Miniatua Garden Online ー仮想世界の問題児ー   作:夜明けの月

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今回ばかりは不幸な人たちに悪いと思ってます。
それでは、本編をどうぞ。


第5話 不幸の結末

慣れない日差しに照りつけられながら街中を歩く竜胆は、鬱陶しそうに太陽を睨みつけて歩みを進めていく。

 

竜胆はなにやらブツブツつぶやきながら歩いているため、周囲の人が竜胆を避けるように歩いていく。ちなみに、竜胆自身つぶやいているという自覚はない。

 

「おぉ?竜胆じゃないか」

 

「あ?」

 

竜胆に話しかけてきたのは、竜胆のクラスメイトの一人、城山冬夜だった。

 

パーカーの袖で汗をぬぐいながら竜胆に近寄る。

 

「なんで引きこもりのお前がこんなところにいるんだ?」

 

「……五月蝿い」

 

日頃の竜胆の生活スタイルを知っているため、普段家から出てくることもないということは知っているのだろう。

 

冬夜は首を傾げながら聞くが、竜胆には答える気は一切なかった。

 

はぁ、とため息をついた冬夜の視界にあるものが映る。

 

それは竜胆が左手に持っているパッケージのようなもので。

 

「あ、それ、今話題のゲームじゃん。ついにお前も?」

 

「まあな。ちょっと色々あってな」

 

「色々って?」

 

「…………他言しないという条件なら、ゲーム仲間のお前になら話しても構わないが」

 

「俺一応口は堅い、とは思うんだが」

 

「じゃあ話す。とは言っても立ち話じゃすみそうにねえからどっか店に入るぞ」

 

「おうよ」

 

二人は、帰宅ではなく、話をするための場所を歩いて探した。

 

捜索時間に小一時間かかったのは別の話。

 

 

 

 

 

°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。

 

 

 

 

 

場所は変わって、ゲーム内の《トリトニス草原地》。

 

シンヤとコウキは、迫り来るmobの大軍から全力で逃げ回っていた。

 

「なんでこんなことにぃぃぃぃぃ!?」

 

「それは……僕が聞きたい、かな……」

 

「どうでもいいけど、死ぬのだけは嫌だぁ!」

 

二人が逃げ回っているのには理由があった。

 

一つは、ツカサのギフトで一掃をするため。もう一つは、アキトの不意打ちにより武器を全部取られてしまい、mobのターゲットになってしまったからだ。

 

「武器さえあればいいんだけど……」

 

「これってチームプレイじゃなくてイジメだよね。あからさまなイジメだよね!?」

 

「今は逃げることに専念しよう。足動かさないと下敷きだよ?」

 

「分かってるけどさ、どうしてそう淡々と言えるのさ!少しは焦りなよ!」

 

大軍を引き連れつつ全力で逃げ惑う二人をアキトは眺めていた。

 

そのすぐそばに剣を構え、切っ先を目の前に向けているツカサがいる。

 

「いいか?俺があいつらにこっちに来るように指示したらギフトを発動させろ」

 

「そんな簡単に言うなよ……」

 

「大丈夫だ。ミスればみんなお陀仏なだけで」

 

「それが一番の問題なんじゃないか……」

 

今にでも頭を抱えて座り込みたいツカサは、その気持ちを抑え込む。そんなもの、これが終わればいくらでもできると言い聞かせて。

 

「でも、本当にうまくいくのかな〜?」

 

カエデが不安そうに問いかけてくる。

 

ツカサとアキトの後ろには座り込んでいるカレンと荒く息を吐いているカナメ、その二人に回復魔法をかけているカエデがいた。

 

ちなみに、カナメが疲れ果てている理由は先ほどまで逃げ惑っている二人を追っているmobがこっちに数体やってきていたのを、全て一人で討伐していたからだ。

 

駆除し終わった時には、HPが赤ゲージというなんとも危ないことになっていたが。

 

「おそらくだが、ツカサのギフトは特殊系のギフトだろう」

 

「………なんだそれ?」

 

「定められたものを武器に纏わせたり、広範囲に打ち出したりするギフトだ。攻守ともに優れているが、なんせ効果時間が短い。普通のギフトの三倍ぐらいはな」

 

「それ、いいのか悪いのかよくわかんないぞ」

 

「つまり……説明は面倒だからパスだ。ヘルプに書いてあるから後で読んでおけ」

 

そろそろだな、とアキトは息を吸い込みシンヤとコウキに指示を出す。

 

「そこの二人!武器返してやるから戻ってこい!戻っこなきゃ、この武器は俺が街に帰って売っぱらう!」

 

前言撤回。指示ではなく脅しでした。

 

