救世主の贖罪   作:Yama@0083

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い・・・やったあああああああああ!
今回、頑張って一カ月も経たずに終わらせましたよ!しかも、少し戦闘入りで!今の作者は、NJCのデータを手に入れた時の盟主王ぐらい喜びに打ちひしがれています!いや、本当に早く出来て良かった・・・


では、最新話です。どうぞ!


22. 転校生 ~再開、弟子よ~

明くる日の朝、いつもの様にホームルームが始まった。

「え~と、今日はなんと転校生が来ています!では入って下さい、デュノア君。」

君?さんじゃなくて?と皆が思っていると、教室のドアが開きその転校生が姿を現した。

 

流れる様に美しい金髪。

 

ありえない程輝いている肌。

 

とても澄んだ紫色の瞳。

 

華奢な体躯。

 

そう、簡潔に纏めるならば、彼は紛うことなき美少年だった。

 

「シャルル・デュノアです。ここに僕と同じような境遇の人が居ると聞いて、フランスからやって来ました。」

 

 

「「「「きゃあああああああああああああああああ!!!!」」」」

案の定、教室内は歓喜の声に包まれた。

 

 

 

 

 

その頃食堂では、リボンズと衣恵が会話をしながら朝食を摂っていた。

「ほう、転校生か。噂には聞いていたが、まさか男性だったとは。それは生徒達もさぞ嬉しい事だろう。」

「ええ、しかもかなりのイケメンだとか。名前はシャルル・デュノア君だったかな?デュノア社の社長のお坊っちゃんですよ。でも、なーんか引っかかるんですよねぇ・・・」

「どういう事だい?」

「いや、私の姉から聞いた情報だと、確かデュノア社の社長には息子なんて居なかった筈・・・私の姉、記者なんですよ。だからそういう情報には詳しいんです。」

「成程・・・衣恵、済まないが噂の彼がどの様な人物なのか確認して来てほしい。そうだね、今頃は第一アリーナで訓練を行っている筈だ。」

「潜入捜査ですね?そういう事なら、この衣恵にお任せです。姉程ではありませんが、上手くやってみせます!」

そう言って衣恵は朝食を素早く済ませ、第一アリーナへと向かった。

 

 

 

 

彼女が第一アリーナに着いた時には、もう授業が始まっていた。

「よーし、それじゃあこれで・・・」

彼女は懐から双眼鏡を取り出し、遠目からの視察を開始した。彼女の視線の先には一組と二組の生徒達が整列しており、その前には千冬が立っていた。

「あ、いたいた。えーと、噂の彼は何処かなー・・・」

彼女が視察を続けていると、千冬がセシリアと鈴の二人を呼び出し、ISの実戦をして見せるように言った。初めはどちらも良い顔をしていなかったが、千冬が彼女等に何かを耳打ちするとその態度は一変し、意気揚々とした表情でそれぞれのISを展開した。

「うっそ、あの不満そうだった二人がああも簡単に?まあ、大方一夏君絡みの事を言われたんだろうけど・・・」

彼女がそう言いながら視察を再開しようとすると、空から何かが降ってきていた。

 

『ど、どいて下さあああああい!!』

その降下物の正体は、ISを装着した真耶だった。彼女は流星の如く、地上に向かって急降下している。しかも、それが行き着く先は・・・

 

『う、うわあああああああ!?』

一夏が避ける間も無く、真耶は彼に突っ込んだ。彼女が落下した所にはもうもうと土煙が立つ。

 

「うわー、派手にやらかしたわねぇ・・・真耶はISを展開してるからいいけど、一夏君は大丈夫なの?」

すると徐々に煙が晴れていき、彼等の状態を確認出来る程となった。皆は最初、一夏が無事な様子を見て胸を撫で下ろした。が、完全に煙が晴れた時、全員の表情が固まった。

なんと、一夏は真耶の豊満な胸を鷲掴みにしてしまっていたのだ。しかも、肝心の真耶は満更でもなさそうである。

「あちゃー・・・一夏君、それはダメでしょ。とんでもないラッキースケベね。」

一夏が慌ててその胸から手を離した後、千冬がこれから行う模擬戦について説明した。何でも、真耶と彼女達の1対2で対戦をするらしい。その事に彼女達は少し心配そうだった。

