魔法少女リリカルなのは~白い冥王の妹、天翼の朱里~ 作:天翼
エイミィ
飛んできた少女はブリッジに向けて小型のアルカンシェルであろう物を向けている。
『紅茶と魔導書の恨み、思い知りなさい』
たったそれだけの事で私達は殺されるのだろうか。いや、確かに魔導書は貴重で高額な代物なんだけどね。
「エイミィ、障壁を最大出力で展開して! 私はその間に転送装置をき……」
「間に合わないんじゃないですか?」
「それでもやるしかないわ」
「ですねぇ……」
こんな所で死にたくないし。あ、武装局員の人達が突っ込んでいった。
『『うぉぉぉぉぉぉっ!!』』
『五月蠅いのです。ルシフェリオン、ブラストファイア』
『ブラストファイア』
突っ込んでいった職員の人達に向かって魔法が放たれる。武装局員の人は余裕を持って避けたけれど近距離で爆発して吹き飛ばされた。
『遊びは終わりです。さようなら』
「「っ!?」」
『ああ、そうだな』
死を覚悟した瞬間、男性の声がどこからともなく聞こえた次の瞬間、私達に死を与えようとした少女の胸には赤い深紅の槍が生えていました。
『え? こ、これはなん……ごふっ』
『恨むなら世界の毒である自分を恨むんだな』
モニターを操作すると少女のすぐ後ろに青い服装の青年が立って槍を突き刺していた。
「どうにか助かったようね」
「ですね」
少女の方をみるとアルカンシェルを持つ手が力を失ったのか、落としていきました。
『冥土の土産に教えてやる。そいつは刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)。てめぇに死をくれてやるものだ』
『……刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)……予想外……ですね……気配が、なかった……』
『当たり前だ。お前達のようなにわかじゃなく、まじもんの英雄なんだからな。ルーンを使えばどうとでもなる。ましてや攻撃の瞬間に生まれる隙を狙ったんだからな』
『……でたらめ……ですね……』
『てめぇがいうな。なんで心臓を貫かれて生きてやがる』
青年が槍を引き抜きながら少女を蹴って離れる。少女はブリッジのガラスに激突してえぐられた心臓の部分が私達にはっきり見えた。
『……いきて、ません……ここで、終わり……です……』
『はっ、当然だ』
青年はさらに槍を構えた。追撃する気みたい。
『ええ、終わりです。貴方達が』
『なに?』
「「え?」」
『私はここまでです。皆を傷つけない程度に好きに暴れていいですよ』
少女の心臓があった部分に身体の内部から出てきた無数のチューブのような物が固まって心臓を形成し、回りの肉が盛り上がって機械の心臓を多い隠していく。
「再生しているの?」
「あははは、人間やめてますねぇ~」
変化はそれだけで終わらない。彼女の身体から無数の機械が出て来て他の人形兵みたいな感じになっていく。さらに彼女から肉塊が盛り上がってきているではないか。
『ちっ、何が起こっているかはわかんねぇが、やべえな。どんどん精霊を殺してやがる! ここは先手必勝! さっさと死にやがれ!! 刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)!!』
飛び上がって槍を少女に放つ青年。しかし、必殺であろう尋常じゃない魔力の込められた一撃は肉塊から生えた両手に止められてしまった。
『あっはぁ~これはこれは素敵な歓迎ですねぇ~下等生物ごときが調子に乗ってくれちゃって。わたくし、激おこですよ? それはもう、この辺一帯を消し飛ばしちゃうくらいには』
『……マスターの指示に、違反、する……』
『まあ、そうですね。仕方ありませんね』
肉塊は一人の純白の翼を持つ紫髪の女性の姿となり、元の身体は黒色の髪の毛をする機械仕掛けの少女となった。
「う、嘘でしょ……」
「提督?」
「まずいわ……」
「あの知っているのですか?」
「あれはアルハザードを含む多数の世界を滅ぼしたと言われる古代兵器。第一級どころか災厄指定クラスのロストロギアなのよ」
「えええ、それってかなりやばいんじゃ……」
「そうね。片方が戦神が作ったと言われる神を殺す神造兵器である天翼種(フリューゲル)。もう一つは機械生命体であり受けた攻撃を独自のネットワークで解析して模倣し、種族全体で使用すると言われる機凱種(エクスマキナ)」
「まさか、先ほど撃たれたアルカンシェルって」
「ええ、模倣されたのでしょうね」
アルカンシェルを一瞬で模倣したんなら、あの攻撃も模倣されてるんじゃないの?
