Miniatua Garden Online ー仮想世界の問題児ー   作:夜明けの月

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うまく、書けてるかなぁ………。


第3話 倒しすぎにはご注意を

「あはは〜、可愛い〜」

 

とあるデパートのペットショップで犬と戯れている少女がいた。少女は、犬を撫でたり眺めたりして癒されていた。

 

「なあ琉璃、勝手にここに来てよかったのか?」

 

その隣にいる少年、天宮隼人が少女、上月琉璃に声をかける。琉璃は犬を撫でながら、

 

「別によかったんじゃない〜?あっちには凍夜いるし、そのうちこっちに来るでしょ」

 

「それもそうだな。何にしてもここから動くのが面倒くせぇ」

 

そう言って、店内の椅子に腰をかける隼人。琉璃は椅子に座りながらも犬を愛でる手を止めない。

 

隼人はそんな琉璃を見ていると、あるものが目にとまった。

 

「ん?お前、その袋は?」

 

「ああこれ?あれだよあれ。今有名なあのゲーム。森羅ちゃんが悩んでるうちに買ったんだよ。ていうか、そう言うハヤこそ買ってるじゃん」

 

「クオンに無理矢理な」

 

はぁ、と疲れたかのようにため息をつく隼人。二人の手にはビニール袋が握られており、その中には《MGO》のソフトが入っていた。

 

「あいつ、買わないとわさびとからしで悶絶させるぞって言ってくるからな。冗談だろうと思って断ったら、両手にわさびとからし持って襲い掛かってきたし」

 

「ハヤも苦労してるんだね」

 

犬に頬ずりしながら、別段気にし手ないように言う琉璃。その時だった。

 

「なあ、そこの二人。少し聞きたいことがあるんだが」

 

二人の体がビクゥと跳ね上がる。そして、顔を引きつらせつつ不城を振り返ると、そこには笑顔で佇む凍夜とクオンの姿があった。だが、目が笑っていない。

 

「え、えっと………」

 

「その………」

 

「「逃げるッ!!」

 

「逃がすかこの馬鹿野郎!!」

 

逃げようとする二人の首根っこを掴み正座させ、二人の前に腕を組み仁王立ちする凍夜とクオン。

 

今まで黙っていたクオンが、ニヤリと意地の悪そうな笑みを浮かべてある提案をした。

 

「ねえ、二人共。私から提案があるの。ここで私達に怒られるか、それとも、MGOを私達とチームプレイするか。どちらか選びなさい」

 

クオンがそう言うと、隼人は微妙な表情を浮かべて愚痴る。

 

「えー……、面倒くさ「私達に怒られる=いつものお仕置きがあるのだけれど?」ごめんなさい、嘘です。チームプレイしますのでどうかお許しください」

 

クオンが『いつものお仕置き』と言っただけで、隼人は過激に反応し、土下座を繰り出す。

 

「で、琉璃はどうする?」

 

「ん?別にいいよ。というか元からそのつもりだったし」

 

琉璃は、飄々と凍夜の問いに答える辺りを見渡したかと思うと凍夜に疑問を投げかける。

 

「そういや、三月ちゃんと森羅ちゃんは?」

 

「あの二人か?あいつらならそこにいるじゃないか」

 

凍夜は目線を移動させる。そこには、ペットショップの店員に犬や猫を触らせてもらって頬を緩ませる二人の姿があった。

 

「女子って、みんなああなのか?」

 

「………………」

 

凍夜の素朴な疑問に顔をそむける琉璃。先ほどまで自分があの二人のようだったからだろう。

 

「とりあえず帰るぞ」

 

「そうね。そろそろゲームを始めたいわ。β版からどれほど変わってるのか、確認したいし」

 

和んでいる二人に声をかけるが、夢心地なのか、それとも聞こえないふりをしているのか、全く反応しない。

 

「……………」

 

「おいそこのの二人。さっさとしろ。クオンがからしをポーチから取り出してるぞ!被害に遭いたくなきゃ、さっさと行動に移せ!」

 

無視されたのが気に障ったのか、無言で腰に付けてあるポーチに手を突っ込み、からしを取り出そうとしているクオンを尻目に焦ったように叫ぶ凍夜。

 

