で、居間。
「ロキ、帰ったぞ」
「おお、お疲れはんリヴェリ……アァ⁉︎なんでお前がここにいるん⁉︎」
ロキはリアムを指差した。
「むっ、知り合いなのか?意外と顔が広い奴だなお前は」
リヴェリアに言われたが、リアムはきょとんと首をかしげる。
「………だれ?」
「なんや!うちのこと忘れたんかい!あんな暴言吐きおった癖に!」
「悪ぃな。男の顔覚えるのは苦手なんだ」
「なんやと!人のこと無乳と呼んどいて……今なんて言うた?」
「悪ぃな」
「その後」
「苦手なんだ」
「その前!」
「顔覚えるのは」
「も少し前!」
「の」
「もう一歩!」
「こ」
「区切りすぎや!」
「男?」
「はい正解!」
イライラしながら正解発表するとロキは言った。
「だぁれが男や!うちは立派な女や!」
「そんな男前な胸張られても説得力ねーよ。なに、もしかしてそっち系?」
「そっち系っつーか生まれた時からそっち系!」
「天性のおねえってこと?」
「天性の女ってことや!こんの……ほんまの罰当たりのクソガキがぁッ‼︎うちのどこを見たら男に見えるんや!」
「胸」
「だけやろ⁉︎」
「後は……胸かな。後ほら、胸だよ。それに胸とか。後ほらあれだよ。胸板とおっぱいと大胸筋」
「おい、やめてやれ何でも屋」
リヴァリアがリアムの肩に手を置いた。見れば、ロキは反論する事もなく泣いていた。
「…………もうええ。うちが死ねばええんやろ」
「落ち着けロキ。ほらお前も謝れ」
「ごめんね」
「口だけ謝るにしても程があるぞ。………仕方ない」
するとリヴェリアは一度居間を出た。そして、連れてきたのはアイズだ。
「………どうすればいいの?」
「とりあえず元気付けてやれ。何でも屋、お前は立ち直るまで外にいろ」
「うーい」
「アイズ、これを酌してやれ」
リヴェリアは買ってきたソーマの酒を渡した。そんなわけで、一向に話は進まずにリアムは追い出された。
○
(暇だな………)
待ってる間、退屈になった。何かしらしようと、リアムは頭の中でしりとりを始めた。それが498回続き、ラスベガスバーガーの次の「あ」を考えてると、「見つけたぜ!」「見つけたよ!」と声がした。
「あ、さっきのセロリとロードローラーの通り道」
「どこまで失礼なこと言えるの⁉︎」
「というか俺のどこがセロリだコラァ!」
「いや、なんというか……声質?」
なんて一幕はともかく、二人はリアムを指差した。
「「勝負しろ!」」
「嫌だ」
「ふざけんな!人を散々バカにしといて嫌でも付き合ってもらうぜ!」
「そうだよ!人のコンプレックスを笑うなんて最低だよこのクソもやし!」
今更だが、リアムの身体は細い。その体のどこからその力が出るの?ってレベル。しかし、ティオナは今、言ってはならないことを言った。
「おい、今なんつったコラ」
「ん?もやし?」
「訂正しろコラ」
「なんだよー!もやしもやしもやしもやしもやしー!」
「てんめっ!このまな板塗り壁断崖絶壁ストレート!」
「棒人間!」
「真っ直ぐ!」
「針金!」
「カンナ掛けた木材!」
「シャー芯!」
「RJ!」
「爪楊枝!」
「少年の胸!」
「グスッ……傘のほねくみぃ……」
「グズッ……2D……」
(泣いちゃったよ………)
ベートは気まずかった。すると、ガチャッと扉が開いた。リヴェリアが顔を出した。
「さっきから騒がしいぞ。何ご……ベート、何をした」
「いや俺の所為じゃねぇよ⁉︎」
○
さらにリアムとティオナを泣き止ませて、1時間経過、もう夜になってしまった。ようやく物語を進められる。
「で、なんや?うちに聞きたいことって」
