落第騎士の英雄譚 ~無銘の騎士~   作:カイダー

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第九話です。

キャラ崩壊注意です。

拙い文ですが、どうぞよろしく!


第9話 偶然の再会

――――――破軍学園 医務室――――――

 

創、加々美、一輝、ステラ、アリスの五人は、珠雫のお見舞いに来ていた。

 

試合でのダメージからか、珠雫はまだ目を覚ましていない。

 

場に沈黙が続く。

誰も何も言えないのだ。

さすがの創も、ここで筋トレをするほど空気が読めないわけではない。

 

「・・・・・・ん」

 

図らずもその沈黙を破ったのは寝ていた珠雫自身だった。

 

「気が付いたのね、珠雫」

 

目を覚ました珠雫に声をかけるアリス。

それを見て珠雫はつぶやく。

 

「私は、負けたんですね・・・」

 

場に再び沈黙が降りる。

 

「・・・・・・シズク、あのねっ」

 

「ごめんなさい」

 

なにかを言いかけたステラを珠雫は遮る。

 

「・・・今日は一人にしてもらえませんか?疲れてしまったので」

 

珠雫はその場にいる者達に頼んだ。

 

「・・・わかった。いくぞ、一輝、ステラ嬢」

 

「え?う、うん・・・」

 

珠雫の言葉を聞いて創が一輝を連れて医務室を出ていく。

遅れながらステラもそれに続く。

 

「・・・・・・」

 

「・・・うふ♡」

 

医務室から出る際に、創はアリスに目配せをした。

アリスもそれにウインクで返した。

 

(これで、借りは返したぜ。アリス嬢)

 

 

 

 

――――――破軍学園 廊下――――――

 

珠雫の医務室から寮へ向かう途中の廊下を、三人は歩いていた。

 

一輝とステラの態度が妙にそわそわしている。

 

「・・・・・・二人とも、俺が邪魔なら、俺は先に帰るが?」

 

二人の様子を見て提案する創。

 

「ふぇっ!?」

「へ!?」

 

二人同時に素っ頓狂な声を上げ驚く。

 

「邪魔だなんて、そそそそんなことあるわけないじゃないかハハハ!」

 

「そ、そーよ!あるわけないじゃないそんなこと、オホホホ!」

 

二人一緒に否定の声を上げる。

動揺を全く隠せていないため説得力がない。

そんな二人を見て、創はため息をこぼす。

 

「はぁ・・・。二人とも、動揺しすぎだ。大体、そういう行動は部屋に戻ってからすべきであってだな―――ん?」

 

創が二人の方を向いて小言を言っていると、二人が前方を見て呆けた顔をしていた。

なんだ?と思い創もそちらを見る。

そこにいたのは、

 

「よっと・・・、っと・・・!」

 

真っ白い長方形のお化け、ではなく、明らかに一人で運ぶ量ではない紙の束を運んでいる女生徒だった。

 

(あれは・・・。はぁ・・・)

 

創はその人物に心当たりがあるのか、心の中でため息をこぼす。

 

そうしている間に、一輝とステラがその女生徒を手伝おうと声をかけてしまっていた。

 

「あの、よかったら手伝おうか?」

 

「え!?きゃあああああ!」

 

「うわあああ!?」

 

急に声をかけられた女生徒はバランスを崩し、一輝に紙束をぶちまけてしまった。

 

「あーあ・・・」

 

「ご、ごめんなさい!前に人がいるって思ってなくって!」

 

「いや、こっちこそいきなりごめん」

 

一輝、ステラ、女生徒の三人は一緒に散らばった紙を拾い集める。

瞬間―――

 

ヒュンッ

 

―――三人の間に風が吹く。

 

「え?」

 

風が吹く音に疑問を持ち、一輝が顔を上げるとそこには、

 

「あうぅ、めがねどこぉ?」

 

「ここだよ、ほれ」

 

「あいたっ」

 

すでに四等分にまとめられた紙束と、その女生徒のモノなのか、眼鏡を女生徒の頭にコツンと当てる創の姿があった。

 

 

創は一瞬のうちに、紙を四等分にまとめ、女生徒の落とした眼鏡を拾い、女生徒のめくれたスカートを元に戻す、の三つのことを行った。

しかし女生徒のスカートに関しては目撃者がいないため、創しか知らないことではあるが。

 

