比企谷八幡をテニス選手にしてみようとするお話し 作:スティッチ
このたびはこの小説を開いていただきありがとうございます。
どうぞごゆっくりしてください。
カキーン、白球は甲高い音をたて上空5メートルほどに上がり、落下してきた。
「フム、打ち損ないか、これは内野フライでツーアウトだな」
俺、比企谷八幡小学2年生は、ただいま絶賛一人野球中だ。
一人野球というのは俺が考え出した新スポーツで、内容は一人で球を投げ、一人で球を打ち、一人で球を捕る。というスポーツだ。
一人ハブられ、5歳の時から研究と工夫を重ねてはや三年、既に完成の粋にまで達し、一人極めしこのスポーツでは誰にも負けないという自負があるにまで至った。
最も、一人でやること前提の、さらに他にやるやつのいないスポーツを極めたところでただ虚しいだけではあるが。
イヤ待て、つまり世界で一人しかやっていないスポーツを極めたってことは、俺は世界一の一人野球選手ということになるじゃないか。
なにも嬉しくねー。
そんなことを考えながらも一人野球は進行していき、遂に7対6の一点差最終回ツーアウト満塁でバッター4番を迎えた。
今まで無心でやって来た俺でもこの展開には熱くならざるを得なかった。
手に汗をにじませ運命の一球を空に放とうとしたとき、
「おー、本当にこんな町外れの公園で一人で野球してる子がいるんだなー」
そんな声が背中から聞こえてきた。
余りに驚いてしまったために打とうとしていた球を空振りしてしまった。何てことだラストは4番の空振り三振で終わってしまった。
個人的にはサヨナラホームランを打つつもりだったために、どうしても声の主に文句を言いたくなり、顔をおがもうと振り返った。
「興味深そうなことやってるけど、それ楽しい?」
その人物は、癖のある黒髪に、俺よりも30センチ程高い身長、そして何より俺が苦手とする爽やかオーラを放つ男だった。
一目見た瞬間、俺の中のセンサーが警鐘を鳴らした。コイツはリア充だと。
「はあ、まあ楽しいですよ」
「へえー、そうかい」
苦手意識が高すぎて、かなり小さい声での返答になったが、向こうにはちゃんと聞こえたようだった。
というか誰だよこの人、見た目的には小学校高学年位だが、ただでさえ人と会話したことがないのに、年上ましてや見た目リア充な人と会話なんかできっこねーよ。
早く帰ってくんねーかなー。
「でもさ、もっと楽しいことがあるよ」
「は?」
いきなり何をいっているんだコイツは?
「だからさ、楽しいことだよ、一人で虚しくボール打って遊ぶよりもさ」
その言葉には、少しムカッときた。
どうやらこの年上リア充は、所謂一人で寂しそうにしている子に、優しくてを伸ばすというタイプのようだ。
はっきり言わせてもらうが、余計なお世話というものだ、確かに俺は寂しいが一人で好きでいるわけだし、何よりも俺が年月を重ねて完成させた一人野球を否定しやがった。
よかろう徹底抗戦だ。
「へー、じゃあそのこれよりも絶対に100%面白いスポーツってなんですか?」
「イヤ、そこまでは言ってないけどさ、まあいいや、えーっとねテニスなんだけどさ、君興味ない?」
「テニス?」
「そっ、俺六年でさ、少し離れたところのクラブでヤってるんだけど、来年中学になったら部活の方で中心にやるつもりだからさ、良かったらなんか暇そうな人見つけて人員募集しとこうと思ってさ」
何やら訳のわからんことになってきたぞ、つまりアレか、自分が抜けるから代わりのやつを誰か見つけておこう、ということか。
「イヤ俺テニスしたことないんで即戦力には期待できませんよ」
「即戦力がほしいんじゃなくて、やりたいって言うやつがほしいんだよ」
「それこそダメじゃないですか、俺テニスには興味ありませんよ」
「イヤイヤ、そう言わずにさ、絶対に楽しいからさ、一回来てみようぜ」
なおも断りを入れても、しつこく勧誘してくるので、こちらが折れることにした。
それにコイツは一人野球をバカにしやがったからな、こっちもテニスをこけにしてやる。
「そこまで言うんでしたら一回だけいってはみますけど」
「おっホントか? いやー悪いねえーっと、」
どうやら名前を言おうとしているようだが、残念ながら俺もコイツもまだ名前を名のっていない。
「比企谷八幡です。小学2年生です」
「あっ! 悪いわるいそういえばまだ言ってなかったな。藤宮裕一、小学6年生だ。」
こうして、俺のテニス人生の幕は上がった。
テニスとの出会いで俺は友人ができたり、挫折を知ったり様々な経験をしていくが、勿論、この時は知るよしもない。
はい、プロローグです。
原作をほとんど読んでいないので、比企谷八幡のキャラがどんな感じか全く自信はありませんが、こんな感じから始めていきたいと思っています。