比企谷八幡をテニス選手にしてみようとするお話し 作:スティッチ
バイトと部活で忙しくて先月は1回だけの投稿になってしまいました。
お待たせしてしまい申し訳ございません。
それでは、第5話です。
もっと多く書こうとも思ったんですが、とてもじゃないけど今のリアルの状況で切りのいいところまで書こうと思ったら3月中には終わりそうになかったので、ここまでになります。
どうか寛大な心で閲覧をお願いします。
土曜日、先週と同じように10時に藤宮と公園で待ち合わせをし、そこから目的地である先週俺が恥をさらしたテニスクラブに行く。
バス停まで15分、バスで10分、そこからさらに5分の徒歩でようやく入り口につき、そこからさらに3分ほど歩いて受付にまで付く。
「すいません、立花コーチ」
受付にいた若い20代くらいの男性に藤宮が声をかける。
そうか、あの人はコーチなのか。
「ん、藤宮君? あれ、その子って先週の子?」
「そうですよ、先週の反省を生かせいて俺が直々に鍛えてパワーアップさせました!」
「いや、あのね、鍛えるとかどうこうじゃなくて、まず無理やり連れてくるということ自体に私たちは怒っているわけでね」
「いや、本当に大丈夫ですって、見てくださいこのふてぶてしい目つきを」
先週ゴリラみたいなコーチとやりあっていたようなことを、この立花という名前のコーチにもする。
というか、ふてぶてしいってなんだよふてぶてしいって。
「あのね、ふてぶてしくてもこの子先週逃走しちゃってたでしょ、その時点でもう普通にアウトだから!!」
「うぐ」
あう、そういえば俺先週誰にも何にも言わずに逃げ出してたんだった。
「そ、それは、その………すいません………」
「あ、それは君は悪くないよ。藤宮君、あんなことがあったのにまた無理やり連れてくるというのがよくないと俺は言ってるんだよ」
「えっ、いやいやいや、違いますって、先週も今週もきちんと俺は話をつけて、ちゃんと比企谷君の同意を得てここに連れてきたんですよ」
今週は確かに俺自身の意思で来たからいいとして、先週はどちらかというと無理やりな気も、いや、確か自分で行くとか言ってたから同意のうちに入るのか。
そう考えていると、立花コーチが俺に本当に?という確かめるような視線を送ってきたので頷いておく。
「確認するけど、無理やり連れてきたわけではないと」
「はい、だからそういってるじゃないですか」
「脅しつけて無理やり連れてきたわけではないと言い切れるのか?」
「なんですかそれ、俺そんなことしたことないですよ」
「この前お菓子買ってあげて無理やり連れてきた子がいただろ」
え、マジで? そのことを指摘した時の藤宮のそのことを言われたらという反応を見る限り本当のことなんだろう。
ちょっとこの人何やってるの?
ていうかそうまでしてでも新しい子連れてきたかったってどうかしてるだろ。
「ふう、まあとりあえず今回は違うということらしいからいいが」
一度言葉を切ると、今度は藤宮に向けていた顔をこちらに向けてくる。
「えっと、比企谷君だっけ?」
「はい」
「今日も無料体験という形で来てくれたんだよね、とりあえず、先週みたいにあんまり無茶はしないように気を付けてね」
「あ、はい、本当に先週はすいませんでした」
「それはもういいから、とりあえずけがとかにだけは気を付けてね」
言いたいことを言い終えたのか、無料体験の手続きを済ませると立花コーチはすぐにどこかへ行った。
「あ、ありがとうございます」
慌ててお礼を言い、俺と藤宮は更衣室に行くことにした。
着替えはもちろん手短に終わらせる。
「じゃあそろそろ行こうか、巴とか鷹津とか、結構比企谷君のこと気にしてたし、喜んでくれると思うよ」
ラケットケースをもって室内コートに向かうために藤宮と並んで歩く。
「あの2人はそんなこと思ってますか?」
「いや、結構仲良くしたいとは思っていると思うよ。 ここ小学2年生とか以外と少ないし、せっかく会ったんだし友達になったら良いと思うよ」
「そんな簡単に言いますけど」
大体そんな簡単に友達が作れるのだったら苦労はしない。 そもそも友達がいたなら多分ここにはいない。
まあ確かに、あの二人は初対面なのにかなり気さくに声をかけてくれていたし、ひょっとしたらという思いも確かにあるのは事実だ。
「気が向いたら、考えてみます。」
ちなみにこれ、遠回しに断りますってこと。 つまり俺はだれかと仲良くなるつもりはない。
嫌われるのって怖いんだもん。
「そっか、じゃあさっそく話しかけて仲良くなろう」
