黒子のバスケ~もう一人のマネージャー~   作:植物

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ある日の部活終わり……


「皆ぁ!!お疲れ様ぁ!

はい!これ差し入れ!」


言いながら、桃井はバックからタッパンを取り出した。中に入っていたのは、蜂蜜に丸ごと漬けられていたレモンだった。それを見た途端、部員は一斉に引き攣った顔を浮かべた。


「おい……どうする?」
「どうするつったって」
「さつき、お前何また不味いもん作ってんだよ」
「なによ!せっかく作ってあげたのに!」

「お疲れ様ぁ」


その時、橙野が体育館へ入ってきた。彼女が入ってきたのを見た桃井は、涙目で抱き着いた。


「優ちゃーん!!」
「な、何?」
「青峰君が、酷いこと言うの!」
「酷いこと?」
「せっかく差し入れ持ってきてあげたのに、青峰君ったら食べてもないのに、不味い物っていうんだよ!」
「不味い……(あれは、確かに不味いもんねぇ……)」
「おい優希、何か差し入れないか?」
「差し入れなら……はい」


バックからタッパンを取り出し、蓋を開け見せた。中には美味しそうに焼けたクッキーだった。


「さすが優希だ!」
「やっぱり、差し入れは橙野さんの手作りお菓子に限りますね!」
「さつき、お前少しは優希を見習え。そうすりゃ、料理の一つぐらい美味くなるんじゃねぇのか?」
「何よ!青峰君ったら!

優ちゃん、今度一緒にお菓子作ろう!」
「いいよ」
「ヤッター!優ちゃん、大好きー!」


奇跡の世代と黄瀬涼太

紅葉や銀杏の葉を綺麗に着飾っていた木は、やがて裸になり冬が訪れた。

 

ミスディレクションを身に着けた黒子は、晴れて一軍へと昇格した。その後の試合でも黒子は『キセキの世代・幻の6人目(シックスマン)』としては活躍していった。

 

 

そして1年後……2年生の春。

 

 

「黄瀬……涼太?」

 

 

スポーツドリンクを飲む青峰の口から出たその名を、橙野は繰り返した。

 

 

「あぁ。凄ぇ面白い奴なんだ!」

「面白い奴……」

「お前、そいつに会った途端泣いたりすんなよ?」

「!?な、何で泣かなきゃ!」

「初めて紫原に会った時、お前泣きながら俺の後ろに隠れたじゃねぇか」

「背後にいきなり、長身の男がいたらビックリするよ!!

 

それに、まだ慣れてないんだもん……男に」

「……」

「ずっと暴行受けてたから……なんて言うか……

 

知らない男にしても知ってる男にしても、話し掛けられたり背後にいたりすると……怖いの……」

 

「何が背後にいたりすると、怖いのだ?」

「う……ウワァァアアアア!!」

 

 

突然声が聞こえた橙野は叫び声を上げ泣きながら、青峰の背後に隠れた。

 

 

「緑間、お前のせいだからな」

「俺が何をしたというのだ!?」

 

 

練習を再開し、青峰がダンクシュートを決めた時、桃井は三軍にいた黄瀬涼太と共に第一体育館へ入ってきた。

 

 

「さつき、何で黄瀬と一緒なんだ?」

「黄瀬君、今日から一軍なの」

「へぇ……始めたばっかなのに、凄ぇな」

(凄ぇのは、アンタだろ……中学でダンク決めるとか……

 

つか、会って2回目で呼び捨てか)

「青峰君、テツ君知らない?」

「知らねぇ」

 

 

練習を始めながら、桃井の質問に青峰は適当に答えた。

その後、黄瀬は黒子の下につき、1年生と同じ扱いをすることとなった。

 

 

雑用が終わり、ため息を吐きながら黄瀬は校門へ向かった。ふと顔を上げると、校門前には青峰と黒子、紫原がいた。黄瀬の一軍昇格祝いだといい、コンビニで箱詰めのアイスを買い食べた。

黄瀬は文句を言いながら、いつの間にか来ていた加わっていた緑間と、黒子から当たりのアイス棒を貰い喜ぶ桃井と、自身で別のアイスを買って食べる橙野に突っ込んでいた。

 

 

「……?

 

そういや、この子誰っスか?」

「マネージャーの橙野優希だ。

 

レギュラーメンバーもだが、マネージャーの顔も覚えておけ」

(だから、俺はまだ入ったばかり!)

 

「退けぇ!!」

 

 

背後から怒鳴り声とバイクのエンジン音が聞こえてきた。すると黄瀬の顔にライトが照らされ、それと共にバイクが彼等に突っ込んできた。突っ込んできたバイクを青峰は咄嗟に避けたが、その衝撃で桃井と橙野は地面に尻をついた。

 

 

「痛ったぁ…」

「さつき!」

「優希さん!」

「ひったくりよぉ!!誰かぁ!!」

 

 

その声を聞いた黄瀬は鞄を捨てバイクを追い掛けていった。彼に続いて青峰も追い掛けていった。追い掛けていった二人にため息を吐きながら、緑間は紫原が持っていたまいう棒の箱をシュートするかのように投げた。

 

投げられた箱は見事、犯人の頭上へ落ちバイクは横転。犯人は頭を振りながら立ち上がり、逃げようとしたがその前に青峰が立ちはだかり、逃げ道を塞いだ。犯人は後ろを振り替えり、立ち止まった黄瀬目掛けて殴り掛かろうとした。その瞬間、まいう棒を踏み付けられたのにブチ切れた紫原が、黄瀬の前に立ち怒りのオーラを纏っていた。それにビビった犯人は、悲鳴を上げた。

 

 

「ひったくり犯を捕まえるなんて、やっぱり皆凄いね!」

 

 

犯人を警察に突き出した帰り、桃井は皆を見ながらそう言った。

 

 

「そうですね。いい連携プレイでした」

「(つーか、お前は何もしてねぇだろ?

 

ま、俺も活躍してねぇけど……)

もしかして、紫原君もレギュラーっスか?」

「うんそうだよ。よく分かったね」

「そりゃあ何か、貫禄っつーか……」

「フーン……

 

優ちん、何かお菓子ない?」

 

 

紫原の質問に、橙野は鞄を探り中から一口サイズのチョコを出し渡した。

 

 

「ま、ここにいる全員が、レギュラーだけどな」

「へ~そうなんですかぁ……

 

 

そうなんですか!!?」

「はい」

(……馬鹿な)

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