今回も不思議な台詞回しが多いと思いますがご愛嬌という事でm(__)m
結論から先に述べよう。新手と思われた者達は取り合えずの所敵では無かった。
彼等は戦士長【ガゼフ・ストロノーフ】を隊長とした部隊で、名を王国戦士団と言うらしい。
彼等の任務は、ここカルネ村が所属しているリ・エスティーゼ王国の国境付近を荒らし回る賊を討伐する事だと言う。
その為、国王ランポッサⅢ世の命により派遣されたのだとか。
俺やアインズさん、そしてアルベドの事は始めこそ怪しんでいたものの、共に居た村長の証言等もあり取り合えずは信じてくれた様だ。
村の入口に陣取っているデスナイトへの警戒はしたままだったが……。
《あー、何かこの人めっちゃいい人そうですねアインズさん》
《ですね。中身の方はどうですか?》
《……中身も変わらずですね。良く言って裏表の無い人間、悪く言うと──》
《あぁ、確かに貴方が好みそうな人物ですね。立場の事もありますし、友好的に話を進めるとしましょうか》
《了解です》
二人で内緒話を終えた後はガゼフとの情報のやり取り等を始めた。
村長を疑っている訳では無いが、王国直属の人間に聞くのもまた情報の幅が広がるというものだ。
更にそこで、カルネ村を襲った奴等の正体がスレイン法国の者達だった事を伝えると、その事実に彼等はかなり驚いていた。
賊の正体がバハルス帝国だと思っていた様で、この情報についての意見を出し合っていた。
と、そこへ糸が繋がる様な感覚。シュバルツからの
《ドモン、今会話をして問題無いか?》
《シュバルツか、どうした? というか、何故この兵士達の事を伝えなかったんだ。何かあったのか?》
《その者達が村に近付いていた時、白銀の鎧を纏う騎士と
《白銀の騎士だと?》
様々な可能性を考えた場合、彼が此方側に来ている事も充分に有り得ると思ったからだ。
《一応聞いておきたいんだが、たっち・みーさんでは無いんだな?》
《あぁ、たっち・みー殿なら私の事が分かる筈だ。まぁ、例外はあるだろうがな。それよりも、その騎士からは妙な事に気配を感じ無かった》
《気配を感じない? どういう事だ?》
《詳しい事を話したいのは山々なんだが。ドモン、そちらも忙しい事だろう。取り合えずその二人組は追い払った、今はそれでいいと思うが?》
《……そうだな、分かった。色々とすまなかったな》
《気にするな。それよりも、また違う格好の者達がその村に向かっている。しかも、奴等は抑えているつもりだろうが殺気を出した状態でな》
《何? ……お前に渡した端末には映像を撮る機能がある、それを使って俺に映像を送ってくれ。使い方は──》
シュバルツに映像機能の使い方を教え、新手が来ている事をアインズさんにだけ伝えた。
この場に居る全員に伝えても大丈夫だろうとは思ったが念の為だ。
《どうします? アインズさん》
《んー、流石に俺達目当てで来ているとは考え辛いですが……》
《ですよね。さっき逃がした騎士達が伝えた線もありますが、それはちょっと無いかなぁ……》
《この世界の住人からすると、デスナイトはかなり凶悪な化物みたいですからね。それを手足の様に使い、尚且つ自らを神と名乗る存在にそうホイホイと接触しますか? 普通。俺ならそんな奴等とは絶対接触しませんよ》
《うーん、取り合えず戦士長殿にも聞いてみますか》
俺は自身の端末の映像をガゼフにも見せ、覚えのある者達かどうか聞いてみた。
が、やはりと言うか何と言うか期待した答えは返っては来なかった。
「申し訳御座いません」
「いや、構わんさ。それよりもこれでほぼ確定したな」
「は?」
俺の言葉にガゼフは目を丸くして間の抜けた声を出す。
それを見たアインズさんが分かり易く説明をする。
「いいか? 私達に覚えが無く、この村にもそこまでして襲う理由があるとは思えない。……となると、お前が目当てという事だろう。ガゼフ・ストロノーフ」
アインズさんの言葉にガゼフは少し俯きながら苦い顔をした。
心無しか、その顔には怒りの表情が出ていた。
