混沌としたネタ帳   作:川丼

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 サブタイトルが今回の後半部分の内容と全く合っていない不思議。


うちのアイルーが倒れたぁ!?

 僕が完治してから数日後…大事件が起きた。

 

 

 大事件だよ。例えば先輩が酒を一年間止めると宣言するくらいの。

 

 ハクが、ハクが倒れたんだよ。

 

 

「うニャ…。」

 

「元患者さん元患者さん、さっさと仕事行け。」

 

 苦しそうに呻くハク。彼女を看てくれている看護士アイルーさんには頭が上がらない。

 とても心配だけどハクの倒れた原因が僕にあるようなので、暫らくはクエスト通いの毎日でハクに会えなくなることとなった。

 

「うん、行ってきます…。」

 

 ハク…ごめんなさい。

 暫らくは一人で頑張ってくるよ。

 

 

 

 

 

「…ニャ。あれ?」

 

 ハクが目を覚ますと、ベットの上でした。

 

「ハクさん、おはようございますニャ。」

 

 友達の看護士アイルーのミケが近くの椅子に座っていましたニャ。

 …ご主人様は?

 

「あなたの旦那さんならクエストに行ってますニャ。」

 

「ニャ!?」

 

 ご主人様!?何してるんですかニャ!

 完治してもすぐに身体を十全に動かせる訳が無いですニャ!

 

「ご主人様!ハクもクエストに──」

 

「ハクさん、駄目ですニャ。」

 

 ご主人様のクエストへ同行しようとベッドから起き上がったハクを、ミケは押さえつけますのニャ。

 

「放してニャ!」

 

 ミケはハクよりも強い力なのか、ハクは全く体を動かせませんニャ。

 …おかしいニャ。ミケはオトモで働いていないインドア派なアイルーのはずですニャ。

 

「分かっているでしょうハクさん。」

 

 戸惑っているハクを、ミケは見つめてきますニャ。

 

 …けれど、ハクは認めたくないのですニャ。

 

「過労ですニャ!過労!ハクさんは言い逃れできないまでに疲れていますのニャ!だからしっかり休むニャ!」

 

 無理矢理毛布をかけられて、ハクは眠らされましたニャ。

 …いえ、ハクは毛布をかけられた途端に意識を失いましたニャ。抵抗一切しなかったのですニャ。

 疲労が溜まっていたのは嘘じゃなかったのニャ。

 

 …ごめんニャさい、ご主人様。

 ハクは、少し眠りますニャ。

 

 

 

 

「おや、べっぴんさんなアイルーはどうしましたニャ?」

 

「あはは…今日はお休みしてます。」

 

 ハクが眠りに落ちた頃。

 ネコタクに乗った青年とネコタクの運転手アイルーは他愛も無い会話をしつつ青年の目的地へ向かっていた。

 進行方向にある雲が唸りを上げているため、雨よけが展開されているネコタク内。

 そこでクエストの準備をしている青年ハンターは久方ぶりのソロでの狩りに困惑していた。

 

「えっと…ペイントボールがこれで…元気ドリンコがこの場所…これなんだっけ?」

 

 青年ハンターが困っているのはアイテム類の整理。

 オトモのハクに全アイテムを預けてモンスターと戦うことのみに集中するスタイルだった青年ハンターにとって、久しぶりにアイテムを整理する事が難しく感じていた。

 

 (瓶に詰められた薬や飲料はポーチの中に、ペイントボールと砥石、あと閃光玉は腕装備の裏に仕込んで…。)

 

 ハンターは大抵、防具に利用の多い道具類を仕込み、ポーチに回復薬やシビレ罠などの欠損しやすい道具を入れている。かつてソロで活動していた青年ハンターもそうしていた。

 だが、青年ハンターはオトモに頼りっきりだった為に、すっかり防具への仕込み作業に四苦八苦していた。

 

 (…情けないなあ。)

 

「どうしましたニャ?」

 

 ハクに依存しないぞ!と意気込んでいたものの、頼り過ぎだった事実に落ち込む青年ハンターだった。

 

 

 

 

 

「────今回はドスマッカォの狩猟だよね。」

 

 ふんす、と力んだ勢いでぱさぱさとした携帯食料を噛み千切る青年ハンター。

 無味無臭の味気ないものにうんざりしながらも、それを全て食べきる。

 

 携帯食料は、ハンターの為に配られる支給品の一つだ。

 食べ方としては水と一緒に口へ突っ込み、飲み込む。

 極限まで乾燥させて保存しやすくした結果、味も匂いもないパンの干物のようになっている。

 だが、腹持ちは良いのでなるべく食料を消費したくない青年ハンターは我慢して携帯食料を飲み込んだ。

 

「マッカォの繁殖期も最近確認されたらしいから、気の立った奴等からの袋叩きに遭わないよう注意しないと。」

 

