比企谷八幡をテニス選手にしてみようとするお話し 作:スティッチ
まさか週に1回の投稿と言っておきながら1月以上も悪とは思ってなかったんです。
ほんっとうに何故か書く気が起きなくて放置し続けていたら大学も期末考査に入り、そういえば前に登校したのっているだっけ?と確認したらまさかの12月18日とか。
ものすごく遅くなりましたけど、happy new year
あけましたおめでとうございます。(誤字ではありません)
評価をしてくださった人達ありがとうございます。
期待に沿えるように精いっぱい頑張っていきます。
朝のホームルーム間近の際に流れる音楽をバックに、比企谷八幡は戦々恐々としていた。
理由はいたって簡単、目の前にいる藤宮裕一とものすごい気まずいことがあったからだ。
具体的にいうと、無理やり連れて行ってもらったテニスクラブで何も言わずに勝手に帰ってしまった。ということがあった。
藤宮に悪いことをしたし、なんか話しかけてくれた同い年のあの二人にも悪かったなとか、足つって動けなかった俺を運んでくれたコーチにも悪いことしちゃったなとか思ってるから、どこかで謝りにいかないといけないと思ってはいた。
思ってはいたんだが、いくらなんでもいきなりすぎるだろ。
「いやー、まさか本当に比企谷君だとは思わなかったな」
本当にそうですよ、ていうかなんで同じ小学校なんだよ、なんで俺たち気づかなかったわけ?
「まあでも、あの公園の近くにお互い住んでるんだから同じ小学校だっていうのは当たり前だよね」
………確かにそうですね。
「比企谷君はランドセル背負ってるところ見ると、今来たところ?」
「あー、まあ今日寝坊しちゃったんで、一人でさみしく登校してきました」
「あれ、他の班の人たちはどうしたの?」
「先に行ってて置いてかれました」
「そっか………」
藤宮は何やらものすごく微妙な顔をしている。
いや、別に俺傷ついてないからね、むしろそういうリアクションされるほうが傷つくんだからね。
「ほんとに一人ぼっちなんだな」
「うるせえ!!」
別にいいんだよ、一人でも楽しいことなんて探そうと思えばいっぱいあるんだから。
本読んだり、ゲームしたり、妹を甘やかしたり、一人野球したり、やろうと思ったらいくらでもやれることなんてあるんだ。
そんな風に話をしていると、ホームルームを告げるチャイムが流れた。
気が付くと、あの人だかりも喧噪もすでになく、下駄箱前にいるのは俺と藤宮の二人だけだった。
「あちゃー、そろそろ行かないといけないね」
「ていうか、もうチャイムなったからアウトな気もするんですけど」
そうはいってもちんたらしている訳にもいかないので、二人して慌てて自分のクラスの下駄箱のところまで行き、上履きに履き替える。
なんだ別に普通に話せるんじゃん、いろいろ緊張したけど、この分なら別れ際にちょっと誤ればうまく終わらせれるかも。
「あ、そうそう比企谷君、後で話したいこともあるからさ、昼休みぐらいに校庭の遊具のほうに来てほしいんだけど」
「え?」
このままあっさり終わらせれるかもとも思ったけど、どうやら問屋はそうは降ろしてくれなかったようだ。
昼休み、俺は藤宮に言われたとおりに校庭の遊具、正確にはジャングルジムのあたりに来ると、すでに藤宮はそこにいた。
「あ、ちゃんと来てくれたんだ」
「まあ、ここでも逃げたりしたらなんかさらにややこしくなりそうだったし、それにまだきちんと謝ってなかったんで」
「謝る?」
「その、土曜日何位も言わずに勝手に帰ってすみませんでした。なんかいろいろ心配かけちゃったかもしれないし、きちんと謝らないといけないとって思ってました」
そういうと、藤宮はああ、と何か得心が言ったといわんばかりに手をポンとたたいた。
「それに関しては俺もごめん、まさかあんなことになるとは思わなくてさ、ほんっとーに悪かった!!」
藤宮は謝罪の言葉を述べると、深々と土下座でもしそうな勢いで頭を下げた。
