2016/10/10 誤字報告を受けたので修正。
肝に命じておけ→肝に銘じておけ この辺って旅先で古いPCで書いたから実は誤変換多そう(変換未学習)
ある日の夜8時の定時念話にて、なのはが尋ねてきた。
≪そういえば、ミステールちゃんって念話以外の魔法使えないの?≫
彼女が新しく覚えた「ディバインシューター」という誘導制御魔法の話を終えた後に、ふと気になったらしい。事件は終わったが、ユーノとの約束通り、魔法の訓練は続けているようだ。
正確に言えば、ミステールの念話は魔法――彼女達が使う「ミッド式」と呼ばれるものではない。同様の因果を組み、念話という「結果」を引き起こしているだけだ。ある意味魔法よりも"魔法"らしいか。
何せ魔導師のみという制約はないし、中継も可能で共有も出来る。ミッド式の念話では、参加する全ての個人間で相互に回線を繋がなければならず、あそこまで簡単に電話会議のようなことは出来ないそうだ。
だが、ミッド式魔法を基にしていることは間違いなく、なのはの疑問はもっともなところだろう。
≪やろうと思えば出来るだろうが、出来たとしてもそもそも非効率だから今は覚えさせていない≫
≪わらわは機械ではないから、デバイスのような高速な処理は出来んからのう。お主がデバイスなしで魔法を使うよりさらに遅い。プログラムそのままでは、わらわには使えんのでな≫
内職をするオレの横で狐の姿となったミステールが、中継のみでなく念話に参加する。翠屋の一件で収入は増えただろうが、内職を辞める必然性はない。マスターとの約束は、やりすぎないというだけだ。
ミステールの答えに、なのはからはよく分かっていない空気が返って来る。……この、念話なのに雰囲気だけを返すというのはどうやっているのだろうか。オレにも出来るのか?
≪どうやら君はデバイスというものを勘違いしているようだが、あれらは「魔法プログラムの処理に特化した機械」だ。レイジングハートやバルディッシュは会話出来るAIを持っているが、本質的には機械だということだ≫
≪それに対して、わらわは装備型が基本であるものの、本質は生物に近い。長兄殿もわらわも、デバイスと比べて感情表現が豊かじゃろ?≫
≪えーっと、つまり、ミステールちゃんは魔法プログラム以外にも色々と考えてるから、素早い魔法行使は出来ないってこと?≫
感覚的に言ってしまえばそういうことなのだろう。最低限のコミュニケーションと魔法以外の処理系を持たないデバイスと、一個の存在として在るミステール達では、処理速度が違うのだ。
≪語弊が生じるのを承知で言えば、わらわは「装備出来る魔導師」じゃよ。わらわをデバイスとして主殿が魔法を使うのではなく、わらわ自身が使っているのじゃ≫
≪あ、そっか! ミコトちゃんは魔導師じゃないんだもんね。魔導師よりも魔法使いっぽいから、すっかり忘れてたよ≫
……。まあ、ミッド式の魔法は科学の形の一つであり、それに比べればオカルトを紐解いて組み上げた「コマンド」の方が、より"魔法"らしくはあるだろうな。
だがまあ、そういうことだ。ミステールは「因果を用いて魔法をエミュレートしている」だけだが、オレよりはよほど魔導師に近いだろう。
≪んー。けど、使えないってわけじゃないんなら、覚えてみないの?≫
そして話がループする。最初に言ったはずだ、非効率だから覚えさせていないと。
≪再三になるが、ミステールの役割ははやての足の完治だ。"真の召喚体"の作成に失敗した今、彼女にはそれにつながる情報収集を優先させたい≫
≪とはいえ、手がかり自体が少なすぎて二進も三進も行かぬがのう、呵呵っ≫
笑いごとじゃない。いや、笑うしかないというやつか。オレ達が学校に行っている間にアリシアの図書カードで大量に本を借りては調査をしているらしいが、そう簡単に行くものではない。
そもそもミステールは、前述の通り処理速度が速いわけではない。その辺の人よりはいいだろうが、せいぜいが優秀程度だ。
つまり、一冊読み終わるまでの時間が結構かかるのだ。これでは効率も上がらない。本人は楽しんでやっているようだが(創造理念が「知の探究」であるため)。
≪じゃあ、調査の息抜きで魔法を覚えてみようよ! 簡単な魔法だったら、レイジングハートが教えられるし!≫
名案とばかりに念話ではしゃぐなのは。やけに魔法習得を推してくるな。
≪大方、魔法関連で自分が一番後輩で出遅れているから、たまには教える側に回ってみたいんだろうが≫
≪う゛っ!? や、やだなぁミコトちゃん。なのはは、ただそういうのもいいかなーって、思っただけだよ?≫
念話で狼狽えてる時点で隠す気がないだろうに。もしそうだとしても、八神家にはフェイトがおり、つまりはバルディッシュから教えてもらえる。なのはに頼る必要はない。