その声にようやく反応したのか、店員にお辞儀をして二人がこちらに来る。

 

「ご、ごめん!撫でるのに夢中で……」

 

「だ、だからその手を下ろしてくれるとありがたいなぁ……クオンちゃん」

 

「………まあいいわ。今回は許してあげる」

 

許しを得たことに安堵する二人。だが、鋭い目つきになって目を光らせる。

 

「次は、ないわよ?」

 

「イエス、マム!」

 

「うん、次は聞き逃さないようにする」

 

ビシッと敬礼する三月と真面目な返答をする森羅。その返答に満足したのか、クオンは踵を返して歩き始める。

 

「さてと、それじゃあ帰りましょう」

 

クオンは笑顔で告げる。

 

その笑顔が、子供を見守る母親のようなものだったということは、また別の話。

 

 

 

 

 

°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。

 

 

 

 

 

場所は変わって、ゲーム内の町の離れの草原フィールド《トリトニス草原地》。

 

カレンが一通り、アキトとツカサが戦うことになった経緯を説明し終わっていた。

 

「つまり、僕らを待つついでに武器の扱いに慣れようとフィールドに出た。で、そこでコウキとアキトが戦ってたってとこまでは分かったよ」

 

「でも、だからってどうしてあの二人が?」

 

カレンの説明には納得していたのだが、二人にはまだ疑問が残っていた。

 

どうして初対面で、面識もなく、何の因縁もない二人が剣を交えているのかということに。

 

「それがどうしてか私にも」

 

その場にいたカレンでさえ悩ませる疑問が三人を悩ませていた。

 

「……ならあれじゃないかな?ここらあたりに湧いていたモンスターを狩ってた時」

 

コウキが不意に声を上げる。それに思い当たる節があったのか、ハッと何かに気づく。

 

「ああ!あれか!」

 

「え、何?」

 

「私達、ここに来た時にここら辺でレベリングしてたんだよ。多分それ見られたんだ」

 

「でも、この辺一帯にはモンスターいないよ〜?」

 

カエデが小首を傾げて疑問符を浮かべる。確かに、カレン達がいる場所から半径50メートル圏内には敵の反応がない。

 

「僕らが狩ったんだよ。デュエルの邪魔になると思ってね」

 

「そういえば、その時コウキと一緒にいたような……」

 

「そりゃ、一緒にいただろうね。僕、アキトと戦って負けたから」

 

「………ねぇ、そのあそこでいるアキトって何者?」

 

「さあね。僕にも分からない。フィールドにいたら突然現れてデュエル仕掛けてくるもんだからさ」

 

お手上げといった風にコウキは両手を挙げて首を振る。何故、アキトが誰彼構わずデュエルを仕掛けるのか悩む四人。

 

そんな5人を尻目に、二人は止まることなく剣を交えていた。

 

「らぁ!」

 

「おわっ!?」

 

アキトが優勢のようで、急所を的確に狙って刀を振るう。一方、ツカサはというと、ほとんど避けることしかできずにいた。

 

「ちょっとは、剣振らせてくれませんかね………」

 

「ふん、あの戦いぶりから強そうだと判断したが、どうやら見当違いだったようだな」

 

偉そうに愚痴るアキトに顔を引きつらせる。

 

「テメェ……喧嘩ふっかけてきたくせによくもそんなことを………」

 

「どうしようが俺の勝手だ。どのみち、お前にも選択肢はあったはずだぞ。嫌ならば、《デュエル申請》を断れば良かっただろう」

 

「断ったらお前らをモンスターと見なすって言ったのどこのどいつだっけ!?」

 

アキトを睨んで叫ぶツカサ。だが、アキトにはそれを聞く気がないのか、黙ってそっぽを向く。

 

不意に、フィールド上に一陣の風が吹き抜ける。その瞬間、アキトが顔をしかめる。

 

「おい、そこの……何だったっけ?」

 

「ツカサだ!始める時に言っただろ!」

 

「まあなんでもいい。俺たちが戦い始めて何分経った?」

 

なんでもよくない!と心で叫びつつ、何故そんなことを聞いてくるのか分からないままウィンドを開くツカサ。

 

そこに表示されていたのは、デュエル専用のウィンドで、誰と誰が戦い、そして開始からどれだけ経ったかを示していた。

 