「あ、ありがとう」

 

拾ってくれた創に対し礼を言って、眼鏡を受け取る女生徒。

 

「・・・ったく。お前はいつまでたってもドジなんだな」

 

創は懐かしそうに、どこか嬉しそうにその女生徒に話しかける。

 

「―――え?」

 

その言葉を聞いた女生徒は、眼鏡をかけてすぐに顔を上げた。

 

()()()

 

「は、は、創くん!?」

 

「「えっ」」

 

二人がお互いの名前を呼んだ瞬間、一輝とステラは硬直した。

 

 

 

 

 「うっす、久しぶり」

 

まるで街中で子供のころの友人と再会した時のような軽さで、創は自身がトウカと呼んだ女生徒に返事する。

 

「・・・・・・」

 

「いやー、久しぶりだな。俺が出てったのが12の時だから・・・4年ぶりか?それにしても、お前のそのドジなところ、全然変わってねーのな!」

 

世間話をするかのように笑って話す創。

 

対して、女生徒は―――

 

「・・・・・・」

 

無言である。

正確には、無言で顔を俯かせて小刻みに肩を震わせていた。

 

―――背後にどす黒いオーラが見え隠れしていた(一輝談)

 

「はっはっはっはっは!!・・・あの~、トウカ・・・さん?」

 

創は、女生徒の様子のおかしさに気付いたのか、再度名を呼ぶ。

 

一瞬の静寂。

 

「・・・・・・~~~~~~っ!!」

 

バッ!と女生徒は勢いよく顔を上げ、創に近寄り―――

 

 

「『久しぶり』じゃなかッ!!何も言わずにいなくなって・・・みんなどれだけ心配したかわかっとると!?」

 

 

―――鬼の形相で怒鳴りつけた。

 

 

 

 

「それについては悪いと思っているが・・・、ちゃんと書置きは残しただろう?」

 

創は女生徒の言葉に対し、言い訳するがそれは通用しないようだ。

 

「そういう問題じゃありません!!何も言わずに出てったことが問題なんです!大体、いつも創くんは一人で背負い込んで―――」

 

「ま、まあ落ち着け生徒会長。一輝達が固まってる」

 

そういって女生徒の後ろを指さす創。

 

「へ?」

 

一輝達の方へ振り返る女生徒。

 

一輝達は呆けて固まっている。

 

それを見て女生徒も固まる。

 

「え、えーっと・・・、『生徒会長』東堂刀華さん、でいいんですよね・・・?」

 

一輝が遠慮気味に女生徒に尋ねる。

 

「え、えぇ。はい、そうです・・・」

 

刀華は自身の失態を見られて恥ずかしがっているようすだ。

 

「えっと・・・新谷君と生徒会長は、どういう関係なんだい?」

 

一輝が創に尋ねる。

 

「・・・・・・その話は、とりあえず生徒会室に行ってからにしよう。トウカ、生徒会室に()()()()もいるんだろ?」

 

「え?あ、はい。いると思います」

 

「んじゃ、いくぞ」

 

創は刀華に何らかの確認を取り、三人を連れて生徒会室に向かった。

 

 

 

 

――――――破軍学園 生徒会室前――――――

 

5分ほど歩いて、創達は生徒会室の前についた。

 

来る途中に加々美と会ったので加々美もついてきた。

 

「では、皆さんどうぞ中へ―――」

 

刀華が4人を先導して生徒会室に入ろうとすると、

 

「ぷぎゃっ!」

 

また転んだ。

 

「ッ!?」

 

転んだ拍子に刀華のスカートがめくれ上がってパンツが丸見えになっていた。

 

一輝はそれを見てしまい、何とか平常心を保とうとして刀華の足下を見る。

 

☆鉄アレイ☆

 

「・・・・・・」

 

(普通こういう時は、ドアの隙間に黒板消しを~とか、足下にワイヤーを~が定番なのに・・・鉄アレイ!?)