「まあ、そりゃそうか。普段のあの子頼りないからなぁ、ISを操る技量は高いんだけど。」

まあ多分勝っちゃうでしょ、と彼女は楽観視していたが、ある事に気付いた。何故か、遠目にいる千冬がこちらを直視しているのだ。

「!? 嘘、まさか気付かれた?」

彼女はハラハラしながら、最早転校生そっちのけで千冬を注意深く見ていた。すると、千冬が突如口を開き言った。

『仕方が無い。衣恵、悪いが山田先生とタッグを組んでコイツ等と模擬戦をしてやってくれ。』

(やっぱりバレてたかー・・・結構いい線行ってたと思うんだけどなぁ。)

彼女は観念して、物陰から出てアリーナに足を踏み入れた。

 

 

 

 

「は、はーいっ!衣恵さんの登場よ!」

少し引き攣った笑みを浮かべ出てきた衣恵に、千冬は話しかけた。

「すまんな、コイツ等は山田先生一人だけを相手にするのは少しご不満らしい。」

「そ、そうですか・・・真耶は結構強いんですけどねぇ。まあ、普段の感じからは分からないか。良いですよ、お相手します。二人共、宜しくね。」

「うん、宜しく。言っとくけど、今日のあたしは容赦出来ないわよ?ねえ、セシリア。」

「その通りですわね。今は無様な醜態を晒す訳にはいきませんので、覚悟してもらいますわ!」

大方一夏にいい所を見せたいのだろう、と予測した衣恵は苦笑いをした。

「千冬さん・・・やる気出させ過ぎです。」

「さて、何の事か。」

(・・・それはそうと、いつからバレてました?)ボソッ

(お前がこちらの覗き見を始めた時からだ。)ボソッ

(最初から気付いてたって・・・はぁ、まだまだ青葉には及ばないか。)

そして、彼女は自分の機体を起動した。その機体もまた風変わりな物で、セーラー服を模した物を纏っており、体にはまともな装甲が見当たらない。唯一それらしく見えるのは、背中にある軍艦の艦橋を模したバックパックだけ。そんな中、彼女が両手に持つ二つの連装砲が妙な存在感を醸し出していた。

「えっと・・・衣恵さん、それって・・・」

「え?私の機体に決まってるじゃない。」

「見た所、装甲の様な物が見当たりませんが・・・ほ、本当に大丈夫ですの?」

「この服が装甲みたいな物だから、怪我をする事はないわね。それに、これにもちゃんと絶対防御はあるわ。」

まあ、それなら・・・と納得した二人は、そのまま上空へ飛び臨戦態勢に入った。

「真耶、私は飛べないから本格的に参戦は出来ないけど、地上から援護するからね。」

「すみません、先輩。それじゃあ宜しくお願いしますね。」

そう言って真耶も飛び上がった。

「よし。衣恵は機体の特性上飛行出来ないが、遠慮なくやれよ小娘共。それでは、始め!」

千冬が勢い良く腕を振り下ろした所から、試合は始まった。

まず、セシリアと鈴は二人がかりで真耶を攻撃し始めた。

(ふぅん、まずはそれなりに腕が立ちそうな真耶を二人がかりで墜として、その後私を空からの攻撃で消耗させるって策ね?その選択は間違ってはいないけど・・・)

「お生憎、そうやすやすとそんな事させる訳がないのよね!」

衣恵は手に持った連装砲を構え、それをセシリアに向け発射した。轟音が鳴り響くと共に、二つの砲弾が勢い良くセシリアに向かう。彼女はそれを少し遅れて回避したが、その内一発の直撃を許してしまった。鈍い音がすると同時に、彼女の体が大きく仰け反った。

