さて、今回は閑話休題、なので短編っぽくしております。それに、存在が仄めかされてた人物(ある警備員の姉)が登場します。
あとは・・・
今回、はっちゃけ過ぎました・・・
まあとにかく、最新話です。どうぞ。所々にガンダムネタも織り交ぜていますので、良ければ探してみて下さい。
学年別トーナメントから数日後。休日で仕事が休みのリボンズは、いつもより少し遅く目覚めた。
「おっと、もうこんな時間か・・・」
彼がベッドから身を起こすと、優雅に紅茶を嗜んでいる刀奈が目に映った。
「あら。やっと起きたの、リボンズさん?」
「・・・おはよう。相変わらず、君は起きるのが早いね。 」
彼女が、何故リボンズの本名を知っているのか。何故なら、シャルが自分の自分の本名と本当の性別を明かしたと同時に、彼もまた本名と目的を明かしたからだ。勿論彼がISを使えるという事は公表していないが、一夏を含めた専用機持ちにのみ、その事実は伝えられた。
「ふふ。規則正しい生活を心掛けるよう、昔から教えられて来たもの。これ位当然よ。」
「成程、良い心掛けだ。さて、では僕は準備をして出かけるとしよう。」
「出かける・・・って、どこに行くの?」
「何、ちょっとしたお出かけさ。別に君の監視は必要ないよ。」
「・・・そう?じゃあ、いってらっしゃい。」
「ああ、君も良い休日を。」
そう言って、リボンズは部屋を後にした。
一方その頃。一夏とシャルは、修学旅行で着る為の水着を買いに、街の大型ショッピングモールに来ていた。が、一夏が例の如く乙女キラーの発言をした為、シャルの機嫌は早速少し悪くなっているが。
「おいシャル・・・なんでそんなに怒ってるんだよ? 休みの日の朝くらい、気楽に行こうぜ。」
(こっちは色んな意味で気楽じゃいられないよ!もう、一夏のバカぁ・・・)
彼女が未だムスッとしているのに困り果てる彼だが、何かを閃いたかの様に手を差し出した。
「そうだ。シャルはここら辺の事よく知らないだろうし、手を繋いで歩くか。はぐれたりしたら大変だからな。」
その思わぬ提案に、彼女は目を丸くした。
「えっ・・・良いの!?」
「良いのかって・・・別に良いだろその位。それとも、やっぱり男子と手を繋ぐのは・・・」
「うっ、ううん。全然良いよ!寧ろ一夏だったら大歓迎だよ!!」
「そ、そうか・・・んじゃ、しっかり掴んでろよ?」
「うん!」
彼女は満面の笑みで、一夏の手を握った。そして二人は、ショッピングモールの中へ歩き始めた。
その二人を、離れた場所から見つめる二つの影があった。
「ねぇ、セシリア・・・あれ、手ぇ握ってない?」
「握ってますわね・・・しっかりと。」
それは一夏に恋する黒い二連星こと、鈴とセシリアである。目のハイライトが消え、背後に黒いオーラを纏わせている二人の姿は、まさしくその異名に相応しい物だった。あと一人、彼女等と同じオーラを持つ者が現れた時、めでたく三連星が完成し、一夏にジェット・ストリーム・アタックをかけるのである。
「そっかぁ・・・私の見間違いでも、白昼夢でも、幻覚でもなく、事実なんだ・・・」
そう呟くなり彼女は、甲龍の右腕を部分展開した。
「よし、殺そう!!」
「判決、死刑ですわ!!」
炎の如きオーラを纏い、目標を駆逐しようとする彼女達だったが、ある少女の登場で、それは妨げられた。
「なんだ、随分と楽しそうじゃないか?」
その声に、ギョッとして振り返る二人。その先には、先日彼女等を散々痛めつけたラウラの姿があった。
「ら、ラウラさん!?」
「ッ!アンタ・・・!」
彼女達は咄嗟に警戒態勢をとる。だが、ラウラは少しばつが悪そうに二人に話しかけた。
「まぁ、お前達がその反応をするのは分かる。先日のあれは、少しやり過ぎた。申し訳ない。」
そう謝罪された二人は面食らったが、思わず胸を撫で下ろした。
「それで?お前達は一体何をしているのだ?何故そんな場所でこそこそしている?」
