よろしくおねがいします。
ナルトが大好きだったので書いてみました。
それではどうぞ。
第一話 袖星 ワタル
人は何か目的があって『自分』という人生を歩んでいる。
ケーキ屋さんになりたいと思うならケーキを作る修業をするだろうし、警察官になりたいと思ったなら、日々体を鍛え続けるだろう。
夢を追い続ける人間は決して嘘をつかない。
口先だけで理想を語る人は藻掻き、苦しんで、
そして嘘をつく。
だけど誰もが認めるスーパースターは、藻掻き苦しむその中で答えを見つける。
本当の天才は、夢を叶えるために決して諦めずに努力する忍耐力を持つ人のことを指すのだろう。
だってそれは、決して真似しようと思って出来るものではない、生れつき天から授かった才能だから。
俺はそれを憧れである男達から学んだ。
忍び耐えることを………。
第一話 袖星 ワタル
「はぁぁぁあ!!」
気合の入った声と共に拳と拳による体術技の応酬が繰り広げられる。
相手の右拳を左手で払い、広がった右胸のスペースに己の拳をねじ込む。
相手は、身を少し俺の右腕の進行方向へ傾け躱すと、フリーになった右側の腹部に膝蹴りを放つ。
俺は、それを左手で受け止め、抑えこむと、それを突き放し、大きく距離をとった。
見ての通り、俺は今修業の真っ最中だ。
相手は俺の住む火の国、通称、この葉隠れの里長であり里の者達からは火影と呼ばれていて里一番の人気者であり、里で最も強い忍。
…………と言っても69歳の爺さんなんだけどな…。
猿飛 ヒルゼン。
俺の、育ての親であり、俺の憧れの忍だ。
俺はいつだって、彼の背中を追い続けてきた。
日々彼との修行を通して拳を交えることで俺は彼から〝忍〟としての〝技〟を学んできた。
だが修行が全てというわけではない。
俺は彼の生き様から彼を学ぶことで〝忍〟というものを学んできたつもりだ。
だがそれでもまだ彼には到底及ばない。
それどころか彼を知れば知るほど彼の背中が大きく、程遠く感じる。
術や体術のキレや難易度だけでなく13歳のガキと69歳の爺さんじゃ経験の差は歴然としている。
しかし、それだけではないと、再び再開された体術技の応酬の最中、彼の瞳から放たれる強い光を感じ、俺はそう思わされる。
それ以上にもっと大事なことを俺は知らないのだと……。
でも俺は思う。
それで良いのだと。
だって俺は、まだスタート地点にすら立てていないのだから。
そう、今から忍として多くを学び
そしていつか、必ずヒルゼンじいちゃんを超える!!
体に拳や蹴りを多く受けた俺の体はすでに限界。
何度も、何度も、鋼をも思わせるように冷たく硬い木の床に叩きつけられる。
だが俺は決して諦めることはなく、幾度となく立ち上がり続け、ヒルゼンじいちゃんに立ち向かった。
俺は、もっと、もっと強くなりたい!!