「きゃっ!?何ですの、この凄まじい衝撃は!!」

その砲撃の威力はビーム兵器に劣るものの、体の芯まで響く様な衝撃がセシリアを襲った。

「ふふっ、凄いでしょ?ビーム兵器は勿論、ミサイルやバズーカが直撃した時ともまた違う感じじゃない?ほら、もう一発!」

今度は両手の連装砲を構え、次々と砲撃を繰り出した。それは最早一発どころではない。

「ぐっ・・・こんな砲撃を何発も食らっては、機体は良くても私の意識が飛んでしまいますわね。それだけは避けないと!」

セシリアは苦悶の表情を浮かべながらも、砲撃の合間を縫って真耶へと攻撃していた。が、その攻撃のペースは明らかに落ちていた。

「へえ、流石は現役の代表候補生。中々やるじゃない。だけど、いつまでそれが続けられるかしらね!」

不敵な笑みを浮かべながら砲撃を行う衣恵を見て、千冬は苦笑した。

「全く・・・少しはっちゃけ過ぎだ、馬鹿者。さて、では山田先生が使用しているISを・・・デュノア、解説してみせろ。」

彼は急に話を振られたものの、落ち着いた様子で答えた。

「あ・・・はい。山田先生のISは、デュノア社製『ラファール・リヴァイブ』です。第二世代でありながら、そのスペックは初期第三世代型にも劣りません。現在配備されている量産ISの中では最後発ですが、世界第三位のシェアを誇り、装備によって格闘・射撃・防御と言った全タイプに切り替えが可能です。」

「うむ。いい説明だ。ではもう一人の方、衣恵が使用している機体についてはどうだ?」

彼はアリーナの中央で、砲撃戦を展開している衣恵を見た。

「彼女の機体は・・・詳細までは分かりませんが、恐らくインフィニット・ストラトス・フリートの内の一種でしょう。インフィニット・ストラトス・フリート、通称ISFは、日本の平賀博士を中心に開発された機体達の総称で、その全てが世界大戦時に実在した艦船をモデルとして設計されています。その特徴は通常のISと違い飛行出来ない事で、理由としては元々海上護衛の為に作られたからとも、単なる博士のこだわりとも言われています。しかし、実弾兵器に対する耐性がISよりも高い事や、携行している実弾兵器が、既存の実弾兵器の威力を上回っている等メリットも存在します。最初は日本でしか配備されていませんでしたが、ここ最近ではアメリカやドイツに技術を提供するなど、海外進出も果たしています。」

「ご苦労、見事な解説だった・・・おっと。そうこうしている内に、この戦いも終わりそうだな。」

その頃、セシリアは止めど無く続く砲撃を避ける為に、上空を右へ左へと大きく移動していた。しかし、それがいけなかった。彼女は知らない内に、少しづつ鈴との距離を縮めていたのだ。また、鈴も真耶からの攻撃を避ける度にセシリアがいる方向へとどんどん近づいていた。そして・・・

 

ガチャン!と二つのIS同士がぶつかり合い、両方の動きが止まった。真耶はグレネードランチャーを取り出し、重なり合った二機に対して一発発射した。

 

「「きゃぁぁぁぁぁぁあああ!!」」

爆煙の中から二人の悲鳴が上がり、そして二人は地上に落ちた。

 

 

「ったく、なに良いように誘導されてんのよ!」

「それは鈴さんも同じでしょう!?それに鈴さんは迂闊に突っ込み過ぎですわ!」

「なんですってぇ~!!」

二人が取っ組み合っているのを尻目に、千冬が口を開いた。

「これで諸君も、教員や学園関係者の実力は理解出来ただろう?以後はもう少し敬意を持って接するように。さて、次はグループになって実習を行ってもらう。リーダーは専用機持ちがやる事。では別れろ!」

すると、女子達はそれぞれの下に集った。多少一夏とシャルルの所に女子が集中したが、鈴とセシリアの下にもちゃんと集まったので、そのまま続けられた。

「えーと・・・私はもう帰ってもいいのかな?ていうか警備の仕事があるんだけど・・・」

「まあそう急ぐな。この際、お前もここで私達と共に生徒達のサポートをしてもらう。何、一応代わりの警備員を向かわせるよう連絡はしておいたから心配はいらん。」

「そんなぁ・・・」

衣恵は溜息を付きながらも、生徒達の指導に入った。

 

 

 

 

