『ギフトゲーム名〝
・プレイヤー一覧
〝ペルセウス〟に所属する者。
ゲームマスター ルイオス=ペルセウス
・勝利条件
ホストマスターに致命傷を負わせる。
・敗北条件
プレイヤー側のゲームマスターの降参、または気絶した場合。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。
〝サウザンドアイズ〟印』
ルイオスが黒衣が召喚した黒い〝
彼が投げ出されたのは、大地は荒れ果て、水源は枯渇し、何より―――
『存在しない』は語弊かもしれないが、ルイオスの視界には太陽らしきものは映っていなかった。
「なっ、何だ此処は!?」
ルイオスはまるで世界の
黒衣はゆっくりと薄明な空からルイオスの前に降り立ち微笑した。
「改めて真名を名乗りましょう。私は〝白き夜の魔王〟白夜姉様の妹で〝極な夜の魔王〟―――太陽と極夜の星霊・極夜姫。かつて神々から恐れられた最強の神殺しです♪」
「は!??」
ルイオスは素っ頓狂な声を上げる。まあ、目の前にいるのは白夜叉のただの専属メイドではなく―――三大最強種の頂点の〝星霊〟にして、白夜叉の妹・極夜姫を名乗ったのだ。
〝最強の神殺し〟。それは比喩ではなく遥か昔、数多の神群を纏めて相手にし、それらを退かせた最強の星霊だ。
さらに白夜叉との連携ともなれば、殆んどの神群は手も足も出ず、彼女達とまともに渡り合い互角以上の闘いを魅せたものは五人といない。
そんな最強の
「な、極夜姫だと!?馬鹿な!ソイツは何千年も昔に箱庭を去ったはずじゃ………!?」
「ふふ、では私は偽物だと仰るんですか?ルイオスさんは酷い方ですね………あ。因みにこのゲーム盤の時間帯は
「………っ!!?」
両手を広げて笑う黒衣。その笑みは魔王に相応しい王威を放ち少女とは思えない凄味が滲み出ている。ルイオスは息を呑む。
するとそこへ、
「あ、貴方はル、ルイオス様!?」
「我らが首領!どうしてこんなところに!?」
「そんな、まさかルイオス様まであの小娘にしてやられたのですか!?」
ルイオスの下へ群がる〝ペルセウス〟の騎士達。ルイオスは驚き目を見開いた。
「な、お前らこそこんなところにいたのかよ!………そう言えば極夜姫様が僕の部下達をゲーム盤に封じ込めたとか言ってたな」
「そうですよ。彼らは私がこのゲーム盤に封じ込めました。そして彼らも私のギフトゲームに参加する資格があります」
笑ってルイオスに歩み寄ろうとする黒衣。だが騎士達が黒衣を四方八方から取り囲み、剣を槍を斧を構えて彼女に突きつける。
「貴様は!あの時の小娘だな!?」
「フン!我らの首領に近づけさせはせん!!」
「このまま貴様の首を討ち取ってくれる!!」
騎士達が吼える中、黒衣は苦笑いを浮かべて彼らを見回した。
「あの、皆さん?すみませんがまだゲーム開始の合図はしてないんですが………今私に襲い掛かればあなた方プレイヤー側の反則負けになりますよ?」
「何?ゲームだと!?」
「………これは!我々〝ペルセウス〟の総力を持ってこの小娘を討てということか!?」
「いや。勝利条件には『致命傷』を与えれば我々〝ペルセウス〟の勝利となっている!………それよりも100対1だと!?我々を舐めているのか小娘ッ!!」
ギャーギャーと喚く騎士達。それをルイオスが止めた。
「待てお前ら。ソイツは白夜叉様の妹、極夜姫様だ!寧ろたった100人でどうにかなる相手じゃない!!死ぬ気でこのゲームを臨めッ!!!」
「し、白夜叉様の妹だと!?」
「馬鹿な!星霊と戦えと言うのか!?」
「こ、こんなの勝てるわけがない!!」
ルイオスの忠告に士気が弱まる騎士達。そんな彼らをルイオスは一喝した。
「大丈夫だ!僕らには元・魔王の力があるッ!勝機はゼロじゃない!!それに白夜叉様と同様に極夜姫様も弱体化しているはずだ!今こそ一致団結して―――このゲームを攻略するんだよッ!!!」
「………!そうだ!我々には元・魔王様がついている!希望はあるッ!!」
「ああ!星霊が何だ!石化してルイオス様の〝星霊殺し〟のハルパーがあれば致命傷など簡単に負わせられるッ!!」
「我ら〝ペルセウス〟がこの闘いを制し、最強の神殺しを討たんッ!!」
ルイオスの一喝により騎士達の士気が一気に高まる。その様子に嬉しそうな笑みを浮かべる黒衣。
(良かったです。これで少しは―――楽しめそうですね♪)
★★★★★★★★★★
「それでは皆のもの!これよりレティシア=ドラクレアを賭けたギフトゲームを開催するッ!!―――始め!!」