「えーと、あれから5分近く経ってるが、それがどうかしたのか?」

 

疑問符を浮かべてアキトに問う。当のアキトはというと、舌打ちをしてウィンドを開いていた。

 

「一時停戦だ。さっさとここから離れるぞ」

 

「はぁ?」

 

すると、ツカサの開いていたデュエル専用のウィンドが消える。アキトはすぐさま走り出した。だが、

 

「クソッタレ、遅かったか」

 

目の前を睨み、歯噛みするアキト。何かと思って見ると、そこには初心者でも楽に倒せる《スライム》と初級クラスのモンスター《ワーウルフ》がいた。それも、およそ50体ほど。

 

「な、なんじゃこりゃぁ!?」

 

「ん?二人共どうかしたって何これ!?」

 

ツカサの叫び声で何かあったのかと思った5人が顔を上げる。そして、目を見開いて驚愕の声を上げる。

 

「ちょっと待ってよ!なんでこんなに敵が!?」

 

「さ、さすがに許容範囲外じゃないかなこれ」

 

「うん、逃げたい」

 

目の前の現状に顔を引きつらせる6人。そんな中、アキトだけは冷静にその光景を見据えていた。

 

「リポップしやがったか……」

 

「……リポップ?」

 

「そんなことも知らずにここに来たのか?はぁ………、リポップっていうのは、撃破されたmobつまりモンスターが一定時間経つと再度湧くことを言う。だが、際限なしに湧くわけじゃない。元いた数だけリポップするようになってるはずだ」

 

「じゃあこいつらは……」

 

「俺らに倒されたモンスター」

 

そう説明しつつ、アキトは刀を構える。それに反応したのか、《ワーウルフ》は雄叫びを上げ、《スライム》は跳ねる。

 

「ログインする前に情報見たんだけど、ここら辺りのモンスターってノンアクティブ、つまり攻撃しないと襲ってこないんじゃなかったっけ!?」

 

「残念だが、それは嘘の記述のようだぞ。このゲームモンスターは全てアクティブだ」

 

シンヤが入った情報をアキトはばっさりと切り捨てた

 

「なあ、シンヤ。お前それどこのサイトの情報だ?」

 

「えっと……『ゲームズ速報』だったはず」

 

「…………そこのサイト、デタラメばっか言ってるところだぞ?」

 

「ネットでも一時期有名になったほどの詐欺サイトだよ」

 

「まさか、それをまんまと信じたの?」

 

ツカサ、カレン、カナメからジト目で見られてたじろぐシンヤ。

 

「まあそんなこともあるさ」

 

コウキは立ち上がりシンヤの肩に手を置く。それは味方とかしているというわけではなく、ただ単に哀れんでいるように感じられる。

 

「………なんかごめん」

 

「ごちゃごちゃ言わずに剣握れ!敵は待ってくれないんだぞ!」

 

鬼気迫る声で一喝するアキト。その表情には少しだけ焦りが見えていた。

 

「ったく、あんな雑魚ごときに殺されてたまるか」

 

目の前を冷たい目で睨む。すると、モンスターたちの動きが、嘘のように止まった。

 

「止まった………?」

 

「少しだけだが、相手を動きづらくした。これならお前らでも倒せるだろ」

 

「ちょっと待って。君は一体何をしたの?」

 

カナメがアキト以外の抱いた疑問を投げかける。アキトはさも当然のように答えた。

 

「何、と言われても《ギフト》としか言えないぞ」

 

「《ギフト》……?」

 

「おいおい、そんなことも知らないのか?」

 

うんざりした顔で振り返り6人を見る。そして、簡単に説明を始める。

 

「《ギフト》っていうのは、ウィンドのステータスの項目を見れば書いてあるはずだ」

 

周りに注意を払うアキト以外は、ウィンドを開き、ステータス欄を見る。そこには、《プレイヤーステータス》《スキル》《ギフト》とあった。《ギフト》を選択すると、二つの項目のようなものが現れる。

 

ツカサのところには《属性憑依:炎帝》《属性憑依:氷帝》。

 

カレンのところには《鬼神降誕【烈火】》。

 

カナメのところには《九尾》。

 

