「うっ、撃てええええ!!」
ガガガガガ!とテロリスト達が携帯していたアサルトライフルが火を噴き、突然現れたISに集中砲火を浴びせた。しかし、そんな攻撃でISがやられる訳は無く、銃弾は装甲に弾かれただ無駄に弾を消費する事となった。
「なっ、何なんだよ、コイツはぁぁぁぁ!?」
「クソッ、バズーカだ!バズーカ持ってこい!」
「駄目だ、んな事してる時間は無え!」
「チッ、八方塞がりかよ!何とかコイツを倒す手段は無えのか!?」
怒号と悲鳴が飛び交う中、そのISはただ立っているだけだった。幾ら彼等が攻撃をしようが、自分には意味が無いと嘲笑うかの様に。
そして、彼等の儚い抵抗は終わりを告げる。
「カチッカチッ た、弾が無ぇ!?」
彼等が予め用意していた弾薬全てが切れてしまったのだ。しかし、彼等が用意していた弾の数は千を超える。普通のISなら傷の一つ二つ付いていてもおかしくないのだが、そのISには傷どころか汚れすら付いていなかった。
『・・・これで終わりかい?全く、こんな事なら最初からテロなんて起こさないで欲しいね。』
機械から発せられる合成音が、彼等に落胆した様に告げた。
「な・・・何なんだよ、お前は・・・」
そのISはガシャン、ガシャンと音を立てながら一歩ずつ彼等に近づいて行く。
「お前は一体・・・何なんだぁッ!?」
テロリストは皆、恐怖で銃を落としてしまった。しかし、それすら気づかない程、彼等は追い詰められていた。
『ふむ・・・何なのか、か。別に僕は何者でも無いんだけどね。まあ、強いて言うなら・・・』
そしてISは一瞬で彼等に肉迫し、左腕に装着した盾の様な物で彼等の意識を奪った。そして、その際彼等が聞いたのは・・・
『咎人、かな?今の僕を表すのにこれ程ふさわしい言葉は無い。』
「お・・・とこ、だとぉ・・・!?」
まだ若く、どこか諦めと自嘲を孕んだ青年の声だった。その言葉と共に、彼等の意識は深淵に沈んでいった。
一方その頃ルビは、テロリスト達相手に一人で挑んでいた。
「はああああ!!」
彼女は完成した「ガンダムスローネ」に搭載された巨大な大剣「GNバスターソード」を振り回し、彼等を蹴散らす。勿論、ビーム剣は発動させていない。実体剣のみ相手にぶつけ、その衝撃で意識を刈り取っている。
「クソッ、この野郎!!」
一人のテロリストが、背後からロケットランチャーでルビを狙った。
「! そんなの!!」
それをルビはバスターソードで叩き落し、そしてそれを相手の脳天目掛けて振り下ろした。
「ドゴッ が、あ・・・」
「邪魔しないで・・・お兄様と合流しなくちゃ・・・!」
青と白のカラーリングのスローネは、ものの数分もしない内に敵を殲滅した。それを確認したルビがリボンズと合流しようとしたその時、
「あ~待て待て。悪ぃがちょっくら俺の質問に答えてくんねえか?」
カチャリ、と銃を突きつける音が聞こえると共に、ルビは反射的に持っていたバスターソードを全力で後ろに振った。すると、ガギィィィン!と鉄同士がぶつかり合う音が聞こえた。当たった、とルビは思った。しかし、それにしては手応えが無い、とも感じた。では何故手応えが無い?答えは簡単だ。
敵は、今の攻撃を受け止めた。
それに気付いたルビはすぐさま剣を収め、腰に装着されたGNハンドガンを構え後ろを振り返った。そこで彼女が見たのは、一人称が「俺」とは思えない程美しい、長い茶髪の女だった。
「・・・そう警戒すんな。俺は戦闘狂だが、民間人を巻き込んでまで殺り合いたい訳じゃねえ。取り敢えず、質問に答えてくれりゃ良い。」
女は若干疲れ気味に銃の安全装置をロックした。その行動に、ルビも渋々銃を収めた。だが、別に信用した訳ではない。万が一の為に、直ぐに右肩の「GNランチャー」を発射出来るように準備はしている。それに、ガンダムスローネや、兄弟機である1ガンダムは特殊な材質で造られているので、ライフルの一発でどうこうなるような物ではない。それらを踏まえて、ルビは取り敢えず話に応じる事にした。
「・・・怪しい事しようとしたら、撃つからね。」
「おう。じゃ、質問だ。お前・・・
あのISを操縦出来る男と関係あんのか?」
「ッ!?」
その言葉にルビは息を呑んだ。この女は、イレギュラーな存在である自分の兄をどうするつもりだ?男性IS操縦者と聞いて、マッドサイエンティスト共が思い付きそうな事は・・・そこまで考えが及ぶと、ルビは怒りのあまり叫んだ。
「お兄様を・・・お兄様を解剖するの!?」
「へえ、お前あの野郎の妹か。」
