内容の方ですが、暫くはナザリック内での内容になります。
追記
活動報告にも書きましたが、書き方や表現を軽く修正していくつもりです。
暫く見辛いでしょうが宜しくお願いします。
※この話は一人称です。
次に目を覚ました時。いや、まだ目が覚めていない時と言った方が正しいのかもしれない。
深い微睡みの中に俺はいた。
その中で目の前に誰かがいるのを感じた、けれども誰かまでは分からない、目に見える光景がぼんやりとしているからだ。
只、その中でも二つだけ気付いたことがある。
それは目の前の誰かは女だということ、そして何故か抱き締めたくなったということ。
目がぼやけ、誰かも分からない筈なのにその二つだけは分かった。いや、感じたと言う方が正しいのかもしれない。
「お前は誰なんだ?」 そう聞こうとした時、何処からか声が聞こえた。
「泣かないで……」
「え?」
その声に俺は聞き覚えがあった。だけど思い出せない。
思い出せないのが何故か苦しかった。まるで胸を締め付けられているようだ。
「お前は……誰なんだ……?」
「私は…」
目の前の女は辛そうな感じで言葉を止めた。
その時だ。
「……ん……さん。……じさん……!」
誰かに呼ばれ、振り返ろうとした時。
「エイジさん! エイジさんしっかりして下さい!」
突然、俺の目の前に死の権化と表現するのが適切であろう骸骨が迫ってきた。
「…………ってえぇぇぃりゃあぁっ!」
一瞬固まった後、俺は素早く体を起こしながら、同時に拳を繰り出す。
ビュゴォォォッ!!
「どうぅわぁぁぁっ!?」
「な、何だ今のは……! って!? まだいるぅっ!?」
俺は慌てて構えた。
咄嗟に放った突きはどうやらかわされたらしい。眼前に迫ってきた物とどうやら同一らしい骨は俺の目の前で
、「あっぶなぁ」とか言いながらこちらを見ている。
戦闘体勢をとったままではあったが、俺はその骨に見覚えがあった。
「……モ、モモンガ……さん……?」
「……はい、御無沙汰してます……エイジさん」
目の前に居た骨、それは間違いなく俺にメールを送ってきた人物。モモンガさん本人だった。
//※//
一呼吸置いた後、俺は思わず土下座した。
「すいませんでしたぁっ!!」
「相変わらず綺麗な土下z──。じゃなくて! エイジさん、どうか頭を上げて下さい」
モモンガさんは慌てて俺の体を起こした。
「今はそれ所じゃないので、えっととりあえず……」
モモンガさんは、部屋の扉付近に集まってひそひそと話をしていたメイド達──確かNPCの──の方へ目をやった。
すると、眼鏡を着用し、黒髪を夜会巻きにしたメイドが一歩前に出る。
そのメイドに対し、モモンガさんは首をクイッと軽く振って指示を出した。
「お前達は下がれ。そしてこれよりこの部屋、それと同時に付近へと近づくことを禁ずる。……無論、守護者達であっても同じだ。それとユリ、エイジさん帰還の件について知っている者はこの場にいる者以外では誰だ?」
「モモンガ様、そしてこの場にいる私を含めたメイド達しか知りません」
「良し。ならばこの件については他言無用にて頼む。守護者達から聞かれた場合は私の名を使ってでも構わん、秘匿せよ」
と、正に見た目に合った感じの低音イケボで命令した。
モモンガさんのビジュアルについて付け加えておくと、豪華な金の装飾が施されたガウンを纏い、フード部分には横に向かって大きな角が生えており、首元は多少過多気味な感じで装飾品を着けている。
はだけた胸元は骨が剥き出しになり、本来内臓が収まる場所にはその代わりとして赤く輝く宝玉が収まっている。
これで魔王に見えない、そんなことを言う奴がいたら是非とも会ってみたい。
兎に角、そんな魔王様に向かってNPC達は揃って「畏まりました、我等が偉大なる御方」と言い、静かに退室していった。
(……? 今何か違和感が……。でも、何だ?)
