救世主の贖罪   作:Yama@0083

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すいません、旅行から帰ってきたらノロウイルスか何かに感染してダウンしてました。お待たせしてごめんなさい!!!では、どうぞ!!


10. レーヴェ・ハンブルク ~黒き風~

一週間が過ぎ、リボンズが臨時教官もといラウラの専属教官としてドイツ軍に就く期限の日が訪れた。彼は何時ものように訓練を終え、部屋に戻ろうとした。しかし、そんな彼にラウラが声をかけた。

「教官、少し食堂に来て下さい。」

「別に食事なら問題ないさ。今は空腹を催していないからね。」

「いえ、そう言う事では無く・・・とにかく来て下さい。」

彼女はリボンズを半ば強引に食堂に連れて行った。

 

 

 

「一体どうしたというんだ、何かこの中で行われるのかい?」

「まあ・・・入って下されば分かると思います。」

「・・・そこまで入って欲しいのなら、お言葉に甘える事とするよ。」

彼は訝し気にドアを開けた。すると・・・

 

 

「「「「「「リボンズ教官!!この一カ月間お疲れ様でした!!!」」」」」」

パパーン!

突如クラッカーの音が鳴り響き、シュバルツェ・ハーゼ隊の隊員達が皆笑顔で彼を迎えた。

「・・・これは?」

「教官は今日で引退でしょう?ですから、細やかではありますがこのようなパーティーを催す事としました。」

ラウラの言葉に笑顔で頷く隊員達の姿に、彼は微笑を浮かべた。

「全く、余計な事を・・・それに僕は、あくまで臨時の教官だ。別にここまでしてくれなくとも・・・」

その言葉に、別の隊員が答えた。

「ご謙遜を、リボンズ教官はラウラ隊員の訓練が終わった後、時たま我々も指導して下さっているではありませんか!!ここまでするのは当然の事です!!」

そうですよ、と口にする隊員達。彼はその言葉に、少し心を打たれた。

「と、いう事だ。ここまで言われたら断る理由もあるまい?」

意地悪い笑みを浮かべるレーヴェに、彼は苦笑した。

「これはしてやられましたね・・・まあ、そこまで言うのならお言葉に甘えましょう。」

身近な席に座るリボンズ。それに続いて、皆席に着いた。

「全員揃っているな?では、音頭を取らせて貰おう。」

レーヴェの言葉に、食堂中が静まり返った。

「では、一カ月間我がシュバルツェ・ハーゼ隊の向上に尽くしたリボンズ・アルマーク教官に・・・」

「「「「「「乾杯!!!!」」」」」」

その一声で、リボンズ退職記念パーティーが始まった。所々から隊員達の談笑が聞こえてくるその状況に、リボンズは自然と口元を綻ばせた。

「ほお・・・貴様も、その様な笑みをするのだな。」

「・・・中々失礼な事を言ってくれるじゃないか、織斑教官。僕は普段から笑っているつもりだけどね?」

リボンズは、いつの間にか近くに居た千冬に顔を向けた。

「そう気を悪くするな。確かに普段からお前は笑うには笑うが、その時の笑みは何かを企んでいる様に見えた。だが・・・先程のは、純粋な心からの笑みだろう?」

「純粋な笑みか・・・まあ、世界最強(ブリュンヒルデ)の君が言うのならそうなんだろうね。」

「・・・その名はやめてくれ、あまり好きでは無い。」

「おや、それは済まなかったね。知らなかったんだ、悪く思わないで欲しいな。」

その白々しい物言いに、千冬はジト目でリボンズを見た。

「・・・貴様、わざと言ったのではないか?」

「どうだろうね?フフフ・・・」

わざとらしく笑う彼に、千冬は溜息をついた。

「ハア・・・もういい。別にその名前を毛嫌いしている訳ではないしな。そこまで怒る必要もあるまい。」

「そうしてくれると助かるよ。」

彼等はしばらくの間、談笑を楽しんだ。横に座っているラウラがそれを羨ましそうに見ていたのは秘密である。

 

 

 

 

 

 

リボンズはパーティーが終わった後部屋に戻り、束と通信をしていた。

「はろはろ~リっくん、元気してた~?」

「ああ、問題無いよ。そちらこそ何事も無かったかい?」

「だいじょ~ぶ、別に何も起こらなかったよ~。」

「それは良かった。それで、例の二機は?」

「何とか完成したよ~。どっちもまだテストしてないけど、完全に動くと思うよ。」

「流石だね。では明日帰るから、それのテストを「ちょっと待ってリっくん!」何だい?」

「1ガンダムを今からそっちに送るから、そこでテストしちゃって~!」

「・・・何を言っているんだい君は?」

「とにかく、今から私の輸送機で1ガンダムを送るからちゃんと受け取ってね!それじゃ!ブツッ」

一方的に伝言を残し、束は通話を切ってしまった。その時のリボンズの表情は・・・

「・・・我慢ならないな。」

阿修羅すら凌駕する様な物だったらしい。

 