 

「なんて斬新なトラップなんだ・・・!」※違います

 

「イッキ!?急にどうしたの!?」

 

※一輝は平常心を保とうとしているだけです。

 

「いたた・・・。もーなんなん?」

 

「・・・って」

 

転んだ刀華が訛りながら起き上がると、

 

「ナニこれーーーーーッッ!?」

 

生徒会室の惨状に悲鳴を上げた。

 

本棚と言う本棚から本を、引き出しと言う引き出しから雑貨を、無差別にぶちまけられていた。

 

その部屋の中には刀華以外の生徒会役員がそろっている。

 

達筆な字で議事録をまとめなおす書記・砕城(さいじょう) (いかずち)

彼にお茶をついでいる会計・貴徳原(とうとくばら) カナタ。

 

まじめに仕事している人間がいる一方、

 

テレビゲームに熱中している副会長・御祓(みそぎ) 泡沫(うたかた)

その画面を興味深そうに眺めながら、ランニングシャツにパンツ一丁の姿で筋トレをしている庶務・兎丸(とまる) 恋々(れんれん)

 

「あ、かいちょーおかえりー」

 

「あはは、また転んだのかい?ドジだなぁ☆」

 

刀華の入室に気付いた恋々と泡沫が刀華に声をかける。

 

刀華はその二人に対し、

 

「も~~ッ!兎丸さん、うたくん!!使ったモノや読んだ漫画はちゃんと元の場所に戻してっていつもいっちょるばい!!何で一日留守にしただけでこげん散らかっとーと!?」

 

声を張り上げて怒鳴りつけた。

 

「いやー、なんか急にワ〇ピースとナ〇トとブリ〇チを通し読みしたくなってね、いちいち本棚に行くの面倒だから全部出しちゃったんだよねぇ。で、そしたら急にプ〇ステやりたくなって部屋中ひっくり返してようやく見つけたんよ。ああでも、刀華のいない間の仕事はカナタと雷がちゃんとやってくれたからだいじょ―――」

 

 

 

「・・・ほう?」

 

「―――う・・・ぶ・・・」

 

刀華の後ろから男が現れる。

創だ。

 

先ほどまでノリノリで語っていた泡沫の表情がひきつる。

 

「・・・こ、これは珍しい客人だね。ね!?カナタ!」

 

動揺をごまかすようにカナタに話をふる泡沫。

 

「へ?!え、ええそうですわね・・・。お、お久しぶりです創さん」

 

話をふられたカナタは少し焦っている様子だったが久方ぶりに会う友人に挨拶をする。

 

「おう、久しぶりだな。カナタ、泡沫」

 

創はカナタに返事する。

 

「で、だ」

 

約3名の生徒会役員が体をびくつかせる。

 

「生徒会室がこんなに散らかってる理由を、もう一度、ちゃんと、聞かせてもらえるかな、泡沫?」

 

笑顔で泡沫に尋ねる創。

 

質問された泡沫は顔を引きつらせ、その額には嫌な汗が流れていた。

 

「・・・ボクが漫画を全部だしっぱにして、ゲーム機探すために部屋中ひっくり返したからです・・・」

 

(あのふくかいちょーが・・・)

 

(年下相手に敬語・・・だと・・・!?)

 

恋々と砕城の2名は泡沫の普段とのギャップに戦慄していた。

 

「ほ~そうかそうか。・・・んで、カナタはそれを黙って見ていたと」

 

泡沫の言葉を聞いた創は、今度はカナタに尋ねる。

 

「わ、わたくしは仕事をしていたので・・・」

 

「その割には忙しそうには見えなかったが?」

 

「そ、それは・・・うぅ」

 

「そしてトウカ」

 

カナタから刀華に向き直り、創は尋ねる。

 

「お前の口ぶりからすると、普段から似たようなことが起こっているようだが?」

 

「・・・はい。うたくんと兎丸さんは物をだしっぱにする癖があるのでいつも注意しています・・・」

 

「で、その注意がきいていない、と」

 

「・・・うぅ」

 

カナタに続き、刀華までも俯いてしまった。

 

「そうかそうか・・・。お前らはよっぽど俺の『お仕置き』を受けたいらしいなァ・・・」

 

肩を回し骨を鳴らしながら創は嗜虐的な笑みを3人に向ける。

 

「「「ひいぃっっ・・・!!」」」

 

いつの間にか3人が一塊になって創を見て震えている。

 

創は3人の姿を見てため息をつき、

 

「3人とも、俺が昔お前らに叩き込んだことは覚えているな?」

 

黙って頷く3人。

 

「なら、これからすることもわかるな?」

 

頷く3人。

 

「よろしい、ならば清掃だ」

 