そう聞かれた鈴は、一夏達を指差した。
「・・・成程。想い人とシャルロットの関係が気になる、という訳か。」
「お、想い人!?ま、まぁ・・・そんな所ね。」
「ふむ・・・面白そうだ、私も混ぜてくれ。どうせ私は、これから行く所があるのでな。隙を見て、奴に聞くとしよう。」
ラウラのその提案に二人は顔を見合わせたが、戦力は多い方がいいと言う事で、その案は可決された。
かくして、黒い三連星は結成されたのである。彼女等は物陰に隠れつつ、追跡を始めた。
そして更に、一夏達と黒い三連星を興味深げに見つめる者がいた。
「・・・んん?あれは最近話題の、織斑 一夏君では?その横には可愛らしい女の子がいて、そしてその後ろをつけているのは、もしかして中国、イギリス、ドイツの代表候補生?これはこれは・・・」
その女性は、掛けていたサングラスを外し、ニヤリと笑った。
「青葉、見ちゃいました!」
その頃。黒い三連星の三人は、一夏達の追跡を続けていた。
「状況はどうですの、鈴さん?」
「相変わらず、楽しそうに話してるわ。」
「それに、手も繋いだままだ。なんとも仲睦まじい事だな。」
「「それを言わないで(下さい)!!!」」
「す、すまなかった・・・うん?」
その時、ラウラが何かの気配に気がついた。彼女が後ろを向くと、胡散臭そうな女性が一人、音も立てずに近づいて来ていた。
「・・・貴様、何者だ?」
「?ラウラ、どうしたのよ・・・って、誰よアンタ!?」
「い、いつここまで近づいて来ましたの・・・!?」
三人が驚いて本気の警戒態勢に入ると、その女性も驚いた様な表情をした。
「あ、あれぇ?もしかしてバレちゃいました?おかしいなぁ・・・」
「何者だ、と私は聞いたぞ?」
ラウラは語尾を強めて、再び問う。
「おっと、これは失礼。私、笠谷 青葉と申します!雑誌『インフィニット・ストライプス』の編集長をしている者です!あ、名刺をどうぞ。」
三人が受け取った名刺には、確かにそう書かれていた。
「『インフィニット・ストライプス』って・・・ここじゃ結構メジャーな雑誌じゃない。じゃあ、結構偉い人なんじゃ・・・」
「いえいえ、それ程でもありませんよぉ。私は、自分の好きな事をやってるだけですから。・・・それで、なんですけど。貴方達が何をしていたのか、詳しく聞かせてくれません?」
妖しく目を光らせる彼女を前に、三人は互いに顔を見合わせた。
「いや・・・笠谷さん?には関係ない事でしょ?悪いけど、お断りするわ。」
「ええ。身元が分かったと言え、貴方が私達にとって怪しい人物なのは変わりませんし。」
「まあ、この二人がそう言っているのだ。潔く諦めた方が賢明だと思うが?」
三人に拒否されても尚、彼女は笑みを崩す事はなかった。
「ほうほう、成程・・・では、『これ』なんかどうです?」
そう言った彼女は、ポーチから一つの手帳を取り出し、三人に差し出した。すると、それを見た鈴とセシリアの目の色が変わる。
「「お、織斑 一夏の生態レポート・・・!?」」
「どうですか?いい情報、ありますよぉ?」
にんまりと笑う彼女にまんまと買収された二人を、ラウラは呆れ顔で見つめた。
「ふむふむ。つまり貴方達は、織斑 一夏君とあの女の子の仲が気になって、追跡をしている、と?」
「まぁ、ね。あたしが居ない間にカップルが成立なんかしてたら、たまんないじゃない。」
「いやはや、良いですねぇ。女の子三人が、好きな人と別の女の子がそのまま恋に落ちないか心配で、後ろを付け回る。いやぁ、中々危険な感じというか、愛が重いというか・・・青葉、ワクワクしちゃいます!」
「いや待ってくれ、私をこいつ等と一緒にしないでくれないか?」
「貴方も、リボンズさんに対しては同じ様な感じではなくって?」
「!?そ、そんな筈が無いだろう!?私はストーキングなどした覚えは無いぞ!!」
