豊穣の女主人の上に何でも屋を開いた   作:フリーザ様

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依頼と迷宮の武器庫と謝罪

 

 

翌朝。リアムとリヴェリアは寝ないで二人で部屋の修理。ようやくそれが終わった所だ。

 

「なんで俺まで……ったく、」

 

「すまん」

 

「いや別にいいよ。金さえくれれば」

 

「結局金か!………いや、文句を言えた立場ではないな」

 

と、リヴェリアは思い直した。

 

「まぁ俺への慰謝料と治療費と修理の依頼費込みで3万で許してやるよ」

 

「治療費って、どこも怪我してないだろう……」

 

そんな会話をしながら直してると、ティオネが上がってきた。

 

「お疲れ様。リアムくん」

 

「あ、どうも。えーっと、胸無しのお姉さん?」

 

「そうよ。はい、ロキが持ってけって」

 

言われて渡されたのはおにぎりの入ったバスケットだ。

 

「ああ、サンキュー」

 

「いえいえ。昨日は妹が泣かせちゃったみたいでゴメンなさいね」

 

「いえいえ。俺も泣かし返したので」

 

「じゃ、またね」

 

そのままティオネは去って行った。

 

「さて、じゃあ俺はそろそろ帰るわ。すぐに仕事だし」

 

「そうか。すまないな」

 

「じゃあな」

 

言うとリアムは金だけ貰って出て行った。

 

 

○

 

 

自分の家に戻ると、ちょうど依頼の男が来ていた。

 

「よう」

 

「おお。ちょうど良かった。そろそろあのクソパルゥムの居場所が分かったんじゃねぇかって思ってな」

 

言われて、リアムはニヤリと笑った。

 

「ああ。何処にいるかは分からないが、一人の男をマークしてりゃすぐに掛かるよ」

 

「だれだ?そいつは」

 

「白い髪の男だよ。そいつを尾けてりゃセットで付いてくる」

 

 

○

 

 

依頼人の男は金を払うと去って行った。リアムはその背中を見もせずに自分の部屋に戻った。中には人がいた。

 

「あ?ヘスティア?」

 

「あっ、リアムくん。朝から君はどこへ行ってたんだ?」

 

「ロキファミリア。なんか用か?」

 

「ろ、ロキぃ⁉︎……いや、まぁこの際それはいい」

 

「あ?」

 

「依頼があるんだ」

 

 

○

 

 

ヘスティアは帰った。

 

「ったく、どいつもこいつも……」

 

ヘスティアの依頼は、「ベルを助けて欲しい」との事だ。自分は別の事で動く予定だった。

今回の件、リアムは調べたことを統計すれば全部分かっていた。リリが何回も冒険者をカモにしていたこと、今もベルをカモにしていること、理由はソーマファミリアを抜けるため、そしてそのファミリアの冒険者から酷い目に合いながらも何度か詐欺っていたこと、酷い目に合っていた理由は、冒険者達は酒のためにリリをこき使っていたこと。

 

「どうしたもんかね……」

 

思わずため息をついた。

 

 

○

 

 

翌日。リリとベルは10階層に向かった。

 

「ここからですよベル様。気を引き締めましょう」

 

「うん……!」

 

ここからはあのミノタウルスも出る。ベルは頬に汗を流しながら、10階層に足を踏み入れた。

 

「………早速お出ましみたいですよ」

 

「えっ?」

 

リリの視線の先にはオークの群れがいる。ベルは緊張気味に唾を飲み込んだ。

 

(オークにビビってちゃだめだ。ここから先は、あのミノタウロスだって出るんだ)

 

そう心の中で呟くと、リリにもらった短剣を持って走った。オークはその辺の木を引っこ抜いて、棍棒へと成り変えた。オークの攻撃をベルは躱し、すれ違いざまに横っ腹を切り裂いた。そして、背中からさらに右足を斬りあげ、オークが怯んだ所でとどめを刺した。

