魔法先生ネギま!~消えたもう一人の御子~   作:香坂美幸希

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2時間目「学舎」

朝、陽が昇る頃、私は目を覚ます。

軽く身支度を整え、道着に着替え外に出る。

準備運動をし、ランニング。

山頂まで走り、山頂の倉庫から翼さんからもらった愛刀“天斬”を取り出し奥義の型を繰り返し放つ。終わると次は倉庫から先端に15㎏の重りを付けた鉄製の棒を出し素振りを繰り返す。30分の精神統一の後、獲物を捕えるため山を駆け巡る。夜明けと日没に同じことを繰り返す。

だから、兵器として生きてきたあの日々より…山の中にとどまった閉鎖的な世界のほうが生きてるって感じているのだろう…

 

翼さんがここを出て三年、指示された練習メニューを上方修正して、また明日。

 

いったい…いつまで続ければいいのだろうか…

なんで…翼さんは戻ってこないのだろうか…

どうして…響さんもクリスさんも様子を見に来てくれないのだろうか…

 

 

決まってる…みんな死んだから…

 

いつの時代も帰ると約束した人は大概帰らない、人生なんてそんなものだ…

 

何も変化のない毎日…でも、今日は違うみたい、今日だけはいつもの毎日から少し外れるみたい……来客だ

翼さんでも響さんでもクリスさんでもない、新しい人…

 

 

私は玄関を開け外に出る、そして先ほどから木の陰で身を隠している男に殺気を放って問いかける

 

「問う、あなたがここに来た理由は何?」

 

「…」

 

「場所は分かってる、隠れてないで出てきたらどう?」

 

男は白いスーツに無精ひげを生やした翼さんと同年代くらいで同等の気を持ってる。油断は出来ない

 

「もう一度問う、あなたがここに来た理由は?」

 

「…ふう、ただの調査さ、ここの麓の村の人に山頂から光と甲高い音が聞こえるから調べてほしい、てね」

 

「それは…申し訳ありませんでした、私の配慮が足らないばかりに…」

 

「何をしていたんだい?」

 

「剣術です、私の使う流派に該当する技があるので確かです」

 

抜刀による閃光と高音の堺に敵を切りつける、風鳴流抜刀奥義 輝光閃

 

「そんな流派は聞いたことがないな…」

 

「先代…私の母が新たに作り上げた流派だと聞いています」

 

「なるほど、これから頭角を現せてくるわけか…

ところで、君のお母さまは?

年齢的には中学生程度だろう?」

 

「…三年前から帰って無いですよ」

 

「それは…すまないことを聞いた」

 

「別にいいですよ、帰ってこないのはどこかで死んでいるからでしょう…昔からそれは変わらない…」

 

「…ここで一人で暮らすのもあれだろう、私の勤めている学園に来ないかい?」

 

この人も私を普通の子供として見てるのかな…

でも、新しい生活にあこがれてたし、付いて行くだけ付いて行こう。合わなければ帰ればいいし、もし翼さんが帰ってきても書置きを残しておけば気づくだろう。

 

「…いいですよ、なんていう学園なんですか?」

 

「ああ、麻帆良学園…の君なら女子中等部に編入することになるだろう、年は?」

 

「(翼さんと会ったのが八年前、肉体年齢が六歳前後だから)……14です」

 

「なら、二年生だね、きっとA組になると思う、僕がそこの担任だからね」

 

「分かりました、身支度を整えます。時間がかかりますが中でお待ちになりますか?」

 

「いや、構わないよ、学園長に連絡しないといけないからね」

 

「分かりました…申し遅れました、私は風鳴 瑞樹と言います」

 

「ああ、僕はタカミチ・T・高畑、タカミチでいいよ」

 

「それでは、タカミチさん、これからよろしくお願いします」

 

私はお辞儀をした後家に入り、荷物をまとめる、と言っても持っていく物は道着袴と木刀、竹刀袋二枚に山頂から天斬くらいだろう

 

いや、もうひとつ…

 

「それを着て移動するのかい?」

 

「私の唯一の私服です、何か問題でも?」

 

「特には無いが、動きにくくないかい?」

 

「慣れました」

 

私の唯一の私服、翼さんが子供のころに使っていた和服。

蒼を基調とした睡蓮の刺繍が施された貴重な一点もの。

翼さんと同じ青い髪の私に合うと持ってきてくれたものだ。

 

「では、行きましょう」

 

「そうだね、山道の中に車があるからそこまで歩くよ」

 

「ええ、大体どのあたりか、検討はつくので」

 

 

 

私は第二の故郷を離れる、肌寒くなってきた11月下旬、翼さんと過ごしたこの家…必ず、帰ってくるから…待っていてね…

 

私は小さく見える我が家に振り返り、一礼…「…行ってきます…」

 

 

必ず帰ると…どこかで死んでしまっているであろう翼さんと共に、必ず…

 

 

 

私は八年間お世話になった家を後にした…

 

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