「反魂法」をググって頂ければ元ネタがわからないと思います。

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死を覆してはいけません。

 高校生になった今、思い返してみれば、あの時に起きたのは何だったのだろう。そんなことを私、鈴來灯は思う。

 子供の頃、なんて言えば高校生の私はまだ子供だとかそんなことを言う人間がいるけれど、それでも幼稚園や小学生の頃というのは、やはり子供の頃なのだ。

 あの時に起きた、不思議なことは、もうお母さんも覚えていないけれど、私はハッキリと覚えている。絶対に話そうと思わなかったけど、どうして私は今、目の前の同じ学校の生徒この教室で話しているのだろう。

 

 あれは確か、幼稚園の年長だった。私にはとっても仲の良い友達がいた。黒髪の綺麗な女の子だった。その子の名前は――あんまり、話題に挙げたくないので伏せさせて欲しい。そうだな、とりあえずBちゃんとでも言おうか。

 私とBちゃんは家が隣同士で、ずっとずっと遊んでいた。お互いの両親が共働きで、夜も両親がいない日がお互い別々にあって、その日はお泊りをしたりと、私とBちゃんはもうほとんど家族のような関係だった。沢山遊んだけれど、特にお人形遊びは沢山した。私は青い髪の男の子の人形を持っていて、Bちゃんは金髪の女の子の人形を持っていた。恋人ごっこだとか、色々と二つのお人形で色々なシチュエーションを作って、楽しく遊んでいた。手が上下にしか動かない人形でヒーローみたいな感じも多かったと思う。

 でも、ある日、Bちゃんと私がどうやら違う小学校に行くらしいと、それもBちゃんは遠くに引っ越さなければならないらしいと聞いた。私もBちゃんも、とても悲しくて沢山泣いて、そうして最後の日であり最期の日に、お互いのお人形を交換して、またいつか会えたらお人形で遊ぼうね、と約束した。

 その日、不運にも飲酒運転で信号無視をした車が、Bちゃんの家族が乗った車に突っ込んでしまい、一家全員は亡くなってしまったらしい。翌日ニュースでそんなことを聞いて、嘘だと信じて最後の幼稚園に行って、先生から改めてその事実を告げられて、その時になってようやく私は号泣した。大泣きだった。

 そのまま小学生になって、Bちゃんのことを忘れられずに、引きずったまま私は暗い子になっていた。いや、まぁ、今も暗いんだけど。ともかく、お母さんやお父さんも私を心配して、私の部屋をくれた。鍵の掛けられる私の部屋にはBちゃんと交換したお人形を大事に置いていて、パソコンもあった。心のどこかでBちゃんが死んだことを受け入れられずに、生き返るんじゃないかとか、そんなことを思っていた。そんな恐ろしいことを思っていた。

 だからなのだろう。小学生の頃からパソコンばかりするような人間になっていたある日、『反魂法』というものを私は知った。簡単に言えば、死んだ人間を生き返らせる方法だ。内容は、泥で作った人形に生き返らせたい人間の名前を書いた御札を入れて、お願いをすると生き返るといったものだった。馬鹿で無知だった私はそれを知ったその日の内に実行した。

 お父さんもお母さんもいない、ある夜。「小学生になったんだから大丈夫だよ!」なんて言って、私は一人でお留守番をしていた。

 そうしたら、インターホンが鳴って、「灯ちゃん、遊ぼー」とBちゃんの声が聞こえた。

 本当に生き返ったんだ、なんて私は愚かにも喜んで、私は玄関を開けようとした。

 ――「開けちゃ駄目ッ!」

 鍵に手を掛けた瞬間、そんな声が聞こえた。その声もBちゃんだった。驚いて後ろを振り向くと、部屋に置いてあるはずのBちゃんのお人形が置いてあった。急に、私は玄関の前にいる人がBちゃんじゃないような気がして怖くなった。同時にインターホンを鳴らす音や扉を叩く音がドンドンと聞こえた。私はBちゃんのお人形を手にとって、急いで自分の部屋に戻った。部屋の鍵を掛けて、窓のカーテンも閉めきって、布団を被って、インターホンの音と扉を叩く音がなくなるのを、泣きながら待っていた。恐怖で訳が分からなくて、泣きながら手に持っていたBちゃんのお人形に向けて「Bちゃん助けて」なんて私は言っていた。

 訳が分からないまま、泣き疲れて、眠ってしまったのだろう。気が付くと朝で、お母さんは少し怒ったように「泥遊びなんかしちゃって」と言われた。玄関を見てみると、あたり一面泥だらけだった。掃除するようにと言われて、掃除していると、Bちゃんから貰ったお人形が泥まみれになって落ちていた。確かに、私はちゃんと握りしめていたはずなのに。おかしいところは、いくらでもあった。

 

「――変なところの中で、一番変なのはそのお人形が黒髪になっていて大の字の形に両手両足を広げていたんだよね」

「そっか。うん、扉を開けなくてよかったね。開けていたら、連れて行かれていたよ」

「連れて行かれていた?」

「反魂法っていうのはね、この世界にいてはならない者を呼び出す方法なんだよ。今回で言えば「Bちゃん」の名前と存在を借りて、いてはならない存在をこちらに引き出してしまった。運がよかったのか悪かったのか、「Bちゃん」は少し霊感が強かったみたいだね、それに友達思いでもあった。本来は輪廻転生の輪に組み込まれて、また再びこの世界にやって来るはずだったんだけど、「Bちゃん」は「Bちゃん」としての魂をこの世界に再び戻して、「Bちゃん」という名前の存在を二つ作って、対消滅させた。自分の存在そのものを消滅させてまで、灯さんを救った」

「――え?」

「ドッペルゲンガー、みたいなものだね。この世界には全く同じ存在が、二つ以上存在してはならない。それは絶対の法則。意外なことに、死を覆すのは全然いいんだけど、それには正式な手順がいるし、そんなものは霊験あらたかな人間しか知らないだろうね。まぁ、ともかく、もう二度と「Bちゃん」は生まれない。死は覆すことが出来ても、消滅は覆せない。それは全部君のせいだよ」

「…………」

「気にしなくてもいいけどね、そういう人は馬鹿みたいにいるし、今の社会じゃ、生まれても幸せに生きていけるかどうかは分かんないから」

 

 同級生は、特に気にしたことはなく、ありがとうと言って帰っていった。ぽつんと、教室に残された私はふと我に返る。

「あんな子、同級生にいたっけ」

 まぁ、いいか。話せて、少しだけ楽になれたし。

 




勢いだけで書きましたすいません。

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