 

 

何とかリボンズが怒りを抑えると、彼は即急にレーヴェに通信をした。

「レーヴェ隊長。少しよろしいでしょうか?」

『何だ、こんな時間に・・・と言ってもまだ九時だしな。まあいいだろう。それで、何の用だ?」

「0ガンダムの損傷が激しいので、篠ノ之 束に新しい機体を頼んでいたのですが・・・それをこの基地に届ける様です。おそらくもうじき輸送機がこの基地に到着するでしょうから、そのおつもりで。」

『成程、そういう事なら許可する。だが・・・一つ、条件がある。』

「条件?それは一体・・・?」

『ああ、それは・・・』

 

 

 

 

 

 

 

レーヴェに事情を伝えた数分後に束の輸送機が到着し、上空から1ガンダムを落とし帰っていった。彼はその扱いに内心驚いたが、この程度で1ガンダムの装甲が傷つくとも思えないのでそれに関しては目をつむった。

「しかし、1ガンダム・・・資料を通して見た事はあるが、実物を見るのは初めてだ。つくづく、リボーンズガンダムに似ているね。まあ、あれはこの機体をベースに造ったのだから当然か。」

1ガンダム。それはかつてヴェーダが検討していた、「人間ではなく、イノベイドのガンダムマイスターによる武力介入」のために作られたガンダム。(オー)ガンダムの後継機であるため、(アイ)ガンダムと名付けられている。

「GNドライヴも新しい物になっているね。全く、つくづく驚かされるよ、君には。」

(おそらく僕の1ガンダムの物とは別に、ルビのスローネに搭載する分も造っている筈だ。この一週間で太陽炉を量産するとは・・・ソレスタルビーイングのメンバーが聞けば卒倒するんじゃないかな?おっと、早い所これのチェックをしないとね。)

彼は早速1ガンダムを纏い、動作確認をした。軽く掌を開閉し、肘に搭載されているGNビームサーベルを展開した。そして最後に、完成したGNビームライフルを取り出し、トリガーを数回引いた。

「ふむ、動作、武装共に問題無いか・・・そう言えば、シールドは・・・」

彼は左腕に装備されている巨大な盾の様な物を見た。その形状はガンダムエクシアのシールドに似ているものの、こちらの方がかなり大きい。

「シールドは相変わらず、か。まあ、予想はしていたけどね。ただ、これを展開するとこれの裏側にビームサーベルが搭載出来るのか・・・これは良い。取り回しはあまり良くなさそうだけど、常時展開していても問題は無いだろう。」

最終的な1ガンダムの武装はこうだ。

 

まず、GNビームサーベルが二本。シールドを展開していない際は両腕部に装備されるが、彼はシールドを常時展開するようなので、左腕のビームサーベルはシールド内側に装備される事となる。

 

次に、GNビームライフル。肘に大量のGN粒子を蓄えた大型コンデンサーと直結しているため、GNバスターライフル程では無いが高濃度のビームを放つ事が可能。又、そのコンデンサーもGNドライヴと繋がっているので、粒子切れを起こす事も無い。

 

最後に、GNシールド。GNフィールドを表面に展開する事が可能な盾。機能自体は0ガンダムのガンダムシールドと同じ。しかしGNドライヴの改良と、粒子発生装置が腕に移ったため、盾自体は格段に軽くなり、GNフィールドの防御力もかなり上がっている。とは言え大きいのには変わりはなく、使い所を選ぶ装備である。

 

