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狼数匹が、俺に向かって突っ込んでくる。俺は腰にある剣を抜き、戦闘態勢をとる。
俺は剣を、右、左、縦に振り、狼をなぎ倒していく。狼は抵抗する事なく、力なく倒れ込む。
やがて、全ての狼を倒し終え、剣を鞘に収める。ふと時計を見ると、すでに午後の十時を回っている。俺は《バリナース》に戻る事にした。
俺は、いつも寝泊まりしている宿に入る。すると、一人の男性が声をかけてきた。
「おっ、奏!お疲れ!どうだった?」
「いや、今日もダメだった。先に続くらしい通路は見つからなかったよ。涼一は?」
「俺も進歩なしだ。」
同じ宿で寝泊まりしている涼一も、頭の後ろを掻きながら呟く。
涼一とは半年前に、この街で出会った。まだバリナースが発見されてすぐの頃で、人も百人いるかいないかの時だ。
偶然この宿で出会った俺達は、すぐに意気投合した。涼一は三十歳で、男らしい顔つき、高い身長、ガッチリとした体つき、短い髪が特徴的だ。俺と年齢はかけ離れているが、今ではため口で話し合える仲だ。
「なら、今日はもう休むか?」
「あぁ。風呂に入って寝るよ。」
俺達は風呂に入り、眠る事にした。
ここの風呂は広く、毎晩様々な人が利用している。
「しかしな。こんなに探し回ってるのに、ゴールへの通路が全く見つからないとはおかしいな。」
「涼一もそう思うだろう?もう一ヶ月は探し続けてる。」
俺達は湯船に浸かりながら、溜息を吐く。
この世界で生き残る事は容易ではない。とても強力な運と、鋭い観察力が必要となる。もちろん、その両方を持ってしても死んでいった人は何人もいる。結局は、いつ死んでもおかしくないという事だ。
「それじゃあな、奏。明日も頑張ろうな。」
「あぁ。お休み、涼一。」
風呂から上がり、俺達はそれぞれの部屋に戻る。
俺はベッドに横たわる。だが、なかなか寝付けない。
「……瑠奈姉ちゃん、今何してるかな」
俺はふと、瑠奈の事を思い出した。現実世界では、俺が行方不明になって一年半だ。恐らく、とても心配しているだろう。
もし、俺が無事にゴールまで辿り着き、無事に帰ったら、瑠奈は怒るだろうか。いや、怒るに決まっている。
「早く……帰らなきゃ……な……」
考え事をしている内に、俺は次第に眠くなる。気付くと俺は、深い眠りについていた。
翌朝。俺は早速、迷宮探索に出かける事にした。
「よし、今日も行くか!絶対に見つけ出してやる!」
俺は自信満々に言う。涼一も同じだった。
「なら、俺はこっちを行くかな。お互いに、いい結果を出せると良いな。」
涼一はそう言い、俺とは真逆の方向へと歩き出す。俺も、再び洞窟の中へと入っていく。
数時間探索を続けるが、ゴールへの道は一向に見つからない。様々なトラップを回避し、数匹の狼とも戦ったが、進歩は全くない。時刻はすでに午後の三時を回っている。
「はぁ〜……今日もこれで終わんのかなぁ。」
俺は溜息混じりの声で呟く。このままのペースでは、ゴールに辿り着くのはいつになるか分からない。俺は少々焦っていた。早くゴールを見つけなければ。
すると、再び分かれ道を見つけた。もしかすると、今度こそ先に進む道かもしれない。
「よし、行くか!」
俺は迷いなく、右の道を選ぶ。勘が一番だと考え、自信満々に歩いていった。
だが、その道は間違いだった。通路は行き止まりで、三匹のライオンが姿を現したのだ。
「クソ!こうなったら戦うしかない!」
俺は剣を抜き、ライオンに向かっていく。俺は身体の身軽さを利用し、素早い連撃を繰り出す。
何とか二匹は倒せた。あと一匹だ。この一撃、この一撃さえ決めればーー。
「……ぐぁぁ‼︎」
俺は誤って、剣を落としてしまった。そのままライオンに突進され、俺は後ろに倒れ込む。
剣を拾いにいこうとするが、剣はライオンの後ろにあり、拾いにいけない。するとライオンは、再びこちらに突進してきた。俺は立ち上がる暇もない。剣もない。もう、ダメだーー。
「せやぁぁっ‼︎」
後ろから声がする。直後、ライオンは後ろに倒れ込み、そのまま動かなくなった。
俺は上を見上げる。そこには、一人の女性が立っていた。
「あなた、大丈夫?怪我はない?」
女性はこちらを向き、俺に手を伸ばす。
「あ、大丈夫!一人で立てるから。」
俺はそう言い、何とか立ち上がった。
女性は長い黒髪を結びながら、こちらを向く。女性らしい可愛らしさと、何者にも屈しない様な勇敢な顔つきをしている。
「私は恵那。二十歳よ。あなたは?」
咄嗟に聞かれ、俺は慌てて答える。
「あ、俺は、奏。十八歳。」
恵那は優しい笑みを浮かべ、後ろを向く。
「奏君ね。覚えておくわ。なら、どこかで会えたらまたね。」
恵那はそう言い、一人どこかへ行ってしまった。
しかし、先程の剣術は何だろう。あのライオンを、たった一撃で倒してしまうなんて。
ふと、俺は腕時計を見る。時刻はまだ午後の四時だが、昨日長く探索をし過ぎた事もあり、さすがに疲れていた。
「はぁー。帰ろう。」
俺はそう呟き、バリナースへと帰っていく。
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