終わらない夜の再来   作:問題児愛

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四ヵ月ぶりの投稿です。遅くなってすみませんでした。


黒き太陽と太陽の復讐者
プロローグ


 ―――箱庭3345外門。〝サウザンドアイズ〟・白夜叉の寝室。

 白髪の幼い少女・白夜叉は重みを感じて目を覚ました。

 寝ぼけ目を擦りながらベッドの上で起き上がろうとしたが、お腹の辺りに何かの膨らみを発見してピタリと止まる。

 そして布団を引っ剥いでみると―――

 

「………白夜姉様~♪」

 

 ―――と寝言を呟いている夜色の長髪にメイド服を着た幼い少女・黒衣(くろえ)(極夜姫)が白夜叉に巻き付いていた。

 別々の部屋で寝ていたはずの彼女が、いつの間にか自分の寝室に、しかもベッドの中に潜り込んでいたことに白夜叉は少なからず驚いた。

 魔王の力を行使した罰として別々の部屋で寝ていたはずなのに、彼女が此処に来ていては罰の意味がない。

 白夜叉はドアをしっかり施錠して、なおかつ黒衣が来ていないことを確認して眠った。が、結果はコレである。

 

「(………極夜め。さては空間跳躍で私のベッドの中に潜り込んだな?まったく………これではセキュリティの意味がないのう)」

 

 そう。白夜叉と対の存在である黒衣も星霊なのだ。空間跳躍を封じない限り侵入を阻止することは出来ない。

 白夜叉は頭をポリポリと掻きながら困った顔をしつつ、黒衣の幸せそうな寝顔を堪能する。

 

「(ふふ。だがよく一月(ひとつき)も我慢できたの。昔の極夜ならば一秒も待てずに私の胸に飛び込んできておったわい)」

 

 白夜叉は黒衣の頭を優しく撫でて笑みを浮かべる。

 一月、それは黒衣が魔王として〝主催者権限(ホストマスター)〟を振るったその日から今日までの間のことだ。

 黒衣が〝ペルセウス〟のコミュニティに対し、魔王の力を振るって懲らしめた後、白夜叉はボスに呼び出されてこっぴどく叱られていた。

階層支配者(フロアマスター)〟である白夜叉は、黒衣の悪行を黙認した上、彼女を匿っていた事がバレてのダブルパンチを受けて本来なら纏めて追放………になるはずだった。

 しかし、今回は相手が相手だったため、何とか首の皮一枚繋がって〝サウザンドアイズ〟に二人とも残る事ができた。

 これには白夜叉が今まで積み重ねてきた功績の賜物ということもあるのだろう。

 

「(今回は運が良かったが………()()()()と言われてしまったからな………。もし追放された場合は極夜と旅に出るかの。流石に小僧共のコミュニティに厄介になるわけにはいかんしな!)」

 

 仏門に厄介になるというのもあれだ。白夜叉は兎も角、黒衣も一緒にとなると厳しいだろう。

 

「(………極夜は隷属することを拒むだろうし、私が神格を返上すればこの子の力も解放される。そうなってしまえば上層も黙ってはいないはずだ)」

 

 隷属していない魔王が下層に野放しにされていると知れば、上層の者は是が非でも討ちに来るだろう。

 今は白夜叉が弱体化しているのに伴って黒衣も弱体化していたため、上層も手を出しには来ないだけだ。

 だが、この弱体化している時だからこそ、黒衣の寝首を掻こうとする者達がいないわけでもない。ゆえに油断は出来ないのが現状だ。

 

「(………とはいえ現在開催されておる〝火龍誕生祭〟ならば、私の〝主催者権限〟で外部の者の侵入を防げるから極夜が襲われる心配もないはずだ)」

 

 そう。白夜叉はとある理由で北側の共同祭典の依頼を引き受けた、〝火龍誕生祭〟。それに伴う不祥事のために敷かれたルールが彼女の〝主催者権限〟だ。

 この〝主催者権限〟のルールの中に、『参加者以外の侵入を禁ず』というものがあり、これにより〝火龍誕生祭〟に行けるものが限られているのだ。

 そしてこれが狙っていたわけではないものの、黒衣を外敵から守ることも出来るというものだった。

 

「(前回の失敗はこの誕生祭で挽回せねばいかんな。ルールにより極夜の〝主催者権限〟も使用不可にしておる。あとは無事に成功させる、それだけだの!)」

 

 グッと握り拳を作り気合いを入れる白夜叉。愛する者達を守るためにも、この地位を降りるわけにはいかない。

 先程の黒衣との旅の話は本当に追放されてしまった場合のことだ。決してそれを前提に考えているわけではない。あくまでもどうしようもなくなった時のプランだった。

 

「(………頼むから馬鹿な真似だけはせんでおくれよ、極夜。私は愛しい妹をこの手にかけたくはないのだからな………)」

 

 そんな願いを籠めて黒衣の頭を撫でる白夜叉。もしまた魔王として力を振るった場合は―――今度は〝階層支配者〟の名にかけて黒衣を倒さねばならないのだから。

 

「(しかし、〝クイーン・ハロウィン〟のお陰でこの子とまた廻り会えたのだよな………。今度礼の一つでもしに行かんとのう!)」

 

 くっくっと宿敵のご厚意に改めて感謝する白夜叉。黒衣の願いを聞き入れて封印したなどのその他諸々に対して。

 黒衣は〝クイーン・ハロウィン〟に隷属していた、と言っていたが恐らくそれは限定的な契約か何かだろう。

 今はその契約が切れているため一月前に魔王の〝主催者権限〟を振るえたとみていいはずだ。

 そして、〝クイーン・ハロウィン〟が黒衣の背後にいるのならば、上層も下手に手は出せないだろう。………背後にいればの話だが。

 

「(何はともあれ、あやつの庇護がないのならば、この極夜の姉である私が―――守るだけのことだがな)」

 

 スッと瞳を細めてそう意気込む白夜叉。それが喩え身内と殺し合うことになったとしても………。

 そう決意した白夜叉は、ふと下層に彼らの気配を感じ取り、

 

「―――ふふ、来たか。小僧共!」

 

 最下層の住人―――〝ノーネーム〟所属の問題児達の訪問に気がついた白夜叉は、彼らの下へ向かうため四桁の階層から飛び降りるのだった。




黒死斑の魔王編開幕です。

ふと思ったことが一つ。

ペストの〝主催者権限〟は太陽を封印する力を持っているため白夜叉は封印されます。
極夜姫はどうでしょう?極夜も太陽の運行を司る星霊ですが、白夜と違って輝きがないから影響を受けなかったりするのかな?
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