そう正論を言って、意地悪をしてやってもいいのだが……。
≪……まあ、たまにはそうやって、脇道に逸れるのもいいかもしれないな≫
バラの造花を段ボール箱に入れながら、そう念話を返す。オレにしては珍しい譲歩だったかもしれない。
……「ジュエルシード事件」を通して、オレの精神にも変化があった。ソワレ、フェイトとアリシアの「ママ」となり、他者に向ける意識が少しだけ変わったのだ。
きっと今のオレは、あの狂おしくも素晴らしい「母親」が娘を託した女として、恥ずかしくない人間になりたいと思っているのだろう。
オレの返答に、念話を通じてなのはからパッと輝いた空気が返ってくる。ミステールは、こちらを見上げてニヤニヤしていた。
「これはこれは。主殿にしては、大人な対応じゃのう」
「オレはいつだってそうしている。それに、覚えて無駄になるものでもないのは確かだ」
「呵呵っ、そういうことにしておいてやろうか」
ミステールは生まれて日が浅いとはいえ、オレが生み出した"理の召喚体"。オレの内面の変化ぐらい、ちゃんと感じ取っているのだろう。
だからオレは「やかましい」と一言返し、なのはと詳細を決めることにした。
≪それでは、明後日の放課後あたりに教導をお願いしよう。一応君がメインだが、念のためにフェイトも連れて行く。それでいいか?≫
≪ふぅちゃんが来るの!? うん、大丈夫! なのは、ふぅちゃんも大好き!≫
それは聞いてない。まあ、君が家族友人皆のことが大好きな人間であることは、オレも知っているがな。但し変態は除く。
かくして、ミステール強化の段取りが大決定したのである。
そうして約束の日、オレ達は公園に来ていた。近所の子供たちから「クスノキ公園」と呼ばれる、大きなクスノキがある公園。オレとなのはが初めて出会った、あの公園だ。
ここは町中の公園にしては大きく、オレも「コマンド」を作り上げるときにたびたび使用していた。おかげでここでは多少不思議なことがあっても近所の目は気にしないでくれる。
が、まあ魔導師もいることだ。結界という人目を避ける手段が存在するのだから、普通に張ってお勉強である。
参加者は、オレとミステール、なのはとフェイト、オレの付き添いでソワレ(合体済)。……そして、どこからかぎつけたか、変態がいた。オレ達から彼に警戒の視線が飛んでいる。
「いやせっかく魔法の訓練するってんなら、俺も参加したっていいじゃん? 俺だって魔導師としてはペーペーなんだし」
「それに結界だって張れるしー」と言う変態。……確かに、この結界を張ったのはこの変態だ。デバイスもなしに非常にスムーズな魔法行使であり、フェイトをして目を丸くさせた。
だが、変態だ。オレに踏まれて喜ぶ変態だ。女子に対する挨拶が「今日のパンツ何色?」だ。身の危険がないことは分かっているが(彼はヘタレなので)、それでも警戒心を失くすわけにはいかない。
「……妙なことをしたら、フェイトにバインドで縛らせた上でなのはにスターライトブレイカーを撃たせる。お前はそれぐらいでないと足りん。肝に銘じておけ」
「うわぁい信頼が痛いや。ほら、今回は真面目モードだって! おふざけに付き合ってくれるユーノは帰っちゃったんだから、魔法訓練ぐらい真面目にやるって!」
どうだかな。それはつまり、なのはが突っ込みを発動させたらふざけるという意味だろう。少なくとも、制裁方法を考えておいて損はないはずだ。
……藤原凱の取り扱いにくい点だ。何処まで真面目で、どこまでおふざけなのかが分からない。真面目だったと思ったらいきなりふざけるし、ふざけてると思ったら実は真面目だったりする。基準があいまいなのだ。
なのでオレは、基本的には変態として扱い、本気で真面目になっているときだけ真面目モードとして対処することにしている。他も大体似たり寄ったりだろう。
「ソワレに「爆発する棺」を撃たせないだけマシだと思え」
「いや、アレ喰らったら普通に死ぬよね? "非殺傷"とかないよね、アレ」
非殺傷。ミッド式の魔法に存在する、「相手の魔力等に直接ダメージを与えて、肉体にダメージを残さない攻撃方法」のことだ。この一点に関しては、「コマンド」よりもはるかに優れていると言えるだろう。
当たり前だが、「コマンド」で操作した事象は物理現象であることには変わりなく、ミッド式の非殺傷のような上品な使い方は出来ない。せいぜいが威力のコントロールで傷をつけないようにするのが関の山だ。
そういう意味では、荒事の際に「敵対者を出来るだけ傷つけずに撃退する」などという作戦条件が発生した場合、ミステールが彼らの魔法をエミュレート出来ると非常に有用であることは事実だ。
