オメーの口からだけは聞きたくなかった言葉。俺の願いは届かないのか……?
『幸せになれよ』
お前はなれないアルか?
お前は一緒にいてくれないアルか?
『例え、俺のことを忘れても、好きになった女には、幸せになって欲しいもんでさァ』
沖田総悟side
目を開けると、そこはいつも見ている真選組の屯所だった。
「なんで俺ァこんな所で…」
「おい、起きたか」
自分にそう聞いたのは、真選組“鬼の副長”と呼ばれる、土方十四郎だった、
「なんでさァ、土方サンやないですかい。まだ生きてたんですか、土方コノヤロー」
いつもの会話だった、いつも通り土方が怒鳴り出すだろうと思っていた、
「オメェ、なんで俺の名を知ってる、」
「…………冗談やめてくだせェ、土方サン」
理解出来なかった、これは夢なのかと思った、
しかし、これは…
「俺の質問に答えろ、なんで俺の名ァ知ってんだって聞いてんだ」
紛れもない現実だった。
今俺の前で何が起きてる…
“鬼の副長”と恐れられても、味方に刀を向けることは無かった、いや、正確に言えば向けることはあった、
「マジですかい、土方サン…」
こんなにも殺気を放たれて向けられることが無かったのだ。
…………バッッッッッ
「…!!あのヤロっ!!!追え!!!!」
逃げてた。追いかけてくる真選組の連中が見えなくなっても、ただただ走って逃げた。何から逃げてるのかわからなくなっていた。
「味方向けられる刀がこんなに辛いたァ…ハハ」
笑うしかなかった。
自分の居場所から、
仲間達から、
自分はいらないとばかりに宣告されたようで、
みんな自分だけを忘れていて、
何もやる気が起きなくなっていた。
「俺ァこれから、どうすればいいんですかィ、姉上…」
二度と泣かないと誓ったのに…なぜか涙が溢れていた。
「どうしたアルお前、泣かなくてもヨロシ。」
聞いたことのある、今最も会いたくないやつの声だった。
顔をあげてそいつのことを見ようとした。
「とりあえずうちに来るヨロシ、」
…神楽。
オメェもやっぱり…
「オメェ、俺のこと知ってるのか、」
………………
「知らないアル。」
あぁ、やっぱり。
聞きたくなかった、
覚悟はしていたとしても、
それだけはどうしても聞きたくなかった。
「そんな見知らぬやつのこと助けていんですかい。」
「……………」
「今更ですかい、普段ならゼッテー逃がさねーが、今日だけは許してやらァ、俺を置いて行きな。」
「イヤアル。」
「!?」
「お前のことほっとけないアル、泣いてるの見るのイヤアル、」
………………
「!べ、べつにお前に限ったことじゃないアル!勘違いするなヨ!!」
「フハッ……」
可笑しかった。
嬉しかった。
可愛かった。
愛おしかった。
「何がおかしいネ!」
「いや、何でもねぇさァ」
確信しただけさァ…
俺はやっぱりお前が好きらしい。
神楽side
おかしなやつを見つけたネ。男のくせに俯いて泣いてるやつ、全くだらしないアル。
でもなんとなくほっとけなくて話しかけてしまった。私の顔を見た時のあの顔…
消えそう
神楽はそう思った。
自分にはどうすればいいのか、わからなかったから、とりあえず万事屋に連れて変えることにした。銀ちゃんならなんとかしてくれるかもしれない。
助けたやつは変なやつで、
自分のことを知っているか、と聞いてきたり、じーっと見てきたり、なんだか恥ずかしがったり…
さっぱり理解出来なかった…けど、初対面の気はしなかった。
そして…
「着いたアル、ここが万事屋ヨー」
「ありがとでさァ、チャイナ」
あぁ、まただ、
「チャイナじゃないアル!神楽ネ!!」
「ありがとう、神楽。」
ガラガラガラガラガラ…
「その少し悲しそうな目で笑う顔は反則ね…」
連れてきたやつの言葉は、なんだか少しくすぐったかった。
沖田総悟side
まぁ、想像はしていたが…
「で、何か御用ですかー」
「旦那も覚えちゃいませんか…」
「ン…?旦那…??覚えてるって…何を???」
ハァ、少しでも期待した自分が馬鹿だった。
もしかしたら、おかしいのは真選組だけでは…と思ったのだ。
「いや、何でもないでさァ。忘れてくだせェ。」
「…………………」
ダンダンダンダンダンダンダン…
「おい、誰だ!!ドアが壊れちまうだろ、コノヤロー!」
「開けろ!新撰組だ!!」
!!!!
「あぁぁぁぁ?何でオメーらが…」
もうここまで…
「オマエ…大丈夫アルか?震えてるネ。」
神楽…
「チャイナ、世話になったでさァ。」
「!?」
「あいつらは俺を追ってるんでさァ、ここにいたらあんたらまで巻き込んじまう。すまねェな、旦那に世話になった、って伝えといてくれ。それから…」
モウアエナイ…そう思った。
それでも…
「…?」
「いや、何でもないでさァ、幸せになれ。」
俺が唯一愛した女なんだから…な。
神楽side
あいつは行った。
どこに行ったのかも知らない、
泣いてた理由もわからない、
ましてや名前さえも…
「さっきの茶髪!!どこにいる!!」
あいつは真選組に追われてるただの万事屋に依頼に来た客人…
わかってるのに…
「神楽!?どした、おい!!」
「…………うぅぅぅ」
涙が止まらなかった。
胸が痛くて、張り裂けそうだった。
「お前一体、誰アル」
「茶髪のやつが来たのか?」
「……マヨラー、あいつ誰アルか。」
「ンなこたァ、こっちが聞きてーぐらいだ。名前もわかんねー。」
また、涙が出てきた。知りたいのに…お前は誰。
「総悟」
「…?」
「沖田総悟っていうらしいぜ、依頼書に書いてある。」
……
「誰だそりゃァ、聞いたことねェな。」
総悟…
「ンなこと、知るかっ!そして、俺は別にテメェらに教えたわけじゃねーよ。」
沖田…、総悟…
「うちの従業員に教えただけだ。勝手に聞くんじゃねー、コノヤロー!」
頭が痛くなった、
足が震えた、
「神楽ッッ!!」
銀時のその声を聞いて、神楽は意識を手放した。
自分は真っ暗な世界にひとりでたっていた。
誰もいなくて、
寂しくて、
泣きそうになってた。
そんな時…
「泣くことないでさァ、……。」
聞こえなかったけど、確かに自分に言ってるような気がした。
いや、そうであって欲しいと思った。
「オメェが泣くと俺も辛い、だから泣かないでくれ。」
そう言って笑うそいつは……
「………総悟っ!!」
茶髪に美しい赤色の瞳を持った、
とてつもなく強い少年がいる。
しかし、その瞳はいつも遠くを悲しそうに見ているという。
風が強く吹いた瞬間、
自分の愛する人が呼んだ気がして、
後ろを振り向いた少年。
口元しか見えず、茶髪も瞳の色もわからない。
ただただ彼のまとう悲しいオーラに、
声が出なかった。
「例え己のことを忘れても、好きになった女には、幸せになって欲しい、それが男ってもんでさァ」
微かに微笑んだ少年。
瞳を見なくても、
涙を流していなくても、
その言葉は、苦しそうだった。
…to be continue?
初めて書きました。
銀魂ファンの方には、「喋り方が違う!!」なんて思うかもしれませんが…m(。>__<。)m
ご感想があれば、続きを書こうと思います!
読者の方の想像する、終わり方でも、満足なので!!