「こんな感じかな?束も良い仕事をしてくれる物だ。そう言えば、GNフェザーもあったが・・・あれは粒子の消費が激しい。きっと滅多に使わないだろうね。」

さて・・・と彼が見たのは、ISを纏ったレーヴェだった。先程彼女が出した条件とは、1ガンダムで彼女と模擬戦をする事だったのだ。

「ほう、それがお前の新しいISか。名は何と言う?」

「1ガンダム、それがこの機体の名称です。その名の通り、0ガンダムの後継機となっています。」

「成程な。ふむ、外見はかなり変化しているし、見た所武装もかなり強化されている様だ。違うか?」

「その通りです。元々試作型だったビームガン、ビーム・サーベル共に完成していますので、性能は段違いの筈です。」

「ハハハ、それは楽しみだな。おっと、散々人の機体の情報を喋らせておいて、自分は何も喋らないのは不公平だな。おおまかだが、この私の機体について説明しよう。」

「ぜひお願いします。私も、この隊の隊長を務める貴方のISについて興味がありました。」

「それは嬉しい。さて、では私の機体について説明しよう。名称はシュヴァルツェア・ウィンズだ。」

(ウィンズ)ですか・・・意外と単純な名前ですね。」

「うぐっ・・・そんな事を言われたのは初めてだな・・・だ、だがその性能を馬鹿にするなよ?この機体はクラリッサとラウラの機体の姉妹機だ。それに、それを私が好きなように改良したからな。実質性能は一番上だ。さらに高機動・近接戦闘を主とする。油断をしていると足元を掬われるぞ?」

「無論、油断をするつもりはありませんが・・・お手柔らかにお願いしますよ、レーヴェ隊長。こちらはこの機体を動かすのは初めてなのですから。」

「心配するな、そこは考慮してやる。では・・・始めるか?」

「ええ、貴重な情報ありがとうございました。」

「どういたしまして、だな。それでは・・・スタートだ!!」

レーヴェはスラスターを吹かし、リボンズに高速接近した。そして、自身の身長程ある大剣「ドロック」を構え、力強くリボンズに振りかざした。

「はあっ!」

対するリボンズは、右腕に搭載されたビームサーベルで応戦した。ギリギリギリ、と両者の機体が衝撃で軋む。そして、ガギン!という音と共に、両者共に互いを弾いた。

「やはり流石だな!この『ドロック』は単純に、相手を斬るのでは無く叩き潰すために造られた物なのでな、その破壊力は目を見張る物だ!それに互角に渡り合うとは、それでこそだよ!」

「そちらこそ、この機体にパワーで互角とは・・・流石はこの隊の隊長を務めているだけの事はある!」

そして、両者は再びぶつかる。先程よりも早いスピードで、互いの得物をぶつけ合う。ガン、ガン、ガン、ガガガガ!と両者共に押し合い、そして弾き合う。並の模擬戦を凌駕した戦いが繰り広げられていた。

(このままパワー押しでぶつかり合っても駄目だ・・・今はとにかく彼女を突き放し、遠距離戦に持ち込む!)

リボンズはGNドライヴの出力を上昇させた。独特の起動音と共にGNドライヴが増して緑色に光り、粒子の放出量も増加した。それに応じて1ガンダムの出力が増加し、レーヴェを無理矢理弾き飛ばした。

「今だ!」

リボンズは右腕にGNビームライフルを展開し、トリガーを引いた。太いビームが放たれ、正確にレーヴェに向かった。

「甘いぞ!」

それをレーヴェは最小限の動きで躱し、自身の射撃武装を構える。

「避けられるか!」

そして、トリガーを引いた。その瞬間、

ドッ!とレールガンを超える速さで弾頭が射出された。

「なッ!?」

リボンズはそれを紙一重で避け、レーヴェを見据えた。

「これを避けるとは驚いた。こいつは弾数が多くない代わりに、貫通力と速度を極めた物だ。大抵の者は避けきれずに被弾してしまうのだが・・・どうやら、多少本気を出さなければいけない様だ!」

彼女はもう一つロングライフルを取り出し、丁度二丁拳銃(ツーハンド)の要領で二つの銃を構えた。

「行くぞ!これを避けてみろ!」

刹那、プラズマ弾と音速の弾頭が一気にリボンズに向かって降り注いだ。

「不味い・・・!」

リボンズは大きく横に動き、その弾幕の嵐から逃れた。レーヴェはそれを追う様に弾幕を撃ちまくる。外れて行き場の失った弾は、フィールドの壁に当たり轟音を鳴らした。その音に驚いたのか、次々と隊員達がフィールドに集まって来る。その中にはラウラもいた。

「あれは・・・教官?まさか、もう新しい機体を用意なさったのか!?と言うより・・・」

(あの弾幕を避けるとは・・・流石です、教官!)

彼女はより一層、リボンズへの尊敬の意を強めた。

 

 

 

 

(この圧倒的物量は脅威的だ・・・だが、このまま逃げているだけでは!)

