武の竜神と死の支配者   作:Tack

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 今回文がかなり変かもしれませんが御容赦下さい。


第二十五話【シュウジとモーガン~白と黒③~】

「んんー、いい天気だなー」

 

 

 漆黒の剣の目であり耳である野伏(レンジャー)の『ルクルット・ボルブ』は背伸びをしながら言った。

 

 

「ルクルット、気を緩め過ぎじゃないか?」

 

 

 それをリーダーであるペテルが叱る。この流れはいつものことなのだが、それでもペテルは毎回のように怒っている。

 

 

「まぁまぁ、ペテルさん。確かに警戒は大事ですが、此方にも野伏(レンジャー)能力を持つシュウジがいます。ですから、あまり目くじらを立てずともよいではないですか」

 

「モーガンさんまで……」

 

 

 まるでルクルットの肩を持つような発言をするモーガンに、ペテルは溜め息混じりに言った。

 そんなペテルにドモンはすかさずフォローを入れる。

 

 

「まっ、あまり気にすんな。そう言いながらもルクルットとモーガンは周囲を警戒してるぜ?」

 

「え? そうなんですか、シュウジさん」

 

 

 シュウジの発言を聞いたニニャが、少し驚いた顔で質問した。

 

 

「あぁ、モーガンはルクルットよりも近距離を……、一瞬で踏み込める二十メートル前後を警戒してるな。んで、ルクルットはそれよりも離れた距離を警戒してると見た」

 

「フッ、流石だなシュウジ」

 

「へへ、バレてたか。……それにしても、シュウジさんてマジすげぇよな、何で分かったんだ?」

 

「俺が強いから……としか答えようがないな」

 

「凄いんですね、シュウジさん。モーガンさんもそんな距離を一瞬で詰めれるなんて」

 

 

 ニニャの素直な反応にドモンは自然と笑顔になり、手でニニャの頭をポンポンと軽く叩いた。

 その笑顔を見たニニャは顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 

 

「およ、どしたニニャ。何か顔赤くね?」

 

「え? べ、べ、別にそんなことないですよ!?」

 

「むむ、風邪でもひいたのであるか?」

 

「違いますってぇ!」

 

 

 照れ隠しをするニニャに真面目なことを言う『ダイン・ウッドワンダー』。彼の言葉で更に顔を赤くするニニャだった。 

 

 今ドモン達は、ンフィーレアや漆黒の剣らと共にカルネ村に向かっている最中である。

 そこを滞在場所とし、その付近に存在する『トプの大森林』という場所にある薬草を採取しに行く為だ。

 馬車で移動するンフィーレアが護衛対象である為、彼を取り囲むように街道を歩いている。

 

 何故こうなったかという説明だが。

 冒険者組合でンフィーレアにこの依頼を受けた時、漆黒の剣を一時的にアインズが雇ったからである。

 結果として、漆黒の剣とンフィーレア、その両者を取ることが出来た。

 

 出発した後、暫く歩いた後休憩を入れた彼等は、こうして再びカルネ村に向かっている。

 それから少し時間が経った後、急に表情が険しくなったペテルがアインズに声をかけた。

 

 

「ん……。モーガンさん」

 

「何でしょうペテルさん」

 

「この辺りから危険地帯となりますので、少し気を引き締めて頂けますか?」

 

「ええ、勿論ですとも」

 

「それは心強い」

 

 

 笑顔でアインズの言葉に返事をしたペテルは、少しンフィーレアに近付き、依頼主の安全を確保しようとする。

 

 ペテルの心配をよそに、アインズは少し楽な気持ちでいた。

 もし、この世界に自分だけしか来ていなかったのなら兎も角、今は前衛として信頼の置けるドモンがいる。

 

 例え対処の難しい敵が現れたとしても、ドモンのリングで自身と共に隔離し叩く。

 残ったナーベラルはンフィーレア達を守り、緊急時には影の悪魔(シャドウデーモン)達が連絡係として動く。そういった作戦で行こうという話になっていたからだ。

 

