ボーダー本部の訓練室、俺はそこで一人の後輩を相手に指導を行っている
相手の名前は熊谷友子、たまたま俺が東隊にいた時の動画を見たらしく公衆の面前で俺に土下座して弟子にして下さいと頼んできたツワモノだ
「指導中に考え事ですか?」
「お前の公衆土下座事件を思い出してただけだ」
「うっ、あれは忘れて下さいよ」
あれは忘れたくとも忘れてられない、なんせ一時期俺は後輩の女の子に土下座をさせる変態鬼畜ヤロー認定されたのだ。
誤解自体は熊谷が積極的に解きに行ってくれたのでそこまでだったが俺は有らぬ罪で忍田さんに怒られた記憶がある、とりあえず爆笑していた林道さんを叩いた俺は悪くないと思う
「まぁいい、取り敢えず今日後10本俺と試合して終わりだ」
「はいっ!」
体育会系というかなんというか、ノリがなんかそっち系何だよな、いやいい子だよ?素直だし真面目だし人のアドバイスもちゃんと聞くし。
まぁ今は訓練の仕上げの模擬戦が大事だ
「見失ってからのリカバーが遅ぇ」
「相対したら直ぐ構えろ、敵は待ってくれねぇぞ」
「ドMかお前、それじゃあ切ってくださいって言ってるみたいなもんだ」
甘くしては本人の為にならない、俺は思い付く限りの熊谷のダメな所を指摘しながら切り伏せていく。結果は10-0で勿論俺の勝ちで終わった
試合形式の10本が終わり、俺は帰り支度を済ませ談話室的な場所で一休みしている
熊谷は自分の作戦室に戻り帰り支度をしている、何故熊谷を待っているかというと、訓練の総まとめみたいな事を終わった後にしようとしたのだが熊谷がそれならこのあとごはんでも食べながらしましょうよと言ってきたので丁度まだだったので了承した訳だ
俺が自販機で買ったお茶を飲みながら今回の指導について頭の中で纏めていると荒船が声を掛けてくる
「よう、邦。こんな場所にいるとは珍しいな」
「なんだ哲か、どうした?」
「防衛任務の帰りでな、たまたま見かけたから声を掛けただけだ。飯食ってないなら一緒にどうだ?」
「悪ぃが先約がある」
「邦が一人じゃないとは珍しい、出水か米屋か?」
「いや、くま「せんぱーい、お待たせしました!」…こいつだ」
荒船と話していると帰り支度を済ませた熊谷がやってくる、結構急いで来たのか息を荒げて駆け寄ってくる
「あっ、荒船さんお疲れ様です」
「あ、あぁ」
「遅かったな」
「女の子の支度は時間がかかるもんなんですよ先輩」
「俺は弟子は差別しないんだ、じゃあな荒船。飯はまた今度誘ってくれ、いくぞ熊谷」
何故か熊谷と俺を見て呆然としている荒船に聞こえているかはわからんが一応声を掛け、ボーダー本部を出ようと歩きだす
「先輩待って下さいよー!、荒船さん防衛任務お疲れ様でした」
「おっ、おう」
先に行ってしまった俺を追い掛ける熊谷、そこには荒船だけが取り残される
「後輩の女の子とご飯、いいな」
「顔なのか、やはり男は」
荒船の呟きがやけに大きく響き、いつの間にか近くに来ていた穂刈の言葉がその場にいた男衆に突き刺さった
ボーダーを出た俺たちは近場のファミレスでご飯を食べつつ先程の反省会を行っている、傍から見たらデートにみえなくもないが話している事は色気も何も有ったものではない
「受け流すのは上手く成ったがそれ以外はまだまだだ、身体の捌き方もなってねぇ」
「はい…、あの」
「なんだ?」
「私って強く成ってますか?」
浮かない顔をして聞いてくる熊谷
「ハッ、何を聞いてくるかと思えばくだらねぇ」
「うっ、ですけど先輩からまだ一本も取れてないし」
「当たり前だボケ、比べる相手が違ぇ。それにお前は俺が一から十まで教えてやってる唯一のアタッカーだ、弱ぇ筈ねぇだろーが」
仮にもボーダー最強の一角を担う俺の一番弟子と呼べる奴だ、まぁそろそろランク戦解禁してやってもいいだろう
「明日からランク戦やっていいぞ、多分エース級の奴らじゃねぇと相手になんねぇから気ぃ付けろ、それと教えた技は使うな」
「わかりました、やったー! 久々のランク戦だー!」
「はしゃぐな喧しい。しかしそうだな、7000点以上の奴限定で10人と10本勝負やって負け越したらもう一度地獄を見せてやる」
「えっ…」
「安心しろ、見るだけだ」
「それ全く安心出来ないやつですよね!?」
ただランク戦をするだけではやはり緊張感がやはり足りないと俺は思うんだ、まぁ今の熊谷だったらマスタークラス相手にしても十分勝機はあると思うしB級上位のカゲ以外のアタッカーなら十分渡り合える実力は付けたつもりだ
「おら、早く食え。冷めんぞ」
「先輩のせいですからね!?」
文句を言いながらもご飯を食べる熊谷を眺めつつ食後のコーヒーを飲み、熊谷がどの程度勝ちを拾えるか考えるのであった
ちなみに帰りはキチンと家まで送り、熊谷の家族に恋人と間違われるという事件が起きたが誤解だと言っておいたので大丈夫だろう。大丈夫だよな?