落第騎士の英雄譚 ~無銘の騎士~   作:カイダー

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第四話です。

主人公の能力説明回。

三人称的な書き方に挑戦してみました。

拙い文ですがどうぞよろしく!


第4話 『無銘』

ショッピングモールの事件から一夜明けた月曜日。

破軍学園ではついに七星剣武祭への出場枠を巡る『選抜戦』が始まった。

 

ステラ・ヴァーミリオンと黒鉄珠雫の両名は、ルーキーにもかかわらず三年生を相手に圧勝した。ステラ・ヴァーミリオンに至っては、対戦相手が降参したので戦いになってすらいなかった。

ルーキー二人が完全勝利で公式戦デビューを飾り、選抜戦初日は終了した。

 

 

――――――学生寮 創&加々美の部屋――――――

 

「二人とも、すごかったですね」

 

破軍学園壁新聞部部長――日下部加々美は、初日の選抜戦で鮮烈なデビューを飾った両名――ステラ・ヴァーミリオンと黒鉄珠雫に向かって賛辞の言葉を贈る。

 

「ステラ嬢は戦ってすらいなかったけどな」

 

同室の男子生徒――新谷創はそう返す。

 

「当然の結果でしょう。解説の西京先生だって『降参したのは賢い』って言ってましたし」

 

「まあそうなんだけどな。珠雫嬢は戦った上での完勝だったんだろ?

観客としては、やっぱ『戦い』を見たいのさ」

 

「それは酷な話じゃありません・・・?」

 

「ごもっとも」

 

彼女の意見は正しい。

超新星(ルーキー)の一人、ステラ・ヴァーミリオンは『十年に一人の天才』と呼ばれる『Aランク騎士』である。その魔力量は通常の伐刀者の『約三十倍』と桁外れだ。

並の学生騎士が相手をするのは厳しすぎるといえよう。

 

「とゆーか先輩だって明日試合じゃないですか。なにが『観客としては』ですか、他人事みたいに」

 

「実際他人事だからな」

 

(にしてもそうか、明日試合か)

 

自分が明日、試合をするという事実を認識して創は―――

 

「はぁ・・・」

 

憂鬱そうに溜息をついた。

 

「ど、どうしました?」

 

憂鬱そうなルームメイトの様子を見て、加々美は問いかける。

 

「・・・明日試合をすることは、まだいい。でもさ・・・、

 

なんで一輝と時間かぶってるんだよぉぉおお!!??」

 

―――そうなのだ。

 

創の試合開始時間と一輝の試合開始時間は見事に被ってしまっていた。

 

「一輝と桐原が戦うと聞いて、『これは絶対応援に行かなければ』なんて考えてた矢先にこの仕打ち・・・。鬱だ、死のう・・・」

 

「だ、大丈夫ですよ!先輩の試合は私が見に行きますから!」

 

鬱になっているルームメイトをフォローすべく、彼女はそう言った。

 

「・・・別に無理に見に来なくてもいいんだぞ。一輝の試合の方が盛り上がるだろうしな」

 

事実、黒鉄一輝はステラ・ヴァーミリオンとの模擬戦の動画がネットに流れたことにより、『Aランクを倒したFランク』ということで話題になっている。対戦相手の桐原も、これまでの公式戦・交流戦共に『無傷』のパーフェクトゲームを貫いている実力者だ。

そんな二人が対戦する。

話題性という点で、これ以上のものはないだろう、と考え彼は言うが、

 

「何言ってるんですか!先輩だって『落第生はもう一人いた!?ランクは衝撃のB!!』ってことで一部で話題になってるんですよ?」

 

「なにそれ初耳」

 

衝撃の事実に彼は驚愕していた。すると、

 

「それに―――」

 

「?」

 

「ルームメイトのデビュー戦くらい、ちゃんと見てあげたいじゃないですか♪」

 

笑顔で彼女は彼に言った。

その言葉を聞いて彼は、フッ、と笑い、

 

「あまり期待するなよ?」

 

と笑顔で返した。

 

 

――――――選抜戦二日目 第十五訓練場――――――

 

黒鉄一輝と桐原静矢の試合が第四訓練場で開始されたのとほぼ同時刻。

ここ、第十五訓練場で『もう一人の落第生』の試合が開始しようとしていた。

 

『えー、お待たせしました!これよりここ第十五訓練場・第四試合を開始いたします。実況は引き続き私、磯貝が、解説はユリちゃんこと折木有里先生で担当させていただきます!』

 

『ごほっ・・・、よろしくね~』

 

『早速血に染まる実況席ですが、ここで選手紹介です!青コーナーから出てきたのは、()()落第騎士(ワーストワン)の友人であり、昨年度落第騎士(ワーストワン)と同様、授業を受けずに落第した異色のBランク騎士!新谷 創選手です!』