 アインズやドモンの正体がバレかねないという心配も、リングを非観戦状態にすれば問題はない。

 

 友がいる。その言葉にアインズは強い感動を覚えた。

 一応話はしてあったものの、今迄の行動から一抹の不安を残していたアインズがナーベラルに伝言(メッセージ)を飛ばす。

 

 

《念の為聞いておくが、強敵が現れた場合の対応は覚えているな?》

 

《勿論で御座います》

 

《うむ、ならば良し》

 

 

 アインズとナーベラルの視線が交差し、それをどう受け取ったのか、ルクルットがムードメーカーとしての発言をする。

 

 

「心配いらねーよナーベちゃん。なんたって俺がいるんだからよ」

 

 

 またこれかとナーベラルは舌打ちをする。

 というのも、実は組合からこの流れでナーベラルの気を惹こうとしていたのだった。ルクルットは元々軟派な性格ではあったが、余程ナーベラルが気に入ったのだろう。

 

 

「貴方じゃありません。モーガン様とお兄様がいるから心配していないのです」

 

 

 冷たく言い放つナーベラルにルクルットは、「冷たい一言あざーっす!」と苦笑いしながら言った。

 その後も数回似たようなやり取りを繰り返し、ナーベラルが拳を振るわせ始めた頃、アインズが軽く彼女の肩を叩く。

 兄のシュウジよりもモーガンと接していることが多いと感じたルクルットは、気になっていることをつい口に出してしまう。

 

 

「……あのさぁ、ナーベちゃん。シュウジさんは兄貴だから仕方ないとしても、やっぱりモーガンさんとは恋人関係なんじゃ……」

 

 

 それを聞いた途端、ナーベラルが慌てて反論する。

 

 

「こ、こここ、こ、恋人ぉ!? 私とぉ!? モーガン様がぁ!? 有り得ませんっ!! モーガン様には……!!!」

 

「ナーベ……」

 

「!?」

 

 

 辺りに冷たい声が響く。

 名前を呼ばれたナーベラルだけでなく、漆黒の剣やンフィーレア、更には馬までもが身体を跳ねさせた。

 地の底から聞こえてくるような恐ろしい声が、すぐ側から聞こえてきたのだ。

 

 

「……その話は止せ、モーガンの気持ちを考えろ」

 

「は……はい、お兄様。申し訳……御座いませんでした、モーガン様」

 

「……気にするな、遠い昔のことだ……」 

 

 

 遠い昔。その言葉に、漆黒の剣とンフィーレアは何か辛い過去があると察し、一方のナーベラルは疑問符を浮かべた。

 

 

《あの……、アインズ様。一つお聞きしたいことが》

 

《ん? 今の発言か?》

 

《はい。遠い昔というのは一体……》

 

 

 自分が危うく言ってしまいそうになったのはアルベドの名前。現在もナザリックにて守護者統括の任に就いている彼女を、何故そのような言い方をするのか。

 ナーベラルにはそれが分からなかった。

 

 

《脚本の一環だ、ナーベラル》

 

《脚本……と申しますと、今回の任での?》

 

《そうだ。お前にもざっとした内容は話した筈だが? まぁ、それにかかわることと思え。分からないことがあれば……そうだな、出来るだけドモンさんに聞くといい。立案・脚本は彼だからな》

 

《畏まりました》

 

 

 悪い雰囲気を断ち切らねばという思いに駆られ、ペテルが仲間の行いへの謝罪をした。

 

 

「申し訳ありません、モーガンさん。詮索は御法度だと言うのに……」

 

「いえ、どうかお気になさらず。今後気を付けて頂ければ水に流しますとも」

 

「本当に申し訳ありません」

 

 

 申し訳ない気持ちを顔に貼り付けたペテルは、一瞬間を置いた後にルクルットを怒鳴り付ける。

 

 

「ルクルット! お前──!」

 

「シッ! 静かに!」

 

 

