一年前のその日、あの人に出会った
俺は学校の友達と一緒に警戒区域で度胸試しという遊びをしていた
どれだけ奥に行けるかという実にくだらない遊びだが退屈だった俺に取ってはいい暇つぶしだったんだ
ネイバーなんてそうそう来ないとたかをくくり危険なんて考えてもいなかった
『ゲート発生、座標誘導誤差8.02。付近の住民は避難して下さい』
「ネイバーだ!」
「うわぁああ!」
「逃げ、逃げろー!」
友達は一目散にネイバーから逃げていく。あの時はトリオン兵全部一律でネイバーだったがあれはバムスターと呼ばれるトリオン兵だった
しかし子供の足では到底逃げられる筈もなく、俺達はどんどん追い詰められていく
追い詰められた俺達はバラバラに逃げ、トリオン兵は俺を追って来ていた。なんで俺の所にと逃げている時はおもったけどそれがなければあの人と出会う事がなかったと考えると不謹慎だけどあのトリオン兵には感謝しないといけない
「くそっ! なんで俺の所に!」
必死で逃げる俺だけどとうとう追い詰められてしまう、もう駄目かと思った時にあの人は現れた
「よく此処まで逃げた、友達は全員無事だ。お前がアイツを引き付けていたからな。後は俺に任せろ」
急に目の前に現れたあの人は俺を抱えてトリオン兵の突進をかわすと安全な場所で俺を下ろす
その言葉に俺は他の奴の所に行けば良かったのにと思っていた自分が恥ずかしくなった
「そこで見てろ、ボーダーの生ネイバー退治だ。リクエストはあるか? なけりゃ一撃で倒してやる」
あの人は俺を安心させる為だろう、不遜な笑みを浮かべてこちらを見てくる
もう恐怖はなかった、俺はただ目を輝かせてあの人を見ていた
何も言わなかったからかあの人はトリオン兵に飛びかかり宣言通り一撃でトリオン兵を仕留めていた
「すげぇ」
思わずこぼれた言葉が聞こえていたのかあの人はこっちを見ている
「だろ?」
その後はトリオン兵も現れず友達も全員無事だった、俺を警戒区域の外に送って貰う時に色々話しをさせてもらった。あの人は相槌をうっていただけだったが最後「俺もボーダーになりたい!」と言ったら「お前と肩を並べて戦うのを楽しみにしてる」と言われた
帰ったら親にはめちゃくちゃ怒られたけど俺はあの人の事が忘れられなかった
友達はその時の記憶が無くなっていたけど何故かおれは鮮明に覚えている
あの青い背中に憧れた
あの剣を振る姿に憧れた
あの人を安心させる言葉に憧れた
あの人に、憧れた
その数日後
「母さん、俺。ボーダーに入りたい」