緑色の液体の中で、彼―リボンズ・アルマークは目覚めた。
(これは培養液か・・・?それは良いとして、ここはどこだ?)
彼は辺りを見回した。まず目に入ってのは・・・自分の入っているポッドに繋がれた複数のパイプ。それを見て、彼は自分が誰かに作られた存在であると理解した。
(全く、また人間の手で作り出されるなんてね・・・正直、もう勘弁して欲しいよ。)
そして、彼は横を見た。すると、別のポッドの中にも人が入っていた。恐らく僕と同類だろう、と彼は感じた。中に入っていたのは少女で、彼女もこちらを見ていた。彼女の目は赤と緑のオッドアイで、とても透き通っていた。
(成程、恐らく僕と彼女は同時期に作られたと見て良いだろう。・・・そういえば、脳量子波は使えるのかな?)
彼は脳量子波が使えるかどうか試す事にした。
数分後
(ふむ・・・全盛期(最終決戦時)程ではないけど、問題なく使えるようだね。これは良い。)
彼はしばらく脳量子波を発し続け、人の気配を探し続けた。
(! 一人近づいてくる。恐らく研究員か何かだろう。なら問題は無いか。)
彼は目を閉じ、脳量子波の使用で少し疲弊した頭を休ませる事にした。
数十分後
ドォン!
彼が眠っていると、突然轟音が鳴り響き、研究所全体が揺れ動いた。
(敵襲か?全く、静かに眠らせて欲しい物だよ。)
彼は再び脳量子波を張り巡らした。すると、彼のレーダーに今まで察知されなかった場所に、突然人の気配が現れた。
(!? 僕の脳量子波の監視を掻い潜っただと!?人間にそんな芸当できる訳が・・・いや、いくら人間とは言え、侮ってはいけないな。いい加減に学ばなければ、また自ら身を滅ぼす事になる。)
彼は警戒しながら、その人間が来るであろう方向を見ていた。すると、通路の奥から話し声が聞こえた。
「本当なのですか?束様の思考パターンを埋め込み、人工的に『天才』を生み出す実験というのは。」
「この天才の束さんが調べたんだから間違いないよ!それにしてもナンセンスだよね、人工的に『天才』を生み出そうなんてさ。束さん、久しぶりにキレちゃったよ。」
「ええ、あんなに怒った束様を見るのは私も初めてです。」
その声に、彼は疑問を抱いた。
(二人?しかも女だと?男ならまだしも、女がこの研究所を襲ったのか?)
「あ、着いたみたいだね。じゃあ早速回収しよっか!」
「分かりました。」
小さな電球の光に照らされて見えたのは・・・
銀色の髪をたなびかせ、どこか清楚な感じを醸し出している少女。
そして、彼が自分の目を本気で疑ったのは・・・
「あ、男も作り出してたんだ。・・・う~ん」
その女は、異様な程胸元が開いたドレスの様な物を着ており、その頭には謎の物体が乗っていた。
(あれは何だったか・・・かつてヴェーダで調べた中で見たような・・・確か「ウサミミ」とか言う名前の。)
「・・・ふふっ、中々面白いじゃん、君。」
そう言って、彼女は側に落ちていた資料に目を通した。
「『リボンズ・アルマーク』・・・再生か。この名前を付けた人、中々良いセンス持ってるんじゃないかな?」
彼女はもう一人の少女に声をかけた。
「そうですね。恐らくこちらの少女は違う者が名付けた様ですが。」
「へぇ、なんて言うの?」
「『ルビ・スファイア』。恐らく彼女の目の色が赤と緑のオッドアイなのでそう名付けたのではないかと。」
「ルーちゃんにリっくんか・・・我ながら良い名前だと思わないかいク―ちゃん!!」
「そうですね。束様のネーミングセンスにも多少問題はあるかと。」
「ぶ~、そんな事言うと束さん拗ねちゃうぞ~?」
「拗ねるのは後で結構ですから、とりあえず御二方を運びましょう。」
「分かったよ・・・もぉ、ク―ちゃんつれないなぁ・・・」
すると、建物の天井が崩落し、上空に輸送機が現れた。
「じゃあ、君たち二人をこの束様のラボに連れてくから、どこでもいいから掴まっててね~」
(いや、この培養液で満たされたポッドの中の何処を掴めと言うんだい?)