「え、なになに、何の話ですかぁ?」
「えっとね、コイツつい最近にね・・・」
「やっ、止めないか貴様!?さもなくばここが貴様の墓場となるぞ!?」
目を爛々と輝かせ聞いてくる青葉に鈴が暴露しようとするのを、ラウラは必死で止めようとする。しかし、彼女達がどんちゃん騒ぎをしている間に、一夏とシャルが行ってしまった事を、誰一人として気付かなかった。
「・・・と、色々あって、その教官がラウラを助けたらしいわ。」
「へぇ〜、ISに取り込まれ暴走している人を助けるなんて・・・どうやったんですかね?まさか、ISを使えるって訳でも無いでしょうし・・・」
「教官・・・私は、どうすれば・・・」
目の前で事の次第をバラされるという公開処刑をされた彼女は、虚ろな目で空を見上げていた。
「それは・・・まぁ、説得じゃないの?あはは・・・」
鈴は、リボンズがISを使ってラウラを止めたと聞かされていた為、それをなんとか誤魔化した。
「まあ、それしかないですよね。暴走する女の子を止める言葉なんて・・・もしかして、告白されたんですか!?」
予想の斜め上を行く彼女の言葉に、ラウラは思わず噴き出した。
「な、何故そうなるのだ貴様!?」
「『ラウラ、お前が好きだっ!お前が欲しいーッ!』みたいな感じですかねぇ?」
「そ、そんな訳が無いだろう!?大体教官は、そんな暑苦しいお人ではない!あの方はもっと冷静沈着で、叫ぶ事などもってのほかだ!」
慌てながらもそれを否定したラウラを見て、青葉は思考を巡らせる。
(無意識的に、その人の良い点を挙げている・・・これはもう、見事にホの字ですね!ご馳走さまです!)
彼女は流れる様に手帳を取り出し、ラウラについての情報を追加していく。
するとここで、ようやくセシリアがある事に気付いた。
「あの、鈴さん・・・私達、目的を忘れているのではなくて?」
「目的?・・・ああっ!!!一夏とシャルロットは!?」
彼女は先程彼等が居た場所を慌てて確認するも、そこにはもう彼等はいなかった。
「み、見失った・・・」
「・・・作戦、失敗ですわね・・・」
彼女等は二人を見失った事を、まるで世界の終わりが来たかの様な表情で嘆いている。青葉は唯一平然としているラウラに、コソッと話しかけた。
(あ、あのー。これって、青葉が原因ですかね?)
(かもしれんな。まぁ私としては、別に構わんが。)
青葉は、未だ嘆き続けている二人に近づく。
「すみません・・・調査のお邪魔、しちゃいましたね。お詫びとしてその手帳、貴方達に差し上げます。」
「・・・まあ、過ぎたことだし仕方ないけど・・・本当に貰って良いの、これ?」
「はい。情報は持ってて嬉しいコレクションですけど、同時に使うべき時には使わないと。これは貴方達が持っていた方が、有効に使えるかと思います。」
「・・・これには、どの様な内容が書かれてありますの?」
「そうですねぇ・・・彼の好きな物、行きつけのお店、好みの味、友人関係とか、かな。彼の家の中までは探れませんでしたが、その他の場所から洗いざらい調べました。複数の人から聞き込みをした上で作ったから、信憑性は保証しますよぉ!」
「成程。つまりは料理で勝負、って訳ね!やってやろうじゃないの!」
「ええ!私も腕を磨きますわ!」
すっかりやる気になった二人を見て、青葉は満足そうに頷いた。
「そういえば、ラウラ・・・アンタの用事って、結局なんだったの?」
「ああ、そういえば・・・おい貴様、ここに花屋はあるか?」
「お花屋さん、ですかぁ?勿論ありますよ。折角ですし、ご案内しますね!」
「そうか?助かる。お前達はどうする?先に帰っても構わんぞ?」
「うーん・・・いや、付き合ったげるわ。どーせ今帰っても暇だしね。」
「私も、ご一緒しますわ。」
「了解です!情報も潜入も道案内も、青葉にお任せ下さい!」
彼女達は青葉の先導の下、花屋へと歩を進めた。
