから戻りましょう。それにしても、周囲にいた奴等はシュバルツが処理してくれた筈なんだがな……」

 

 

 さて、鬼が出るか蛇が出るか……。俺はそんな事を思った。




 どうだったでしょうか?
 かなりの御都合主義ですが、これがエイジの物語の基本形となります。
 死ななくてもいい人間が死ぬのは耐えられない。その気持ちがこの話を書き始めた理由の一つでもあります。

※決して原作否定では無い事を御理解下さい。
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