だが、そんなものはこの藤宮には通用しなかった。
俺が仲良くしようと考えている、と勝手に解釈してしまったようだ。
「いや、あのまだ会って2回目なのに、それは早すぎるんじゃないかなーって思ったり思わなかったり」
「そういう風に躊躇する人って、大体が仲良くしたいけど嫌われたりしたらいやだなーって人だけどな」
こいつ、手強い!! まさかあっさりとこっちの考えていることが見破られるとは、こやつやりおる。
「なんか驚いているけど、割と比企谷君って単純だよ」
その、なにも悪気のない一言は割と甚大なダメージとなった。
なに、俺って単純なの? こんな天然っぽい奴に言われるくらいに。
「うん、割と考えていることが表に出るよ」
なんかショックだ、俺個人ではそんなに顔に出してるつもりはないんだが。 というかまた心の中を読まれた。
「まあ、しょうがないって、顔に出る人は出るしさ、それも比企谷君の魅力ってことだよ」
「魅力、ね」
正直それはないと思う。そもそもすぐ顔に出るっていうのは、隠し事ができないっていう損はあったとしても、得
することはないと思う。
だいたい、それが魅力的だというのなら、昨日小町に「笑顔気持ち悪い」といわれることもなかったはずだ。
いや、気持ち悪かったのは笑顔のほうか。
そんなたわいもないことを二人でしゃべりながらコートに向かっていると、話にも出てきた柊巴と、鷹津潮音が二人で楽しそうにしゃべっているのが見えた。
「あっ、藤宮さん! えーっと、隣にいるのは確か先週来てた、ひ…比企谷君だっけ?」
「あ、比企谷君こんにちは、今週も来たんだ?」
ちょっと気にしてくれているということだから、少しばかり期待していたが、まさか名前を憶えられているとは思っていなかった。
べ、別にうれしくなんてないんだからね。
「えーっと、よろしく柊君と鷹津さん、比企谷八幡です」
とりあえず先週もしたことだが、改めてということなので新参者から挨拶をするというのが普通だから、ぺこりと頭を下げる。
「おう、俺は柊巴改めてよろしく」
「鷹津潮音です。こちらこそよろしくお願いします」
改めて自己紹介をするが、何となく気恥ずかしい。
徐々に室内コートに入ってくる人たちも増えていき、その人たちのほとんどが俺を見かけると、「こんにちは」とか、「1週間ぶりだね」とか、「今日は無茶するなよ」とか、「先週は大丈夫だったの?」等と声をかけてもらえたが、いきなり話しかけられて、「ひょえ」「ひゃい」とかの変な声をあげてしまった。
まあ普通に考えれば、アップの段階で足をつるような奴は珍しいに決まっているし、そのうえ逃げ出してしまったのだから、かなり俺の顔は周りに認知されているようだ。
なんか嫌な覚えられ方だ、半分以上自業自得だけど。
俺は見世物じゃないぞ、だからそんなに注目しないでください。
「比企谷君、そんなにビビることないよ、たぶんみんなが注目している理由の半分は俺が連れてきた子がやめなかったっていうことが大きいからさ」
「そういえばみんな1回来ただけでやめてったんですよね」
「そうだな、連れてきた子たちはみんな練習がきついからやめてったからなー。 一度親が来て文句を言ってきたときはマジ焦ったよ」
親が文句って、何やってるんだよ。
もっとも藤宮は全く反省していないということではなかったようで、それ以降は強引に勧誘するということも少なくなったらしい、とはいうが俺の時でも結構強引なところがあったのに、あれ以上に強引って、確かに何かしら文句言われても仕方がないよな。
「だからさ、比企谷君がテニスを好きになってくれてよかったよ」
別にまだ好きになったわけではないが、少なくとも1週間ボールを打っていた時は楽しかったのは認める。
「別にまだ始めたわけでもないですから好きってわけではないと思いますけど」
「でも興味は持ってくれているんだろ? それでも今は十分だよ」
そういって頭をポンポンと叩くのでバシッと払いのける。
この1週間で思ったのだが、こいつは俺を少し子供と見すぎなのではないのだろうか、どう考えても藤宮は俺を弟とみていると思う。
コーチが来るまでは4人でどこの学校に通っているとか、学年に1クラスしかなくて数少ないんだなって驚いたり、それぞれがテニスを始めた理由とかを聞いたり、いろいろなことを聞いたり話したりした。
コーチが入ってくると、それまでの弛緩していた空気がいっぺんにピリッとしたものに変わる。
先週も感じたが、少しだけ怖いと思うのと同時に、ここまで本気ではない俺が少し浮いているようで気まずく感じてしまう。