「「なっ!?」」

 

さすがにこの発言には耳を疑ったようで、二人は一度止まるが、背後から近寄る地響きと咆哮ですぐにまた走り出す。アキトが立っているその場所へと。

 

「よし、来たぞ」

 

「…………っ!」

 

迫り来る大軍に固唾を呑むツカサ。手が震え、カタカタと剣が音を立て始める。

 

「(やるしかない……やらなきゃ死ぬ……っ!)」

 

カタカタと震える手を力を込めて押さえ込もうとするが、震えは止まらない。

 

そんな時、後ろから声がかけられる。

 

「ツカサ、あんまり背負いこまないで」

 

カレンは真剣な眼差しでツカサを見据える。

 

「それにこれはゲームだよ。楽しまなきゃ損じゃない」

 

ツカサに笑いかけながら言う。ツカサはその笑みと言葉で緊張が解けていく感覚を覚える。それと同時に、自分が震えているのが馬鹿馬鹿しく思えてきた。

 

「ゲームだとしても、死ぬのは嫌だっての」

 

ツカサは前に向き直り、再び切っ先を大軍に向ける。

 

シンヤとコウキは、自分達にツカサが剣を向けているのではなく、後ろのモンスターたちを狙っているのだと瞬時に理解してアキトの背後へと駆け抜ける。

 

それを確認したツカサは己の手にある剣を振るった。

 

「"インフェルノ"!」

 

振るった瞬間、空気が震え、風が吹き抜ける。その風が吹き抜けると同時に赤い閃光が辺りを照らす。そして炎が突如燃え上がり、業火と化してモンスターを焼き焦がし蹂躙する。

 

業火は瞬く間に火力を増し、みるみるうちに大きくなっていく。それは、家が丸々火だるまになったような大きさだった。

 

「こんなにでかくて近いのに、全く熱くねぇな」

 

「そりゃ、ゲームだからじゃない?」

 

「全く……ゲームだからといって死にかけるのはごめんだよ……」

 

「それもそうだね〜」

 

「脅しも御免だけどね」

 

「俺は悪くはねえよ。俺は正義だ」

 

「「「どこの独裁主義者だよ」」」

 

こうして、モンスターの大軍を一片も残さず消し去り、戦闘を終えた。

 

 

 

 

 

°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。

 

 

 

 

 

ツカサがギフトを発動させる寸前、草原を走る一つの影があった。

 

「お前は少しぐらい走れよ!」

 

「む〜り〜。つーかーれーたー!」

 

「…………子供」

 

「何か言ったかしら、鈍感」

 

「……別に何もイッテマセンヨー」

 

フブキとレイカは親友のカエデを探すためにフィールドへと出た。だが、出たはいいが広すぎて全く見つかりそうもなかった。

 

現在、とりあえず走っているという感じだ。

 

「ったく、どうしてこんなだだっ広いかねぇ…………」

 

「マップに反応ないの?」

 

「二百メートル圏内に入らなきゃわかんねえよ。くそッ、狭すぎるだろ」

 

ゲームの設定された範囲にフブキが文句を言った時だった。

 

突如、フブキたちの右手から強風が吹き抜ける。轟、という音を立てて吹き抜けた風とともに赤い閃光が辺り一帯を照らす。

 

「な、なんだ!?」

 

フブキは思わず目を閉じ、手をかざして光を遮る。そのせいで背負っていたレイカがバランスを崩すガキにする様子もない。

 

「フブキ、あれ!なんか燃えてる!」

 

「何!?」

 

恐る恐る目を開くと、そこには信じられないような光景が広がっていた。

 

燃えているのだ。少ししか見えないが、検索圏外で先で何かが燃えている。

 

「何が、起きてやがる……」

 

「何でもいいわよ!とりあえず行くわよ!」

 

「走るの俺だろうが!」

 

「なら逝きなさい!あそこにおそらく多分カエデがいるかもしれない!」

 

「なんか違うし、言うなら断定しろ!」

 

フブキは、レイカを続けて背負いながらできるだけ全力で走る。そこに親友がいると信じて。

 

 

 

 

 

°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。

 

 

 

 

 

赤い閃光と燃え盛る草原をトウヤたちも目撃していた。思いの外、フブキたちが走るのが早く、追いつけずいつの間にか見失っていた所にあの炎を見たのだ。

 

一行は一瞬硬直したが、すぐさまミツキとルリが目を輝かせながら炎が上がった所を指差して言った。

 

「「なんか面白そうだからあそこに行こう!」」

 

そんな無茶振りに頭を押さえる凍夜。だが、他の三人はというとミツキとルリに従う気なのか、嫌な顔一つもしない。

 

