あの後拗ねた太刀川さんの機嫌をとるのに模擬戦をやるぞと言ったらそれまで何を言っても聞かなかった太刀川さんの機嫌が急に良くなった、ムカついた俺はありとあらゆる手を使い7-3で勝利した。太刀川さんに対して初めて使う手をふんだんに使った結果だ、次はもっと負けるだろう
そしてそれから数日、国近の紹介でオペレーターの子を紹介してもらう事になった
待ち合わせは今日の午後、朝からボーダー本部にいる俺は午前中の暇な時間でC級個人戦のブースに人あさりに来ていた
ちょうど今期の入隊時期らしく嵐山隊が新隊員に説明を行っており、現在はランク戦について説明している
「どうだ今井、お前の目に叶う奴はいるか?」
「いまいちだな、てか何でお前俺が隊組むって知ってんだよ」
「違うのか?諏訪さんが話してたからそうなのかと」
「いや、違わねぇけど」
俺の隣で俺が隊を組むのが当然のように話してくるのは村上鋼、最近荒船を弧月のポイントで抜きアタッカーランクを駆け上がっている奴だ
しかし俺が隊を組むのが広まっているのか、とんだスピーカーだな諏訪さん。助かるけど
「別に強い弱いはどうでも良いんだけどなぁ」
「お、あそこの奴なんかどうだ?」
「アイツは、面白れぇ」
「決断が早いな」
「まだ本決まりじゃねぇよ」
村上が見つけたのがもし一年前の少年ならきっと面白いことになる、そう思い俺は行動を開始する
俺は観戦スペースからランク戦に参加している人達の所まで歩いていく、目当ての人物はまだランク戦をしているみたいで出てくる気配がない。仕方なく俺は一通り説明を終え新隊員を見守っている嵐山さんに声を掛ける、するとまわりC級の人達がざわざわしてだすが全部無視だ
「嵐山さん、一つ聞きてぇことがある」
「ん? おぉ今井か、どうした?」
「あそこで戦ってる奴なんだが」
「工藤だな、アイツは筋があるぞ。最近急にランク戦やり出してポイント稼いで一部じゃかなり目立ってる。しかし色んな隊から勧誘されてるが全部断ってるらしい」
「なるほどな、助かった」
「気にするな、部隊作り頑張れよ」
嵐山さんにある程度の目当ての人達、工藤の情報を貰うとその工藤がランク戦を終えたのか出てくる。嵐山さんとの話を切り上げ俺は工藤に向けて歩き出す。周りのC級のざわめきが大きくなると流石に工藤も異変に気付いたのか此方に気付く、するととても驚いた顔をしているので俺は自分の記憶が正しかったと確信し、歩みを進める
「おい、お前名前は?」
「俺…ですか?」
「あぁ、俺は今井邦彦だ。お前は?」
「っ、工藤です。工藤一晃です」
低い身長でそれに見合った幼い顔つきの少年に俺は声を掛ける、やはり俺の名前を知っていたのか少し目を開き驚いた様子を隠せない少年は絞り出すような声で名乗る
「お前、ポイントは?」
「今は弧月で3000を超えた所です」
「ほぉ、隊は決まってるか?」
「まだです。ですが入隊前から憧れて、入隊してからはずっと同じ隊で戦いたいと思っている人はいます」
「そうか」
コイツが思っている人というのはきっとそういうことなんだろう
「まずはB級に上がれ、上がったらそいつに会い行け。そいつはお前を待ってる」
「はいっ!」
今はまだ再会を喜ぶ場面ではないだろう、きっと工藤もそう思っている筈。なので俺はそこで話を終わらせて村上の下へ帰っていく
「知り合いだったのか?」
「いや、ただ一度助けた事がある」
「なるほど、お前に憧れるとは。あの少年の道は険しいな」
「登って来れなきゃそれまでだ」
「厳しいヒーローだな」
当然だ、遊びでボーダーをやっている訳ではない
しかしきっと工藤は上がってくるとどこか確信めいたものを俺はこの時感じていた