「着きましたよ!ここがお目当てのお店、花屋『乙女座』です!」
その花屋は、看板にある店名が筆で書いたのであろう力強い文字で、しかも無駄に達筆と来た。どう見ても花屋の可愛らしい印象など微塵も感じられない。
「ね、ねぇ・・・これ、本当に花屋さんなの?どう見ても何かの道場にしか見えないんだけど・・・」
「いえ、鈴さん・・・一応、店先にお花が置いてありますわよ・・・?」
二人の言葉に、青葉は苦笑した。
「まあ、そういう印象を持っちゃうのも仕方ありませんね。店主さんもかなり濃い人ですし・・・でもでも!ちゃーんと丁寧に教えてくれますので、心配は無用です!では、 入りましょう!」
そう言って店に入って行く彼女に続き、三人も入店した。
店に入ると、内装は以外にも普通の花屋と変わらないものだった。店内に置かれている様々な花を彼女達が見ていると、店の奥から店員らしき人物が歩いて来た。
「あっ、店長さん!お久しぶりです!」
「おお、青葉ではないか!いらっしゃいませ、と言わせてもらおう!!」
(((!?)))
「む、君達は見ない顔だな。恐らくこの店に来るのは初めてだと思うのだが、違うかな?」
彼の問いに、ラウラが動揺しながらも答える。
「あ、ああ。そもそも日本に来たのもつい最近だからな。」
「やはりな。では、自己紹介と洒落込ませて頂こう。初めましてだな、少女達!!私がこの『乙女座』の、店長兼店員だ!!花の事なら、この乙女座である私に聞くが良い、ハッハッハッ!!!」
爽やかな笑みを浮かべながらも物凄くテンションが高いというギャップに、彼女達は大いに困惑した。
「わ、私は恩師にお渡しする花を探しているのだが・・・何か、他人に送るのに良い花はないだろうか?」
すると彼は、先程とは打って変わって真面目な表情になった。
「ふむ・・・恩師に渡す花、か。その恩師というのは、男性かね?」
「あ、ああ。私の人生を、変えて下さった方だ。」
「成程。それならば定番なのは、やはり白バラ等か。花言葉は『尊敬』という事もあり、生徒が恩師に渡す時等に好まれる花だ。・・・が、君が花を通して伝えたい事は、どうやらそれではないらしい。」
ラウラが、驚きの表情で彼を見る。その様子から見るに、どうやら彼の推測は正しいようだ。
「失礼。不躾な事を聞くが、君はその恩師に・・・好意を抱いているのかな?」
そのストレートな質問に、ラウラは更に目を見開き、彼を見た。
「・・・ああ。私はあの方に、どうやらそれに近しい感情を抱いているらしい。全く、何故ここまで人の心が読めるのだ、貴様は?」
「何故なら、私は乙女座だからな!!それに、女性の気持ちや思いを理解出来ない様ではこの仕事は務まらんし、そもそも『男』としてもまだまだ未熟だ!!まあ、完璧な『男』などそういるはずもないが・・・」
そこまで言うと、彼は仕切り直す様に咳払いをした。
「ゴホン。すまない、話が脱線してしまったな。とにかく、君はその恩師に対して好意を抱いている。まあ少なくとも、興味以上の対象、という事だろう。」
「ッ・・・ああ、そうだな。」
「ならば、この花を君に薦めよう。」
そう言うと彼は、近くからある花を取り出した。その花を、ラウラは興味深げに見つめる。
「これは・・・?」
「リナリア。姫金魚草とも言う花だ。この小さく可愛らしい姿が、まるで手弱女の様な印象を感じさせないかね?」
ラウラはそれをしばらくの間眺め、そしてポツリと呟いた。
「・・・私はこういう、年頃の乙女らしい事には疎いのだが、この花は私から見ても、その・・・可憐だな。」
「うむ。そして、この花の花言葉なのだが・・・少し、耳を貸したまえ。」
彼がラウラの耳元で何かを呟いた。すると、彼女の顔がポッと赤く染まる。
「そ、それは・・・少し、直接的過ぎるのでは・・・」
