三輪と米屋の二人と昼食を取った後、元々放課後から防衛任務がりさらに城戸指令の所に行かないと行けなくなったので俺は学校を早退してボーダーに向かっている
基地に通じる通路が見え、トリガーを取り出した所でネイバーの襲来を告げる警報が鳴り響く
「チッ、仕方ねぇか。トリガー・オン」
付近にまだ隊員がいないがトリオン兵は確実に市街地に向かっている、今回は運が悪い。こんなに市街地に近いのは初めてかもしれない。今回は非番の俺の目の前に現れてくれたが毎回こうとは限らない
ちょうど城戸さんに会いにいくので一応報告しておこうかと思うと取りあえず目の前に現れたトリオン兵に向き直る、数はバムスター一体とモールモッド二体。俺に取っては大した敵ではないがこのまま市街地に流れ込むと大変な事になるには違いない、警戒区域の奥に意識を向けるとどうやらそっちでもトリオン兵が出ているのが見えたので俺が処理するしかない
「今の防衛任務についてる部隊は知らねぇが聞こえるか? 市街地付近のは俺がやる。アンタらは自分のに集中してろ」
通信を通して一方的に話しかける、そうこうしている内にトリオン兵が向かって来ているが好都合だ
俺の主に使うトリガーは弧月、普通の弧月ではなく俺専用にカスタマイズされた大太刀サイズの弧月を使っている。使用するトリオン量は多くなるが俺にはあたり関係ない、作ってくれた鬼怒田さんには感謝だ
俺は弧月片手にトリオン兵に切り掛かかる、トリオン兵では俺の相手になるはずもなく一刀の下切り裂かれていく
ものの数分で現れたトリオン兵を全て切り終えるともう一度警戒区域の奥に意識を向ける、するとそちらもトリオン兵の撃破は終わっており事後処理をしているのが目に付いた、しかしそこには二人しかおらず肝心の隊長はこちらに向けて走ってきている
「人見、聞こえるか?」
『聞こえるよ今井くん、今回は助かったわ』
「バムスター一体とモールモッド二体だ、こっちにも回収班呼んどいてくれ」
『了解、今東さんがそっち行ってるから詳しくは東さんによろしくね』
「全部見えてる、とりあえず撃破はそっちに付けとけ。いらん混乱になる、城戸指令と忍田本部長には俺から言っておく」
取りあえず切ったトリオン兵に座り込み一息ついていると東さんがやってくる
「無事か邦彦?」
「見ての通りだよ春秋さん、貸し一つでいいぜ?」
「今度久しぶりに飯でも行こうか、好きなの奢ってやる」
東春秋。元A級1位の部隊を率いた最初のスナイパーと呼ばれる人で、1位にいた頃の俺の隊長でもある
俺にとっては兄にも等しい人であり、ボーダーで俺が頭の上がらない人物の一人である
「にしても春秋さん、後の二人は少し頼りなくねぇか?」
「今見てるのか?」
「まぁな、仮にも春秋さんの教え子だろ、情けねぇな」
「そういうな、まだまだ発展途上だ。そう思うなら今度相手してやってくれ」
「チッ、仕方ねぇな」
見てる限りではまだまだ物足りないが仮にも東さんが育てている人材だ、邪険には扱えない
それに熊谷の修行にはもってこいのレベルに見える
「それはそうと、今回は助かった。ところでどうしてお前がここに? サボりか?」
「たまたまだ、城戸指令に用があって早めに本部に向かってたんだ。さっきも言ったが撃破はそっちで付けといてくれ」
「わかった、一応次の防衛部隊には市街地付近の防衛を強化しておくよう言っておく」
「そうした方がいいな、んじゃ回収班がくる前に俺はトンズラさせて貰う」
トリガーを解除し厄介な事になる前に退散しようとボーダー本部に続く入り口へ向かう、後は春秋さんが上手くやるだろう
「ふー、さて。生意気な弟分に馬鹿にされんよう働くかな」
背後からそんな言葉が聞こえてくるが俺は振り返らずに手だけ降り応えると通路の中へ入っていく
ボーダー本部に到着するとその足で司令室へと向かう、司令室前に着くとちょうど沢村さんが出てくる所だ。すれ違い様に挨拶するとそのまま俺は司令室へと入っていく、そこには城戸さん、忍田さん、根付さん、林藤さんの四人が何か話し合いをしている
「失礼します、三輪からの伝言の件で来ました。後にした方がいいでしょうか?」
「来たか。構わん、楽にしていい」
話し合いを止めて四人とも此方を向く、その表情は様々だ
まず城戸さんは何時もと同じように仏教面である、忍田さんは来てしまったかと言うような苦い表情をしている、反対に根付さんは待っていましたと言うような明るい表情である。最後にこちらを見てニヤニヤしているのは林藤さんである、この様な表情をしている時はロクなことがない為いやな予感しかしない
「で、何か用ですか?」
「ああ、実は広報担当の部隊を一つ増やそうと言う案がでていてな。確かに嵐山隊だけでは負担も多いのも確かなのでこの案自体には賛成なのだが」
「問題は人選でねぇ、既存の部隊をそちらに回すと防衛任務自体が滞ってしまう。それでは本末転倒でね」
忍田さんと根付さんが説明してくれる。なるほど、だから俺が呼ばれたのか。しかし自分で言うのも何だが人選ミスも甚だしいのではないだろうか。それがわかっているからこその忍田さんと林道さんの表情なのだろう
「人選はお前に任せる、なるべく早く部隊を設立してほしい」
「ハァ、どうなっても知りませんよ」
というわけで、俺は強制的に部隊を作る羽目になってしまった