見切発車ですから自分にも完結する未来がみえません
息抜きで書いたのですごく文も短いし雑で見にくいと思います
「踏みとどまれ下郎!
既に聖杯の穴に半身を食い尽くされたかの英雄王は自身が悔しながらも強者と認め、屠ろうとした
「ふざけるな! こうなったら腕を千切ってでも…!」
だか、
共に飲み込まれないように必死に踏ん張りながらも、自身の腕を切り飛ばしてでも人類の王たる英雄王を滅ぼそうとする。
そしてーーー
「ふん、お前の勝手たが、その前に右に避けろ」
運命の針は狂った。
ズルリ、と士郎の足が滑る。
つんのめり、鎖に引っ張られる形で一直線に穴へと向かう。
それを見て、血相を変えた英雄王は
張っていた鎖が撓んだ事で仰け反りアーチャーの弓が頭上を通過する。
そして本来、武具が出る筈の空間の歪みにその矢は吸い込まれーー
衛宮士郎が自らの元へと突っ込んで来たと同時に、爆破を起こした。
「っ! 貴様らァァ!」
王の財宝の中身を穴の中に撒き散らしながら英雄王と未来の弓兵は、
聖杯と共に消えた。
ぐるりぐるりと世界が回る。
悪意に体が汚染され、魂を砕かれ、自分が自分で無くなるような感覚。
様々な怨念や怨嗟の声。
負の感情が、煮詰められ濃縮され醸造される。
脳髄を直接に冒され、侵され、犯されていく。
ぐちゃぐちゃになった脳が耳や目、鼻から溢れてくる様だ。
そんな中ではあれだけ憎い存在だったかの英雄王でさえ、頼もしく、存在するだけで安心するような気さえしてーー
だから、必死に手を伸ばす。
黄金の輝きを持つ宝をまき散らしているその人影へと。
右手の平が焼鏝を強く押し付けられた様に痛み、そしてその体に触れた。
黄金の輝きがその場を満たし、そしてあたりの宝具も共鳴する。
そしてその輝きが一際強くなった時、またしても2人の姿は
消えた。
うっすらと目を開く。
何処にでもある様な天井。
ゆっくりと首を動かしてみれば、カーテンから漏れる光はまだ無く、日が昇りきっていない事が理解出来る。
時計を確認してみるとまだ5時であった。
少々早いが、二度寝するのも憚られる。起きられない時間でも無い、とゆっくりとベットから起き上がる。
そして、
「っ⁉︎」
衛宮士郎は驚愕した。
生きている。
それは平々凡々な生活を送る青年にとっては普通の事だが、衛宮士郎は別だった。
(俺はあの時、死んだ筈じゃあ…)
眠気は完全に吹き飛び、辺りを見渡す。
目につくのは勉強机と椅子とクローゼットのみ。飾り気の無い小綺麗な部屋だった。
そして体に感じる幾つかの違和感。
記憶が、2つ存在する。
1つはこの一軒家に引き取られ、家族と共にごくごく平凡な生活を送っていた高校生の物。
そしてもう1つは、あの戦争を経験した、正義の味方の
そう、記録だ。
あの戦争が始まる前の衛宮の屋敷で平凡な生活を送りつつも魔術の修行をしていた頃は、記憶と呼べるものだった。
もう1つの、自らの物であって自らの物でないこの家の記憶とはすんなり馴染み、感覚としては共に暮らす人が増えたんだ程度の認識で問題は無い。
だが、あの戦争から先がどうしても感情移入出来ない。
いや、赤き弓兵との闘いや、そこで得た答えはちゃんと衛宮士郎としてのこの身に定着している。
だが、それ以外は小説でも見ているかの様な無機質な感覚しか湧いてこないのだ。
あの、英雄王に対する嫌悪感までもがへー、そうなんだ程度で終わってしまう。
そんな自分に辟易しながら、何気なく右手に視線を向けると、
「なんでさ」
赤い、三角の令呪が刻まれていた。