白夜叉の音頭で〝ペルセウス〟の騎士達は一斉に動き出した。
「よし!我々の役目はルイオス様に指一本髪の毛一本も触れさせぬ事だ!良いな!?」
「「「「「応ーーーーーッ!!!!!」」」」」
ルイオスの側近とおぼしき男の号令の下、ハデスの兜のレプリカを被る者と囮役で被らずに黒衣に特攻を仕掛けに行く者に別れて動く。
「小娘!覚悟ッ!!」
まず黒衣に不可視のギフトを使わぬ者達が剣を槍を構えて突撃してきた。
黒衣はそれらをギフトを使わずに全て避けて武具を破壊し、騎士達の首を手刀で打ち気絶させていく。
「矢を放てッ!!」
その遠くで弓を構えた騎士達は一斉に矢を放ち射貫きに掛かる。
だが黒衣はそれらを踊るように回避していき、第三宇宙速度を遥かに凌駕した速度で接近し、彼らの首も手刀で打ちつけて気絶させていく。
これで姿が見える計50人の騎士達を気絶させることに成功した黒衣は辺りを見回す。そこへ、
「もらった!!」
声と足音が黒衣に接近し、不可視のギフトにより姿が見えぬ者達が奇襲を仕掛けた。
だが流石は星霊といったところか、レプリカ程度では黒衣は欺けず全て避けられて騎士達が被っている不可視のギフトごと頭に手刀を打ち込まれ気絶していく。
「まだだッ!!」
さらに諦めずに立ち向かっていく不可視のギフトを被った騎士達。
しかし黒衣を傷つける事さえ敵わず、彼女の手刀に倒れていってしまう。
最後に、本物のハデスの兜を被っているであろうルイオスの側近男が巨大な斧を構えて猛突進してきた。
「うおおおおおおおおおお―――――ッ!!!」
だがどうやら本物ではなかったようで大きな怒号と足音を立てながら駆けてきた側近男の斧を黒衣は受け止めて砕き、首を手刀で打ちつけて気絶させた。
これで総勢100人の騎士達を気絶させることに成功した黒衣は、悠然とルイオスに向かって歩みを進める。
「後は貴方だけですね、ルイオスさん」
「ハッ。何処に目をつけている!―――来い、アルゴールの魔王ッ!!」
獰猛に叫んだルイオスは首に掛かったチョーカーを外し、付属している装飾のギフトを掲げて元・魔王を顕現させた。
「ra………Ra、GEEEEEEYAAAAAAaaaaaaaa!!!」
甲高い絶叫を上げた彼女アルゴールは、乱れた灰色の髪で体中に拘束具と捕縛用のベルトが巻かれており、両腕を拘束するそのベルトを引き千切り黒衣に突進してきた。
黒衣はその場を動こうとはせず、アルゴールが両手を組んで叩き潰しに掛かったそれを左手で受け止める。そして空いた右手は拳を硬く作り、
「貴女を一撃で沈めるためには………少し本気で行かせてもらいます!」
薄く闇を纏った拳をアルゴールの鳩尾に突き刺し、空中高く吹き飛ばした。落下してきたアルゴールの頭上に
アルゴールはピクピクと痙攣を起こした後、ガクリと気絶した。これで後はルイオスただ一人。
「―――え?ルイオスさんがいない!?」
黒衣は盲点だった。肝心の気絶させなければならない相手を見失ってしまったことに。
ルイオスの姿が見えず、さらに気配さえ完全に絶たれてしまっている。
黒衣は全周囲に意識を集中させるが、流石はレプリカではない本物のハデスの兜だ。神仏でさえ暗殺できる隠者のギフトはとてつもなかった。
黒衣はピタリと動きを止める。ルイオスはそれを好機と思い行動を開始した。
(今だ!これを逃すわけには―――いかないッ!!)
ルイオスは黒衣の背後―――ではなく、あえて真正面からハルパーで斬り掛かった。
彼が背後ではなく真正面から狙った理由は、黒衣が背後に気を配っていないはずがないと思ったからだ。
―――だが、この時彼は気づけなかった。黒衣が周囲に微細な霧状の闇を蔓延させていたことに。
(これで………僕の勝ちだッ!!!)
ルイオスは黒衣の胸を―――心臓を穿たんとするハルパーの鎌の一撃を振り下ろす。だが、
「ふふ、貴方が動くのを待っていましたよ」
(何?)
ルイオスの鎌は黒衣の胸を穿てず避けられて、黒衣は目にも止まらぬ速さでルイオスの頭に手刀を打ちつける。その衝撃でハデスの兜は外れてしまった。
「ガッ!」
「惜しかったですねルイオスさん。ですが―――貴方にしてはよくやりましたよ。誇っていいですからね?」
「く………くそっ!」
ルイオスは悔しそうに黒衣の満足したような顔を見つめ―――気を失った。
これで勝敗は決した。白夜叉は右手を上げてゲームの終了を告げたのだった。