とはいえ、それも完全解ではない。たとえば飛行中に非殺傷で攻撃し、相手が気絶したとしよう。この場合、落下によるダメージは無視できず、最悪の場合は死に至ることも考えられる。
どんなに安全策を講じても、最後に結果を生み出すのは使用者であるということだ。閑話休題。
「……お前の場合、アレでも普通に生きているんじゃないかと思ってしまう。あのあれ並の生命力だろう」
「そんなこと言ったらあのあれに失礼だろ!」
自分で言うのか。やっぱりお前、おふざけモードだろう。指摘してやると、変態はヘラヘラと笑った。
まあ、いい。本当に我慢できなくなったら、さっき言ったとおりの指示を出せばいいのだ。なのはは何故かオレの指示には疑問なく従うからな。
「それではなのは、ミステールに魔法を教えてやってくれ。内容は……ラウンドシールド辺りが一番簡単か?」
「ううん。ラウンドシールドは意外と処理することが多いから、最初の魔法には向かないよ。防御だったらプロテクション、攻撃だったらシュートバレット辺りが最適かな」
フェイトが補助に入って教えてくれる。イメージ的に全方位防御のプロテクションの方が難しいと思ったのだが、周囲に展開するだけだからそうでもないらしい。強度を維持するとなったら話は別のようだが。
「ではプロテクションだな。先の事件でも、防御に懸念点が多かった。魔法に関しては、ミステールはユーノと同じタイプを目標とするのがいいだろう」
「えー。せっかくだし射撃魔法にしない?」
射撃砲撃バカが何か言っている。彼女としては、自分の一番得意な分野で大きな顔をしたいのだろう。
だが、荒事となった際、ミステールが単独で行動することはまずない。本来の姿に戻り、オレとともに行動することになる。そうなれば、攻撃はソワレに任せるので十分だ。
それに、防御・補助タイプなら、荒事にならずとも活躍できる。ミステールの目的は目的として、彼女の活躍の場を広げてやるのは、何も間違ってはいないはずだ。
「君もユーノが誇れる立派な魔導師を目指すならば、攻撃一辺倒はどうかと思うぞ。それでは脳筋と言われても仕方がない」
「うっ……、……今度エクスプロアを教えてね、ふぅちゃん」
「う、うん」
ミステールの魔法習得講座のはずなのに、なのはの今後の学習要綱についての話になっていた。
フェイトの言うとおり、プロテクションの習熟にはそれほどの時間を要さなかった。
「まーるかいてちょん、じゃ!」
ミステールが指先をピッと横に振ると、アメジスト色の球体が彼女を覆った。近寄って手で触れてみたところ、かなりの硬度があるように感じる。少なくともオレでは素手で突破するのは無理だ。
「ふむ。割とあっさりだったな。以前調子に乗って念話に続いてラウンドシールドを習得しようとして、あっさり諦めたのが嘘のようだ」
「見た目あっちの方が簡単そうじゃと思っとったが、ありゃ中級者用じゃな。こちらなら難なく理解できたぞ」
「ラウンドシールドは、魔力壁を一方向に収束させることで防御力を高めてるからね。使用判断に加えてその辺りの制御も必要になるから、簡単そうに見えて実戦で使うとなるとかなり難しいんだよ」
事実、フェイトはシールドを張る際はプロテクションかディフェンサー(表面が滑らかなプロテクションと言ったところか)を使用するそうだ。ラウンドシールドも使えるが、実用には耐えないらしい。
……そう考えると、ユーノはまあ分かるとして、この変態は変態のくせに防御魔導師としては本当に天才と言えるのだろう。変態のくせに。
「そっかなぁ? 俺はどっちも難しさは大差ないと思うけど」
「それはキミがシールドに関してだけは異様に制御が上手いからだよ。シュートバレットも使えないのにオリジナルシールドを持ってるって、はっきり言って異常だよ?」
「おっ、かっこいい響き! 「異常の防壁」、藤原凱! なんかモテそうじゃね?」
「錯覚だ。将来的に思い出して身悶えするだけの二つ名だろう」
というか、二つ名自体が将来的には過去の恥だろう。オレは遠慮したいものだ。
「あうぅー……」
「そして教えると言って息巻いていたなのはは、あっさり習得されて涙目、と。君はシールドはプロテクションしか使えないのか?」
「うう、必要になる場面がなかったから……」
それもそうか。シールドに関しては分厚い二枚がいたし、接敵される前に恭也さんが叩いてくれたし。そもそも本格的な戦闘と言ったら、フェイトとの一戦だけしかなかったな。
防壁はプロテクションのみ。移動はフライヤーフィンのみ。補助はなし。そして攻撃はシュートバレット、ディバインシューター、ディバインバスター、スターライトブレイカーと勢ぞろい。
