翌日。
「……ート。……ベート起きろ。おいベート!」
フィンに起こされた。
「………あぁ?なんだよリリ……今日は仕事オフって言ったろ……」
「誰がリリだ!起きろベート!」
「……何、もしかしてまたババァが家賃取りに?じゃあ俺しばらくドロンするわ」
「家賃って何の話だ!いいから起きろ!遠征の時間だ!」
「いいっていいって。集団行動なんていずれ廃れる文化なんだから、俺ァ後から行くからとりあえず二度寝させろ」
「そうはいかないんだよ!早く起きろ!みんな、待ってるんだぞ!」
「別に待ってなんて言ってないも〜ん」
「子供か!いいから起きろ!怒るし怒られるぞ!」
「しつけぇんだよ。俺が怒るぞ」
「何それ逆ギレ⁉︎」
いいからベッドから降りろ!ベートだけに?ぷっ、うるせー!などとやりとりはしばらく平行線を辿り、30分後、ようやく起きた。
「ふわあぁぁ……うーい、お待たせ〜」
呑気な大欠伸と共にリアムは集合場所に来た。
「ベート遅いぞ〜!アイズに嫌われちゃうぞアホ獣人!」
いつものように絡んでくるティオナ。
「うるせーよペタゾネス。魅力マイナス50%はお口をミッフィーちゃんにしておとなしく体育座りしてなさい」
「んなっ……誰がペタゾネスよ!」
「朝からデケェ声出すんじゃねーよ。よしじゃあ行こうか」
ハナクソをほじりながらリアムは出発を命じた。すると、フィンがリーダーとして全員の前に立ち、挨拶をする。
「それじゃあみんな、今回こそは最深層まで到達できるように……!」
と、演説が始まる中、リアムは冒険者の群れの中に混ざると、大きく欠伸した。その様子をジーッと見るアイズにリヴェリアが耳打ちした。
「な、なぁ。あいつあんな、ボケーっとした顔してたか?」
「………さぁ、でもなんか、ベートさんじゃない気がする」
「しかし、どこからどう見てもベートだよな……」
「……………」
そんなこんなで、ダンジョンに出発。ベートはフィン、アイズ、リヴェリア、ティオネティオナ、レフィーヤと一緒に行動している。
で、10階層くらいに来た時、モンスターが何匹か現れた。
「……出たぞ!」
オークやら何やらが複数現れる。
「よーっし、やるぞぉー!」
ティオネやらティオナやらが突撃していく中、リアムは大きく欠伸をすると、もっさりもっさり歩き出した。
「何をしてるベート!遅れてるぞ!」
「うるせーな緑色。ベートさんが手を下さずともお前らならやれるだろ?」
「どんだけ上から目線⁉︎」
「いいからベートさんの手を煩わせるな。お前らなら俺はやれると信じてる」
ウンウンと頷いてると、ほんとに全滅した。
「ねぇベート、あんた本当にどうしたの?らしくないわよ?」
ティオネに言われた。
「そうだよ。今日のベートさんはいつもとひとくせ違うんだよ。でも、ベートはベート、お前らはお前らだ。俺はお前らなら何でもやれると信じてるぜ」
「何言ってんだお前」
「いいから早く帰ろうぜ〜。僕ちゃん疲れちった」
「何もしてないだろうが!」
もっともなツッコミが返ってきた。
○
その頃、何でも屋。
「………することねぇ」
ベートはぼんやり天井を見ていた。すると、ピンポーンと呼び鈴が鳴る。
「お?仕事か?」
そう思って玄関に向かった。ガララッと扉を開けると、ベルが立っていた。
「あ、リアムくん。出迎えてくれるなんて珍しいね」
「ああ⁉︎あの時のトマト野郎!」
「へ?トマト?」
「はっ、しまっ……!」
(しくった……!というか、出迎えるのって珍しいのか?あいつどんな接客してやがんだ?)
そう思いながらも、咳払いをする。
「ウゥン、なんでもねぇ。それより何の用だ?」
「リリはいる?」
「リリ……?ああ、あのチビのサポーターか。いるぜ。待ってろ」
「えーその前にいつものアレやろうよ」
「アレ?」
「ウノ」
(こいつはダンジョンに潜る前に何をしてやがんだ!)
会心のツッコミだったが口に出来ない。あと、ベートはウノ、超弱い。
「今日くらいはいいだろ別に。今からそのビビ?呼んでくるからよ」
「リリだよ」
で、ベートは面倒くさそうにリリを呼んだ。
「オラチビ。白いのが来たぞ」
「へ……?今日はやらないんですかウノ?」
そう言うリリはウノの準備を済ませていた。
「オメェもかよ!いいから白いのとダンジョン行ってこいバカ!」
「は、はい……」
リリは渋々家を出た。ベルが出掛ける直前、ベートに言った。
「あ、リアムくん!今日、レベル2になったお祝いしてくれるんだって!だから来てね!」
「は、はぁ⁉︎なんで俺が……!」
「来ないとミアさんが殺すって!」
「………チッ、仕方ねぇな」
そのままベルとリリは元気良く出掛けて言った。