「面と向かって言うのが難しい事を、花を介して伝えるのだ。これ位でないと、正確に伝わらんぞ?この花を渡す事で、その恩師はセンチメンタリズムな運命を感じずにはいられなくなるだろう。そしていずれ気付く。その気持ちが、正しく愛だと!!!」
「あ、愛・・・!?」
すると二人のやり取りに、じっとしていられなくなった青葉が乱入した。
「先生と教え子の垣根を越えての禁断の恋、的な奴ですね!少し憧れちゃいます!」
「そうだ、よく言った青葉!!本来男女とは、愛さえあれば立場を押し退け、天すらも凌駕し得る存在なのだ!しかし、それが今や女尊男卑の世界になってしまい、男女の間の確執が更に広がってしまった・・・寒い時代だと思わんか?」
「おっ。その名言、頂きました!」
青葉がメモを取る中、ラウラは何かを決意したかの様な表情で、店長に言った。
「・・・分かった、その花を頂こうか。」
「どうやら、覚悟が決まった様だな?よろしい、では色を選ぶのだ。」
ラウラは陳列されてある中から、ある一つに目を付けた。
「・・・これだ。これが良い。」
「ほう、紫色か。それは何故だ?」
「あの方の目の色が・・・紫色だからな。」
「なんとストレートかつ、シンプルな理由!私は嫌いではないぞ!して、本数はどうする?」
「ふむ・・・そうだな、一本で充分だ。」
ラウラのその言葉に、鈴が異論を唱える。
「えぇ!?花束の方が見栄えが良いじゃない!!戦いは数だって言うでしょ!?」
それに、ラウラは平然とした顔で答えた。
「確かに、それは一理ある・・・だが、花束にして渡してしまうと、なんと言うか・・・私の思いが、花の一つ一つに散らばってしまう気がしてな。それならばいっそ、一本の花に思いを全て託した方が良いかと・・・」
その返答に、鈴は意外そうな顔をする。
「む、なんだその顔は?」
「いや、アンタって案外乙女チックなトコあるんだなーって。」
「っ、私が乙女、だと?馬鹿な事を言うな。」
「否!今の言葉は、充分乙女力が高い物だったぞ!中々やるではないか少女よ!」
「そ、そうですわ!私の母国にも、先程の様な思想の女性はそういませんわよ!」
「軍人さんでも、恋をすればあんな風になるんですねぇ〜。勉強になりました!」
彼女達は店長を筆頭にして、鈴に便乗しラウラを褒めちぎった。
「み、皆して茶化すな!ええい、さっさと支払いを済ませて帰るぞ!」
「お買い上げありがとう!君の恋路を応援しよう、上手くやりたまえよ!」
「ああ、感謝する。」
「礼には及ばん。ではまたのご来店、待っているぞ!」
こうして、四人は花屋を後にした。
「さて、目的の物は手に入った。私はこれより帰るが、お前達はどうする?」
「そうねぇ・・・時間も時間だし、あたしはご飯食べてくわ。」
「あら、それでしたらご一緒しますわ。ラウラさんも、ご一緒に如何?」
「昼食か・・・まあ、悪くない提案だな。よし、その案に乗ってやろう。青葉とやら、貴様もどうだ?」
「あー・・・ご一緒したいのは山々ですが、この後用事があるんですよ。ですので、私はここいらでお暇させて頂きますね。」
「む、そうだったか・・・では、ここでお別れだな。今日は世話になった、礼を言おう。」
「いえいえっ!こちらこそ、お役に立てて嬉しいです!また青葉をよろしくね!あ、あと雑誌もよろしくお願いしまーす!」
そう言って彼女は、何処かへ走り去って行った。三人はそれを見送った後、近くのファストフード店で昼食を済ませてショッピングモールを後にした。
その日の夜。リボンズはある人物とビデオ通信をしていた。
「成程・・・では、『シュヴァルツェア・レーゲン』の修復には、少し時間を要すると?」
『ああ。全く、まさかあの機体に、VTシステムが組み込まれていたとはな・・・気が付く事が出来なかった自分が忌々しい。』
その相手とは、元シュバルツェ・ハーゼ隊隊長、レーヴェ・ハンブルクだった。
「それは致し方ないでしょう。アレはかなり巧妙に隠されていましたからね。無理もありません。」