「じゃあ行こうかク―ちゃん!ぶっとばして行こ~!」
「了解しました。」
その輸送機はゆっくりと研究所を後にし、帰りざまにミサイルを数発研究所に撃ち込んだ。そして、その研究所は壊滅した。
「さぁ着いたよ!っと、その前にその中から出して上げないとね!」
彼女はポッドにパソコンを接続し、数秒もしない内にシステムに入り込み、そしてポッドを開放した。
培養液から突然解放された少年と少女は、床に叩きつけられた。
「うっ・・・くはっ、あ・・・」
少女は肺に溜まっていた培養液を吐き出し、床を這いずった。
「げほっ、げほっ・・・全く、勘弁して欲しいな。いきなり解放するとは。」
対する少年は、若干苦しそうにしながらも、その足で立ち上がり、しかも話しかけた。
「あれれ、君は立てるの?凄いね、大抵は床を這いずって、数時間してようやく立ち上がるんだけど。」
「ああ、僕は問題ないよ。それより・・・」
彼は床で蹲っている少女を見て、こう要求をした。
「とりあえず、僕と彼女に服をくれないかな?このままでは寒いんだ。」
「おっけい!この束様にお任せあれ!」
彼女は一瞬で服を持って帰ってきた。
(この女・・・本当に人間か?)
彼女が持ってきた服は、かつて彼が着ていた服と似ていた。
(ふふ・・・やはりこの服は着ていると何か安心するね。パイロットスーツよりこちらがずっと落ち着くよ。)
彼が服に満足していると、何故か自己紹介が始まった。
「私は條ノ之 束。君達のある意味オリジナルとも言える、世界が認める超☆天☆才なのだ!」
「私はクロエ・クロニクルです。訳あって束様に仕えています。これから宜しくお願いします。」
(僕の目にはこのクロエという少女の方が天才に思えるのだが・・・僕だけかな?)
「むっ、リっくん私を天才だって思ってないな~?」
(!?何故分かった!?)
「そりゃあ、私は天才だからね!ぶいぶい!」
どん、と胸を張る天才(笑)、束。
「とてもユニークな自己紹介感謝するよ。僕はリボンズ・アルマーク。これから宜しく頼むよ。」
「もうちょっとひねっても良いんじゃないかな?例えば『救世主なんだよ僕は!』とかさ。」
「・・・ボソッ 人の黒歴史を掘り返さないでくれるかな?」
「何か言ったかいリっくん?」
「こちらの話さ、気にしないでくれ。ところでリっくんとは?」
「そりゃあ君だよ!『リボンズ・アルマーク』だから『リっくん』!良い名前でしょ!」
その独特過ぎるとも言えるネーミングセンスに、彼は絶句した。
「・・・君のネーミングセンスにはかなりの問題があるという事は理解したよ。」
「あー!リっくんまでそんな事言う!助けてク―ちゃん!」
「束様、彼の言う事はもっともです。」
「私全否定!?酷いよみんな~・・・しくしく・・・チラッ」
「さて御二方。私がこのラボを案内しますのでついて来て下さい。」
「それは有り難い。是非頼むよ。」
「る・・・ルビも行く・・・」
「おや、もう立てるのかい?しかしまだふらついているではないか。肩を貸すよ。」
「ありがと・・・お兄様。」
「お兄様?僕は君の兄では・・・ああ、僕の方が君より作られた日にちが早かったのか。」
「うん・・・だから、お兄様はお兄様・・・」
「その呼び方で構わないよ。じゃあクロエ、案内お願いするよ。」
「分かりました。ではこちらへ。」
「ああっ!?待って待って!無視しないで~!!」
彼らは今日初めて会ったにも関わらず、まるで家族の様な雰囲気を醸し出していた。
彼らが束のラボに保護されてから、早一週間が過ぎた。リボンズは今日、束に呼び出されていた。
「束、失礼するよ。」
「あ、リっくん!さぁ入って入って!」