 ペテルの前には何時もの飄々としたルクルットは存在しなかった。

 その代わりに、幾つもの戦いを経験した冒険者ルクルット・ボルブがいた。

 

 

「近いな、それもかなりいるぞ」

 

 

 一筋の汗を流し、ルクルットは焦りの色を見せる。

 彼の敵が近いと言う言葉に、一行はすぐに作戦を練り始めた。

 

 

「ルクルット、数は分かるか?」

 

「すまねぇ、足音が混ざりすぎてて無理だ」

 

 

 敵の正確な数が分からないというのは死活問題となる。自分達が対処出来るかどうかの判断が出来ず全滅に繋がるからだ。

 ペテルは苦い顔で一時撤退を考えていたが、横から顔を出したドモンの一言に唖然とする。

 

 

「ペテル。数は四十……、いや五十はいるぞ。小さい足音が三十以上、残りは大きい足音だ。ここに来る前の情報から察して小鬼(ゴブリン)人食い大鬼(オーガ)だろうな」

 

「え?」

 

「シュウジさん分かんのか!?」

 

 

 ドモンの言葉はルクルットをも驚愕させた。実際目標がかなり近付いてきているためか、足音も聞き取れるようにはなってきた。だが、それと聞き分けることは話が別だ。

 

 

「まぁ、シュウジならそれ位やっても不思議ではありませんよ」

 

「マジかよ……。それにしても五十だってぇ? 冗談だろ!? ここら辺は街道沿いだぞ!?」

 

 

 アインズの当たり前と言う一言にルクルットは驚きながらも状況分析をし、ペテルはいかんいかんと顔を振り頭を切り替える。

 ペテルが焦るのも当然。既に敵は音だけではなく肉眼でも捉えられる距離にいた。

 少し離れた森の入口からわんさかと現れる。そして、そのモンスター達は何処か慌てているようにも見えた。

 

 

「モーガンさん! 理由は分かりませんが、奴等は酷く興奮しているように見えます! 下手をすると周囲に被害が出る可能性が!」

 

「御心配なく。前衛は私とシュウジの二人が務めますから。貴殿方はナーベと共にンフィーレアさんを護衛しながら、私達の脇を過ぎていく奴等を狩っていって下さい」

 

「て、撤退しないんですか?」

 

「撤退? 何故ですか?」

 

「だってあの数は……!」

 

 

 チラリとペテルが視線をやった先には、モンスター達が波となって押し寄せて来ていた。

 

 

「御心配なく……と言ったでしょう? なに、私達が奴等を軽く屠る所を御覧頂きましょう」

 

「そうだぜペテル。あの程度、俺とモーガンで軽く捻り潰してやんよ」

 

「凄い……ですね、貴殿方は。あれだけの数を目の前にして怯む様子すらないなんて……」

 

 

 素直に感嘆を述べるペテルに漆黒の剣、そしてンフィーレアが頷く。

 強者の言葉に呆けていたンフィーレアもペテルに指示を仰ぐ。

 

 

「ペテルさん! 僕はどうしたらいいでしょうか!」

 

「ンフィーレアさんは馬車に隠れていて下さい!」

 

 

 ペテルはその後十秒程の間に、各メンバーに的確な指示を飛ばし戦闘準備をする。

 その様子を見てアインズとドモンは笑みをを浮かべた。

 

 

《良いチームですね》

 

《ええ、全くですよアインズさん》

 

《まっ、俺達には及びませんがね》

 

《おっ! 珍しく強気発言をwww 》

 

 

 二人がほのぼのと伝言(メッセージ)を送り合っている間に敵がすぐ側まで来た。

 

 

「では、私から行こう」

 

「おう、油断すんなよ」

 

「はは、頑張るさ」

 

 

 何を呑気に、そう思っていた漆黒の剣とンフィーレアは次の瞬間恐るべきものを目撃する。

 

 

「先ずは数を減らそうか……。フンッ!」

 

 

