もう1つの、血に宿る星の運命【凍結中】   作:ツキハ

1 / 2
プロローグ
木の葉は風に吹かれる


 

 

赤い花だ。

真っ赤な真っ赤な赤い花。

 

その中心に『いる』のは、人。

とても見慣れた、大切な人。

下らないことで笑いあった『友達』、それが花の真ん中にいる。

ジワジワと花は大きくなる、花が増えていく。

一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ…八つ

合計八つの赤い花、真ん中には必ずし大切な人。

少しずつ花は色褪せ、花弁が離れる。

 

あぁ、いつもの夢だ。

花が朽ちる夢。

みんなが枯れて落ち行く夢。

こんな夢見たくない、いやだ、やめて。

 

心の叫びとは裏腹に花は枯れる、みんな消えていく。

私から離れていく。

 

 

お願い、いかないで。

 

 

声は届かない。

 

 

行かないで。

 

 

みんなは笑う。

 

 

逝かないでよ……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パチリと、目が開いた。

少女はゆっくりと体を起こし、カーテンを開ける。

どんよりとした曇り空に対して、まるで自分の心の様だと思ったがその考えはごみ箱に捨てる。

そそくさと制服に袖を通し、『みんな』にもらったバンダナを着ける。

注意を受けるだろうが形見のようなものだ、外したくない。

 

さらりと、自身の金髪が視界で流れた。

ショートカットの髪の毛が自由にはねっぱなしなため、といっていいだろう。

時おり視界を塞ぐこの長さに、髪をのばそうかなどと考える。

……失恋などしたときは髪を切る。みたいな話が多いが切るほどの長さはないしそもそも失恋でない、気にせずともよいだろう。

 

「…あぁ、準備はできたか?***」

 

「できたよ***兄ちゃん」

 

玄関には少女よりも色素の濃い、日本人らしい黒髪の少年がボロボロのマフラーを巻いて制服姿で立っている。

この髪色で少女はクォーターだというのだから遺伝子が気になるものだ。

 

「バンダナ、着けるのか」

 

「………まぁね…

***兄ちゃんこそ、そのマフラー着けてるじゃん」

 

「…別、寒いだけだし」

 

「……そっか」

 

トントン、靴を履いて爪先を叩く。

二人の手には花束があった。

 

「いくか」

 

「…うん」

 

 

 

季節は、夏である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………**、ここで*されたんだよね」

 

「…警察の方々がいうには、そうらしい」

 

「…………全身、メッタ刺しだって」

 

「…あぁ」

 

廃れた神社の一角に、少年と少女は花を置いた。

ほんのりと葬儀独特の香が制服からただよっている。

表情はお互い、髪で見えなかった。

 

「……***と***は交通事故、***は階段から、

**は屋上からの転落。***は不明で**は首吊り…**が他殺」

 

「……どうした」

 

「…疫病神なのかなぁ、みたいな?

今のところ無事なのって、私じゃん?自分が原因なのかなって」

 

「オレだって無事だし、**ちゃんだって、**だって無事だ」

 

「**達は疫病神なわけないし、兄ちゃんもないから私っしょ」

 

「いやオレだ」

 

淡々と話すなか、視線は花からずれない。

 

「………もう****が居なくなって『二年』たったな」

 

「そう、だね」

 

バサリ、少年のマフラーが風になびく。

 

「…………ごめん、一人で帰らせて」

 

「でも「**ちゃんの側にいて、私より、辛いと思うから」………わかった。

…暗くなる前に帰ってこい」

 

「やだなぁ兄ちゃん、私もう中学生だぜ?

…………………いなくなったり、しないから」

 

「絶対だ」

 

「……絶対、だよ」

 

歩を返し少年はその場を立ち去る。

少女は、ただその場に立ち続けた。

 

雨が降り始めても、その場を離れなかった。

 

ようやく離れたのは、どしゃ降りになりはじめた頃で、髪も服もベッタリと肌に張りつき始めた頃だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は、誰も助けられなかった」

 

 

 

「側にいることも出来なかった」

 

 

 

「気づくことも出来なかった」

 

 

 

「私は、弱虫で意気地無しで臆病だ」

 

 

 

「そんな私にも、なれるのかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…『ヒーローさん』みたいになれるのかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なれるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

その日は、雨が降っていた。

 

 

 

 

 

 

 

………………

 

その日、一人の少女が『世界』から消えた。

 

しかし、気づかなかった。

少女の肉親以外、誰も気づかなかった。

 

少年は次の日から少女を探すようになった。

少女の祖父は自身の肩を触っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君は、『平行世界(パラレルワールド)』を信じるか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、あるイレギュラーな一族の物語である。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。