その想いがいつも、この修行の最中で強く膨れ上がっていく。
もう大切なものは失いたくない……。
守る力が欲しい………。
俺は、あ'の'日'から貪欲に力を求め続けてきた。
一度見たあの惨劇をもう二度と繰り返さないように。
俺の全てが一時的に終わりを告げ、そして全てが始まったあ'の'日'から。
「はぁぁぁあ!!」
殆ど残されていない力を振り絞り振り抜いた拳は難なく躱され、ヒルゼンじいちゃんは、俺の腹部に強烈な一撃を叩き込んだ。
さすがに俺の体はもう気力だけではやっていけないらしく、もはや痛みすら感じないまま、俺の視界はゆっくりと暗転した。
あれからどれくらい、気絶していたのだろうか。
気がつくといつの間にか和室の布団の中に入っていた。
俺は、ヒルゼンじいちゃんが運んだのだろうと思い、ゆっくりと体を起こすと、縁側からふと空を仰いだ。
朝の湿った空気はもうすっかりと乾き、それどころか、昇り始めていた太陽も、だいぶ空高くまで昇っていた。
雲ひとつない晴天に、ただ一人ただ住む太陽は、なんだか寂しそうだった。
「孤独………。」
俺は、自分の耳にすら届かない声で、ボソリとつぶやいた。
その時刻は、午前8:30。
俺は、学校へ行く支度をすべく、居間へと歩き出す。
広い屋敷の中を暫く歩くと、居間へとたどり着いた。
「たく…、どんだけ広いんだよ……。」
そう呟くと、畳、十畳半の広い居間の片隅に掛けておいた自身の忍装束にゆっくりと手を伸ばした。
広い居間の真ん中には、とても大きくは見えないちゃぶ台が粗末に置かれてあり、少し寂しささえ感じる。
無を感じさせるように真っ白な忍装束を、力強く身に纏い、のんびりしている暇はないので、そそくさと居間を出る。
広いだけで質素な玄関。
靴箱の上に置いておいたポーチを手に取り、忍具をさらっと確認すると履ければいいというような、
シンプルで簡素な靴を履き、そのまま屋敷を飛び出した。
何も考えずに、太陽の光を浴び、白銀に光る白い忍装束を棚引かせ、いつもの道を駆けていく。
暫くすると、朝早いためか、少し寂しい商店街が見え始め俺は通りに出ることはせず、建物の壁にひっそりと這い蹲る排水管や、日除けを踏み台にして屋根へと上がる。
広い商店街は、まだ人の数がまばらであったが、人が歩いているのには変わりがないわけで、敢えて屋根伝いに登校することにしている。
人の目を避けるために……。
ある事件をきっかけに、里の人々が俺へと向ける視線は一変した。
化け物でも見るような怯えた目、或いは、憎しみの篭った凍てつくような目………。
そんな人々の視線が俺を襲う。
あ'の'日'を境に……。
走りながらふと、大通りに目を落とす。
するとそこにはまだ4、5歳ぐらいであろうか。
幼い少年が両手をその子のお父さん、お母さんであろう男性と女性に片方ずつ預け、楽しそうに歩いていく姿が目に映った。
俺は、思はず足を止めた。
そして、無意識のうちに楽しそうに通りを歩くその家族を目で追っていた。
すると、急に胸が締め付けられるような痛みに襲われる。
俺には、あの子みたいにお父さんも、お母さんもいない……。
俺は、苦しくなって、逃げるように視線を外し、また学校へと足を進める。
そして、俺はふと考える。
〝愛〟ってなんだろう………。
俺の通う《忍者学校|(アカデミー)》で主席を争うほどの技術や学力があってもこの世界には、まだまだ俺には分からないことが沢山あるとまた思い知らされた。
あの少年に負けた気がしたので、あれこれ考えることにしたが…あれこれ考えながら走っているうちに学校の正門に到着。
そこには、共に一日をスタートさせる忍の玉子が既に集い始めていた。
笑っている者もいれば、いつも仲のいい二人が喧嘩をしていたりもする。
「ふっ……。」
思はず笑みをこぼした俺は、音もなく軽やかに正門の中央に着地した。
彼らを見ていると嫌なことがすぐに吹き飛ぶ。
俺は、ここだけ切り取られたように別世界に感じていた。
降り立った傍にいた数名の女子達が、俺に気が付くなり直ぐさま、その女子達の黄色い声が周囲を包んだ。
そんな彼女等に、ニッコリと笑顔を浮かべ、
「おはよう……。」
と呟くようにあいさつを投げると、再び黄色い声が周囲を包み込む。
そんな彼女等に苦笑いを浮かべていると、突然後ろから頭を小突かれた。
「朝から調子いいな。」
そう言いながら俺の頭を小突いてきたのは、クラスのお調子者の犬塚 キバだった。
俺はそんな彼に、うるせぇ…と呟くと笑顔で教室へと走りだす。
俺はこんな学校が大好きだった。
俺の事を化'け'物'じゃなくて、一人の人間としてみてくれている友達がいるこの学校が……。
あ'の'日'、守れなかった物が、今はここにある。
そう実感させるこの日常が俺に貪欲に力を求めさせるのかもしれない。
どうだったでしょうか。
次回も気合入れて書きます!
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また次回もよろしくお願いいたします。
ありがうございました。
またお楽しみに。