 彼等が見たのは黒い風。そうとしか言い表せないものが地を駆け抜け、それが吹き去った後に残るのは、いつの間にか背中の大剣を抜刀していたモーガンと、変わり果てたモンスター達の亡骸。

 しかも驚くべきは、その手に持った二本の得物に血が付着しているように見えなかったことだ。

 

 

「な……んだ、あれ」

 

「こ、これは一体……なんなのであるか……」

 

 

 ニニャとダインが絞り出すように驚きの声をあげる。

 

 

「シュウジ! 後は中心に集めたぞ!」

 

「おうよ!」

 

 

 自分から離れていたモンスターを掃討していたドモンに声をかけるアインズ。それを聞いたドモンは待ってましたと言わんばかりに大きく跳躍し、アインズの側に降り立つ。

 

 

《インパクトが欲しいですから、少し派手にお願いします》

 

《了解しました。少し(・・)派手な技使いますね》

 

 

 ドモンは目の前で何度も手を交差させる不思議な構えを取り、これから放つ技の準備を行う。

 それを見たアインズはそれに既視感を感じるが、生憎どういったものか思い出せなかった。

 

 

(あの技……、確かシュバルツとの模擬戦で使ってたやつだよな……。どんな技だっけ?)

 

 

 やがて構えを終えたドモンが技の名前を叫び始めた時、これから放つ技を思い出したアインズは、骨しかない自分の身体全体に鳥肌が浮く感覚を覚えた。

 

 

「 酔舞・再現江湖ぉっ!!!」

 

「えっ!? ちょ!? ちょっと待てシュ──!」

 

「デッドリイィィィ……!」

 

 

 白疾風と化したドモンが集まっていたモンスターの群れを駆け抜けていき、側を通過されたモンスター達は皆同じように身体の自由を奪われていく。

 

 

「ウェイブゥゥゥッッッ!」

 

「皆! 伏せろぉぉぉっ!!!」

 

 

 アインズは対ショック体勢を取るよう叫び、自身は全速力でンフィーレア達の下に戻り魔法防壁を張る。

 駆け抜けたドモンは急停止、その後空中に飛び上がり蹴りを繰り出すポージングをし、技の終了を示す。

 

 

「ばあぁくはつっ!!!」

 

ドゴオォォォン!!!

 

 

 凄まじい爆発とその余波が付近を襲った。

 

 

//※//

 

 

 今回の薬草採取の日程、それの大幅変更もやむ無しと考えたモンスターの大群との戦闘であったが、モーガンとシュウジ両名の活躍でことなきを得た。

そして一行は、予定していた場所付近での夜営をしていた。

 

 

「はぁー、御馳走様です。凄く美味しかったです」

 

 

 ンフィーレアが食事として振る舞われた漆黒の剣特製シチューを平らげ、その味について素直な気持ちを伝える。

 それを聞いた漆黒の剣のメンバー達から笑顔が溢れる。

 

 

「お粗末様です。苦手なものとかなくてよかったです」

 

「ペテルの気持ちも分からなくはないけどよ、苦手なものがあったとしても克服せにゃならんでしょ。例の彼女さんの為にも、うぷぷ」

 

 

 ルクルットのからかいに顔を赤くしたンフィーレアが訂正をする。

 

 

「ル、ルクルットさん! 違いますって! か、か、か、彼女だなんて、そんな……。確かになっては欲しいですけど……」

 

 

「バレアレ氏の気持ちは決して恥じる必要はないもの、胸を張るのである!」

 

「そうですよ、ンフィーレアさん。カルネ村にいるその子も悪い気はしていないと思いますよ」

 

 

 ダインとニニャがフォローをし、ンフィーレアも少し勇気づけられる。

 そして話題を変えようと考えた時に、ふと気になっていたことを質問する。内容は昼間の戦闘だ。

 

 

「それにしても、昼間の戦闘は凄かったですね。モーガンさんの剣捌きも、シュウジさんの技も。あれはどれ程の卓越した技術になるんですか?」

 

「そうですね。正直な所……あまりに凄すぎて何がなんだかって感じなんですよ」

 

