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俺と蓮太の剣が、激しくぶつかり合う。金属が擦れ合う鈍い音が、広場中に響き渡る。
「ヘッ!ガキが!とっととくたばりやがれ‼︎」
蓮太は俺の腹を蹴り、俺は後ろに下がる。その隙を突き、蓮太は俺に切りかかる。俺の右腕に、微かな切り傷が入った。
俺は右腕を押さえ、座り込む。だが蓮太は、俺に休憩する暇も与えずに、次々と連撃を繰り出してくる。
「くそぉ……負けるかぁ‼︎」
俺は剣を構え直し、再び蓮太に向かっていく。俺も連撃を繰り出すが、一発たりとも、蓮太に攻撃を当てる事ができない。
「お前、構え方がど素人だ!俺はガキの頃からずっと剣道をやってきてるんでね!今はもうやってねぇけど、剣道の基本形なら体で覚えてんだよ‼︎」
蓮太はそう言うと、俺に更なる連撃をしかけてくる。その剣技はとても素早く、俺の腕では、奴の速さについていく事ができない。
「胴ー‼︎」
蓮太が繰り出した攻撃は、見事に俺の腹に入った。ギリギリの所で後ろに下がり、喰い込みはしなかったが、俺の腹部には、派手に切り傷ができた。
「なかなかしぶとい奴だな!まぁいい。次で止めを刺してやるよ!」
蓮太は剣を構えるのに対し、俺は腹部を押さえ、座り込んでいる。その様子を見ていて、恵那は耐えられなくなった。
「お願い!もうやめて!これ以上続けたら、奏君、本当に死んじゃうよ‼︎」
恵那は叫ぶ。蓮太は下を向いていたが、ゆっくりと頭を上げ、恵那の方を向く。
「おい、恵那!今更何言ってんだ?お前が最初から、俺の恋人になってくれてたら、こんな事はしないで済んだんだぜ?このガキがこんな目に遭ってるのは、お前のせいなんだよ!」
恵那は蓮太の方を向いたまま黙り込む。興味本位で見に来ていた野次馬達も、この戦いの理由を悟り、悲しそうな表情で下を向く。
「わ……私のせいで、奏君が……」
恵那はそう呟き、膝を折りたたんで座り込む。
「おいおい、あんたの責任じゃねぇ!あの男が間違っている!恵那が落ち込む事なんてないぞ!」
涼一が恵那の肩に手を置き、慰める。
「……涼一の言う通りだ!恵那さんは悪くねぇ!全部こいつが悪りぃんだ!」
俺は立ち上がり、剣を構える。
「大体、恋人ってのは自分で選ぶもんだ!人から押し付けられるもんじゃない!蓮太!あんたはすでに、恵那さんにフラれてんだよ!」
俺は蓮太に向かってそう叫ぶ。その言葉を聞き、蓮太の顔色が変わった。
「んな事は分かってる!だがな、お前を殺せば恵那は俺のもんになるんだ!お前を殺せば、恵那は俺の恋人になるんだ!だから、さっさと死ね‼︎」
こいつ、何を意味不明な事を言ってんだ。だが、俺もここで引き下がるわけにはいかない。
俺は地を蹴り、蓮太に向かっていく。蓮太も、俺の方へと向かってくる。互いの剣がぶつかり合う。やはり、力は蓮太の方が上だ。
だが、俺も押し負けない。俺は更に、両腕に力を入れる。すると、蓮太は次第に押されていく。
「何⁉︎バカな!この俺が、こんなガキに押されているだと⁉︎」
そう叫び、蓮太も負けじと、両腕に力を入れてくる。
激しいつばぜり合いが続くが、俺は一旦蓮太から離れる。そして再び突っ込んでいき、右、左、縦と、素早い連撃を繰り出した。
俺は思い切り両腕を右に曲げる。そして、まるで野球のバットの様に、力の全てを注いで剣を振る。
「うおぉぉぉぉ‼︎」
その一撃は、蓮太の剣に直撃した。蓮太の手から剣が離れ、三メートル程先の所で音を立てて落ちる。そして俺は、剣の側面を蓮太の首元に添える。
「……俺の、勝ちだ!」
俺はそう叫ぶ。直後、蓮太は体から力が抜け、その場に座り込む。
「そんな……嘘だ……この俺が……この俺が……」
蓮太は下を向き、ぶつぶつと呟く。
俺は剣を鞘に収める。すると、恵那が走ってきた。
「奏君ー‼︎よかった!どうなるかと思ったよ!」
「あ、あぁ!何とか勝てたよ!」
俺は右手で頭を掻きながら、そう言った。周りを見れば、集まっていた野次馬達もどこかへ行ってしまっている。恐らく、朝食を食べにいったり、迷宮探索に出かけたりしたのだろう。
「……あれ?蓮太さんはどこに行ったのかな?」
恵那はそう呟き、周りを見回す。だが、蓮太の剣もすでになくなっていた。
「何か、悪い事したかな?」
「恵那さん!あいつは悪い奴なんだ!情けをかけちゃいけないよ!」
「奏の言う通りだ!」
恵那の言葉に対し、俺と涼一はそう言う。すると、恵那は俺達の方を向き、優しい笑みを浮かべる。
「そうね。あの人の事は、もう忘れよ。」
恵那は上を見上げ、そう呟いた。
迷宮探索とは全く関係のない戦いを終え、俺は再び、ゴールを目指して旅に出る。
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