豊穣の女主人の上に何でも屋を開いた   作:フリーザ様

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労働と初任給

 

 

その日の夜。リアムがソファーで爆睡してる中、布団の中からリリはむくりと起き上がった。

 

「……………」

 

リリにとってはまたとないチャンス、この家から金を取り、少しでもファミリアから抜けるための糧にする。そう思って夜中に行動開始した。まず、目をつけたのは金庫、なんとも不用心なことに鍵が掛かっていなかった。

 

(ちょろ過ぎますね)

 

そう思うと、早速金を……と、金庫を開けた。だが、中にはパンとカップ麺しかなかった。

 

「っ⁉︎」

 

流石のリリも驚いたが、もしかしたらこの男は惚けてるだけで自分を警戒しているのかもと思い直し、別のところを探す。そのままタンスだの物置だの洗面所だのトイレだのを探すこと数時間後、

 

(な、何にもない……)

 

時間と体力だけ無駄に使ってしまった。

 

「な、なんなんですかこの家は……」

 

と、リリは思わず毒づいた。時間はもう午前の5時。そろそろ寝ないと、と思いリリは布団に戻った。

 

 

 

 

翌朝。リリが目を覚ますと、誰だか知らない人とリアムが話しているのが聞こえた。

 

(…………何?)

 

ふすまを少し開けると、リアムとエルフの冒険者らしき人物が話しているのが見えた。

 

(まさか、リリを売るつもりですか⁉︎)

 

そう思い、よーく耳を傾けた。

 

「だから頼む」

 

「わーったよ。道具一式はそっちで揃ってんだろうな」

 

「ああ。ある」

 

「じゃ、行きますか……」

 

言うと、リアムはリリの寝ている部屋に歩いてくる。

 

(ヤバイ……売られる!)

 

そう思い、リリは窓から逃げようとしたが遅かった。ふすまは開かれた。

 

「おい起きろリリ!……って、起きてたか。仕事だ」

 

「し、仕事ってなんのですか⁉︎」

 

「屋根の修理」

 

「…………は?」

 

 

 

 

ロキファミリア。そこにリアムとリリはいた。

 

「ほら、これが道具だ」

 

リアムにさっき話していた人物、リヴェリアが道具を渡す。

 

「いいか?私が魔法をミスったのが原因だ。周りのみんなにバレたらからかわられる。主にベートとかに。だから内密にな」

 

「ベートが誰だか知らんが、お前がちゃんと金払えば俺たちはやることやるよ」

 

「感謝する」

 

「で、穴はどこだ?」

 

「こっちだ」

 

リヴェリアはジャンプして屋根に乗った。

 

「脚立くらい出せよ……。リリ、ちょっと失礼」

 

「は、はい?」

 

リアムはボヤくと、リリを脇に抱えた。

 

「り、リアム様……?ひゃっ!」

 

ヒョイっと同じようにリアムは屋根にひとっ飛び。

 

「こっちだ」

 

「おー」

 

何なんだこの人達と思いながらもリリは屋根の修理を始めた。で、リヴェリアが指差した先にはそこそこ大きい穴があった。

 

「おいおい、これやっぱ大工とかに頼んだ方がいいだろ……」

 

「そしたら内密に出来んだろう。もちろん私も手伝うし、報酬はキチンと出すから頼む」

 

「へいへい。リリ、やるぞ」

 

「は、はい……」

 

そのまま、三人で屋根修理。トップファミリアの一人と、なんかよくわかんないチンピラみたいな人が揃って屋根を修理している絵は、リリから見たらすごくシュールだった。

と、思いつつもちゃんと仕事もこなすリリ。真面目にやらないと、理不尽に怒られると思ったからだ。で、その日をまるまる使って屋根の修理を完了した時には、夜になっていた。

 

「ふむ、ご苦労だったな」

 

言いながらリヴェリアはリアムに封筒を渡した。

 

「サンキュー。じゃ、俺帰るわ。またなんかあったら言えよ」

 

「ああ」

 

リヴェリアと別れ、リアムとリリは変える。

 

「その、リアム様」

 

「あん?」

 

「意外と真面目なんですね。お仕事の時は……」

 

「ああ。まぁな。こういう時に真面目にやらないと次に繋がらないからな」

 

「次、ですか?」

 

「ああ。何でも屋に客なんて滅多にこない。だから、少しでも評判上げて、また次にも頼ってもらえるようにしないといけないんだ」

 

「……………」

 

で、二人は家に着いた。リリにリアムは「んっ」と金の半額を渡した。

 

「? これは……?」

 

「初任給だから半額な。次からは6:4にすっから」

 

「り、リリがもらってもいいんですか?」

 

「え?いらないの?」

 

「いえ、いりますいります!」

 

慌ててリリは金を受け取った。

 

「あ、ありがとうございます……」

 

その日からリリは、この人の物を盗るのはやめようと思った。

 

 

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