時刻はお昼時。リボンズは珍しくカウンターの近くと言う生徒達の目に付きやすい所で食事をしていた。更に正面に厳弥と恵、隣には幾と周りを囲まれた状態である。

「ごめんなさいね。妹達がどうしてもリヴァイブさんと話がしたいって・・・」

「恵はそんな事言ってないでち。どっちかって言ったら幾の方が言ってたでしょ。」

「んー、まあそれは否定しないのね。だってリヴァイブさんは二年生の間でも結構人気なんだから、一度話をしてみたかったの。」

「まあ、僕は別に構わないけどね。そういえば、華は何処へ行ったんだい?珍しく姿が見えないではないか。」

「華は一夏君に誘われてご飯食べに行ったから、別の所にいるわ。」

「けど一夏君が誘ったと言うより、彼に誘われた彩季奈が誘った感じだったの。」

「華とあいつ仲良いしね。ま、そうなるのもおかしくはないでち。」

「何にせよ、他者との関係を築いておいて損は無いだろう。彩季奈はいい判断をしたね。」

 

 

 

 

「・・・はっ!今誰かに褒められた気がするかも!」

「急にどうしたの、彩季奈?」

「ぁ・・・いやいや、やっぱなんでもないかも!」

丁度その頃、彩季奈と華、そしてシャルルは一夏に連れられて屋上に来ていた。既に集まっていた箒、セシリア、鈴の一夏ラブ勢は不機嫌そうだったが、皆がそれぞれの弁当を広げた頃にはその態度は一変し、途端に上機嫌になった。

(あー、あれって絶対あれかも。各自で作ってきたお弁当を一夏に食べさせてキャッキャウフフするつもりかも。あーあ。いいなぁ、青春してて。こちとら今まで恋愛事情に関しては、青い春どころか灰色の冬だったかも。)

そんな事を思いながら、彩季奈は持参した弁当をもそもそと食べ始めた。

「一夏さん。今日はたまたま早起きしましたので、こういう物を作っておきましたの。イギリスにも美味しい物がある事を納得して頂きませんとね。」

セシリアのバスケットの中には、多くのサンドウィッチがぎっしりと入っていた。

「へぇ、言うだけあって美味そうだな。それじゃ、頂くよ。」

一夏はそれを一つ取り、一口齧った。しかしそれを咀嚼した瞬間、彼の顔色が真っ青になった。

「一夏さん、どうでしょうか・・・」

セシリアが顔を赤くしながら、一夏に問う。

「ど、独創的で・・・刺激的で、な、中々美味しいよ・・・ハハ・・・」

体を小刻みに震わせながら、一夏はなんとか答えた。

「良かったですわ・・・さぁ、どんどん召し上がって下さいな!」

「あ、いや・・・後で貰うよ・・・」

その一夏の様子を見て、彩季奈はこそっと一夏に問いかけた。

(・・・美味しくなかったの?)

(さ、殺人的な味だった・・・)

(それは・・・同情するかも。)

一夏のセシリアの料理に対する感想を聞いた時、彩季奈の中に一つの興味が生まれた。

「セシリア、このサンドウィッチ一つくれるかも?」

「彩季奈さん?ええ、勿論構いませんわよ。」

彼女はセシリアから受け取ったサンドウィッチを、サランラップに包んで保管した。

(これをあの人に食べさせたらどうなるか・・・気になるかも。)

その後、一夏ラバーズが一夏と食べさせ合いをしているのを不穏なオーラを発しながら見つめる彼女であった。

 

 

 

 

 

リボンズ達が食事を終え、しばらく談笑をしていた頃。食堂に彩季奈と華が現れた。

「あれ、アンタ達もう帰ってきたの?」

「あ、皆まだここにいたの?じゃあ丁度良かったかも。 今からちょっと実験をするよ!」

「実験だと?それはどんな内容なんだい?」

それを聞いた彩季奈は、懐から一つのサンドウィッチを取り出した。

「これはセシリアが作った、一夏曰く殺人的な味のサンドウィッチかも。これを・・・金堂さんに食べさせてみるかも。」

それを聞いた厳弥は、呆れた様な表情をした。

「え~と、それって何?メシマズにメシマズが作った料理を食べさせるって事?」

「うん、そんな感じだね。」

「やめときなさいって・・・金堂さんの味覚は普通・・・の筈だし。それに、そのサンドウィッチそこまで不味いの?」

「んー・・・じゃあ、厳弥さんが食べてみる?」

そう言って差し出されたそのサンドウィッチを、厳弥は訝しげな顔をしながらも少しちぎって口に入れた。しかしその瞬間、彼女の目が大きく見開かれ、冷や汗が流れ始めた。その変わりようを心配した恵と華が声をかける。