「やっぱり脳筋じゃないか」
「酷いよ、ミコトちゃん! けどこの有様じゃ否定できないー……」
「だ、大丈夫だよなのは! わたしがちゃんと教えるから!」
「うぅぅ、ふぅちゃーん!」
涙目になり、フェイトに抱きつき慰められるなのは。そういえばバニングスが言ってたな。彼女の昔のあだ名は「泣き虫なのは」だと。それは、彼女が優しい心を持つ故なのだろう。
……それなら、脳筋でも釣り合いは取れているのかもな。魔法が攻撃に傾倒していても、心根がそれの乱用を許さない。そもそも彼女は戦場に立つべき人間ではないのだろう。
自衛手段としては物騒ではあるが、そう考えるのが収まりがよさそうだ。
さて……それではミステールには、本領を発揮してもらおうか。
「ミステール。プロテクションの構成を変えてみろ」
「ふむ。如何様にしようか?」
「簡単なところで、風の防壁を作ってみろ。出来るだろう?」
「呵呵っ、わらわを誰の妹だと思うておる。"風の翼"の直系であるぞ?」
だからこそ、だ。エールの後継者を自称するなら、風の操作ぐらい出来てもらわないとな。
アメジストの防壁が消え、彼女の周りに気流が集まる。砂煙を上げるそれらは、ミステールを覆うように、乱気流の壁となって構築された。
魔導師組から「おー」という感嘆の声。ミッド式の魔法では、こんなことは出来ないだろう。
「物理的な干渉力は下がっておるじゃろうが、弾く力はやや強めか。この程度なら長兄殿でも出来そうじゃな」
「ここまではっきりとした「シールド」は無理だろうがな。やはり素体の力の差が出ている」
鳩の羽根とジュエルシードで張り合うのが間違いという説もある。
次にミステールは、風の中にあるものを混ぜた。ドロリとした黒い何か。
『あ、「よる」』
「さすがは姉君、気付いたか」
それは、ソワレの基本概念でもある「夜」そのものだ。彼女の力の行使を何度も見て、自分なりに因果を組んだようだ。思ったよりも応用力がある。これは、嬉しい誤算だな。
最後に、魔力、夜、風の複合障壁を作り、ミステールはプロテクションを解除した。ギャラリーと化した魔導師勢からパチパチという拍手が起こり、彼女はうやうやしく一礼をした。
「ミステールちゃん、すっごぉい!」
「うん。こんなシールド、魔導師には絶対作れない。それに三重同時制御を難なくこなしてる。マルチタスクは得意なの?」
「あの思考を分割する魔法じゃな。わらわは因果さえ組み立てれば事象を引き起こせる故、定性的な魔法との相性は良いのじゃよ。最大で7本じゃ」
そういえば、その辺のミステール本人に効果のある魔法に関して、オレはノータッチだったな。オレが介入してどうなるものでもなし。
マルチタスク7本というのは、どうやら魔導師から見ると異常な量のようだ。フェイトが驚いて言葉を失った。
「確かマルチタスクは、ミッド式では必須とも言っていい技術だったな。……ふむ」
「? 何か妙案でも浮かんだかの、主殿」
そうだな。発想の転換というか、どうしてもっと早く気付かなかった、というところだ。
「ミステール。君は今後、フェイトからミッド式を教われ。それが現状、はやての足のために出来る最大限のことだ」
「ほう、詳しく聞かせてもらおうか」
「はやての足が医学的に見て問題がないという話は、以前したな。だが、それはあくまで「この世界の医学」だ。管理世界の科学である魔法は含まれていない」
「……なるほど、そういうことか」
そもそも「コマンド」を構築した理由というのが、「医学方面で問題が見つけられないから、"魔法"方面から調べてみる」だ。ミッド式だろうが、この世界からすれば"魔法"方面に違いはない。
どの道手探りでしかないのだから、ミステールに適性のあるミッド式を習得させ、因果を組み替え、それではやての足を調査することが出来れば。
「図らずも新しい着想を得ることが出来た。なのは、感謝する。やはり、たまには寄り道をしてみるものだ」
「え、えっと? ……ふぅちゃん、なのは、なんでお礼を言われたの?」
「えー、っと、……わたしにもちょっとわかんない。自分達の中で完結しすぎだよ、おねえちゃん……」
む、フェイトを置いてけぼりにしてしまったか。それはいけない、説明してやろう。
「つまり、なのはの突飛な行動に付き合うことで、はやての足の調査に新しい視点を持つことができたということだ」
「あ、なるほど。つまりこの国のことわざで言う、「犬も歩けば棒に当たる」だね」
まさにその通り。フェイトもちゃんと勉強をしているようで、姉としても母としても鼻が高い。
そしてやはり理解できていないなのは。彼女に分かるように説明する義理はさすがにない。苦笑している藤原凱に任せることにしよう。