俺はアインズさんの考えている事は何となく分かった。
現状俺達が直接狙われる理由は少ない筈。村を再び襲うという線も、得体の知れない俺達が居る状態ではリスクが高い。(逃がした騎士が情報を伝えたという前提だが)
ならば狙いが戦士長そのものだったとしたら? どうやら有名人の様だし、あながち間違ってはいないだろう。
しかもそれなら最初から罠だったという事で村を襲っていた理由も説明がつく。
「出立の折、貴族共から私の装備について散々叩かれましたからな。恐らく、奴等の中に裏切り者でも居るのでしょう」
溜め息混じりのガゼフは突然俺達に向かって頭を下げた。
「偉大なる神々よ。この度の事、このガゼフ・ストロノーフ幾ら頭を下げても足りません。しかし! どうか! どうか今一度、村の者達を──」
ガゼフが言葉を続けながら膝を折ろうとした時、その肩を一歩進んだアインズさんが止めた。
「頭を上げるのだ、ガゼフ・ストロノーフよ。お前の願い聞き届けよう。村人は私達が守る」
その言葉を聞き、ガゼフの顔が明るくなった。そして
俺はその姿に疑問を持ち、それをガゼフに投げ掛けた。
「ガゼフ・ストロノーフよ、一つだけ聞きたい事がある」
「どうかガゼフと御呼び下さい神よ。それで、何で御座いましょうか?」
「なら俺もドモンで構わない。それでだな、何故俺達に助けを求めない? 俺達ならば奴等を難なく
俺の疑問をどう受け取ったのか、ガゼフは少し悩んだ後俺にこう言った。
「確かに偉大なる神々にしてみれば、奴等は大した敵では無く貴殿方に願う方が犠牲も少なく済む事でしょう」
「ならば──」
「ですが、これ以上は願い過ぎと言う物です。村人達を守って下さる。それだけで十分なのです」
シュバルツが送ってきてくれている映像には天使を召喚し、臨戦体勢を取ったまま距離を詰めて来ている敵兵士達の姿が映っていた。
「俺達の知る物と同じ物ならば、という前提条件だが、この天使は第三位階の魔法によって召喚された物だ。……お前達に勝ち目はあるのか?」
第三位階魔法。
ユグドラシルでは割と初級魔法の部類だが、どうやらこの世界では習熟した魔法詠唱者が辿り着く最高位の魔法らしい。
最初にガゼフや他の兵士達の心を覗いた時に手に入れた情報だ。
「第三位階を使用する集団相手だと、……はっきり言って勝ち目は薄いでしょう。しかもこれだけの使い手を集められるのは、……恐らく、先程の話にも出ましたスレイン法国という国だけと思われます」
「やはり名前の通り魔法国家だったか……」
「はい。更にこれだけのお膳立てをしてまで投入した部隊となると、噂に聞く特殊部隊【
「……決意は固い様だな。ならばせめて」
俺は自分の手持ちから一本の何の変哲も無い両手剣を取り出し、MPを注ぎ込んだ後呼び掛けた。
「我の力に呼応し目覚めよ」
「──偉大なる神よ、御初に御目にかかりまする」
「剣が!?」
「お、おい! 今剣が喋らなかったか!?」
ガゼフや他の兵士達がざわめく。剣が喋るのを見ればこの反応は正しいのだろう。
だが、俺はガゼフ達の反応よりも自身の仮説が立証された方に関心が向いていた。
【フレーバーテキスト】
様々なゲームに存在する世界観を演出する為の文章である。
この剣にも存在し、その文章の中に魔力にて目覚め主の助けとなる。と書かれていた……筈。
若干記憶が曖昧だったが、そこはご愛嬌である。
それはさておき、何故こんな事をしたのかと言うと、まず一つは勿論ガゼフの助けとする為だ。
幾ら俺達から見て弱い武器とはいえ、ガゼフのレベルから考えるとかなり強い物だと思ったからだ。
もう一つは実験。ゲームが現実となったのならフレーバーテキスト等はどう作用するのか。それを確認しておきたかった。
結果は先の通り。アインズさんとも
《またやる事増えちゃいましたね、何かすいません》
《何言ってるんですか、ドモンさんが検証しなかったらスルーしちゃってましたよ》
アインズさんは忘れてたと言ってはいるがたまたまだろう。俺もガゼフに何か渡そうと思わなければそのまま忘れてしまっただろうし結果オーライだ。