シンヤのところには《煉獄の7大罪》《大罪の継承者》。

 

カエデのところには《秋の体現者》。

 

コウキのところには《星辰体(アストラル) 光と闇(ライト&ダーク)》。

 

そう記されてあった。

 

「こんなのあったんだな……」

 

「ていうか使い方は……」

 

「それは知らない。俺も気づけば使えるようになってたんだよ。っと、お喋りはここまでだな」

 

アキトは目の前をキッと睨む。そこには、ツカサたちの方を向いて威嚇しているモンスターの姿があった。

 

「ツカサっていったか?お前は俺と戦え。他の奴らは左右に入る奴を任せるぞ」

 

え?とアキトの発言を疑問に思いながら左右を見ると、そこには前方にいるくらいの数のモンスターがいた。

 

「ちょ、ちょっと!なんでこんなにいるのよ!?」

 

「ちょっと多すぎるかな〜」

 

「不幸ってレベル超えてるよこれ!?」

 

「てか、どれだけ倒したの!?」

 

事情を知らなかった三人が嘆きの声を上げる。他の四人は顔を合わせて言う。

 

「「「「えーと、いっぱい?」」」」

 

「いっぱいって言っても限度があるよ!!」

 

「馬鹿じゃないの!?」

 

「とりあえず、倒すしかないね〜」

 

全員が言い合いをやめて武器を構える。

 

「全員構えろ!死ぬんじゃねえぞ。万一勝っても歯切れ悪いからな!」

 

「ったく、つくづく面倒くさいな!」

 

「とりあえず倒せばいいんだよね」

 

「ああもう!蹴飛ばされたり追いかけられたり囲まれたりって不幸にもほどがあるよ!」

 

「初戦闘が大群ってどうなの……」

 

「はぁ、やるしかないね」

 

「よーし、それじゃあ頑張ろ〜」

 

その瞬間、双方が動き始めた。

 

 

 

 

 

°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。

 

 

 

 

 

「ふわぁ〜………眠……」

 

「だらしないよ正人」

 

死んだ魚のような目をした少年、荒木正人が大口を開けて欠伸をする。それを少女、水無月詩音がなだめる。

 

「ほら、イザっちも何か言ってやってよ」

 

「え、なんで俺?」

 

学ランを身にまとう少年、逆廻十六夜が突然話を振られて当惑する。

 

「別にいいじゃん。俺が欠伸しようがしまいがお前には関係ないだろ」

 

「まあ確かにそれもそうだな。だが、ここが公道でなけりゃの話だが」

 

そう言って正人を黙らせたのは、逆廻十六夜だった。何故、同じ名前の人物がいるのかというと。

 

「………あのさ、お前ら外見は違うのにどうして名前一緒なのさ」

 

「「俺/私に聞かれても」」

 

この同名の二人は双子の兄妹であり、男の方が兄、女の方が妹である。

 

「それにしても、今日も俺の妹は可愛いな。なあ、そうは思わないか正人」

 

「知るかシスコン。てかそれ今日50回目だぞ」

 

うんざりしたかのような顔で告げる。一方、妹の十六夜はというと、

 

「まったく、困った兄だな」

 

「そういう割には嬉しそうじゃねえか」

 

嬉しそうに言う十六夜に少年、緋御悟がツッコむ。

 

「イザっちもイザちゃんもブレないよね〜」

 

「「ブレる必要が見つけられない」」

 

「はいはいそうですかー」

 

真面目な顔で言うシスコンとブラコンに適当に返す悟。その後ろで歩いている少年、篠宮英太が声を上げる。

 

「おーい、そこのお二人が熱いのはいいんだが、ここが公共の場ということ忘れてないですかね?」

 

「「「「「…………」」」」」

 

黙り込んで立ち止まる五人をよそに英太は歩いていく。

 

「そこに立ち止まってたら歩行者の邪魔だろうから早く行くぞー」

 

そう言われて英太の後を追いかける五人。

 

 

 

ーーー三つ目の物語の歯車は回り始める。

 

だが、歯車はまだ噛み合ってない。彼ら彼女らが邂逅を果たす時、歯車はーーー。

 

 




まだまだ出てないキャラいますけど、序章が終わるまでに出します。

さて、次はキャラ紹介です。
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