モモンガさんがメイド達に命令を出し、彼女達が退室するまでの流れで特に不思議な所はないハズなんだが……。
……まぁ、後で考えよう。
彼女達が離れたことを確認。そして、それが彼の安心に繋がったようで、モモンガさんは何時もの好青年、といった感じの声に戻り話を続けた。
「さて、普通ならここでお帰りなさいエイジさん……と言いたい所なんですが……」
モモンガさんは何かを話そうとしている様だった、しかし妙に歯切れが悪い。
「何か……、あったんですね……?」
その様子を、俺はユグドラシル終了関連で何かの問題が起きたものだと思った。
何故なら、部屋の時計はサービス終了の十二時を十分程過ぎていたからだ。
終了時間を過ぎているにもかかわらず、プレイヤーに対する強制ログアウトが発生していなかった。
そのことが俺にこの質問をさせた。
……ってかアレ俺のオリジナル時計だな。ということは此所俺の部屋か。
モモンガさんが顎に手を当て、何か考えている間に軽く部屋を見回すと、どう見ても自分の自室としか思えない様なインテリアが飾ってあった。
しかし……。
(俺何で部屋に居るんだ? 確かログインした時は円卓の間に直行するハズだよな……)
俺がそんなことを考えていると、ウーンと唸っていたモモンガさんが突然驚愕の事実を語りだした。
「エイジさん……、単刀直入に言います……。俺達はひょっとすると、異世界に来てしまったのかもしれません……」
へぇ~、異世界かぁ。
それは楽しそうだなぁ………………って。
「エェッ!? いせっ! 異世界ぃっ!?」
俺は驚いた。当たり前だ、貴方は今異世界にいますって突然言われてすんなり信じる方がオカシイ。
「そうです、異世界です。……あくまで推測の域ですが」
「……信じられない……でも、モモンガさんのことですから、その推測に行き着くだけの情報があるんでしょう?」
俺は未だに混乱から復活はしていなかったが、モモンガさんのことだ。当てずっぽうではないハズ。
彼はギルドマスターという役職に就いている。
仕事としてはギルドを引っ張っていくリーダーというよりは、皆の意見をまとめていく委員長のような存在だろうか。
ここ『ナザリック地下大墳墓』に拠点を置く、我等がギルド『アインズ・ウール・ゴウン(以下AOG)』は見た目極悪な奴らの巣窟だが、多数決制を旨としており、通常なら穏便に話は終了する。
だが稀に、一部のメンバー同士が衝突することがあった。そこでモモンガさんの出番だ。
彼の柔らかな物言いと優しい人柄、そして互いを上手く立てる妥協点を探し出す手腕。
この三つが綺麗に揃う彼は正に長として適任だろう。
その辺りはメンバーを良く知る彼だからこそ出来ることだが、それ以上に俺が凄いと思うのは情報の収集と活用の仕方だ。
それで何度
とにかく彼はそういう頭脳労働が得意。
俺の中で勝手にそうなっていた。
そんな彼が何の理由も無く異世界なんて言うハズがない。
「はい、既に幾つか試しています。」
モモンガさんが言うにはまずコンソールが開かない。これはログアウトと
次に突然拠点が全く見知らぬ土地に転移したという。
そして最後はユグドラシルでは禁止されていたハズの十八禁行為が制限されなかった。(どうやって試したんだ……)
最後は……、というかこれが俺にとって一番実感の湧く理由だった。
「エイジさん」
「何でしょう?」
「御自分が目を覚ましてからのことは全部覚えてますか?」
不思議なことを聞くな、と最初は思ったりしたが、正拳を繰り出した辺りから割りと記憶がはっきりしているので頷く。
「何か気付いたことはありませんか?」
「気付いたことって言って──」
俺はそこで固まった。
「気付きましたか……」
「口が……動いて……る」
そう、モモンガさんの口が時折カタカタと動いているのだ。
骸骨なので相変わらず表情は読めないが。
「バカな…、アップデートとかでは無い……みたいですね」
俺は納得して項垂れる、その時先程のメイド達のことを思い出したからだ。