「・・・大丈夫でちか?」

「このカフェオレ、飲む?」

そのパック入りのカフェオレを、厳弥は素早く受け取って飲み干した。

「はぁ・・・」

「厳弥さん、どうだった?」

水を得た魚の様な表情をしている厳弥に、彩季奈は問いかけた。

「・・・本気で死ぬかと思ったわ。こんなの絶対金堂さんに食べさせちゃ駄目だからね!!」

「まあまあ、見ててほしいかも。」

「あ、ちょっとコラ!」

厳弥の制止も虚しく、彩季奈はカウンターへと向かった。

「すみませーん。金堂さん、いるかもー?」

彼女が呼びかけてから少しして、食堂の奥からショートヘアの女性が現れた。

「はい、お呼びになりましたでしょうか?」

「金堂さん、お疲れ様かも!」

「あれ、彩季奈ちゃん。どうしたの?」

「実は、金堂さんに差し入れのサンドウィッチを持ってきたかも。食べる?」

「差し入れかぁ。うーん・・・気持ちは嬉しいけど、皆頑張ってるのに私だけ食べるのもなぁ・・・」

「心配しなくても、後で他の人にも渡すつもりかも。」

「そうなの?じゃあ、頂こうかな。」

彼女は彩季奈の手からそのサンドウィッチを取り、そして口に入れた。少し咀嚼した後、少し表情を歪めた。

「んー?なんか妙な味が・・・変な物でも入ってる?別に食べられなくはないんだけど・・・」

「それを作ってくれたのがセシリアだから、もしかしたら高級な食材でも入ってるのかもしれないかも。」

「なるほど、庶民には分からない味って事か・・・確かに、高級フランス料理とか行っても、私達にはその美味しさがいまいち分かんないもんね。そう考えると、この味も納得かも。」

コンドウサーン、サラアライツイカハイリマシタ-。

「あっ、はーい。彩季奈ちゃん、サンドウィッチありがとね!よーし、気合い!入れて!洗います!!」

そう言って彼女が平然と仕事に戻っていくと、彩季奈は渾身のドヤ顔で皆の下へ帰った。席では厳弥が、信じられない物を見たような目をしていた。

「嘘、でしょ・・・あのサンドウィッチを、あの名状しがたい程カオスなあの味を『妙な味』程度で済ますなんて・・・」

「ふふーん。やっぱり、メシマズにはメシマズを、ってね!彩季奈の考えはこれで証明されたかも。」

「ええ、今回はアンタの勝ちね・・・あ、華。さっきのカフェオレありがと。後で何か奢ったげるわ。」

「ほんと?じゃあブルーマウンテンコーヒー、飲みたいな。缶に入ってる奴で良いよ。」

そんなこんなで、彼等の昼は平和に過ぎていくのだった。

 

 

 

 

 

そしてその夜。リボンズは夜間の見回りの前に、自分の部屋で一休みをしていた。彼のベッドのすぐ近くにある机では、刀奈が黙々と生徒会の仕事をこなしていた。彼がそれを黙って見ていると、彼女が不意に口を開いた。

「そう言えば・・・知ってる?明日、もう一人一年生に転入生が来るのよ。」

「何?今日一人来たばかりではないか。」

「まあ、そんな事もあるわよ。それで、その子はドイツからの転入生なんだけど・・・」

「・・・ドイツだと?」

「ええ。ドイツの代表候補生の子。あと、シュバルツェ・ハーゼ隊の隊長も務めてるとかだったかな。」

(代表候補生で、しかもあの隊の隊長だと?レーヴェ隊長はまず無いとして・・・クラリッサ副隊長?いや、彼女ももう学校に行くような歳ではないはずだ。では、彼女(・・)か?・・・いや、まさかね。)

彼はその予想が間違っていなかった事を、次の日に知る事となる。

 

 

 

 

 

次の日のSHR。朝の教室には妙な空気が漂っていた。

「え、えっと・・・今日も嬉しいお知らせがあります。また一人、クラスにお友達が増えました・・・ドイツから来た転校生の、ラウラ・ボーデヴィッヒさんです。」

フツカレンゾクデテンコウセイ?

イクラナンデモヘンジャナイ?