「あっ・・・ち、ちが・・・」
「安心しな、少なくとも俺はそんなクソみてえな事考えちゃいねえよ。」
ルビは自分の迂闊な発言に後悔したが、その女の返答に取り敢えずは安堵した。
「良かった・・・もしそんな事するつもりなら、今頃暴走してたかも・・・」
それを聞いた女は、若干冷や汗を流した。
「・・・少なくとも、そのビーム砲をここでぶっ放すとかは止めろよ。民間人にも被害行くぞ。」
「わ、分かってる・・・で、もうお話は終わった?」
「ああ、お蔭様でな。んじゃ、俺はもう帰るとすっか。スコールも待ってるだろうしな。」
「・・・もう帰るの?てっきり貴方がテロリストの総本山かと・・・」
「バーカてめぇ、俺があんなクソ共と同類って言いてえのか?俺もあそこまで落ちぶれたつもりはねえぞ。」
「そっか・・・あ!お兄様に連絡しないと・・・」
ルビは安心してすっかり忘れていた兄の存在を思い出し、慌てて通信をした。
『こちらリボンズ・アルマーク。ルビ、どうかしたのかい?』
「こっちの制圧は終わった・・・お兄様はどう?」
『ああ、こちらも既に完了したよ。負傷者がいないか確認したかい?』
「そう言えば・・・まだやってなかった。ごめんなさいお兄様、今からする・・・」
『いや、その必要はないだろう・・・少し、そこに居る女性に代わってくれないかな?』
「え・・・?分かった。」
何で分かったんだろう、と戸惑いながらも、ルビは女のISにも通信が入るように設定した。
「よお、久しぶりじゃねえか。三週間ぶりか?」
『こちらこそ久しぶりだね。あれからちゃんと撤退出来たかい?』
「あーうっせーうっせー・・・それはもう言うんじゃねえよ。」
『フ、まあそれはそうと、二人共無事で何よりだ。そう言えば、君は何と呼べばいい?』
「オータムだ。呼びたきゃそう呼べ。」
『成程、オータムか。ではオータム、君が今まで見た中で一人でも負傷者はいたかい?』
「あー・・・問題無え。一応、民間人に被害が及ばない程度に殺りあったつもりだ。」
『それなら良い。早くテロリストの身柄を拘束しよう。放っておいたら、その内ドイツ軍が回収するだろう。』
「ああ、一応全員縛ってんぞ。・・・つかお前、案外容赦無えのな。」
『何の事かな?それより、早く戻ったらどうだい?こちらに接近してくるISを探知したよ。恐らくシュバルツェ・ハーゼ隊だろうね。』
「なッ、何でそれを早く言わねえ!?あぁクソがッ!今度こそ俺は帰る!お前等も早く撤退しな!」
それだけ言い残すと、オータムと名乗った女は壁に穴を開け飛び去って行った。
『派手なご退場だね。さて、では僕らも帰ろうか。束とクロエも待っているだろう。』
「うん・・・帰ろ。」
「ふう・・・ルビも一般人達も無事の様だ。そうと分かれば、束に報告をしなければいけないね。」
ルビとの通信を終えたリボンズは、今度は束に通信をした。
『やっほー、皆のアイドル束さんだよー!リっくんどうしたのー?』
「指定された場所に居たテロリスト達の無力化に成功したよ。幸い負傷者も居ない様だ。」
『おっけー!それならもう帰ってきてね!今日のご飯はこの束さん特製カレーだよ!』
「ほう、それは楽しみだ。では、今からルビも連れて帰るよ。数十分で戻るから、用意をしておいてくれるかい?」
『りょーかーい!じゃー待ってるねー!』
「ああ。期待しているよ。」
リボンズは通信を切り、ルビの下に向かった。
デパートから去った二人は、上空で話合っていた。
「ところでルビ。その『ガンダムスローネ』の事は理解しているかい?」
「うん。長距離砲撃・前衛・戦闘支援の機能の三つを、状況によって使い分ける事が出来るんだよね。」
「その通りさ。本来ガンダムスローネは『アイン』、『ツヴァイ』、『ドライ』と三機に分かれ、それぞれの役割を果たしていた。そして、それぞれの性能を一機に集約したのが、その『ガンダムスローネ』なんだよ。」
「そうだったんだ・・・じゃあ、何で一機にしたの?」
「それは下手に三機も製造して、万が一盗まれて悪用でもされたら厄介だからさ。それを防ぐ為に、一つに集約したんだよ。少し難しい作業だけど、それを束は一週間で終わらせてくれた。それに余談だが、僕等のガンダムに装備されているGNドライヴは束が新しく造った物だからね。通常、GNドライヴの量産にはかなりの時間を要する筈なのだが・・・流石は束、と言うしかないよ。」
「束・・・やっぱりオーバースペック・・・」
そんな会話をしながら、彼等はラボへと帰っていった。