取り合えず剣をガゼフに渡さないと。
「受け取れガゼフ、餞別だ」
「宜しいのですか!?」
「俺には無用の長物だ。それにこの剣はお前の様な男に相応しい」
「と、申されますと?」
「見た方が早いな」
俺はガゼフと共にリングに移動し、剣について軽い手解きをした。
「剣よ、お前の名は『炎帝剣 テスカ』で相違無いか?」
「──仰る通りに御座います。偉大なる神よ」
「ならばこれより、その刀身が朽ち果てるまでこの男ガゼフ・ストロノーフを主とし、主の行く手を阻む全てをその力を以て
「──承知致しました。」
「ほれ、名を呼んでやれ」
テスカをガゼフに渡す。彼は
「『炎帝剣 テスカ』よ! その力を我に示せ」
「──承知した、新たなる主よ」
テスカの声がリング内に響き渡りその刀身が爆炎に包まれる。
そしてその炎が収まった時、その見た目は大きく変貌していた。
本来敵を刺す為に尖っている部分は平たく凹み、全体的に板の様になっている。
腹の部分には装飾の為の線が入り刀身全体は燃える様な赤。
祭礼用の剣が如く美しいが、これは敵を滅ぼす為の剣であり、その為の力が備わっている。
「これが……、炎帝剣か……。何と見事な……」
テスカの真の姿にガゼフは感嘆の声をあげた。どうやら気に入ってくれた様だ。
「その剣には魔力が込められているから見た目よりも軽いと思うぞ。それにその魔力を解き放つ事で特殊な技を使う事も出来る。試しにやってみるといい」
「分かりました」
ガゼフは素振りを何度か行った後、テスカを構え直し叫んだ。
「炎帝よ! その力を我に見せよ!」
叫んだ後に鋭い縦一閃。凄まじい爆風が荒野を駆ける。
目の前にあった巨岩群は跡形も無く消し飛んだ。
「何と言う……。何と言う力だ……!」
「お前の様な猛き男に似合う剣だと思ったのだが、気に入ったか?」
「はい! と申しますか、本当に頂いて宜しいのですか? これは伝説に語り継がれる様な魔剣とお見受けしますが」
「構わん。俺にはこれがある」
俺は自分の背中に下げた
「左様で御座いましたか。では神からの品、有り難く頂戴致します」
ガゼフはテスカを鞘に戻し
「さて、時間も迫っている事だ。そろそろ俺達は行こう」
スキルを解除しアインズさん達と合流する。話を聞いていたアインズさんは、自分だけ何も無いというのもな、と言ってガゼフ達に様々な補助魔法をかけた。
《彼等をユグドラシルで想定した場合ですけど、かなり強化されてますよね?》
《ええ、これ位やれば撤退戦程度なら何とか持ち堪えられるでしょう。今の状況ではそれが一番の筈ですから》
《確かに。村から敵を引き離す事が今の彼等に出来る最良の策でしょうからね》
先程ガゼフにああは言ったものの、いざ俺達が敵を殲滅するとなると色々と問題がある。
しかもそれはガゼフの決意に泥を塗る行為にもなる。
ならば俺達に出来るのは彼等の犠牲を少なくし、尚且つ敵を遠ざけて貰う為の手助け程度だ。
《歯痒いとはこの事か……》
《仕方ありませんよ。ドモンさんが渡した剣と、俺の補助魔法で彼等が奮闘してくれる事を祈りましょう》
馬で新手が来た方向に駆けて行く戦士団の後ろ姿を見ながら、俺は自身の無力さを呪った。
これでは昔と同じだ。守るべき人間を死に追い込んだあの時と。
「神々よ、私達は一体どうすれば宜しいのでしょうか?」
ふいに村長が話し掛けてきた事で我に帰る。昔の嫌な記憶が蘇って来ていたので正直助かった。
取り合えずは村人を全員指定の家屋に避難させる様指示した。その後そこを俺達が死守するという事を伝えると村長は安心した顔を見せ、直ぐに村人達に伝えると言って先に村に戻った。
「ドモン。私達も村に戻るとしよう」
「あぁ……、そうだな……」
「やはり気になるか?」
「今の俺達の状況から鑑みて、彼等と関わるのはあまり好ましくないというのは分かってはいるんだがな……」
「御話中申し訳御座いません」
俺が言葉を続けようとした時、ずっと黙っていたアルベドが口を開いた。何かあるのだろうか?