「そういうわけで、ミステールの指導、頼んでもいいか?」
「うん、大丈夫。ミステールは飲み込みがいいし、教えがいがありそうだよ」
「呵呵っ、期待に沿えるよう努力させてもらおう」
「あ、なのはも! なのはも教えてください!」
「俺もバインドおせーてください! バインドなら多分できると思うから!」
いつの間にか教官役が交代しているわけだが、闇夜のドレスとなっているソワレ含め、誰も突っ込みを入れることはなかった。
次の習得内容は、バインド。魔力による枷で対象を捕縛し動きを封じる魔法だ。その中でも最も基本とされるリングバインドを、ミステール、なのは、藤原凱の三人が学ぶ。
さすがにここでの脱落者は出なかったようだ。ただ、藤原凱のみ少し他の二人とバインドのやり方が違ったように思う。
「……多分だけど、ガイは全ての魔法を「シールドの延長」でしか構成できないんだと思う。射撃魔法が全く出来なかったのは、きっとそのせいだね」
フェイトの分析。彼のリングバインドは、魔力を固めて空間に固定するのではなく、シールドをリング状にして動きを"防ぐ"というものだったらしい。
なるほど、それならば確かに説明はつく。結界はプロテクションやディフェンサーの延長として扱っているのだろう。攻性の魔法でなければ、工夫次第でどうにかなるということだ。
そしてこの説は正しかったのだろう、彼は「なるほど、そういうことだったのか」と納得していた。彼自身の感覚ともマッチしたのだろう。
「その分、シールドの制御はそれこそ息をするぐらい簡単に出来てしまうんだろうね」
「まー、ラウンドシールド程度ならひょいって感じで出来ちゃうからねぇ」
言いながら、指先を「ひょいっ」と持ち上げて、赤紫色のラウンドシールドを構築する。デバイスを使用せずにこれである。ミステールの件から分かる通り、そこまで簡単な魔法ではないのだ。
しかもそれだけにとどまらない。「あらほらさっさー」と言いながら、シールドの造形を変化させる。棒状にされ、曲げられ、端と端が繋がりリングとなる。先ほど見たリングバインドの完成だ。
「……なんか、理不尽なの」
「おうおう、なのはがそれを言いますかねぇ。俺からしたらお前の砲撃魔法とか、理不尽そのものだかんな?」
持たざるものは持つものに羨望を抱くものだ。得意分野が全く別であるため、お互いにうらやましがっているようだ。
……この二人って、実は相性いいよな。藤原凱は変態だが、真面目なときは好感のもてる人格であろう。案外、数年後にはベストパートナーになってたりするんじゃないか?
「ただ、これだと「バインド」とは呼べないよね。なんだろう……あえて言うなら「バインドシールド」かな?」
「あれ、ひょっとして俺、新ジャンル開拓しちゃった? うわー、照れちゃうなー」
「うざいの」
なのはの側も、彼に対してだけは一切の遠慮がない。それは……ある意味で特別なんじゃないかと思っていいだろうな。
そんなことを考えていたもんだから、彼らを見る目が少し優しくなってしまっていたのかもしれない。
「……ミコトちゃんが俺たちのことを可哀想なものを見る目なんですが、それは」
「なのはも!? キミだけだよ、勝手に巻き込まないで!」
おっと、いかんいかん。真面目に監修しなければ。
「ミステール、先ほどの三通りで構成しなおしてみろ。有用かどうかはともかく、因果を組み替える法則性は覚えておいて損はないはずだ」
「然り。そう思って既にやっておるぞ、主殿」
なんとまあ、優秀な召喚体だ。彼女の目の前には、魔力、夜、風――はさすがに目視では分からないが、その三つで作られたバインドが展開されていた。
他には、何かないだろうか。
「……触れたらバインドが発動するシールド、なんてものは作れるか?」
「ふむ、試してみるか」
それからしばし、ミステールは試行錯誤する。途中、風のシールドに触れた途端爆風がおき、砂煙で全員涙目になったのはご愛嬌。
そして、魔力で出来たプロテクションに小石が触れた瞬間、夜の鎖がそれを縛り上げるシールドが完成した。
「いけるな。魔力と魔力の対だけでなく、他の組み合わせでも十分可能じゃ。それぞれ別々に因果が存在しておるから、その間を結ぶだけじゃった」
「風のシールドから風のバインドだけはやめた方がよさそうだな。シールドからバインドに構成が変わる瞬間、構築が甘くなって爆発する」
「それを逆に利用する、という手はあるじゃろうが……主殿はそもそも戦いを想定しておらんものな」
「そういうことだ」
やはりミステールとミッド式魔法の相性は非常にいい。魔法を覚えれば覚えるだけ、新しい因果を覚え、それの組み合わせを変える事で無数の選択肢を生み出すことが出来る。