「リっくんにルーちゃんお帰りー!さあハグハグしよう!」
「スキンシップが過ぎるよ、束。もう少し控えたらどうだい?」
「幾ら束でもダメ・・・お兄様は、ルビの物。」
「ルーちゃん、最早兄妹愛を超えてるよ!?」
「愛さえあったら、兄妹なんて関係必要無い。」
「いや、そこまで行ったらもうダメじゃん!?」
ルビと束がコントを繰り広げている間、リボンズはクロエと話していた。
「リボンズ、お疲れ様です。ドイツはどうでしたか?」
「中々良い物だったよ。皆社交的で、ビールを無理矢理飲まされそうになったのは良い思い出さ。」
「ふふ・・・ドイツの人々はビールが好きですからね。ビールの本場もドイツですし。」
「ソーセージも美味しかったね・・・最初は豚の腸に詰めた肉なんぞが美味いのか、と思っていたけど、蓋を開けてみると中々良い物だ。目から鱗とはこの事だね。」
「それは何よりです。そう言えば、シュバルツェ・ハーゼ隊は・・・?」
「ちゃんと皆指導して来たよ。まあ、主に一人の少女を指導したけどね。」
「そうですか・・・まあとにかく、何事も無く終わって何よりです。では夕食の準備をしますね。リボンズは待っていて下さい。」
「ああ、そうさせて貰うよ。」
キッチンへ向かったクロエから視線を外し、リボンズは未だコントを続けている二人に目を向けた。
「君達・・・そろそろ止めたらどうだい?もうじき食事だよ?」
「で、でもリっくん!このままじゃルーちゃんがリっくんを襲っちゃうかもしれないよ!?」
「・・・きっと大丈夫さ。それより君達、早くしないとせっかくの食事がもう来てしまうよ。早急に席に着くんだ。」
「分かったよ・・・そういやさ、0ガンダムってどうするの?あれ確かトランザムの影響でボロボロの筈でしょ?」
「ああ、そう言えば・・・そうだね、夕食後に修復と改修に当たろうか。」
「おっけい。具体的にはどんな改修をするの?」
「そうだね・・・これは少し長くなるから夕食中に話そうか。」
りょーかい、という束の返答と共に、丁度クロエが夕食を持ってきた。
「遅くなりました・・・それでは皆さん、食事にしましょう。」
彼等の前に、束特製のカレーが運ばれた。リボンズはそのカレーを見て感嘆の声を漏らす。
「ほう、外見は素晴らしいじゃないか。さて、では・・・」
「「「「いただきます。」」」」
彼等はまず、カレーに手を付けた。そして、それを口に入れた・・・
「ど、どうかな!?美味しい!?」
束がそわそわしながら、満面の笑みで彼等にコメントを求める。それに対する彼等の答えは・・・
「・・・美味しい・・・の?」
「私のよりは断然ましですが・・・なんというか、微妙です・・・」
「えー!?おっかしいなぁ・・・リっくんはどう?」
束は黙々と食べ続けるリボンズにも回答を仰いだ。
「・・・そうだね、まず野菜に芯まで火が通っていないから若干硬い。あと、カレールーも何か水っぽい・・・ドイツ軍の食堂の方々に一度指導してもらうと良いよ。」
「そんなに美味しくないの!?」
がーん!とショックを受ける束にリボンズは苦笑し、そして先程の話を持ち掛けた。
「そうだ、さっきの話の続きをしようか。どのような改修をするのか、だったね。」
「そうそう、それが分からないと改修しようがないからさ。て事で教えてリっくん!」
「了解したよ。これは1ガンダム・スローネと共に考えていた、0ガンダムをベースとした改造計画さ。簡易装着型の増加装甲や新たな武装を搭載し、各部に搭載する追加スラスターによる機動力の向上を目的としている。恐らく性能的には第三世代位にはなるんじゃないかな?」
「相変わらず、リっくんの考える事は凄いね!第二世代の0ガンダムの性能をそこまで引き上げようなんてさ!」
「いや、僕はあくまでガンダムの改良プランを提案しただけさ。そもそも、君が0ガンダムを造りださなければ、この計画も浮かばなかっただろう。」
「またまた~!あ、そう言えばこの計画に名前とかあるのかな?V作戦とか、オペレーション・メテオとかそう言うカッコいいの。」
「ふむ、格好良いかどうかは分からないけど、一応名称はあるよ。正式名称、
『FSWS計画』。
今回出てきた「FSWS計画」。これは知ってる方は「あ~あれねwww」となるかもですが「なぁにそれぇ?」て方はぜひggってみて下さい。さて、今回の進展としては、まあ0ガンダム復活の予感とルビがブラコンに目覚めたって感じですかねwきっと、どこかでシンが「ステラァァァァァッ!?」ってなってるでしょうwww
では、また次回!