豊穣の女主人の上に何でも屋を開いた   作:フリーザ様

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家賃と喧嘩

 

 

何でも屋前。

 

「クソガキャア!一度しか言わないからよぉーく聞きな!家賃を今すぐ持って来なァ!」

 

と、ミアの声が何でも屋の中を響き渡る。それを、窓からこっそり脱出し、屋根にぶら下がりながらリリとリアムは聞いていた。

 

「……ふーん、じゃあヘスティアに許されたわけだ。良かったな」

 

「いえいえ、リアム様のおかげですよ。それより、どうすんですか。ミア様かなり怒ってましたよ。大体、先月の家賃は払ったし、今月の家賃はチャラになったんじゃないんですか?」

 

「先々月の分を上手く躱したことに今更気付きやがったんだよあのババァ。もううちには食費しか残ってねえ。今家賃を払うのは生命線を断つことに等しい」

 

「それリリとばっちりじゃないですか!」

 

「うちに住んでる時点で同罪だ。文句言うな」

 

「嫌ですよ!今日はベル様とダンジョンに行く予定があるんですから!すでに待ち合わせ時間を五分も過ぎてるんですよ⁉︎」

 

「遅刻が確定した時点で何時間遅れようが同じだ」

 

「同じじゃないですよ!」

 

「デッケー声出すんじゃねぇよ!バレんだろうが!」

 

「リアム様の声の方が大きいですよ!」

 

「どっちも五月蝿いですが」

 

頭上から冷静な声が聞こえた。上を見ると、屋根にリューが立っていた。リューは木の槍のようなものを二人に突きつける。

 

「「………………」」

 

「投降しなさい」

 

「「……………はい」」

 

 

 

 

で、店の中。リリは雑巾掛け、リアムは皿洗いさせられている。

 

「先々月の分、ちゃんと働いてもらうからね」

 

「あの、なんでリリまで……」

 

「上に住んでるんだろう?だったら同罪さ」

 

その理屈が理解できないリリだった。

 

「諦めろリリ。お前はよくやったよ」

 

「あんたにいわれたくないですよ!」

 

すると、店の扉が開いた。

 

「あの、おはようございます。リリはいませんか?」

 

ベルがやって来た。

 

「ベル様!」

 

「リリ、何やってるの?」

 

「いえ、それが……。そこの人の家賃の支払いの所為で……」

 

「ああ、なるほど……。良かったよ、またソーマファミリアの人たちに何かされたのかと思った」

 

「ベル様……心配いりませんよ。リアム様がいますから」

 

「そっか……。それもそうだよね。それで、今日はダンジョンいけるのかな?」

 

「えーっと……」

 

チラッとミアを見るリリ。

 

「行っといで。あんたは本来、サポーターだろう?」

 

言われて、リリは「ありがとうございます!」と出て行った。その二人の背中を眺めるミアにシルが言った。

 

「ミアお母さん」

 

「なんだい」

 

「リアムも逃げたよ」

 

「………………」

 

 

 

 

どっかの定食屋。

 

「ふぅ……助かった。ベルのお陰だ。今度なんか奢るか」

 

なんて考えてるリアムの前に、「おまちっ」と唐揚げ定食が出された。それをもっさりもっさりと咀嚼するリアム。

 

「おいおっちゃん。いつもの」

 

「あいよ」

 

リアムの隣に一人男が座った。

 

「あん?」

 

「あっ」

 

「…………」

 

ベートだった。

 

「なんでテメーがここにいんだよ。ここはお前みてぇな真っ白シロスケが来ていい所じゃねんだよ」

 

「それはテメーだろクソガキ。酒二口で潰れるようなガキが定食屋なんて百年早ぇ」

 

「萌え度ゼロの獣耳に言われたくねんだよ。どーせお前なんてラーメン屋とかファミレスより定食屋に来た方がなんか大人っぽいとか中学二年生が考えそうな理由でここ来てんだろ?」

 

「そういうお前こそ『なんか定食屋って健康に良さそう』みたいな浅はかな推測でここに来ただけだろうが健康オタク。そんなん外で食ってる時点で大してどこも変わんねーから。わかったら右向け右して早くご退店願えますか」

 

「退店して欲しいのはテメェの方だチンピラみてぇな下品な面晒しやがってよ。はいトラップカード発動、強制脱出装置。手札にお戻りください」

 

「ざーんねーん、神の宣告発動〜。俺のライフ半分にしてそれ無効〜」

 

「なら俺も神の宣告で無効〜」

 

「なら二枚目の神の宣告で無効〜」

 

「残念でした〜神の宣告は制限カードです〜」

 

「おい」

 

店主のおっさんが口を挟んだ。あん?と二人はそっちを見た。

 

「他の客が怖がってっから帰れ」

 

追い出された。

 

 

 

 

店の前。ベートがリアムにメンチを切りながら言った。

 

「おい、テメーのせいで飯食い損ねたじゃねェか。どうしてくれんだコラ」

 

「知らねーよ別の店で食えばいいだろそんなことも思いつかねーのかカス」

 

「俺はテメェみてぇな半ニートと違って暇じゃねんだよ。忙しいんだよ」

 

「誰がニートだオイ。テメェとは一度拳で語り合う必要があるみてぇだな」

 

「上等だよオイ」

 

お互いに指をゴキゴキと鳴らしながら、近付く。で、お互いにニヤリと笑ったとき、ガシッとリアムの頭が掴まれた。

 

「あん?」

「えっ?」

 

二人一緒に声を漏らした。恐る恐るリアムは後ろを見ると、リューが後頭部を握っていた。

 

「みーつけた」

 

「り、リュ……」

 

ゴガッ!と地面に頭を叩きつけられた。

 

「ゴァハァッ!」

 

「連行します。仕事をサボった罰でミアお母さんがケツバット百発と仰っていました」

 

「オイィ!それやばいやつ!数日間立てなくなるやつ!」

 

「知りません」

 

そのままリアムは連行された。

 

「ケッ、ザマァ見やがれクソチビが」

 

と、ベートは吐き棄てると、別の店に向かおうと振り返って歩き出した。が、目の前にはアイズが立っていた。

 

「あ、アイズ……⁉︎」

 

「ベートさん。また喧嘩しようとしてましたね?」

 

「い、いやその……」

 

「してましたね?」

 

「はい、してました……」

 

「団長に報告します」

 

「ま、待てアイズ!俺が悪かった……!」

 

引き分けだった。

 

 

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