今はもう名前で呼び合う程の仲になったが、彼は束がどんな研究をしているのか気になっていた。どこに束を「天才」と言える要素があるのか、今だ掴めずにいたのだ。今日それが判明するかもしれないので、彼は内心喜んでいた。
「さて、今日リっくんを呼んだ理由なんだけど・・・これ、触ってくれるかな?」
そう言って彼女が出してきたのは、パワードスーツの様な物だった。
「これは何だい?見たところ何かしらのスーツの様だけど。」
「これは『インフィニット・ストラトス』。通称ISと言ってね、この束さんが作ったスペシャルなパワードスーツなのだ!!まあ、世間的には兵器で通してるけど。」
彼は束から渡された資料に目を通して、感嘆の声を上げた。
「ほう、これが君の発明というわけか。成程、これほどの物を作り上げていれば、君が天才と言われているのも頷ける。」
「そうでしょー!でね、このISなんだけど一つ欠点があるんだよ。それは男には使えないこと。」
「それは・・・兵器としては最低の発明だね。でも、それなら何故僕を呼んだんだい?僕も男なのだから例外ではない筈だ。」
「普通はそうなんだけど。でも、リっくんはこの天才束さんの思考パターンから生み出されたんだから、もしかしたら・・・って思ってね。」
「成程。開発者に関係しているのだから、ISを使える可能性が少なからずはあるという訳だね?」
「さっすがリっくん、呑み込みが早いね!そういう事なら話は早い、早速触ってみてよ!」
「了解したよ。」
そして、リボンズがISに触れると・・・
突然、ISが光りだした。多くの情報がリボンズの脳に入り込んでくる。
(な、なんだこれは!?この情報は全てISの物なのか!?)
そして、光が収まると・・・
第二世代型IS、「打鉄」を身に纏っているリボンズの姿があった。
「これが・・・これがISか・・・」
「おお~、さすがリっくん!やっぱり私の読みは間違ってなかったね!」
掌を開閉したり、武器を取り出したりするリボンズ。
「初めてでそこまでできるんだ・・・じゃあ、一回飛んでみよう!」
「分かったよ。」
リボンズは取り敢えず意識した。すると、打鉄が徐々に浮きはじめ、そして、その数分後にはそこら辺を飛び回っていた。
「これは凄い・・・流石だね、束。こんな代物を作り出してしまうとは。」
「でしょー?で、こんなこともあろうかと、もうリっくん専用のISを作っておいたよ!」
「・・・君は本当に仕事が早いね、称賛に値するよ。」
「ふふん、ではそちらをご覧あれ!」
すると、壁の一部がスライドし、中から一機のISが出てきた。リボンズは、その造形に見覚えがあった。
ISには珍しい
「これには私の新しい技術が取り込まれててね、なんと、この機体は特殊な粒子を使用して飛んだり、その粒子を圧縮すればビームを撃てたり出来るんだ!これはリっくんの入ってたポッドに微量ながら付着していた物なんだよ!」
(成程、僕がこちらの世界に来たと同時に、GN粒子も少し移って来たのか。これは嬉しい誤算だ。)
「で、この機体の名前なんだけど・・・」
「束、それは僕が決めるよ。君に任せては不安だからね。」
「酷いよリっくん!まぁ・・・元々君に託すつもりだったからいいんだけどね。じゃあどうする?」
(そんな物決まっているさ。この機体の名は・・・)
「・・・0。0ガンダムだ。」
「ほほう、
リボンズは、ずっと0ガンダムを見ていた。
(0ガンダム・・・まさか、君にまた会えるとは思ってもみなかったよ。今度は僕を導いてくれ。
正しき道へ・・・
はい、一気に物語が進みましたね!リボンズが最初からIS使えると確信して0ガンダム作った束さんスゲェ・・・次回、オリキャラのルビのISも出す予定です!お楽しみに!