創はそう言うと一輝達の方に振り向き、

 

「加々美、一輝、ステラ嬢、悪いが少し外で待っててくれないか?やることがあるんでな」

 

と指示した。

 

「あと、砕城と兎丸も外で待っててくれ。これは俺たちで片づけるからよ」

 

砕城と兎丸にも同じように指示する。

 

「ちょっとちょっとー、なんで君に指図されなきゃ―――」

 

創に対して文句を言う恋々だが、それは泡沫によって遮られた。

 

「(恋々。ここは言うことを聞いてくれ。ああなったハジメは止められないんだ・・・)」

 

そう言われて創の方を向く恋々。

 

「ふふふ・・・これだけ散らかった部屋を片付けるのはいつぶりだろうか・・・血が騒ぐ・・・ふ、フフフフハハハハハハ・・・!」

 

(・・・うわぁ)

 

そんなふうに思ってしまう恋々であった。

 

「(ま、まぁ副かいちょーがそういうなら従うことにするよ!)」

 

そう言って逃げるように砕城と一緒に生徒会室を出て行った。※ちゃんとスカートを履いて出ました。

 

 

 

 

『・・・さて、お前ら自分の役割はわかっているな?』

 

『『『はい!!』』』

 

『では始める。・・・5分で終わらすぞ!!』

 

『『『Yes,sir!!』』』

 

 

ドドドドドドドド

 

もはや軽い地震ではないかと思うほどの騒音をBGMに加々美が尋ねる。

 

「皆さんは、あの4人が知り合いだと知っていましたか・・・?」

 

「いや、僕も初めて知ったよ」

 

「某たちもだ」

 

一輝と砕城が答える。

 

「ハジメと一番付き合いの長いイッキが知らないんだもの、アタシたちが知らないのも無理はないわね」

 

「あの4人、どういう関係なんだろうねー?」

 

「というか僕は、新谷君があんなにキレイ好きだってことも初めて知ったよ」

 

「そういえば創先輩、部屋に私物が転がってるってことが全くなかったよーな・・・」

 

「カガミは同じ部屋なのにそういう注意されたことないの?」

 

「私は資料を広げることはあってもちゃんと片付けてたし、そういうことは言われなかったね」

 

「だ、そうだぞ。兎丸よ」

 

「耳に痛い話だなぁ・・・」

 

そんなことを話しているといつの間にか生徒会室の騒音がやんでいた。

 

『入っていいぞー』

 

中から創の声が聞こえた。

 

その声に従い生徒会室に入る5人。

 

そこは、すでに先ほどまでの生徒会室ではなかった。

 

散らかっていた物は全て棚に収納され、入りきらなかったであろう物も部屋のインテリアとして違和感のないように配置されている。

床は顔を映すほどに磨かれている。

 

「へー・・・!ここまできれいになるんだねぇ」

 

「たしかに・・・これは驚いた」

 

生徒会役員の二人があまりの部屋の豹変ぶりに驚愕している。

 

「フッ・・・俺の手にかかれば、こんなもんよ!」

 

創が自慢するかのように胸を張る。

 

刀華、泡沫、カナタがすでに同じソファーに座っていたので、一輝、ステラ、加々美は反対側のソファーに座る。

 

恋々と砕城は自主的にパイプ椅子を出している。

 

「貴徳原さん、皆さんにお茶をお出ししてください」

 

「はい」

 

カナタの入れたお茶を飲みながら、ステラが尋ねる。

 

「―――で、ハジメとトーカさんたちってどんな関係なの?」

 

ステラたちの反対側に座る3人と創の動きが止まる。

 

「・・・そうだな、話すと言ったんだったな」

 

飲みかけのお茶をテーブルに置き、創は3人に問いかける。

 

「トウカ、カナタ、泡沫。・・・話してもいいか?」

 

「ボクは別に構わないよ」

 

「私も、別に恥ずかしいことでもないですしね」

 

「わたくしは、とくに反対する理由がありませんわ」

 

「そうか・・・。んじゃ、話すか」

 

創は一呼吸おいて語り始める。

 

 

「俺とトウカと泡沫は、同じ養護施設の出身だ」

 

 




いかがでしたでしょうか。

創のキャラ、ブレッブレですねぇ・・・。

次回は創の過去語り、の予定。

(正直この設定、いらなかったんじゃないか・・・?)
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