「最悪だ最悪だ最悪だ。こんな世界最悪だ。どうして俺はこんな世界に生まれてしまったのだろう。何も面白くない何も楽しくないこんなクソッタレな世界に、どうして俺は生きているのだろう。小学校中学校と義務教育を終えて、本来ならば行かなくてもいいはずの高校に、表面上は自らの意思で通った。だけども何も変わらない。つまらない。そこそこの友達とも恵まれたしそこそこの恋もしたが、ダメだ。そこそこの奴らなんて、そこそこでしかないんだから仕方がないのだろう。意味不明だ。どうして。わざわざ俺が一緒に遊んでやっているというのに断る。友達外なさそうだからと哀れみをもって、慈しみの心で友達になってやっているのだというのに、どうして休みの日に遊ぼうと誘えば断るのだ。どうせくだらないことしかしていないのだ、そんなくだらないことよりも俺と遊ぶほうがはるかに価値があるだろう。俺が家に行くって言っているんだから諸手を挙げて賛成するのが普通だろう。それを用事などという幼児のようなくだらない理由で断りやがって。教師も何なんだ。自分の言いたいことだけを言って俺の話を何も聞かない。どこで誰が何をしていようとも関係ないだろ。お前らが気にしているのは俺たちのことではなく自分の職場の評価だろうが。くだらない偽善に酔っ払いやがって。酔っ払って気を良く或いは大きくしているだけの人間なんざ、家にだっているんだよ。どうしてわざわざそれを学校でも見せつけられなければならない。俺のやりたいことばかり否定しやがって、何が俺の為を思ってだ。思っているのは自分の体裁だろうが。俺の好きなことを否定して俺の嫌いなことばかりを肯定しやがって。親も教師もだいたいクズばっかりだ。自分が正しいと思ってやがる。自惚れてやがる。それに俺を振ったあの女だ。あのクソ女、振った後にラインもツイッターも現実でも何もかも無視しやって。あのバカ女は腹が立つからもう関わらない。あいつの周りにいる集団とも関わりたくない。好きなアイドルを開口一番にいうような奴なんて気持ち悪い。俺の恋は気の迷いだったらしい。気の迷いであり血迷ったものらしい。ああ、なんてくだらないんだろう。ゲームも最近クソ仕様のものばかりでつまらない。もっと俺を楽しませろよ。面倒臭い設定やら何やらばかり付けやがって。ドロップ率が悪いんだよ。もっと確率あげろよ。敵が強過ぎるんだよ弱くしろよ。ゲーム作ってる奴はそんなことも分からないのかよ。ああ、ああ、ああ、もう、本当につまらない。こんな世界でどうして俺は生きていかなければならないのだろう」
「――以上が、昨日未明自殺した少年が書き残した遺書とみられるものです。少年自殺研究家の愛上丘さん。この遺書からは一体少年のどんな一面が見て取れるのでしょうか?」
「そうですねぇ。世の中に対する不満や、身近な人に抱いていたストレスがありのままに書かれています。最近の少年というのはストレスに対してあまり耐性がなくちょっとしたことですぐに死を選んでしまいますし、――」
テレビの電源を切って、はぁと溜息を吐く。
「……ただ単に、自分が傷付くのが嫌で、周りのせいにし続けただけだろ。自分は悪くないって思いたいが故に、自分に都合のいいことをあることないことまき散らしているだけだろ。親や教師にやられたことを友達にしてんじゃねぇかよ。嫌な思いをしたくないからってたかがゲームにあれこれ文句言うのかよ、ゲームは所詮ゲームだろうが。お前に向けて言ったことでもないのにケチを付けるなんて、子供が見ていない時間帯を配慮して放送されている深夜アニメに「子供が見ているかもしれないのに」なんていうアホなクレーマー並に馬鹿だろ。確かにお前の恋とやらは気の迷いで血迷ったんだろうな。振られて不快な態度を取られたからって批判してしまくらいの思いが恋な訳ねぇもんな」
言葉が勝手に紡がれてしまう。
「はぁ……。自分主観でしか考えられない人間、他人のことを思っていると思い込んでいる人間って、哀れだなぁ」
そして。
「そういう馬鹿って今の世の中に溢れかえっているんだろうな」
心底そう思う。何せ俺だって、傷付くのは嫌だ。それでも俺が自殺した馬鹿とは違うのは、嫌でもちゃんと傷付いていることだ。リスカの跡は腕に残っているが、これは俺のせいだ。誰のせいでもない。俺の罪は俺が罰を受けて解決する。あんな馬鹿共とは違う。
他人のせいにし続ける馬鹿と、自傷気味の馬鹿。同じ馬鹿ならどっちを選びますか?
それともあなたは、自殺専門家やアナウンサーのように、他人事ですか? あなたの身近にいるかもしれない二つの馬鹿なんて、どうでもいいのですか?