前回から大分遅れましたが、5話です。
拙い文ですが、どうぞよろしく!
第5話 落第騎士と皇女の発展
選抜戦が始まり、一か月がたった。
新谷創ら五人の
特に、『
順調に七星剣武祭への歩を進めて行った。
―――進めて行った、のだが・・・
■
――――――学生寮 創&加々美の部屋――――――
「二人の様子がおかしい?」
日下部加々美は自分のルームメイトの発言に疑問を返す。
「そうだ。なんとなくだが、選抜戦初戦――桐原と戦った日の翌日あたりから一輝とステラ嬢の距離感が微妙なものになっているように感じてな」
「でもステラちゃん、あの試合で黒鉄先輩に告白めいたことしてたんだよね?
・・・ハッ!?まさか、フラれて・・・!?」
「それは、ない。つーかどう見ても付き合ってるだろあの二人。心の距離は確実に縮まってると思うぜ」
「そうだね、私もそう思うよ。でも、そうだとすると余計わからないよ?」
「んー・・・、なんていうか、『気を遣ってる』って感じか?お互いに気を遣って、かえって距離ができてる感じだな」
「あー・・・、そう言われればそうかも」
「だろ?」
「でも、それを私に言ってどうするの?」
創は今日一輝が言っていたことを思い出しながら言う。
「明日、一輝が弟子たちとプールに行くことは知っているな?」
「もちろん!密着取材してるからね!」
胸を張りながら加々美は言った。
―――張る胸があるのは、いいことだ。
「・・・なんか変なこと考えてない?」
「いや別に」
心の中を読まれても動揺を顔に出すことはせず、創は続ける。
「それについて、一つ提案があるんだが――――――
■
――――――破軍学園近郊 スポーツジム内温水プール――――――
翌日、一輝と弟子たち(俺、加々美含む)はプールに来ていた。
人数が人数なので、プールも行き帰りのバスも貸し切りにしてもらっていた。
一輝の弟子たちの中には、先日一輝をストーカーしていたらしい綾辻綾瀬先輩――『
「(やるぞ、加々美!)」
「(合点!)」
俺と加々美はそれを見て、作戦を決行した。
作戦とはただただ単純。
俺が一輝と、加々美がステラ嬢と、それぞれ個別にO☆HA☆NA☆SHI☆するだけ。
二人の進展状況などを聞き、『進んでいるならばそれでよし。進んでいないならば背中を押してやろう!』という、興味半分、面白半分の企画である。
加々美に提案したら即行でノって来たので、実行したというわけだ。
弟子たちに指導している一輝に話しかける。
「一輝、少しいいか。二人で話がしたい」
「?別にいいけど・・・」
「そうか、じゃあ場所を移そう」
一輝は弟子たちにやることの指示を出し、俺の後についてきた。
■
「急にどうしたんだい?」
自販機で買った緑茶を飲みながら、一輝が質問してくる。まあ当然の疑問だわな。
「いや何、お前とステラ嬢がどこまで進んでるのか気になってな」
「ぶほぉッ!!??」
飲んでいた緑茶を盛大に吹いた。なんてもったいない・・・。
「なななななんのことだいッ!!??」
「いまさらとぼけるなよ。あんだけイチャイチャしておきながら」
「そ、そんなに・・・かな?」
「誰が見ても、『付き合ってる』とまではいかなくとも『友達以上恋人未満』だと思えるくらいには」
「・・・・・・」
俺の言葉がかなりショックだったのか、一輝はその場に膝をついてしまった。
「で、実際どうなのよ?もうキスくらいまではいったか?」
ニヤニヤしながら一輝に聞く。しかし―――
「・・・・・・」
「えっ、まさか・・・、まだ?」
無言で頷く一輝。
「はぁああ!?おまっ、マジか!?」
「・・・ほっぺにキスならされたことはあるけど、告白した時の一回きりだし・・・、それ以降はホントに、何も」
「それ以降って、告白したのいつよ?」
予想はできてるが、一応聞いてみる。
「・・・桐原君と戦った日の夜」
やっぱりか。でも、だとすると―――
「お前一か月間何もしなかったのか!?」
またも無言で頷く一輝。
「・・・外で手繋いだりとかは?」
「ステラは皇女様なんだよ?どこに人の目があるかわからないのに、できるわけないじゃないか」
「・・・部屋の中では?」
「会話することは増えたけど、それ以外は・・・」
・・・予想以上に重症であった。
「オクテすぎだろお前・・・。もっと自分から攻め込んでもいいんじゃねえの?」
「でも、へんにがっついたらステラに嫌われるかもしれないし・・・」
乙女か、おまえは。
「おまえな・・・。そんなんだと他の男にステラ嬢取られちまうぜ?
