44階層。リアムはそこで壁に激突して目が覚めた。
「いってぇな……あ?」
ぶつかったのは壁じゃなかった。フレイムロックというモンスターがいた。
「ふおおおおおおおッッ‼︎⁉︎」
ビックリして思わず悲鳴を挙げるリアム。
「見つけたァッ!」
さらに後ろからティオナの跳び蹴り。後頭部に直撃した。
「いってぇな!何すんだよ!」
「こっちの台詞だよ!どんっっっだけ寝相悪いのよあんた!」
「あ?ここどこ?」
「44階層!」
「うおっ、流石にここまでは来たことねぇな」
「はぁ?何言ってんの?毎回来てるじゃん」
「や、そういうことじゃなくてだな……ま、いいか」
説明を放棄すると、そのリアムはくあっと欠伸をする。すると、そのリアムにフレイムロックが横から殴り掛かった。拳が顔面に直撃し、ほっぺがムニッとなる。鼻血がツーッと垂れた。
「だ、大丈夫?ベート……?」
「……痛い」
「だろうね」
「いい歳して鼻血出ちゃったよ」
言いながらリアムは横のフレイムロックに手刀を放った。ドグァッと直撃し、頭部に一撃かました。だが、首に手刀が減り込んだ所で止まった。
(硬ェなオイ)
急いでフレイムロックの胴体に回し蹴りを決め込み、吹っ飛ばした。すると、ビキッと手刀を放った手に痛みを感じた。
(………マジかよ)
更に、後ろにフレイムロックの群れが続いている。
「ティオナ、これ……ヤバくね?」
「そだね……さすがにこの数二人は……」
「でもさ、逆境って少年漫画の基本だよな」
「は?」
リアムはニヤリと笑うと、ティオナがゾッとするほどの殺気を出した。
「BGMはバクチ・ダンサーか現状ディストラクションで頼む」
「あ、あんた何言って……」
「アムロ、行きまーす!」
「ち、ちょっと、ベートー!」
リアムはフレイムロックの群れに突っ込んでいった。
○
「らしくない真似をしたね、ベート。覚悟は出来てるな?」
身体中を怪我したリアムは、ティオナに包帯を巻かれながらフィンに叱られていた。結局、あの後フレイムロックは全滅させたが、他のモンスターの群れも出現、さらに挑もうとしたリアムの襟をティオナが掴んで引きずって逃げてきた次第である。
「はい、終わったよ駄犬」
「あ?黙ってろペタゾネス」
「ペタゾネス言うな!」
いつもより反論が少ない。ティオナは顔を若干赤くしながらリアムを見た後、逃げるように小走りに去って行った。で、今はフィンとリアムの二人だけ。
「で、ベート。最近のお前はどうしたんだ?本当になんだからしくないぞ」
「いいだろ別に。人は日々変わっていく生き物なんだよ」
「数日で1ヶ月分は変わったぞお前」
「成長期だよ」
「幼虫から蛹すっ飛ばして蛾になったな」
「あれ?なんで蛾なんだろ」
「真面目な話、お前は本当にベートか?」
問い詰めるようにフィンは聞いた。
「違うよ」
「しらばっくれても……アレ?」
「ぶっちゃけ、隠し通せるものでもなさそうだし、この際だから言わせてもらうわ。その代わり、他の奴には言うなよ」
「あ、ああ。何者だ?お前は」
「実はな………」
そこで言葉を切り、リアムは緊張気味に言った。
「俺は、イマジンなんだ!」
「……………」
空気が凍った。と、思ったらフィンが剣を抜いて振り下ろす。それをリアムは掴んだ。
「………ほらな」
「はっ?」
「残念だが、ベートは僕の剣をそうやって掴むことは出来ない。君がベートではない証拠だ」
「……………」
「何者だ?少なくともベート以上の実力の持ち主か。何を企んでいる?」
「………怒らない?」
「場合によるな」
で、リアムはため息をつくと、ファンの腕を引っ張って周りに見えないところに移動した。
「………実はな、入れ替わっちまったんだよ」
「…………はっ?」
で、リアムは大体のことを説明した。
「………なるほどな。ブツかった所で入れ替わったと」
「ああ。俺は来たくなかったけど、ベートが周りに迷惑かけられないからって言って……」
「………はぁ。君も君だが、ベートもベートだ。何故早く言わない?」
「だってお前、仮に俺がそう言ったところで信じたか?」
「………確かに、にわかには信じがたいか」
「それに今回は……へ、へ……ヘラクレスオオカブトファミリアと合同なんだろ?」
「ヘファイストスな。まぁ、確かに他のファミリアには迷惑かけられないが……仕方ないな。今回は許してやる。けど、これから戦闘は控えろよ」
「へっ?な、なんで?」
「ベートのステイタスに関わるからだ。リアムがベートの体で暴れ過ぎるとベートのステイタスは大幅に上がりかねないし、下手をすれば知らないうちにレベルアップ何てこともあり得る」
「あー……了解」
「あと、不安を煽らないために他の者にはこの件は内密にする。だから、呉々もベートらしくしておけよ」
「あーい。じゃ、俺ちょっとウンコしてくる」
「人の話聞いてた?」
フィンにバラした。