『しかし、この槍は鬱陶しいですね。まだ私の心臓を狙ってますよ。不敬ですね』
『相殺、希望?』
『機凱種(エクスマキナ)ごときに助けを借りるのは不本意といいたいのですが、それが貴方ならそうとも言えませんし、お願いしますね』
『了解。シュヴィに、任せ、る。典開・刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)?』
小首を傾げながら機械の少女は作り出した機械の槍を放つ。それは深紅の槍を弾き飛ばした。
『おいおい、まじかよ……宝具をコピーするとかどんだけだよ』
『模倣に関しては神様の力すら模倣する連中ですから、その驚愕は正しいと教えて差し上げますわ、下等生物さん』
『やろう』
「エイミィ、今の間に撤退するわよ。本件は私達の権限を越えているわ。あの二種族が揃っているなら管理局全体で対応しないとまずいわよ」
「了解です」
外で激しい戦闘を開始した青年と翼の女性。いや、一方的な狩りの形相をていしている。
『あははははは、久しぶりの狩りは楽しいですねぇ~! さあさあ、お逃げなさい!』
『ちぃっ!!』
爆撃級の威力を持つ攻撃をぽんぽん放つ化け物の女性は楽しそうに笑っている。
『久しぶりの娑婆ですからはしゃいでしまいますわね。でも、可愛い可愛い私のマスターを虐めてくれた人にはたっぷりとお仕置きをしませんと。ちゃんとできたらマスターに撫でてもらってあそこを……はぁはぁ、いえ、やっぱり私が奉仕する方がいいですわね。マスターの幼い身体を隅々まで……はぁ、興奮してしまい……あいたっ!!』
とんでもない変態さんだ。急いで脱出する。
『マスター、貞操は、シュヴィが、守る』
『くっ、私とマスターの間に立ちふさがろうとは……いい度胸ですわね? ぶっ殺してさしあげますよ?』
『シュヴィ、傷つける。マス、ターの身体、傷つけ、ること。ジブリール、怒られ……反逆?』
『卑怯な!? むぐぐぐ、マスターの身体を押さえられてはどうしようもありませんの。……いいことを考えましたの。ここはシュヴィちゃんごと可愛がればよろしいんですの』
『……逃げ、る……』
『逃がしませんわ。そこの下等生物達もです。とりあえず目ざわりですから消えといてくださいな♪』
私達が外に出た瞬間、アースラが文字通りたったの一撃で消滅した。私達はどうにか森に隠れて転送魔法を発動するために耐える。
「あっ、失敗してしまいました。シュヴィちゃん、さっきの模倣しましたか?」
「ばっち、り。解析、おわって、る」
「良かったですわ。では、この辺り一帯を消し飛ばして」
「待ちなさい!」
「あら?」
「シュテルから聞いてないのかしら?」
出てきたフードを被った人から女性の声が発せられる。
「……シュヴィちゃん」
「こ、こマスターのきょ、てん。破壊だ、め。絶対」
「……忘れておりました。私のうっかりさん。仕方がないので物理的に殴って終わらせましょう」
青年と格闘戦を行う女性の強さはすさまじかった。いや、それについてこれて戦える青年もすごい。彼女は遠距離と広域殲滅が得意みたいだから青年はどうにか戦えているようだ。
「貴方はそっちの逃げようとしている連中を捕まえて」
「了、解」
こっちに機械の少女が女性の指示を聞いて虚空に手をかざすと、昔の資料で見たガトリングカノンとかいうのを取り出してこちらに向けていた。
「まずいわ! あれは質量兵器よ!」
「非殺傷設定なんて……」
「あるわけないでしょ!」
「て、撤退~~!」
容赦なく放たれる魔力を持たない塊は障壁を貫通して、一緒に脱出した武装局員を物言わぬ屍へと変えた。
「誤、差修、正。誤作、動あり。データ、構築、再構成。修正、完了」
その言葉と同時に地獄は始まった。適格に一切の無駄なく私達を殺しに来る彼女に心が折れそうになる。なんせ、こちらの魔法は瞬時に解析されて模倣されるどころか、紙一重で避けられて倍以上の反撃を受けるのだ。それも同じ魔法で。
「遺志体(プライヤー)、よ、り各機。殲、滅、開始」
森の中に逃げ込んだ私達をいつの間にか包囲していた機械の人形達が一斉に襲い掛かってきた。
「ここ、までね。エイミィだけでも逃がすわ。この事を必ず本局に伝えて頂戴」
「か、艦長?」
「変な所に飛ぶかも知れないけれど、頑張ってね」
「艦長!!」
「皆、ごめんなさい。貴方達の命、貰うわ。どうにかして情報を伝えないといずれこの世界を食い殺した彼女達は別の世界へと触手を伸ばすはずよ。そうなったら後は地獄だけなの」
「ええ、局員になったときから覚悟はできています」
「ああ、そうだな。死にたくないが仕方ない。エイミィ、悪いけどこれを妻に頼む」
「俺も家族に頼むよ」
「ちょっと、みんな!? それなら私が残れば……」
「馬鹿野郎。お前が残ったところで足でまといなんだよ」
「機器のないエイミィははっきり言ってお荷物よ。だからいきなさい。これは艦長命令よ」
「うぅ……」
私の目からは涙があふれてくる。そんな私を艦長が抱きしめてくれて、すぐに転送魔法が発動した。私が最後に見た光景は四方八方から放たれる攻撃に皆の身体が木の葉のように舞う姿だった。それはまるで赤い紅葉のようだった。私達は起こしてはならない禁断の箱を開けてしまったようだ。パンドラの箱のように災厄の後に希望があればいいな。
朱里ちゃん死亡。解き放たれるは超危険な首輪のないジブリールとシュヴィ。果たして全世界の運命や如何に!
朱里「という訳で胸を貫かれて殺された朱里です。自業自得なのですが、ゲイ・ボルグは卑怯だと思います」
なのは「もう朱里とはあえないの?」
朱里「あえるに決まっているじゃないですか」
なのは「本当!?」
朱里「なんせジブリールもシュヴィも私ですから。身体的な意味も含めて」
なのは「それって、それってぇぇぇぇっ!!」
朱里「よしよし。次回、魔法少女りりかるなのは。第十四話お葬式です。みなさん、どうぞよろしくお願いします」
なのは「復活は!? 復活はあるの!?」
朱里「さあ、私にはわかりません? ただ、三人も同じ顔はいらないでしょう。では、皆様、ごきげんよう。私は読書に戻ります」