だが、始まってしまえば、俺にそんなことを考える余裕はなく、周りに置いてけぼりを食らわないようにやるので精いっぱいだった。
今週も先週と同じようにコートの外周から始まり、そのあとの様々なフットワーク練習へ続き、という順番に始まっていった。
当然、たかだか1週間毎日走った程度では、こんなの楽勝というわけにはなるはずはないのだが、それでも、先週感じたよりは苦しさを感じなかった。
先週足をつってしまった最後の全力ダッシュも乗り越え、やりきった時を抜いてしまったのがまずかったのだろう、限界ぎりぎりまで張りつめていた緊張の糸が自分にだけ聞こえるぶつりという音を立てて切れるのを聞いた。
えーっと、つまりは今度はぶっ倒れました。
「はい、比企谷君、温めのスポーツドリンクとタオル」
「……ありがとうございます」
先週と同じように、本日も倒れて動けなくなった俺をコート脇まで運んでくれてドリンクとタオルを渡してくれたのは、立花コーチだった。
あらかじめ用意されていたということは先週足をつってしまったのだから、もしかしたら今日もしてしまうのではないのかという考えは間違っていない、むしろ、それを考慮に入れてケアをするのが当たり前というものだろう。
ただ、ものすごい情けなさと恥ずかしさは出てしまう。
「すいません、先週に続いて今週まで迷惑をかけてしまって」
「ああ、別に問題ないよ、むしろこういうことに対処できるように私たちがいるみたいなものだから」
俺の謝罪に、何でもないという風に笑顔で返してくれる、ぐう、なんか余計に申し訳なさが出てきてしまう。
それにしても、こんなアップにすらついていけないなんて、やっぱり俺がスポーツマンになるなんて間違っているのではないか。
「はあ、やっぱりこんな毎週ぶっ倒れるようなやつなんて迷惑ですよね」
俺がやや自虐的に質問する。
「別にそんなことないし、頑張ってる子を迷惑だなんて誰も思うわけないに決まってるだろ」
その返答はやや俺の予想外のものだった。
頑張っている、正直あまりピンとは来ない、頑張っているとはいっても毎週ぶっ倒れるような奴ががんばっているように見えるのか?
「そうですか?」
「それに、今日は先週よりまだまだ元気そうだし、藤宮君が言ってた特訓の成果じゃないのか?」
言われてみれば、先週はすべての力を振り絞ってようやくついていくギリギリのところだったのだから、まだ(気絶したとはいえ)それなりに余力のある今日は1週間頑張った成果と言える……のかなあこれ。
「いや、でも気絶するのと足つるのってどっちがましなんですか?」
その疑問には困った笑顔で対応されてしまった。
要はどっちもどっちっていうわけね、ハイ。
結局1週間で何も進歩をしていなかったということに多少のショックを受けてがっくりしてしまう、あの毎日の努力は何だったんだ。
「それで、今日もやめておく?」
不意にされた質問は、テニスをするのかということだと数秒遅れて理解した。
今までアップについてこれるかどうかとかを気にしていたけど、考えてみれば俺元々はテニスをやりに来たんだった。
「まあ、2週連続アップでギブアップは恥ずかしいですし、せっかく来たんでやります」
「そっか、じゃあもう少し休んだらちょっとやってみよっか」
少し用事があるからま休んでいてと言い残して立花コーチは去っていく。
渡されたスポーツドリンクをぼーっと飲んでいると、目の前に藤宮が現れた。
「よっ、また今週もリベンジ失敗だったな」
「まあ、1週間やそこらで漫画みたいに急激にパワーアップするなんてありえませんからね」
「それはこれからちょっとずつだな。 それはそうと比企谷君、テニスはやらないの、それとコーチはどこ行ったの?」
「へ? 立花コーチならなんか用事があるからって言ってどこか行きました、テニスはもうちょっと休んでから始めようという話になりました」
スポーツドリンクを飲みながら藤宮の質問に答える。
コーチに用事があるのかと思ったが、別にそういうわけではなさそうだ。
「そっか、んじゃあちょっとでいいから練習しよっか?」
「へ?」
なんか、また嫌な予感がする。
ふと思ったんですけど、いったい調整平均って何の意味があるんでしょうかね?
調整してもしなくても別にいいと思うんですよ。
そして、週に1回投稿すると言っておきながらなんですが、この3月に登校するのはかなり難しいです。
なので、次回の投稿は4月の新学期になってからになる可能性がかなり高いです。
それまでどうか待っていてください。