この選択は正解だったと、改めて思う。
「……あの二人が一番魔法使いしてるの」
「まー、ミコトちゃんは魔導師じゃなくて"魔法使い"だもんなぁ。むしろ当然じゃね?」
「……いいなぁ、ミステール。わたしも、おねえちゃんにアドバイスもらいたい……」
何かフェイトが寂しそうにしていたので、手招きして抱きしめておいた。彼女はあうあう言いながらも嬉しそうだった。
フェイトが使えるバインドはリングバインドだけではない。ライトニングバインドという、彼女の「電気変換資質」を最大限利用したものがある。
ミッド式の魔法基盤では、魔力を炎熱・凍結・電気の三種類に変化させることが出来るそうだ。「プリセット」の中にはない知ということは、あくまで「変換技術」なのだろう。
それが証拠に、これらは専用のプログラムを習得することで魔導師ならば誰にでも習得することが出来る(もちろん適性は必要だが)。そんな中で、フェイトはプログラムを行使せずに電気の性質を付加出来るのだ。
恐らくはリンカーコア内に電気変換用のプログラムが最初から蓄積されているのだろう。「プリセット」の知を鑑みるに、それも十分にあり得るはずだ。リンカーコアはただの魔力蓄積器官ではないのだから。
そういうわけで、ライトニングバインドはフェイトにとって「電気変換を付加しただけのリングバインド」だ。電気変換のプログラムを習得していないなのはと藤原凱に習得できるわけもなく。
「……なるほどのぅ。電気というのも、使い方次第では便利そうじゃな。これではただ危ないだけじゃが」
因果を組み替えるだけで構成を変えられるミステールは、全くの別物を作り上げてしまった。
ライトニングバインドは「バインドを構成する魔力に電気性質を付加したもの」であるが、今ミステールが作ったのは「電気そのもので作ったバインド」だ。はっきり言うが、触れたら感電死する。
明らかにヤバそうな発光をするリング状の導電体。全員ドン引きしている。俺はミステールに指示を出して電気の光輪――言うなれば「イオンリング」か――を消滅させた。
「電気変換で生み出された魔力と自然エネルギーが別物であることが証明されたのう」
「まあ、当然だな。魔力は不可視物質。ニュートン力学系に影響を与えることは出来るが、基本的には別の系にある。あくまで「それらしい性質を持った魔力」ということなんだろう」
「あはは……これだけで論文一つ書けちゃいそうだね」
オレとミステールの分析に、付いていけるフェイト、付いていけないなのは、付いていく気がないソワレ。藤原凱は……一部付いていけるようだ。
「そーいやミコトちゃん、魔力のこと最初から「不可視物質」って呼んでるよな。俺らは感覚的に魔力が分かるから、どーにもそのイメージがつかめないんだよ」
「逆にオレは魔力を感じられないから、イメージそのものでしか語れないんだが。……そうだな。お前は「ダークマター」という言葉を知っているか? 物理学的な意味で、だ」
ダークマター。「暗黒物質」を意味する、ニュートン力学系からは観測不可能な質量体。全宇宙の9割以上を占める、オレ達が触れることの出来ない宇宙の多数派だ。
彼らが魔力――正確には魔力要素の方だが、そう呼んでいるのはこのうちの一つだ。だから個人的には、「魔力」というよりは「魔素」または「魔子」ではないかと思うのだが。
これらを操作し、ニュートン力学系に作用させるのがミッド式の魔法ということだ。
「また、だからこそ非殺傷攻撃なんていう真似が出来るんだろう。"魔法の系"のみで作用させれば、魔力のみへの攻撃という結果になるだろう」
「なるほどなー。っつかよくそんなこと知ってるな、ミコトちゃん。キミが普通の女の子じゃないってのは知ってるから、そこまで驚きはしないけど」
たとえ力学系が違おうがなんだろうが、世界の普遍法則である以上「プリセット」にはストレージされている。法則だけでしかないから、彼らのような活用方法は出来ないが。
「ちなみに「コマンド」で魔力要素に干渉することだけならできるぞ。プログラムには出来ないから、はっきり言って無意味だが」
「そういう話なら、ミコトちゃんの場合むしろニュートン系?に直接干渉した方が早いだろうしな」
「そういうことだ」
「……むー! なのはだけ置いてけぼりなの! もっと分かりやすく話してよー!」
話題に取り残されたなのはがむくれた。藤原凱が理解しているようだし、彼に説明を一任することにしよう。
「つまり、あれだよ。俺らの魔法は人工おっぱいで、ミコトちゃんのは天然おっぱいってことだ」
なのはと一緒にぶん殴っておいた。何で最後まで真面目にやれないんだ、この変態は……ッ!