 

 ペテルが苦笑いをしながら自分の未熟さを笑う。

 ペテル達漆黒の剣は皆(シルバー)の冒険者。最上級であるアダマンタイトからすればまだまだだが、それなりに経験を積んだ者達。

 ンフィーレアはそう理解していたのでその言葉に耳を疑う。

 

 

「そ、そんなに凄いんですか?」

 

「ええ、かの王国戦士長すら超え……。いや、正直に言いましょう、あの人達はそのレベルを遥かに超越しているものだと思います」

 

「そ、そこまで……」

 

 

 王国戦士長と言えば、近隣国最強と言われている凄腕の戦士。それを(カッパー)の冒険者が超えると言われたら驚くの当たり前だ。

 更には、カルネ村にいる想い人がそんな二人に心を奪われてしまわないだろうか、そんな心配もしてしまう。

 ンフィーレア少年の心には驚きと焦りが同時に生まれた。

 

 

「もしかして、カルネ村に女の子があの二人を好きになっちゃわないか心配してる?」

 

 

 ンフィーレアの心情を読み取ったニニャが質問すると、ンフィーレアは重く頷いた。

 すると、ニニャは少し笑ってンフィーレアを励ます。

 

 

「ンフィーレアさんの話を聞いた限りだと、そういうタイプの子じゃないと思いますよ」

 

「そ、そう……ですかね」

 

「きっと大丈夫、自信を持って」

 

「はい」

 

 

 その光景に他のメンバーも自然と笑顔になる。

 

 

「ところで……モーガンさん達はまだ戻って来ないんでしょうか?」

 

「周囲の警戒をしてくると言ってましたが、確かに遅いですね」

 

 

 侵入者への対策は自分達が既に行っていた為問題はない筈。

 少しばかり怪しむ彼等であったが、詮索自体は勿論考えてはいない。

 寧ろ、昼間の戦闘から信頼しており、結果的にそれが彼等の心からすぐに疑念を晴らすきっかけとなった。

 

 

//※//

 

 

「それじゃあ、シュウジ。私は少しばかり外す」

 

「ああ、気を付けてな」

 

「ナーベもシュウジの言うことをよく聞くんだぞ?」

 

「はい、モーガン様」

 

 

 ナーベラルが名前を間違わずに呼べるようになったことに安心し、アインズは日課であるアンデッド製作の為一時的にナザリックへと戻った。

 無論、追跡者がいるのを想定した方法で戻る為、ナザリック付近に存在する森林地帯にて製作を急いでいる偽ナザリックを経由しての帰還だ。

 担当者はアウラ、補助としてマーレを向かわせることもある。

 

 

「よし、ナーベは楽にしてていいぞ。あとは俺が警戒に入る」

 

 

 アインズが転移したのを見届けたドモンは、軽く休憩をいれてくれ、そんな気持ちで言ったのだったが……。

 

 

「いえ、お兄様。ここは私が」

 

「いや、そうじゃなくてだな……」

 

 

 ドモンは言葉を続けようとしたが、普段のシモベ達の反応を思い出して止めた。

 

 

「なら、二人で一緒にしようか。これなら両者の言い分が半分づつだが通る」

 

「しかしそれでは……!」

 

 

 ドモンの妥協案にナーベラルは異を唱えようとしたが、ドモンが「ダメかな?」という表情を――口元は布で覆われていたが――した。

 その威力は凄まじく、ナーベラルの鋼の心をいとも容易く砕いた。

 

 

「うっ! ……招致致しました」

 

「良し」

 

 

 ドモンは対アインズで鍛えておいてよかったと考えていたが、そのせいでナーベラルに背を向けた時に彼女が呟いた言葉を聞き漏らしていた。

 

 

「ドモン様……、そのお顔はズルイです……。そんな表情をされたら私は……」

 

 

 そして同時に見落としていた、彼女の顔が赤くなっていたことも――。

 




 やばし、書くことがないでござる。
 
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