 マッカォは、ジャギイやランポスといった鳥竜種の類だ。

 主に狩場では古代林に生息する個体で、赤と緑の鮮やかな色をしている。

 マッカォの特徴は、発達した腕と足の両方で攻撃する点だろう。

 他の鳥竜種と違い、マッカォは尻尾で自重を支えることにより手足の攻撃を可能にしている。

 ドスマッカォはそのマッカォの成体で、ドスジャギイやドスランポスのような鳥竜種のリーダーに位置づけられる強力な個体だ。

  

 今回青年ハンターの受けたクエストはドスマッカォの狩猟だ。

 青年ハンターの住む村から近く、報酬も良いからと受注したクエストだが、難易度は高い。

 

 加えていつもは隣にいるオトモもいないので、青年ハンターの不安は募る一方だ。

 

「よし、武器も点検完了。頑張ろう!」

 

 最後に武器の具合と切れ味を確かめて、青年ハンターは拠点から出発した。

 

 

 

 

 (見つけた…あれ?)

 

 青年ハンターは、目標のドスマッカォを区域五で発見した。

 しかし、ドスマッカォに違和感を感じる青年ハンター。

 

 (黒いドスマッカォ?)

 

 青年の視線の先にいるドスマッカォは頭から尻尾の先まで真っ黒だった。

 幾ら雲行きが怪しく、太陽が黒雲に遮られようとも通常のドスマッカォならば赤色の派手な頭部に緑の体躯に見えるが、そのドスマッカォは夜のとばりをそのまま着たような色である。

 

 (もしかしたら近年確認された『狂竜ウイルス』かもしれない。)

 

 青年ハンターにはドスマッカォが黒くなっている理由について、最近知った知識の中で思い当たるものがあった。

 ──狂竜ウイルス

 近年、このウイルスによって暴れるモンスターが確認されており、青年ハンターも知識としてその存在を記憶していた。

 症状として、感染し発症したモンスターや人は黒い粒子に覆われるようになり、狂暴になる。

 だがそれらには龍属性の攻撃がかなり効くらしく、また甲殻など一部部位の耐久度が脆くなるらしい。

 ウチケシの実を食べる事で発症を抑える事はできるが狂竜ウイルスを持つモンスターに攻撃し続けるか自然治癒でのみ治療できる事から狂竜ウイルスは危険視されている。

 ウイルスの宿主はゴア・マガラ及びシャガル・マガラという古龍種で、彼等は実力を持ったハンターのみが狩猟する狩猟制限対象をうけている。

 

 ──あの黒いドスマッカォは狂竜ウイルスを発症したドスマッカォではないのか。

 

 青年ハンターは警戒して観察しているうちに、その可能性は無いと気付いた。

 黒いドスマッカォは群れのマッカォに指示を下し、常にマッカォの群れを動かしながら周囲を警戒している事に気が付いたからだ。

 狂竜ウイルスに犯されたモンスターは敵味方関係なく襲い掛かる。

 観測された中にはドスジャギイの率いていた群れのジャギイ達が統率していたドスジャギイを食べていた事があったそうだ。

 すると、あのドスマッカォは群れに指示を下しており、マッカォも指示に従っているから狂竜ウイルスに発症していないだろう。

 

 (それに、マッカォにもドスマッカォにも黒い粒子のようなものは覆っていない。)

 

 ──あれは、ただ色違いの珍しい個体だ。

 

 安直に考えた青年ハンターが後悔するまで十秒。

 

 

 

 

 

 

「────え。」

 

 黒いドスマッカォと対面して僅か一〇秒。

 青年ハンターは自身が宙を舞っている事実に混乱していた。

 

 おかしい、僕は黒いドスマッカォにペイントボールを当てて…槍を構えていたというのに。

 何故、上を向いていないのに空を見ているんだろう。

 どうして、僕は地面に足をつけていない────っ!?

 

 青年ハンターは、無様に地面を転がされて正気を取り戻す。

 

 ドスマッカォによって盾防御が破られ、吹き飛ばされたと理解する青年ハンター。

 今度は耐えると盾を構え、此方へ突進をするドスマッカォを見据え────

 三つの残像を作り出した(・・・・・・・・・・・)ドスマッカォに顔が硬直した。

 

「なぁっ……!?」

 

 驚いても盾はしっかりと構えるところを流石と褒めるべきか。

 一撃目は盾で耐えた。

 二撃目には構えていた盾がカチ上げられた。

 三撃目でドスマッカォの凶腕が青年ハンターを襲った。

 ただ、盾で猛攻を防ぐ事は敵わなかった…。

 

 (速い…?質量のある残像…?ち、違う!あれは三体で攻撃している(・・・・・・・・・)…!?) 

 

 黒いドスマッカォ()の存在を知ったものの、青年ハンターは激痛で満足に身体を動かせなくなり、意識を手放した…。 




 解説コーナー
・黒色ドスマッカォ
→説明は次話に。

・ネコタクの運転手アイルー
→主人公と懇意にしているアイルー。
 実は飛行機も船も操る乗り物のプロ。
 最近の悩み事は主人公のオトモアイルーに惚れた事。
 うっかりハクの痴態を知った為に鼻血を出した、件のネコタク運転手アイルー。


 ストレス溜まると、つい投稿してしまいます。
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