時間的に最後なので、飛行魔法の習得に移る。なのはは習得済みなので、適当に空を飛んで練習させる。使えることと習熟していることは違うのだ。
一方で、藤原凱はやはりと言うべきか、飛行魔法を発動させられる気配もない。全ての魔法がシールドの延長では、さすがに飛行は無理だろう。
「ぐぬぬ……諦め切れん!」
だが彼としては自分の体で風を切って空を飛ぶことに憧れているらしく、往生際悪く試行錯誤している。今は足元にトランポリン状のシールドを出して高く跳躍しているところだ。あれはあれで有用だと思うが。
……ふむ、そういうことならば。
「飛行魔法ではないが、「空飛ぶシールド」を作って、その上に乗ればいいんじゃないか?」
「それだッ!!」
着想を得れば、天才とは早いものだ。あっという間にプログラムを構築し、自在に動く楕円シールドを作り出し、それでもってなのはのところまで飛んでいった。
「にゃああ!? 空飛ぶサーファーなのっ!?」
「俺のことは「風乗り(エアライド)のガイ」と呼んでくれっ! ィイヤッフゥー、気ン持ちイィー!」
「あはは、楽しそうだね」
自力で空を飛べてはしゃぐ少年の姿は、まさにオレ達と同い年の男の子だった。普段の変態性も、時折見せる真面目さもない、ただただ遊ぶことを楽しんでいる男の子だ。
微笑ましく感じたのだろう、ふっと笑みが浮かぶ。しばらく彼らを眺めてから、苦戦している様子のミステールに視線を移す。
「無理そうか?」
「うむ……一朝一夕にはいかんな。飛行魔法に適性が必要なことから、ある種の「コツ」がいるんじゃろう」
「その「コツ」の部分を因果化するのが難しいってところか」
「そういうことじゃな……」
ミステールは、一度因果を組めさえすれば、あとは何度でも再現することができる。しかし、その因果を組むというのが難しいのだ。
何せ、魔法プログラムのままでは動かせないのだ。それはあくまで「魔力をどう動かすかを指示したもの」であり、それ自体が因果関係を表しているわけではない。
言うなれば、機械語と高級言語の違いか。ミステールは高級言語しか扱えないため、魔法プログラムから逆アセンブリのような真似が必要になってしまうのだ。
「まあ、無理に学ぶ必要はない。飛翔の手段なら既にある。君が魔法を学ぶのは、あくまで因果プロセスのストックを作るためだ」
「わかってはおるんじゃが……「知の探求者」として、そのままには出来ぬよ」
だろうな。だから、時間をかけてじっくりと、フェイトから学べばいい。
そう言ってやると、ようやくミステールは険しい表情を緩めて気を抜いた。あまり一日に詰め込みすぎても、気持ちが続かないだろう。
だからオレは、今日一日頑張ったミステールをねぎらおう。
「『"風の召喚体"エール、その姿を顕現しろ』」
『さ、ミステールちゃん! 今日はお兄ちゃんに任せてよ!』
「……ふふ、そうじゃな。お言葉に甘えさせてもらおう」
『エルソワール』
ミステールがオレの腕にしがみつき、煙に包まれる。彼女の本来の姿である、アメジスト色のブレスレットがはめ込まれた。
フェイトに声をかけると、彼女は頷き飛行魔法を起動する。オレもエールの風をソワレの翼に受けて、彼らのところまで上昇した。
「おっ、皆来たな! あれ、ミステールちゃんは……今日は諦めたんか」
『ま、そんなにあっさり出来ても面白くないしのぅ。お主がしてみせたように、わらわにしか出来ぬ飛行魔法というのを、いずれお目にかけて進ぜようぞ、「盾の魔導師」殿』
「あはん! その二つ名痺れるッ! よーし、今日から俺は「盾の魔導師」藤原凱だぜ!」
「今日一日で大量に黒歴史を作ったものだ。数年後にどうなっているかが楽しみだな」
本当に、そう思う。オレみたいな他人との関わりのほとんどを切り捨てていた人間が、他人の成長を見て楽しいと思うなんて。あの頃は想像もしていなかったな。
そんな風にオレを変えてくれたのは……はやてだ。あのとき偶然彼女に出会えたからこそ、今のオレがいる。
だからオレは、ちゃんと返す。彼女と過ごせる明るい未来を。それが貸借バランスを取るということでもあるし……何より、それがオレの願いだから。
「おっし! せっかくだし結界抜けて、海の方まで行かね?」
「えっ!? ひ、人に見つかったりしたらまずくない?」
「この町の人たちなら、その程度の不思議は軽く流すんじゃないか? 最近そう思えてきたぞ」
「あはは……ミコトの努力の賜物、だね」
とんだ副産物があったものだ。
「じゃあおっさきー!」
「あ、ちょっとガイ君!? ずるいの、なのはもー!」
「ふふっ、負けないよ。バルディッシュ!」
『Yes sir. Sonic move』
いきなりスタートをかけた藤原凱を、高速移動魔法を起動したフェイトがあっさり抜かす。オレはなのはと並んで、二人でおしゃべりをしながら、ゆったりとしたペースで海に向かった。
この日、洋上から見た夕焼けは、とても綺麗だった。……いつか、はやてと一緒に見たいものだ。
最後に、今回のオチである。
「あ、そーそー。ミコトちゃんとフェイトちゃんにどうしても見てもらいたいものがあるんだわ」
日も沈み、そろそろ陸に帰ろうというところで、藤原凱が思い出したように手を打った。
……なんだろう、嫌な予感がする。だが、今の彼の表情は真剣そのもの。真面目モードのように思えるが……いきなりおふざけに戻ったりするから、判断がつかない。
しょうがない、見てから判断するか。妙な動きを見せたら即撃墜すればいい。
「見せてみろ」