正直年下に頭を下げるなんて、自分が悪いと分かっていても普通は簡単にできることではない、というか俺は謝らない可能性まである。
「ちなみに、あの後どうなりましたか?」
「俺の頭に団子ができた」
多分あのゴリラみたいなコーチにやられたんだろうな。
それは確かに痛そうだ。
「まあ、半分以上自業自得だからな」
しかし、藤宮自身は特に気にしてはいないらしく、出会った時から見せる笑顔を浮かべる。
「で、比企谷君が謝りたかったことってそれだけ?」
「それだけっていうか、まあそうですね」
「そっか、じゃあ俺の話を、というかコーチからの話なんだけど、よかったら次も無料体験に来てねだそうだよ」
「無理です」
またあの地獄に行けと? 冗談じゃない、誰がそんなとこに行くもんか。
「うん、まあそうだよね」
「はい、無理です」
「確かにいきなりは難しいよね」
「そうですね、いきなりは無理ですよね」
そうだ、いきなりテニスの手の字も知らないような奴があんな所に行くなんて無理に決まってるんだ。
この前だって藤宮に悪気はなかったはずなのに、こっちが勝手に悪く思って、ろくに考えもせずに行くなんて言ってしまったのがそもそもまちがってたんだ。
「うん、いきなりは無理だから俺が教えてあげるよ」
「はい?」
「考えてみれば比企谷君って、ろくに運動もしたことないでしょ?」
いや、あるから。 体育の授業とか普通にしてるし、そもそも講演で出会ったのだって俺が一人野球の開発にいそしんでいたからで、って、体育の授業はともかく一人野球は運動と言っていいのか微妙だな。
「だからさ、これから毎日学校終わったらテニス教えてあげるからさ、やろ?」
自分の言いたいことが言い終わると、グッとこぶしを握り締め、目を輝かせながら俺に顔を近づけてくる。
やめて、ちょっと怖い。
ま、まずい、このままではなし崩し的にすることになってしまう。
「いやいやいやいや、俺ラケットとか持ってないんですけど!」
「大丈夫、俺の昔使ってたラケットとシューズあげるから」
な、そんな破格の条件を出されたら余計に断れない。
いや、諦めるな、俺にはまだ切り札が残っている。
「いやいやいやいやいやいや、ていうかそもそも俺アップの時点で駄目だったんですけど」
「そうか、じゃあ毎日朝6時に起こしに行くから一緒に走ろう!!」
だ、だめだ、ここで折れるわけにはいかない。
「いやいやいやいやいやいやいやいや、そもそも俺テニスとかよくわからないし」
「うん、だからグリップの握り方からラケットのスイング、ストロークにフットワークとか基礎からみっちり教えてあげるから」
あ、これあかんやつじゃん。
「いや、でも」
「うん、じゃあ今度の土曜日の無料体験までやろ?」
「へ?」
「1週間やって、それでまったく楽しくないっていうんだったら諦めるから」
出会ってまだ3日しかたっていないのに、どうしてそんなこと聞いてやらなければいけないんだと切れても文句は言われないだろう。
たぶん藤宮自身も俺がてこでも動かない意思を示せば素直に引き下がってくれただろう。
けれど、俺の口から出た言葉は拒絶を表す言葉ではなかった。
「まあ、1週間だけだっていうんなら」
「本当に? よーっし、じゃあ今日からビシビシしごくから、放課後に講演で運動する格好で来てね」
「き、今日から!?」
「そりゃそうだよ、やることはいっぱいだから1週間なんてあっという間だよ」
そう言うと、藤宮はそろそろ昼休みも終わるし戻ろうかと言うので、それに従うことにした。
まあ、やると言ってしまったのだからしょうがない、しょうがないのだが、なんかまたとんでもないことに乗ってしまったんじゃないかという不安は,
学校が終わるまで消えなかった。
朝の登校に関する先生のありがたいお説教が終わるとすぐ家に帰り、とりあえず、運動のできる格好になってから公園に向かうことにする。
そういえば運動する格好って、まあこれでいいか。
「それで体操服って、ふぐぐ」
「いや、だって運動する格好って言ってたじゃん」