「そういえば、さっきモモンガさんに退室するよう言われたメイド達も勝手に喋ってましたね…」
「はい。しかも俺はさっき、NPCに対する固定命令ワードを使っていません」
俺は軽く目眩を覚えた。
「これはつまり……」
「NPC達が命を持ち、自身の考えで行動しているということです」
「成程、それでゲームではなく現実になった異世界だと……」
「先程も言った通り現段階ではその可能性が高い……、という推測の域でしかありませんがね」
「……それで、モモンガさんはこれからどうするつもりですか?」
「意外に落ち着いてますね」
「そこまで冷静ではないですよ? ここでパニクったら、事態の悪化を招いても好転はしないと思っただけです」
そう返すとモモンガさんは何故か流石ですねと言ったが、何処ら辺が流石なのかという疑問は返さない。
だってこの言葉はギルメンの受け売りだもの。
とにかく話を続けよう。
「一先ず確認しなくちゃいけないのは、そうですね……。周囲の確認……は最低限終わってるみたいですから、後はNPC関係と自身の戦闘力とから辺ですかね」
「ええ、俺もその辺りが最重要だと思って直ぐに実行しました。因みにエイジさんの作ったNPCもちゃんと意思を持って動いてましたよ。……確か、あの戦いの後からは覚えていないとか何とか言ってましたね……」
「あの戦い? …………多分アレだな。でも、とりあえずその話は置いときましょう。それにしても、流石は我等がギルド長、まだ三十分も経っていない中でそこまでやっているとは」
やっぱりモモンガさんは凄いな、と思っていたら思いがけない言葉が帰ってきた。
「え? ……いや俺三日も前に此所に来たんですよ?」
「は? 三日前? いや、でも俺ログインしたばかりですよ? 今日って最終日の次の日じゃないんですか?」
「……と、いうことは。でも、そうなると事態は結構ややこしいな……」
またモモンガさんは「う~ん……」と考え始めた。
「あのですねエイジさん。俺は此方に来てからの三日間、毎日メイド達に皆さんの個室を確認させていたんですよ。もしかしたら自分以外のメンバーが来てるかもしれないってね」
「ちょ、ちょっと待って下さい! 答えになってませんよ!? ですから! 俺はさっきログインしてきたばかりなんですよ!?」
「多分そうなんだと思います、エイジさんが嘘を吐いているとは思ってはいません。きっとメールを見てギリギリにログインしてくれたんですよね?」
モモンガさんの言いたい事はこうだ。
自分と俺が同じ日にログインしていた(俺は若干怪しいが)にも係わらず三日も到着に差が出た。
つまりこれは、何らかの条件で時間の流れに影響が出ているのではないかと。
「でも、流石にこれは確認のしようがないので一先ずは置いておきましょう」
「……ですね、確かに確認する方法がありませんもんね。それに、今このことについて解明したとしても得はないですよね」
「ええ、ですから今は別のことを片付けていきましょう」
「うす」
時間が経ち、少し余裕が出てきたのでいつも通りの挨拶を送る。
「ではまず、『帰還報告』と『忠誠の儀』でもやりますか?」
「何ですかそれ?」
「行けば分かる。と言いたい所ですが、ある程度打ち合わせしておきましょう」
それから俺は、NPC達が一つの命として動いていること、忠誠心が鼻から……もとい天元突破していること、自身の喋り方やモモンガさんとの話し方。
更には、自分が今まで何処で何をしていたかの説明など色々なことを教えられ、またそれに向けた準備をした。
幸いにも自分のこと関係は大抵自室内で事足りたので問題無し。
俺が準備をしている間モモンガさんは
そしてモモンガさんに質問が出来、ふと目を向けた時に、先程から見えていた不思議な物が変化しているのを見た。
(あれ? さっきから見えてたモモンガさんのオーラ? みたいなやつの感じが変わったな。何だろう、何となくだけど……緊張してる?)
