『ギフトゲーム名〝ハンティング〟
・プレイヤー一覧
久遠 飛鳥
春日部 耀
ジン=ラッセル
・クリア条件
ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐。
・クリア方法
ホスト側が指定した特定の武具でのみ討伐可能。指定武具以外は〝
・敗北条件
降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
・指定武具
ゲームテリトリーにて配置。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、〝ノーネーム〟はギフトゲームに参加します。
〝フォレス・ガロ〟印』
結果は〝ノーネーム〟の勝利に終わったが、耀が負傷した事によりレティシアは申し訳なさそうな顔をしていた。
ゲーム終了後、黒ウサギは負傷した耀を抱えて本拠へ向かい、他の者達は十六夜とジンを筆頭に〝名〟と〝旗印〟の返還式と〝打倒魔王〟宣言を行い、結果はひとまず成功を収めた。
★★★★★★★★★★
そして現在、黒衣とレティシアは〝ノーネーム〟の
「………これは酷いですね。〝ノーネーム〟のコミュニティをここまで滅ぼせる程の魔王が存在していたのですか」
「ああ。しかもこうなったのは僅か三年前………私は魔王を見ていないから知らないが、恐らく最強種クラスの魔王かもしれないな」
「………時空間の類いならば私やご主人様みたいな〝星霊〟級くらいしかこんな真似は出来ませんね。あ、でも〝全知全能〟の神霊なら」
「いや。黒衣は千年以上も昔に箱庭を一度去っているから知らないと思うが、今の箱庭は〝
「そ、そうなんですか」
白夜叉から聞いた話を黒衣に教えるレティシア。黒衣は一瞬キョトンとした顔で固まるが、すぐに表情を戻して廃墟を進む。
「私が外界で封印されている間にそんな恐ろしい魔王が現れたのですね………権能を封印出来るとは只者ではありませんね」
「そうだな―――ん?外界で封印されていた?それは一体どういう意味だ?」
「あ、うっかり口を滑らせてしまいましたね。今のは忘れてください」
「いや、だがそう言われると余計に気になってしまうのだが………」
「忘れてください。ご主人様に箱庭を去るだけでなく封印されていたなんて事がバレたら怒鳴られちゃいますから」
「ふ、む。そうか。ならばこれ以上の深入りはしない。君はこうして付き添って私の身を案じてくれているのだからな」
「すみません。ありがとうございますレティシアさん―――あ。あれが〝ノーネーム〟の本拠でしょうか?」
黒衣はホテルのような巨大な屋敷を指差して問うと、レティシアは首肯した。
「ああ。………だがこのまま正面から入る勇気は私にはないな」
「〝ノーネーム〟の同士を間接的に傷つけてしまったからですか?」
「そうだ。だから私はジンに合わせる顔がない。………上手いとこ黒ウサギに接触出来ればいいのだが」
困ったような顔をするレティシア。黒衣はスッと目を細めて明かりがついて人の気配を感じる三階の窓を見つめる。
「………どうやらあの部屋に黒ウサギさんがいるようですね。ついでに十六夜さんも」
「は?ここからだと私には誰がいるのか分からなんだが」
「ふふ、詳細は企業秘密なので教えられません。取り敢えず扉から入りたくないのならば、窓から行きましょうか」
黒衣の提案にレティシアは「ああ」と頷いて黒い翼を広げて空を舞う。その後を黒衣も背中に翼型の闇を展開して追う。
「………黒衣は翼をいちいち作らなくても飛べるんじゃないのか?」
「レティシアさんが翼を広げてるので真似してるだけですよ。―――というより貴女も翼を広げなくても飛べるんですよね?」
「そうか。―――ふふ、そうだな。私も気分だ。そもそも翼なしで空を飛ぶ生き物はなんか常軌を逸しているだろ?」
「はい、それは言えてますね」
笑みを交わし合う二人は明かりがついている三階の窓際で止まって中を覗く。すると黒衣の言う通り黒ウサギと十六夜がおり、何やら話し合っていた。
黒衣はレティシアに目配せした後、コンコンと窓をノックした。
「はーい。どなた様ですか?」
「黒衣です。開けて戴けると嬉しいのですが」
「黒衣さん?初めてお聞きする名前ですね―――って極夜姫様!?」
窓の前に立った黒ウサギは、少女の顔を見るや否やで慌てて錠を開けると、闇夜を彷彿させるような黒髪と黒の姫ドレスの服を着た少女黒衣が苦笑しながら部屋に入る。
「お前、姫ロリじゃねえか。何の用だ?まさか俺達のコミュニティに入りに来たわけじゃねえよな?」
「違いますよ。今日は黒ウサギさんに会いたいと仰っている方をお連れしただけですから」
「え?黒ウサギにですか?」
「はい。―――入ってきていいですよ」
黒衣が招き入れると、金髪に特注のリボンと紅いレザージャケットに拘束具を彷彿させるロングスカートを着た少女レティシアが部屋に入ってきた。
「お邪魔するぞ」
「………え?レ、レティシア様!?」
「様はよせ。私は他人に所有されている身分だ。〝箱庭の貴族〟ともあろうものが、モノに敬意を払うものじゃない」
苦笑するレティシア。黒衣はふふ、と笑った。
「レティシアさん。黒ウサギさんの敬意を無下にするものではありませんよ?彼女は少なくとも貴女の事を『モノ』などとは思っていませんから」
「そうなのか?………すまない黒ウサギ。お前の気持ちを理解できていなかったみたいだ。本当にすまなかった」
「え?あ、いえいえ!お気になさらず。黒ウサギはお茶を
黒ウサギはレティシアに会えたことが嬉しかったようで、上機嫌のまま茶室に向かった。
その一方、十六夜はジーっとレティシアを見つめて感想を述べる。
「へえ?黒ウサギの言ってた通りの美少女だな。目の保養に観賞させてもらうぜ」
「ん?………なるほど。君が白夜叉の言っていた十六夜か。しかし観賞するなら私は黒ウサギを勧めるぞ」
「いいや。あれは愛玩動物だし、弄るに限んだろ」
「ふむ………否定はしない」
「否定してください!」
「ふふ。だからご主人様は黒ウサギさんを弄ってからかうのが好きなんですね。納得です」
「納得しないでくださいお馬鹿様!!」
スパァアン!と遂にハリセンが一閃された。黒ウサギが怒る中、十六夜はふと〝ご主人様〟のキーワードに引っ掛かっていた。
「ところで姫ロリ。お前の言う『ご主人様』ってのは白夜叉か?」
「はい、そうですよ。それと私のことは『極夜』ではなく『黒衣』とお呼びください。ちょっとわけありなので改名したんです」
「ふうん?その改名理由は言えないのか?」
「はい、すみませんが秘匿事項ですので言えません」
「そうかい。名前の件、お嬢様達に言っとくわ。俺は何時も通り姫ロリで通させてもらうがな」
「はい。ありがとうございます十六夜さん。ふふ、それなら『極夜』の名が入ってませんし大丈夫ですよ」
十六夜の言葉に笑って承諾する黒衣。黒ウサギも名前の件は了解して、あっと思い出したように呟く。
「そう言えばご用件は何ですかレティシア様?」
「ん?ああ、そうだったな。実は―――」
《レティシア、説明中―――以下省略》
「その不安、払う方法なら一つだけあるぜ」
「何?」
「実に簡単だ。アンタは〝ノーネーム〟が魔王を相手に戦えるのかが不安なら、その身でその力で試せばいいだろ。―――どうだい、元・魔王様?」