アインズさんも気になったのか、アルベドが言葉を続けられる様促した。
「どうした? アルベド。何かあるなら言ってくれ」
「はい。大変申し訳御座いませんが、モモンガ様とエイジ様がその尊き名を変えられ、更には人間達に自らを神と名乗った事に対しての御考えを教えて頂きとう御座います」
「あぁ、それはだな……」
「待ってくれアインズ」
「ん?」
俺達はこの件に関して一応話はしてあったのでアインズさんがそれを話すのは問題は無かった。
だが、俺にはどうしても確認しておきたい事があったので今話すのは止めておいて欲しかった。
「アルベド。この件についてはナザリックに戻った後に正式な場において説明をする。だから今は待ってくれ」
「左様で御座いましたか。至高の御方々の深遠なる御考えを読み取る事が出来ず、少々出過ぎた行動を取ってしまい申し訳御座いませんでした。如何様な罰でもお受け致します。」
アルベドはその手に持っていたバルデイッシュを地に置き、跪いた姿勢で俺達の沙汰を待った。しかし罰する気等更々無い。
今回の件は守護者達にも話を通してない事が多く存在し、更には今説明出来ないという理由も俺個人の疑問が発端だ。
これでアルベドを責める者が居るとするなら俺が彼女を庇うだろう。
「顔を上げろアルベド」
「はい、エイジ様」
「今回は不問だ。それでも罰が欲しいと言うのであればアインズへの忠義を以て返上する様に。それとエイジではなくドモンと呼んでくれ」
「畏まりました、ドモン様」
「それでいい。……それと、あまり俺達に罰を要求するな。タブラさんの愛娘にそうホイホイと罰を与える気にはなれんよ」
「私が……、タブラス・マラグディナ様の……?」
はい確定。俺は心の中でアルベドの事を記した書類に判子を押す自身の姿を想像した。
「取り合えずその話は後だ。アインズもいいな?」
「フム……。ドモンには何か考えがある様だな。分かった、そちらは任せる」
そこで一旦話を終わらせ、俺達は村人達の待つカルネ村へと戻った。
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ドモン達がカルネ村での一件に対応している頃、カルネ村の方からリ・エスティーゼ王国方向に向かって歩を進める人影があった。
「リグリット、大丈夫かい?」
「あぁ、
「まぁ、何とかね。多分
ツアーと呼ばれた人物はその身に纏う見事な白銀の鎧をボロボロに傷付けられはしていたが比較的軽傷の様で、共に居るリグリットと呼んだ老婆を背負いながらも軽い足取りだった。
「……リグリット。もしやとは思うが、あれは
「分からん……。分からんが、強さはわしを遥かに超えておった」
「あぁ、確かに強かったね。私が本気を出してもどうだったか……」
ツアーとリグリットは先程たまたま出合い、交戦した謎の男について心中を吐露し合った。
「本気のお前さんが無理なら誰が勝てるって言うんだい?」
「勝てる勝てないよりも、私はあの男が最後に言った一言が気になる」
「……確か、『お前達が悪ならば必ず倒す。しかし、善ならば共に道を歩む事になるだろう』……じゃったか?」
この謎の男というのはドモン達の邪魔をさせない為に戦ったシュバルツの事なのだが、無論この事を彼等は知らないでいた。
「出来ればあんな奴とは二度とやり合いたくはないのぅ」
「それはこっちだって同じさ。……うーん、一回本国に戻るべきかなぁ」
「わしの事なら心配せんでえぇ。お前さんにはお前さんのやるべき事があるじゃろうて」
「私が君の心配を? 面白い冗談だね」
ツアーがハハハと笑い声を上げ、その度に鎧がガチャガチャと鳴った。
それを見てリグリットは苦笑いをするが、まるで何時もの事だと言わんばかりの態度で話し掛ける。
「取り合えずわしは暫く王都にでも身を寄せるとするかのぅ」
「それがいいと思う。最悪、ウチからも近いからね」
その後雑談を交えながら、二人は夕闇に消えて行った。
(じゃが……、あの男。何処かで見た気がするんじゃがのぅ。あんな変な格好の男、そう簡単には忘れんと思うんじゃが……)
如何でしたか? 今回は後に繋がるフラグを幾つも散りばめている回なので少々時間がかかりました。
丸々の書き直しを三回した為です。
今回の様に一話書くのに時間がかかりますが、これからもエイジを宜しくお願い致します。