「皆さん、お静かに!彼女の自己紹介はまだ終わっていませんよ!」

「・・・挨拶をしろ、ラウラ。」

「はい、織斑教官。」

彼女は咳払いをしてから、自己紹介を始めた。

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ。こんななりからは想像できないかもしれんが、軍人をしている。この様な学校に生徒として入るのは初めてでな、多少慣れない所もあるだろうが、宜しく頼む。・・・ん?貴様は・・・」

自己紹介を終えた彼女は、急に一夏の席の前に立った。

「貴様が、織斑 一夏だな?」

「あ、ああ・・・」

一夏が急な出来事に混乱していると、彼女は一夏の顔を覗き込んだ。

「・・・ほう、良い目をしているじゃないか。成程、これならあの方が貴様の事を気にかけるのにも納得だ。」

そう言って微笑を浮かべた彼女は、一夏が何かを言う間も無く自分の席へ向かった。

(な、何だったんだ、一体・・・)

 

 

 

 

 

その日の授業が全て終わった後。ラウラは夕焼け空の下、寮へ向かっていた。

「今日一日過ごしてはみたが・・・なんなんだここの生徒達は。ISをまるでファッションか何かと勘違いしているのか?自分達が使用しているのが兵器だと言う自覚が、まだまだ足りん様だな・・・人間的にはいい奴らが多いのだが。」

そう言いながら、彼女は空を見上げた。

「こんな極東の地の夕日も・・・美しいものだな。」

すると、後ろから誰かの話し声が聞こえてきた。彼女は最初気にも留めなかったが、その声が近付いてきてよりはっきりと聞こえる様になった時、彼女の表情は驚愕に染まった。彼女はとっさに、そこら辺にあった木の陰に隠れた。

(そんな、あの声は・・・いや、だがそれなら何故こんな所に・・・!?あの方はあの日から、何処に行ったのかも分からなかったのに・・・)

そう、こんな所に居る筈がない。そう自分に言い聞かせている彼女だったが、その心臓は意に反して鼓動を増していく。そして遂に、その声が彼女が隠れている木の前を通過した。

「いや、それにしてもあれは凄いですよ。中性的って言うんですかね、ぱっと見男の子ですけど、見ようによっては女の子にも見えるんですよ。」

「成程ね。それにしても警備の仕事があっただろうに、あの様な事を引き受けてくれて感謝するよ。」

「いや、こっちも報告するのが一日遅れちゃいましたから。これでおあいこですよ。」

その声を聞いて、彼女の中に渦巻いていた疑問が確信に変わった。

(あの声の感じ・・・あの口調、間違いない。)

彼女の心臓の鼓動が、更に加速する。 その嬉しさのあまり、彼女の目からは涙が零れ出していた。彼女は慌ててその涙を拭う。そしていてもたってもいられなくなった彼女は、思わずその声の主の下へ走り出していた。

(ああ、あの後ろ姿も・・・雰囲気も、全くお変わりない。やはりあれは・・・)

緩みそうになる表情を必死で抑え、彼女は走った。

「それじゃあ、私はここで失礼しますね。まだ警備の仕事が残ってるんですよ。」

「そうか、では頑張ってくれたまえ。」

相手の女性が何処かへ走り去ったと同時に、ラウラは息を切らしながらもその人物の下へ辿り着いた。

「ハァ、ハァ・・・お、」

上がっていた息を何とか抑え、彼女はその人物に敬礼をした。

「お久しぶりです、リボンズ教官!」

彼女は今までに無い程の可憐な笑顔を浮かべた。涙混じりのその笑顔に、その人物・・・リボンズ・アルマークは少し驚いた様だったが、直ぐに普段の笑みに変わった。しかし、その笑みはいつもより少し穏やかな物だった。

 

もうじき沈みそうな夕日が、長年ぶりの再開を果たした彼等を明るく照らしていた。




はい。今回はラウラとシャルが登場しました。そして、久しぶりの戦闘に燃え過ぎちゃう衣恵さん可愛い。

シャルル・・・ごめんね、君にISFの説明を任せてしまったよ・・・


あと、ついにその正体が分かった金堂さんですが、姿は普通の方です。改二の方ではありません。ちなみに衣恵さんは改二の方です。


さて、次回は更にラウラの出番が増えるかな。ご期待下さい。
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