『まあとにかく、この情報が漏れれば、軍の上の奴らも相当苦労するだろうよ。なんせ、開発・使用を禁止された禁忌のシステムなのだからな。今頃、この事実をどう隠し通すかで必死になっているに違いない。』
「・・・その事についてなのですが・・・」
リボンズは、自分の考えを彼女に話し始めた。
『成程。つまりお前は、「自分達がその情報の漏洩を完全に防いでやる代わりに、ラウラの機体を引き渡せ」と言っている訳だな?』
「大まかな内容は、その通りです。しかし一つ訂正させて頂くと、別に引き渡すからと言って、彼女の機体がこちらの所有物になる、という訳ではありません。一時的に彼女の機体をお借りして、所属はドイツのまま、こちらで改造やその後の整備を担当する、という形です。」
『ふむ、中々興味深い話ではある。して、それを申し出てきた理由は・・・以前の襲撃事件だな?』
「・・・ええ。何者かがGNドライヴの模造品・・・『擬似太陽炉』の生成に成功し、それを搭載した機体を差し向けたと言う事は、今後更なるアプローチがあっても可笑しくはありません。それも踏まえて、パワーアップ出来る機体はさせておいた方が宜しいかと。」
それについて話す彼等の顔が、それの深刻さを物語っていた。
『・・・分かった。話は通しておこう。上の奴らは良い顔をしないだろうが、「上手く」口を聞かせておく。』
「ありがとうございます。それでは。」
そう言って、彼は通信を切った。その顔には、若干疲れの色が見えている。すると、部屋のドアを誰かがノックした。彼がドアを開けると、そこにはラウラが立っていた。
「ラウラ?どうしたんだい、こんな時間に。」
「夜分に失礼します、教官。実は、お渡ししたい物が御座いまして・・・」
「僕に渡したい物?それは一体・・・」
ラウラが後ろに隠していた手の中にある物を見た瞬間、彼の言葉は止まった。
「先日、私を助けて下さったので・・・そのお礼、と言うべきでしょうか。どうか、お受け取り下さい。」
彼は静かに、それを受け取った。しかし、彼は何やら複雑な表情をしている。何故なら、彼は知っているからだ。ラウラから受け取った花が持つ意味を。
「・・・ありがとう。だがラウラ、これは・・・」
リボンズは、その困惑と動揺が色濃く出ている表情を、彼女に向ける。
「ッ・・・失礼します!」
ラウラは目を背けると、すぐさま部屋のドアを開け、彼が止める間も無く走り去った。
「・・・リナリア・・・花言葉は、『この恋に気づいて』、か・・・」
自分以外に誰も居ない部屋の中で、彼はポツリと呟いた。
(花の色は紫色・・・ただ僕の目の色に合わせて購入した可能性もある。だが・・・紫色の花は他にも色々とある筈だ。それだけの理由でこの小さな花を選んだとは考えにくい。と、言うことは・・・)
「ラウラ・・・まさか、本当にそうなのかい?・・・しかし、仮にそうだとしても、僕は君の思いに応えてやる事は・・・」
リボンズ・アルマーク。人の心を手に取る様に見透かす彼だが、今まで他人から向けられた事のなかった「好意」という感情に、戸惑いを隠せないのであった。
そして、彼の独白を影から千冬が聞いていた。
「全く・・・不器用な奴等だ。本当に、お前達師弟は似ているよ。さて、リボンズ。お前はどうする?」
そう影で言った千冬は、苦笑いをしてその場を去った。
・・・はい。ちょっと、おいたが過ぎましたかね?今回、結構深夜テンションで書いた部分が多いので、こんなギャグパートになってしまったのですが・・・まあ、日常回だし、ね・・・
あと、ラウラの新機体は次回判明します。ついでに言うと、00本編の機体ではありません。皆様、予想をしながら次回にご期待下さい。
さて、では次はいよいよ修学旅行ですね!ISの転換期とも言える回なので、頑張ります!それではまた次回にお会いしましょう!