 

「ベル様!もう一匹来ました!」

 

「!」

 

殺したオークからすぐに顔を上げ、次の獲物に向かう。

 

「ファイアボルト!」

 

『ブゲェエアアアアアッッ‼︎‼︎』

 

「ファイアボルトッッ‼︎」

 

連射した。それによってオークをまた撃破。

 

「リリ。やったよ、ぉ……」

 

と、安心したようにリリの方を見た。だが、そこにリリの姿はなかった。

 

「リリッ⁉︎」

 

一気に安心感が消えた。辺りを見回すが、リリの姿はない。どこに行ったのか、モンスターにやられたのか、不安が一気に心を埋め尽くす。

 

「リリ……!リリッ!」

 

「な、なんですか?ベル様?」

 

ひょっこりリリが顔を出した。そのリリの肩をベルが掴んだ。

 

「リリッ!どこに行ってたの⁉︎」

 

「い、いえ、それが……少し霧が濃くて……」

 

「良かったよぉ……リリぃ……」

 

涙目になってベルは、リリの前で膝を着いた。そして、リリは思った。この人は、リアムの言う通り、本当に他の冒険者と違うのだと。

 

「………ベル様」

 

「何?リリ?」

 

「お話しなければならない事があります」

 

 

○

 

 

8階層から7階層に続く階段。そこでこの前のお得意さんの冒険者は待機していた。

 

「さっさと来やがれクソパルゥムが……」

 

「そのクソパルゥムなら来ないぜ。クソ冒険者」

 

「⁉︎ て、テメェはッ、何でも屋……⁉︎」

 

リアムが目の前に立っていた。ドサドサドサッと、縄で拘束された冒険者が三人、前に倒れ込んで来る。

 

「か、カヌゥ!お前ら……‼︎」

 

恐る恐るリアムを見る冒険者。

 

「別に、テメェが何処で悪たいつこうと構わねぇし、ついでにそこの三匹が酒のために何をしようと、俺の知ったこっちゃない。けどな、」

 

そこで、リアムは言葉を切り、その辺に落ちてる木の枝を拾い上げた。

 

「俺が抱えた仲間に手ェ出したら、まぁ、なんだ。少なくとも無事では済まさねぇ」

 

その拾った枝が、形を変えてウッドソードになった。

 

「⁉︎ そ、それは『迷宮の武器庫』⁉︎」

 

迷宮の武器庫とは、ダンジョンがモンスターに提供する武器だ。ダンジョンにあるものをモンスターが握れば、それは武器へと形質を変える。だが、それ故にモンスターにしか反応しないはずだ。

 

「て、テメェ一体……⁉︎」

 

答えることなく、リアムはウッドソードを振り下ろした。

 

 

○

 

 

「……と、いうわけなんです。ベル様」

 

「……………」

 

リリは、今までのことをベルに全て話した。

 

「リリは……リリは悪いパルゥムです。本当はさっきだって、ベル様を見捨てて逃げようとしました……。でも、逃げようとしたときに、リアム様が目の前にいたんです」

 

「リアムが?」

 

「はい。そして、リアム様に『あの馬鹿はアホで能天気で泣き虫で不器用で騙されやすくて最年少オレオレ詐欺被害者になりそうな奴だが……』」

 

「あんにゃろ……」

 

「『根は真っ直ぐだから、絶対に人の事を裏切らない奴だ。だから、一回くらい信じてみろ』って……」

 

「………!」

 

「だから、だから……ごめんなさい……ベル様……。もう、しません……ですから、また一緒にダンジョンに、連れて行ってくれますか?」

 

リリは俯きがちに尋ねた。ベルはそれを見て、数回瞬きした後、にっこり微笑んで言った。

 

「もちろんだよ、リリ」

 

「………ありがとう、ございます……」

 

リリは、俯きながら涙を流した。

 

 

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