「ソーマファミリアのことだよ」
ロキとリアムが話し始めた。ロキの後ろにはアイズとリヴェリアがが控えている。で、ロキがソーマをコップに注いだ。
「ほれ」
「あ、どうも。……いいのか?」
「構わん構わん。客人だしな。それで、ソーマファミリアの何を知りたいん?」
「俺がしばらく調べた結果だと、精々あいつらがヤケに殺気立ってることしか分かんなかったから、その理由を聞きたいんだ」
「ふむ……なるほど。ええよ、ちょっとは口滑らせたげる。あのアホはなぁ、まぁ完全な趣味神やな。酒を作るのが趣味なんや。それだけが絶対唯一の趣味、でもその酒を作るのにも金が必要、だからソーマはファミリアのメンバーにノルマ資金を持ってこさせ、持ってきた奴に完成品の酒を与えてるってわけや」
「それで、殺気立ってるわけか……。でも、そんな美味いのか?」
「飲んでみ。それ」
言われて、リアムは酒を一口含んだ。
「うまっ」
「なんやその熱々のラーメンをボーッとしながら食って『熱っ』みたいな反応……」
「いや、マジそんなレベルで美味いなこれ」
「まぁ、それでも失敗作なんや」
「えっ?」
「完成品はそんなもんやない。それこそ、どんな手を使ってでも飲みたくなるような感じや」
「ほとんど麻薬じゃねぇか……」
「ま、うちが知っとるのはこんなもん。他に知りたいことはあるん?」
「いや、大丈夫。サンキューな」
そう言うと、リアムは立ち上がった。
「待ちい。ソーマ飲まんのか?」
「あ?俺はいいよ。そんな酒強くないし」
「そう言わんで。一杯くらいええやろ」
「じ、じゃあ……」
リアムはくいっと飲み干した。瞬間、後ろに倒れて爆睡した。
「なんでや!」
ロキがツッコんだ。
「さっきは平気だったやろ!」
「彼、お酒弱いみたい」
アイズが落ち着いて言った。確かに顔は真っ赤だ。
「ふむ、確かにそうみたいだな。完全に酔いが回っている」
リヴェリアが冷静に言った。
「ったく……まぁ、今日くらいは泊めてやってもいいだろう」
「そうだね。じゃあ私の部屋に泊めてあげるね」
「「えっ」」
リアムの頭を撫でながらアイズが言うと、ロキとリヴェリアは声を漏らした。
「な、ななな何を言ってるんやアイズたん!うちと寝たことすらないのにそんなこと許さへんよ!」
「そ、そうだアイズ!天下の剣姫ともあろう者が男と一緒に寝るのはダメだ!」
「………なんで?」
「天然なアイズたん萌えええええ!」
「言ってる場合か!とにかくダメだ!」
「じゃあリヴェリアお願い」
「わ、私か⁉︎」
「うん。お願い」
「わ、分かった……」
気が進まないながらも、リヴェリアは頷いた。
○
(とは言ったものの……)
ベッドの中。リヴェリアとリアムは同じベッドで寝ている。
(眠れない………)
隣ではリアムが寝息を立てている。ふと寝顔を見てみた。
(………そういえば、何歳なんだろうか)
顔立ちや身長的に見て、まず二十歳以下だろう。というかもっと幼く見える。この前、ミノタウルスの件で迷惑をかけた少年と同じくらいに見えた。だが、寝顔だけ見たらそれ以下な気もする。
(っと、人の寝顔をジロジロ見るものではないな)
そう思うと、リヴェリアも目を閉じた。その時だ。
「んっ……」
ゴロンとリアムが寝返りを打ち、抱き付いてきた。
「っっっ⁉︎」
顔が真っ赤になるリヴェリア。
「お、おい!何のつもりだ!」
「んっ……アーニャ、てめっ……いちご取るな殺すぞ……」
「な、なんの夢だ⁉︎」
そのままギューっと締め付けてくる。顔が真っ赤になる。思考が回らない。視界がグルグルする。
「い、いい加減にしろーっ!」
部屋が一つ爆発した。