 

紹介され、観客に軽く会釈をする創。

 

(・・・やっぱり本命は、一輝と桐原の試合か)

 

分かっていたことだが、観客の数が目に見えて少ない。おそらく、ほとんどの生徒が『落第騎士(ワーストワン)』と『狩人』の試合を見に行っているのだろう。

 

(・・・まぁ、それならそれで好都合だがな)

 

―――観客が少ないならば、変に緊張することもない

 

と彼は考え、同時に、

 

(逆に、一輝は大変だろうな・・・)

 

今は別の会場で戦っているであろう友人を心配していた。

 

『対する赤コーナーは、『今年こそは』と七星剣武祭への出場へ強い思いを向けるCランク騎士!三年、喪舞 信夫(もぶ のぶお)選手!』

 

「いけー!信夫ォ!」

 

「そんな不真面目野郎やっつけちまえぇ!」

 

観客席からの応援を受けるのは三年、喪舞信夫。

創の、初戦の相手である。

 

「―――貴様、授業を自ら受けなかったそうだな」

 

ふと、創の前にいる喪舞が言う。

創に向けられた彼の右手には、すでに槍型の固有霊装が握られていた。

 

「そんな不真面目者が、いまさら七星剣武祭に出られると思っているのか?」

 

軽蔑の視線に乗せて問いかけてくる喪舞。

それに対し創は、

 

「・・・少なくとも、アンタに負けるつもりはねえな」

 

と返した。

喪舞は眉をピクッとさせる。

 

「・・・ほほぅ、口だけは達者のようだな・・・。貴様にその実力があるか、試させてもらおうではないか。さっさと固有霊装を出せえぇいッ!!」

 

どうやら創の返答にイラついたようだ。

 

「はいはい、言われなくても出しますよ・・・。俺の固有霊装を見て、腰抜かすなよ?」

 

挑発的な笑みで、喪舞に言う創。

 

「戯言を」

 

「そうかい。んじゃ遠慮なく」

 

(―――さぁ、これが俺のデビュー戦だ。できるだけ派手にいくかねぇ・・・!)

 

心の中で思い、創は()()()()()()()()

 

(かたど)れ。『無銘・―――」

 

呟いた瞬間、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と、

 

 

 

「―――妃竜の罪剣(レーヴァテイン)』―――ッ!」

 

その名を呼ぶと同時に、()()()()()()()()()()()

 

創が自身の固有霊装を出した瞬間、

 

会場は驚愕に包まれた。

 

なぜなら、創の召喚した固有霊装の名は、その形は―――

 

 

 

 

―――『紅蓮の皇女』ステラ・ヴァーミリオンのそれと、ほぼ同一だったからだ。

 

 

「な、何ィッ!?」

 

「ウソだろ!?なんであいつが!?」

 

観客が驚愕の言葉を口にする。

実況席の磯貝もまた、動揺を隠せないでいた。

 

『な、なんだこれはああああ!?あの固有霊装は、『紅蓮の皇女』ステラ・ヴァーミリオン選手のものッ!?お、折木先生、こ、これはいったいどういうことなのでしょうか!?』

 

『ごほっ・・・、あれは新谷君の固有霊装だよー。正確には、彼の固有霊装の能力によるもの、だけど』

 

『折木先生は彼の能力を知っているのですか?』

 

『一応、ね。でもそれは、私が言うべきことじゃないよ。多分、彼が自ら明かしてくれると思うから』

 

そういって、折木は新谷に視線を向ける。

 

『そ、そうですか。いろいろと気になることはありますが、試合を忘れるわけにはいきません!これより第四試合、開始いたします!―――LET's GO AHEAD!!』

 

掛け声と共に、試合開始のブザーが鳴った。

 

 

 

「き、ききき貴様!なぜ貴様がその固有霊装を!?」

 

創の相手である喪舞は、試合が開始したというのに動揺が隠せずにいた。

 

「いきなりそれ聞くか?もう試合は始まってんだぜ?」

 

呆れたように創は言う。

 

「・・・だがまぁいいだろう。話してやるよ、俺の能力をな」

 

そして創は自分の能力について語り始めた―――

 

 

 

 

 

 

「まず大前提として、俺の固有霊装は少々特殊でな。()()()()()()

 

「形が、無い?」

 

信じられないような表情で創を見る喪舞。

 

「そうだ。どんな伐刀者であっても、固有霊装には必ず形がある。しかし俺にはそれがない。

だから、固有霊装として展開するには、()()()()()()()()()()()()()()()

 

「形を、与えるだと・・・?」

 