突如、リボンズの瞳が金色に光った。脳量子波を使用したのだ。感覚が研ぎ澄まされ、反応速度が上昇する。リボンズは目の前の弾幕を避けるルートを一瞬で脳内で構築し、それを実行に移した。

「これしきの事で・・・!」

リボンズは被弾しそうなプラズマ弾をシールドで防御しながら弾幕の中を縦横無尽に駆け回り、すり抜ける様に弾を回避する。そして、とうとうレーヴェの下に辿り着いた。

「負ける訳には・・・!」

リボンズはビームサーベルを二本取り出した。そして、その二本でレーヴェに斬りかかる。

「いかないのさ!」

レーヴェは弾幕の中から飛び出してきたリボンズに反応が遅れ、その一撃をくらってしまった。ピンク色に光る剣が彼女を襲う。

「くっ・・・!はあっ!」

レーヴェも負けじとリボンズの懐に入り込み、拳に搭載されたナックル「シュプレング」をリボンズの腹部に叩きこんだ。

「がっ・・・このぉ!」

リボンズは再びビームサーベル二対を構え、レーヴェに突撃した。レーヴェはそれに、二本の長刀「シックル・ウィーズル」で応えた。ズバン!と再び衝撃波が周囲を襲う。それこそ遠くで見ている隊員達にまで衝撃が届く程だ。

リボンズはGNドライヴをフル稼働させた。太陽炉が放つ光が一層激しくなり、粒子の放出量も凄まじい物だった。それと同時に、レーヴェも体中の全スラスターをフルパワーにした。急な加速に両者の顔が歪むが、それを無視して彼等は自分の得物を打ち付けあった。

「「はああああああああ!!!!!」」

ガガガギギギガガガガ!と激しく音を立て、そしてバン!と互いの体がフィールドの端に吹き飛んだ。それぞれ反対側の壁が土煙を立てる。隊員達が息を飲んで見つめる中、先に姿を現したのはレーヴェだった。所々装甲が壊れ、火花を散らしていた。二本の長刀にもひびが入っていた。しかし、機体がそんな状況なのにも関わらず、彼女は笑っていた。それはとても楽しそうに。

「ハハハハハハ・・・アッハハハハハハ!!!久しぶりだ、この高揚感は!!!この頃忘れていたよ、この感覚を!!!さあ立て、立つんだリボンズ・アルマーク。立って私を倒してみろ!!!」

すると、反対側からリボンズも姿を現した。

「全く・・・結局、こうなるじゃありませんか・・・まあ仕方ありません、ここまで激しい戦いは私も久しぶりですからね、最後まで手は抜きませんよ!!」

リボンズはビームサーベルを一つ持ち、それをレーヴェに向けた。

「よく言った教官!そうでなければこの戦いの意味が無い!さあ再開するぞ、全力でだ!!!」

(残りシールドエネルギー40パーセント・・・初めてでここまで酷使させるとは、流石は隊長だ。一瞬も気は抜けないね。さて、では・・・次で決めようか。)

リボンズはGN粒子を全てGNビームサーベルに配給した。大量のGN粒子が流し込まれ、刀身が通常の倍以上の大きさになった。

「成程、次で決めるか。良いぞ、それも良い!では私も切り札を使おうか!!『起死改威(リアミネーション)』、発動!!!」

レーヴェはドロックを取り出した。すると、黒いオーラがドロックを纏う。

「これは今まで受けたダメージを倍にして返すと言う、私の機体の単一使用能力(ワンオフアビリティー)だ。これは自機が受けたダメージが大きい程威力が増す。さあ、これでケリをつけるぞ!!」

「望む所さ、返り討ちにしてあげるよ!!」

彼等は瞬時に接近し、互いの得物を大きく振りかざした。

 

 

「「おおおおおおおお!!!!!」」

 

 

そして、互いの得物がぶつかった瞬間、彼等を中心に大爆発が起きた。

凄まじい爆風が、隊員達を襲う。そのあまりにも激しい衝撃波に、全員が転んでしまった。

そして、衝撃波が消え土煙が晴れたフィールドに居たのは・・・

 

 

「フッ・・・惜しかったな、リボンズ教官。もう少しで私を倒せていたぞ?」

折れたドロックを掲げ、誇らしげに佇んでいるレーヴェと・・・

「全く、新しいISが早速損傷してしまった・・・そこまで損傷は酷くないから良かったものの、もし損傷が激しかったらまた束に負担が増える所だったではないですか。」

苦笑して地面に膝をつくリボンズだった。

もはや模擬戦の域を遥かに超えていた戦いは、レーヴェの勝利で終わった。




つ、疲れた・・・あ、レーヴェの機体ですが、また今度詳しく紹介いたします!
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