これから面倒なことになるんだろうなぁ、と若干諦めながらトウヤは承諾する。

 

それを聞くや否や、ルリはトウヤに抱きつく。

 

「やっぱりトウヤは私のこと分かってるね!」

 

「………どうせダメだと言っても勝手に爆走するだろ」

 

「うん、そのつもりだった」

 

「…………………少しぐらい否定してくれ」

 

トウヤの精神のHPを凄まじい勢いで減らしていきながら、一行は現場へと走る。

 

「なんかさぁ、移動手段とかねぇのか?走るの疲れるんだけど」

 

ハヤが突然そう切り出した。ハヤの言う通り、このゲームでは歩くまたは走る以外にほとんど移動手段はない。

 

「βテスト時にそんなものなかったわよ。全部歩きだったり走ったりしてたわ。スキル使って十メートルぐらい飛んでる人いたけど」

 

「お、それ使おうぜ。どうやるんだ?」

 

バリスの言葉にハヤは食いついた。その様子を見て、不気味な笑みを浮かべてバリスは告げる。

 

「スキルを他人に向けてぶっ放す。そうすれば飛べるわよ。その代わり、恐怖と不快感を味わうことになるけど」

 

「……………やめとく」

 

バリスの異様な笑みと本気でやりかねないという気が感じられたハヤは、顔を青ざめながら首を横に振る。

 

そんな中、シンラは不安そうにつぶやいた。

 

「これ、大丈夫なのかな……?いろんな意味で」

 

そんな不安をよぎらせつつ、六人は発生源へと走った。

 

 

 

 

 

°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。

 

 

 

 

 

とあるファミレスで水無月(みなづき)(すばる)神崎(かんざき)(さち)は食事を摂っていた。周囲に桃色の雰囲気を排出しながら。

 

「このハンバーグおいしいね昴♪」

 

「ああ、そうだな」

 

「ぶー、昴が冷たいー!」

 

「俺は体温低いわけじゃないんだけど」

 

「体温の話はしてない。態度の話してるのー!」

 

ジタバタと昴の淡白な反応に不満を漏らす幸。昴はその対応に慣れているのか、すぐに話題をすり替える。

 

「それは置いといて、幸ってゲームする方か?」

 

「んー?どっちつかず?」

 

「そうか……」

 

「あ、でも昴がやるもので多人数でやれるものならやる。で、何やるの!?」

 

幸はずいっと向かいに座っている昴に顔を近づける。背の低い彼女は、足を浮かせてバタバタさせている。スカートなのでその中身が見えそうになる。

 

昴はそれをできるだけ無視しつつ、仕方なくといった風に言う。

 

「《Miniatua Garden Online》、通称《MGO》ってやつだ」

 

「ふーん。それって結婚システムとかあるの?」

 

「………?一応あるが、それがどうか「ならやる!絶対やる!」うぉ!?」

 

『結婚システムがある』というフレーズを聞いた途端、目を輝かせ、一際顔を近づける。気を抜けばすぐにぶつかりそうなぐらいに。

 

「ふふふ、昴と結婚してあんなことやこんなことを…………ふふふふふ」

 

幸はすぐに座り直し、頬を朱に染めて、頬に手をやってだらしなく笑っている。

 

その見慣れた幸が妄想するという光景にため息をつき、笑みを浮かべる。昴は昴でこのありふれた光景が気に入っているのだ。

 

だが、昴自信が勧めたゲームは非日常であり、そのゲーム内で色々とぶっ飛んだ人たちと知り合うことになるということを昴は知る由もなかった。

 

 

 

 




登場した瞬間からリア充である幸さんと昴君、登場です。
後悔はしていない……はず。
次の更新はキャラ設定になる可能性高いです。


それと今回からこれやります。
キャラ達による、幕外でのゲーム内チャット。

ツカサ:なんかMGO専用のチャットルームがあったんだが
カナメ:面白そうじゃん!
カレン:そうだね
シンヤ:何話すの?
ツカサ:シンヤの恋愛事情
シンヤ:ファ!?
カナメ:なんだと!?
カレン:聞いたこともないんだけど
ツカサ:俺は知ってるけどな
シンヤ:ぼ、僕逃げる!
【シンヤさんがログアウトしました】
カナメ:おいこら逃げるな!ちょっとシンヤの家行って吐かせてくる!
【カナメさんがログアウトしました】
カレン:忙しいね
ツカサ:まあ放っておきゃいいだろう
カレン:そうだね
【ツカサさんがログアウトしました】
【カレンさんがログアウトしました】


こんな感じで幕外のキャラ達のチャットをやってきます。
では、次回もお楽しみに!
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