「おっけー。……飛行シールド制御しながらだと時間かかるな。おいせっ」
その場に魔法陣を展開し、シールドを消す。恐らくは「見てもらいたいもの」を出すための魔法陣だろう。
「んじゃ、行くぜ!」
赤紫色の魔力光に照らされ、彼の顔がより真剣さを増した。相当な集中をしているのだろう、額から大量の汗を流しながら、魔力を制御し形を成していく。
彼の前方に、赤紫色の立体。それは、大人程度の大きさを持つ太めの棒人間だった。
その表面が、まるでのみが打たれていくかのように削れていき、姿を作り上げる。シールドを応用した造形魔法だ。
やがてそれは、一人の人物の形のシールドとなった。オレとフェイトにとっては、家族であるその女性。
「これは……ブラン?」
「凄い……こんな魔法、見たことないよ!」
「へ、へへ。俺の自信作のオリジナル魔法だよ。ユーノに怒られながら、ここまでの形になったんだ」
ふぅと一息つきながら語る少年。……何故ユーノが怒る? 別に人の形を作るぐらいなら、非効率ではあるだろうが、怒りの感情には結びつかないと思うが。
……やはり嫌な予感がする。
「それで、これをオレ達に見せてどうするんだ? 本物のブランとの差異を聞かれても、さすがに本人がいないと比べようもないぞ」
「あー、大丈夫大丈夫。そんな全体的な話じゃなくて、ほんの一箇所だけだから」
ようやく息が整った少年は、そこで表情が今日一番の真剣さを帯びる。
そして、彼は口にする。
「本物のブランさんと、おっぱいの触り心地、どう違う?」
……。何も言えない。ただ胡乱な目で変態を見る。一度語りだした少年は、止まることを知らない。
「いやね、いくら俺がシールドの天才だからって、触ったこともないものの触り心地を再現することは出来ないわけよ。でも触ったときの柔らかさにはこだわったから、触り心地はいいはずなのよ。実際、俺も実用して楽しんだし。でもやっぱり本物には本物のよさがあるっていうか、造形では超えられないロマンがそこにあるっていうか、それなら本物触れよって話だけどそれやったら犯罪じゃん。いや俺は小学生だから訴えられることはないと思うんだけど、無理やりってよくないと思うわけよ。だからこうやって造形魔法使って楽しんでるんだけど、本物の触り心地を知らないで想像だけでってのも空しいわけよ。そこで二人には是非こいつの触り心地を確かめてもらって、本物との違いをフィードバックしてもらえればって思って
たんだけど、何で俺バインドで縛られてんの?」
彼が懇々と語る中、オレはなのはとフェイト、ミステールに指示を出していた。今彼は金とアメジストのバインドに両手両足を縛り上げられ、眼前のなのはがレイジングハートのシューティングモードを構えている。
宝玉に移る数字は、既に「3」。あと3カウントで、極大の収束砲撃魔法が放たれる。ちなみにオレは「コマンド」で魔力要素に干渉しこの場に集中させた。威力の底上げのためである。
「オレは最初に言ったはずだ。「妙なことをしたら、フェイトにバインドで縛らせた上でなのはにスターライトブレイカーを撃たせる」と。その通りにしている」
『今日の勉強会でわらわも使えるようになったから、わらわも参加しておるがの。呵呵っ』
「そっかー。ミコトちゃんってやるって言ったらほんとにやる子だもんねー」
よく分かっているじゃないか。その上で実行に移すとは、余程命が惜しくないと見える。
変態が笑いながら青ざめている。忘れていた、は聞かない。彼は、造形魔法とはいえ、オレ達の家族を辱めたのだ。
女の怒りを思い知れ……!
「少し……」
「頭……」
「冷やそうか」
「名言いただきましたアッーーー!!」
『Starlight breaker.』
宵の口、海鳴の海上に桜色のドームが広がった。
これで少しは懲りればいいが……多分懲りないんだろうな、あの変態のことだから。
過剰砲撃を受けて、非殺傷ゆえに怪我をすることなく気絶した変態を肩に抱えつつ、溜め息をつくオレだった。
ちなみに最後のガイ君の魔法の名前は「おっぱいシールド・改」です。実用はしてますがダッ○ワイフ的な使い方ではありません。おっぱいに顔をうずめてパフパフしたりしてるだけです。精通前だからね!!
原作名台詞の分割は、誰がどのパートを言ってるのでも構いませんが、個人的にはフェイト・ミコト・なのはの順番だと思ってます。
この話における魔力のあり方を出しました。ミコトの初期の発言どおり、最初から考えていた内容ではあったのですが、出すタイミングが全くないままここまで来てしまいました。
なので、せっかくの勉強会回だったし出すことにしました。ミコトの能力的に知ってなきゃまずいですからね。
ちなみにミステールの魔法エミュレートは、魔法陣が出ません。あくまで因果を組んでいるだけなので、魔法陣によるコントロールが必要ないのです。
ジュエルシード事件を越えて、だいぶ人間らしい感情が発達したミコト。そんな彼女の内面を上手く表現できていたらと思います。
※ルート分岐について
年末に神戸ハーブ園歩きながらまとめたので書いておきます。
本編の間はルート分岐しません。まずストーリー的にそんな余裕なさそうだし、何よりその時点で分岐すると後で別ルート書くのが面倒なので(作者の屑)。
本編終了後に後日談的な話として、以下三つのルートを執筆する予定です。
・親愛ルート(はやてルート、メイン)
・ベストパートナールート(クロノルート)
・恋愛ルート(ユーノルート)
あくまで現段階での予定なので、実執筆時点で予告なく変更する可能性があります。