「武器として扱えるものなら何でもいい。ただの木刀や包丁、たとえ道端の小石であっても、俺は固有霊装の『形』として展開できる。―――もちろん、他の伐刀者の固有霊装もな。

そして―――、ここからが重要だ」

 

創は一呼吸置き、再度語る。

 

 

「他人の固有霊装を『形』として与えた際、俺はあることに気付いた。

固有霊装の『形』だけでなく『能力』も、俺の固有霊装として展開できていることに。

その固有霊装の『形』の持ち主が、火を扱う伐刀者ならば火を、水を扱う伐刀者ならば水を、雷を扱う伐刀者ならば雷を、それぞれの『能力』を俺も扱えるようになっていた」

 

「なんだそのデタラメは・・・!では貴様は今、『紅蓮の皇女』と全く同じ力を使える、ということなのか・・・!?」

 

震えた声で創に問いかける喪舞。しかしそれに対し創は、

 

 

 

「いや、それは違う」

 

否定の言葉を返した。

 

「なに?」

 

「たしかに俺の固有霊装は他者の『能力』を扱える。

―――だけどかなしいかな。いくら『形』を同じにできても、その『本質』は同じにはできない。

要は、劣化するのさ。俺が扱う『能力』は『本物』よりも数段劣化している。

これが俺の固有霊装『無銘』の能力『模倣(コピー)』だ」

 

シン、と静まる会場。

 

しかしその静寂は創の対戦相手――喪舞によって破られた。

 

 

 

「くっ・・・、くくっ、つまり今の貴様は『紅蓮の皇女』のような強大な力は使えない、と?」

 

「まあそうなるな」

 

「くくっ、ならば恐れることはない!この勝負、勝たせてもらう!」

 

そう言って創に向かって駆け出す喪舞。

 

『おおっと喪舞選手、勝負を仕掛けた!』

 

喪舞が駆け出すと同時に実況も息を吹き返した。

 

 

 

「『ショット』」

 

喪舞の突進に対し創は、野球ボールサイズの火の玉を十数個放つことで応戦する。

 

「ふんっ!」

 

しかし喪舞が槍を振るうことで、火の玉はことごとく払われてしまう。

 

「この程度で俺を足止めできると思うなぁッ!」

 

火の玉を払いながら喪舞は突進を続け、創を自身の槍の間合いに入れることに成功した。

 

「その心臓、もらい受ける!」

 

そして彼は自身の唯一の伐刀絶技を発動する。自身の槍の間合いにいる対象の心臓に向けて発動する、因果逆転の必殺の一撃―――

 

「『刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)』―――!」

 

その一撃が創の心臓を貫いた―――

 

 

『おおっと新谷選手、喪舞選手の槍をまともにくらってしまった!これは決着か!?』

 

「創先輩ッッ!!」

 

観客席で試合を見ていた少女――加々美は悲痛に叫ぶ。

自身の目に映る光景に、最悪の想像をしてしまった彼女は涙目になる。

 

しかしそれは、杞憂に終わった。

 

 

「な、にィッ!?」

 

喪舞の槍が創を貫いた瞬間、創の体が()()()()()()()()

 

「他人の『能力』を使えるってことは、こんなこともできるんだぜ?」

 

喪舞の背後に現れた創の手には、先ほどまでの大剣ではなく、()()()()()()が握られていた。

 

「しま―――」

 

喪舞が急いで後ろを振り向く。しかし―――

 

「もう遅い。終わりだ『水牢弾(小)』」

 

喪舞の頭が水で覆われる。オリジナルよりは一回りほど小さいが、人の頭を覆うには十分すぎたようだ。

 

「・・・もが、がぼっ・・・・・・」

 

そして、喪舞は意識を手放した。

同時に、創は自身の固有霊装と共に『水牢弾(小)』を解除した。

 

そして、試合が決した。

 

「そこまでッ!勝者、新谷創!」

 

『し、試合終了ーーーーッ!勝ったのは一年、新谷創選手!明らかにされた能力は、『コピー能力』!この能力を使って、彼はどこまで勝ち進むのでしょうか!?』

 

 

この試合を機に、創は他者の『能力』を自在に扱う、という点から『変幻自在(トリックスター)』という二つ名で呼ばれることになる。

しかし同時に、その戦闘スタンスに反感を覚える者たちから、こうも呼ばれ始める。

―――『紛い者(イミテーション)』と。

 




いかがでしたでしょうか。

わりとありきたりな能力だと思います<主人公の能力

喪舞の能力は完全に某ラン◯ーです。一応、落第騎士風な設定は考えていますが登場人物設定に載せる気はありません。

ともあれこれで原作一巻分は終わりました。ニ巻の話は少し短くなると思います。

アニメ終わってしまった・・・。ぜひとも2期をやってほしいものです。
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