なんだったら俺が―――」
言った瞬間、のど元に刃を突きつけられた。
「・・・新谷君、いくら君でもそれは許せないよ」
「―――・・・じょーだん、冗談だから早く『陰鉄』しまえ。校則違反だぞ」
俺の言葉を聞いて『陰鉄』をしまう一輝。
「ったく・・・、そんなに好きならもうやることは決まってんだろ。ステラ嬢もそれを望んでいるだろうさ」
「・・・本当に?」
「多分、おそらく、いやきっと」
「説得力皆無じゃないか・・・」
「仕方ねえだろ。男の俺に、女心がわかるはずがない。
でもな一輝。
「――――――!」
俺の言葉に、はっとしたような顔になる一輝。
「お互いを大事に思ってるからこそ気を遣ってるんだろうが・・・、それじゃ何も変わらん。
変化を求めるならどちらかが『一歩』踏み込まないとな」
そう言っていると、俺と一輝のもとへ加々美がやってきた。
「あ、いたいた!黒鉄せんぱ~い!」
「日下部さん?どうしたんだい?」
「ステラちゃんが『大事な話がある』ってさ。向こうに行ったげて!」
そう言って児童用プールの方を指さす加々美。
「それは本当かい?わかった、行くよ」
おそらく加々美の作戦だろう。ステラ嬢のいる児童用プールに行こうとする一輝。
「一輝。これはチャンスだぞ、ビシッと決めて来いよ?」
「・・・ああ!」
どこか決意じみた感じで一輝はステラ嬢のもとへ向かっていった。
一輝が去ったのを見て、残った加々美に話しかける。
「で、そっちの首尾は・・・って聞くまでもないな」
「そうだね、お互い一緒だと思うよ」
「ったくあの二人は、世話の焼ける・・・」
「同感だね!いじらしいにもほどがあるよまったく」
「ま、それが二人らしくもあるんだがな」
「・・・そうだね♪」
その後、児童用プールの噴水から出てきた二人は無事、距離が縮まっていたようだった。
■
―――プールの日から二日後、その日から綾辻先輩は一輝に会いに来なくなっていた。
一輝とステラ嬢に理由を聞いたところ、どうやら次の選抜戦が『一輝vs綾辻先輩』になってしまったとのこと。
そりゃ来づらいわな。
しかし一輝の様子を見ると、それだけではなさそうだった――
「彼女、本当に音沙汰なし?」
試合前日、一輝に綾辻先輩のことについて聞こうと思ったらすでにアリス嬢がいた。
俺は、二人の話を物陰に隠れながら聞く。
「どうしてそんなこと聞くんだい?」
「彼女は『七星剣武祭に出場すること』に強い意志を持ってる。そのためには一敗も許されないわ」
俺は綾辻先輩とあまり話してなかったからそこのところはよく知らなかった。しかし、そうか、なら―――
「でも、次の対戦相手は一輝。このままでは彼女は絶対に勝てないわ。なら―――」
「『事前に策を打ってくる』。・・・まったく、アリスは本当に鋭いね」
肩をすくめて、一輝は生徒手帳をアリス嬢に渡す。
「『黒鉄君にしか話せない大切な相談がある。
君の力を貸してほしい。
明日の午前三時、校舎の屋上で待ってる』。
・・・いかにも罠ね」
アリス嬢がディスプレイに表示されている文面を読み上げる。
うん、罠だなこりゃ。
「そうかもしれないね。でも僕は、そうじゃないと思う」
「どうして?」
「彼女は僕の手を好きだと言ってくれた。・・・そんな人が卑劣な手を使ってくるわけがない。
―――だから、僕は彼女に会いに行くよ」
一輝はそう断言した。するとアリス嬢は、
「眩しいわね、貴方」
目の前にいる一輝を、まるで遠くのものを見るような瞳で見ていた。
「眩しい?」
「ええ、とっても。あたしはもうどうしても、
でも、とアリス嬢は続ける。
「そんなあたしだから気付けることもある。・・・半端に動揺を引きずっては、勝てる試合も勝てなくなる。いざという時は、彼女との縁を切る覚悟をしといたほうがいいわ」
「忠告ありがとうアリス。でも大丈夫だよ。僕にとっての一番大切なものは、もう揺らぐことはないから」
自信満々に一輝はアリス嬢に告げた。
(・・・もう一輝に聞くべきことはないな)
俺は物陰から離れ、自身の生徒手帳を取り出す。
(たしか・・・午前三時だったか)
そして自身のルームメイトに向けてメールを送る。
『今日は部屋には戻らない。』
いかがでしたでしょうか。
アニメと原作をごちゃ混ぜしてます。原作よりもこの時点での一輝君のステLOVE度を上げました。・・・上がってるよね?
今回と次回で原作二巻分は終わります、多分。