ラビリンス・ワールド   作:坂田 信長

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今回は続きというよりも、この迷宮の現状を書きました。ぜひ読んでください!


ラビリンス・ワールドの現状

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    あれから数日後。現在、現実世界では、物凄い数の捜索願が出ている。

    あの日の翌日、日本国内で、あるニュースが報道された。

    それは、福岡県内で千人もの人々が行方不明になるというニュースだ。

    先程も述べた通り、多大な数の捜索願が出された事から、今までにない異常事態だという事を悟り、警察の発表ですぐさまニュースで報道されたのだ。

    だが、警察がいくら捜索しても、千人もの行方不明者が見つかる事はない。この迷宮脱出ゲームの事を知っているのは、俺達《チャレンジャー》だけなのだから。

    そんな事を知るはずもない警察は、恐らく今日も、血眼になって捜索を続けているだろう。

    俺はあの後、迷宮内を隈なく探索したが、ゴールへと続く道はどこにもない。何度かトラップにも引っかかったが、今の所は何とか死なずに済んでいる。

    また、俺がーーいや、正しく言えば、この迷宮内にいる全ての人が驚いた事がある。それは、この迷宮内に街があったという事だ。

    一番最初に発見したのは、四十代の男性だ。

「おい!あんな所に街があるぞ!」

    四十代の中年男性のこの発言を最初、ほとんどの人が信じていなかった。こんな洞窟に街なんてあるはずがない。誰もが思った。

    しかし、騙されたと思ってその場所に行くと、何とそこには、巨大な街があったという。

    それだけではない。森もあり川もあり、太陽の光も差し込んでいる。ここは本当に迷宮なのか?と思わせんばかりの光景が広がっていたという。

    俺も行ってみたが、初めてこの街を見た時は、自分の目を疑った。街があるだけではなく、食料も、風呂も、宿もある。今となっては、この街で生活している人もいる程だ。

    しかし、やはりほとんどの人が現実世界に帰りたいらしく、毎日の様に出口を見つけるための迷宮内の探索は続いている。

    また、この迷宮はいつしか、《ラビリンス・ワールド》と呼ばれるようになり、今となってはその名前が定着している。

    この迷宮脱出開始から、すでに一年半が経過している。そのため、たくさんの死者が出ている。

    その死亡原因を知る者はいないが、ほとんどの死亡原因はやはり、迷宮内のトラップだ。

    最初の方は分かれ道は二つだったが、奥に進むにつれて三つ、四つと増えていったのだ。どの道を行けばいいのかヒントも全くないため、当てずっぽに頼るしかない。

    つまり、現在このラビリンス・ワールドで生き残っている人は、余程運が良いか、勘が鋭いかのどちらかなのだ。

    また、ラビリンス・ワールド唯一の街《バリナース》には、武器保管庫がある。この保管庫は不思議な事に、大勢の人が武器を手にしても、その武器は減る事なく、今も増え続けているのだ。

    しかし、一人が得られる武器は一つまでなので、限界はある。

    この武器出現により、迷宮脱出の雰囲気はガラリと変わった。俺を最初に襲った狼の様なトラップも、この武器があれば気軽に倒す事ができる。剣を使う事が夢だった人にとっては喜ばしい事なのだろう、と俺は思った。

    だが、この武器出現に意欲的でない人もいる。それは、一秒でも早く現実世界に帰りたい人達だ。武器を手にした人達は、主に若者が多い。それ故に、この世界をゲームだと思い込み、好んで狼などと戦おうとする人がいるのだ。

    そういった人達が増加し、そのせいで迷宮内探索のペースが落ちてしまっていた。多くの人は、この武器は好んで戦闘を行うための物ではなく、飽くまでも戦わざるを得ない時のため物である事を理解して欲しいと思っていた。

    しかし、それは一ヶ月程前までの話で、遊び半分で武器を使っていた人達も、今では意欲的に迷宮内探索のために使う様になっている。

    これから先も、大勢の死者が出るだろう。しかし、誰一人ときて諦めようとする人はいない。誰もが恐怖から逃げないという勇敢な心を持ち、いつか帰れる日が来る事を信じて、毎日を送っている。俺もまだ完全ではないが、少しずつ確実に、その心は育っている。

    

 

 

    腕時計に記されている数字は四百五十。このラビリンス・ワールドの生存者は残り四百五十人という事を示しているのだ。

    一本の剣を手に、俺は今日も、迷宮探索へと出かけていく。

    




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