俺は自分なりにそれを分析する。
もしかして感情が見えてるのではないかと。
(待てよ、モモンガさんは魔法やスキルが使えるって言ってたよな? ということは、これも何かのスキルか? えーと……、思い当たるスキルは……)
纏うオーラ(?)で感情が分かる等本来であれば変な話だが、今は暫定的ではあるが異世界におり、更に能力が使えるとなるとあながち間違ってはいないのかもしれない。
モモンガさんとの話で出たスキルや魔法etc.の確認をする為、先程教えて貰った方法で確認作業をする。
自分の中へと意識を集中させ、自身の様々な情報を確認した。
(おぉ! すげえ! マジで自分がどういうスキルや魔法持ってるか分かる。……えーと、あった
一通り確認作業をした後、先程話に出た俺の作ったNPCに
《久し振りだな、エイジ。いつ戻ったのだ? お前のことだから大丈夫だとは思っていたが、戻ってきたということはどうやら勝てた様だな》
《……ついさっきさ、積もる話もあるだろうが後にしてくれ。急を要する件があってな、悪いが今から俺の指示通り動いてくれ》
《ココから出ても良いと言うことだな? 心得た》
《戻ってきた途端に頼み事をしてすまんな》
《気にするな、たった2人の兄弟ではないか》
俺は彼が味方のままでいてくれたことに感謝した。無論警戒は必要なのだが。
俺は今のところ、唯一信頼することが出来るであろうNPCに、能力を活かした二つの作業を依頼した。
一つは俺自身の身辺警護。
これから何が起こるか分からないからだ。
そして二つ目が、俺が受け入れられた時の用意。
一つ目の依頼はかつての仲間達が作った、いわば子供にあたる者達に疑いの目を向けることと同義なので、ハッキリ言ってしたくなかった。
だが聞く所によると、どうやら一部のNPC達はモモンガさん以外のギルドメンバーがナザリックを、皆を捨てていったと思っているらしい。
勿論全NPCが同じ事を思っているかは流石に分からないみたいだが、最悪出会った途端総攻撃される恐れすらある。
モモンガさんが居るし、本人は大丈夫だと思いますと言っていたが流石に不安が残る。
先程まで居たメイド達はモモンガさんの手前攻撃しなかった、意識を取り戻す前も反撃を恐れて手を出さなかった、と言ってしまえば一応の説明がついてしまうからだ。
用心に越したことは無い。
二つ目の依頼は、単純に疑いの目を向けたお詫びだ。
自分に都合の良い対応を優先的に選ぶ。そんな自身のクソッタレな考えに嫌気がさしていた時、モモンガさんが最終確認をしてきた。
「
「勿論ですよ、ってかコレないとこの後かなり不便じゃないですか。それに、襲われた時の最終手段でもありますから」
この指環、『リング・オブ・AOG』は本来、転移を阻害する効果のある俺達の
更に言うと、ここナザリックには、この指輪を使ってでしか行くことが出来ない宝物殿という場所がある。
今俺が言った最終手段というのは、そこを避難場所として使うという意味である。
「念の為他の持ち物確認っと……。よし! OKです!」
「繰り返し言っておきます。俺もいますし、守護者──つまりはNPC達に突然襲われるということは恐らくないでしょう。ですが一応の備えは必要ですからね」
「あ、一応宝物殿の彼には連絡入れといて下さいね?」
「うっ! ……はい、分かりました」
自身の作り上げたNPCに連絡を入れるだけだというのに、妙に鬱なオーラを出すモモンガさんが不思議だったが、兎に角これで用意は整った。
「では行きますか」
「はい」
そうして俺達は部屋を後にした。
早くも書く事がない。(´・ω・`)
5/10 誤字修正致しました
2016/6/14 修正(途中)
2016/6/24 修正:一応現在の書き方に近づけてみました。読み辛い、ここオカシクない? という文章があれば一報下さいませ。