強くてメガネで何が悪い   作:さっぱし

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B級ランク戦①

 今井隊結成から数日、今期のB級ランク戦が始まった

 

「なぁ隊長、ホントに一人で戦うのか?」

 

 この男勝りの口調の女の子は結成記念パーティーの翌日に上田から紹介された奴だ、名前は橘アスカ。年は俺の一つ下だ

 ボーダーのスポンサー企業の令嬢らしいが普段の素行と言動を見る限り決してそうは見えないお嬢様だ

 

「あぁ、ある程度までは俺一人でやる」

「隊長時間です、準備をお願いします」

「まぁ客席でゆっくり見てろ、上位入りしたら嫌でも戦って貰うから」

「りょーかい、んじゃアタシは客席で観てますよっと」

 

 そして俺は転送されていく、今回選んだ地形は市街地Aの昼。最もオーソドックスで余り広くなく射線もそこそこ通るという場所だ

 

「んじゃよろしく頼むぜ優子」

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は少し遡りランク戦開始前、大型スクリーンの前には多数の隊員の姿がある

 B級ランク戦には実況というものが存在する、これはあるオペレーターが熱心なプレゼンを上層部にし続けた成果であり今まではランク戦に欠かす事の出来ないものになっている

 

「さぁ! 今シーズンのB級ランク戦も間もなく始まろうとしています! 最初の実況は私海老名隊オペレーター武富桜子でお送りします。実況には太刀川隊隊長の太刀川さん、東隊隊長の東さんにお越し頂きました」

「よろしくー」

「よろしく」

「では今回注目となっているのはなんと言っても新部隊今井隊でしょうか、お二人はどう思いすか?」

 

 設けられたら実況席に座るのは先程上層部に熱心なプレゼンをし実況制度を勝ち取った武富桜子と、ゲストに呼ばれた太刀川と東

 投げ掛けられた質問に太刀川は笑い東は苦笑いを浮かべている

 

「真面目に?」

「真面目お願いします」

「よし、まぁ先ずは今井隊の今回の対戦相手。吉里隊と間宮隊だが運がなかった、それしかないな」

「と、いうと?」

「単純だ、今井とその他じゃレベルが違う。そうだな、簡単に想像するなら今井と俺を置き換えて今回の試合を考えてみろ」

「な、なるほど。ですが太刀川隊長と比べるとはちょっと行き過ぎでは?」

 

 武富の言葉に真面目に答える太刀川、しかし今井の実力を知る者以外には冗談にしか聞こえず武富も聞き返す

 

「行き過ぎなもんか、アイツは俺より強いんだぞ? 確かにポイントは低いが」

「太刀川、邦彦と10本やってどれだけ取れる?」

「んー、良くて5-5悪くて3-7と言ったとこです。まっ、それだけ強いってことだな」

「そういうわけで、身内贔屓ではないが。俺も太刀川と同じく今回は吉里隊も間宮隊も今井隊員が本気で来ると何も出来ずに終わるだろう」

「そ、それほどまでに。と、言ってる間に時間です! 各隊転送されました! 地形は市街地A天候は晴れ、特徴はこれといってないですが少々狭いのが特徴でしょうか」

「あー、こりゃアイツ本気だわ」

「ふむ、こんなに目立つ真似をする奴ではないんだが」

 

 武富が絶句するも実況の意地か始まったのが分かると切り替えて実況を開始する、ゲスト二人は今回の場所を確認すると各々の今井に対する反応を見せる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は転送されてすぐ、バッグワームを起動させる

 

「よし、全員補足した。俺の視覚からマーキング頼む」

「了解です」

「合流前に叩けるだけ叩くか」

 

 グラスホッパーを起動させ最短距離で一番近い相手に向かう、後百mの所で俺はテレポートを起動。トリオンを一気に消費して目標のすぐ側に転移した、相手が驚く声を上げる前に首をはねる

 

「次は向こうか」

 

 今倒した相手に合流しようとしていたのだろう、二人程近付いて来ていたがその場に停止した

 

「残念だが、近付き過ぎたな」

「なっ!?」

「馬鹿な!?」

 

 そりゃビックリするだろう、いないと思っていた相手が急に自分達の側に現れたのだから

 そのまま弧月を振るい二人を仕留める

 

「ふぅー、優子さん。次の方角分かるか?」

「北西の方向、直線で2km程です。どうやら建物の屋根に陣取っているようです」

「了解、…見えた。んじゃまた」

「はい、頑張って下さい」

 

 今回は向こうから死角になるように建物の間を移動していく、向こうが高い所に居るので今回はかなり見やすく見失う事なく近くまで寄っていく

 

「こんぐらいでいいか、メテオラ+バイパー=トマホーク」

 

 相手の陣取っている屋根目掛け波状攻撃になるようにトマホークを放つ、すると相手は思ってもいなかったのか連携も何もなく屋根から飛び降りていく

 トマホークを撃ったら直ぐに相手に近付いていった俺は飛び降りていく相手の近くにテレポート、これを三回やって終了となった

 

「呆気ねぇな」

「そう言わないで下さい、何はともあれ初勝利なんですから」

 

 初ランク戦を終えて俺は作戦室に転送される

 

「トリガーオフ。…さて、次の相手は?」

「えー、今実況の総評をしているみたいでまだですね」

「そうか、しばらく待てばアスカも帰って来るだろ」

 

 俺はソファに寝転がり実況音声に耳を傾ける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 実況席とその付近に、いや今のランク戦を見ていた人達全てが言葉を失っている

 

「あ、圧倒的です! まさに圧・勝です!」

「いやいや容赦なかったな今井の奴」

「そうだな、終始アイツのペースで進んでいた試合だったな」

 

 実況に復帰した武富が興奮した様子で叫ぶように言うとゲストの二人は予想通りという風に余裕の表情で感想を述べる

 

「しかし不可解な点があるのですが」

「あれだろ? 視線以外にテレポートしたやつだろ?」

「はい、テレポーターは視線の先に数mから数十mへ転移するというものだったと思いますが」

「そうだな、その認識で間違ってない」

 

 恐らくこの場に居る誰もが思っているであろう事について武富は二人に問い掛ける

 

「もちろん俺や東さんはあれが何でテレポート出来るか知っている、だがここで言うのはフェアじゃない。まぁ言った所で止められるものじゃないけどな」

「太刀川がそういうなら俺からは何も言えないな」

「そうですか、では今回の試合に関してはどうだったでしょう?」

 

 テレポートについてはこれ以上何も聞けないと判断したのか試合についての総評へと移る

 

「どうもこうもないだろう、今井が暴れてそれで終わりだ」

「身も蓋も無いな、まぁ間宮隊も吉里隊ももっと今井について勉強しておくべきだったな。アイツは俺と同じくらい長い間ボーダーやってるからな、資料には事欠かん。最近のは全部個人戦だが古いのに団体戦の記録もある、今回の今井隊の勝因は実力差ももちろんだが間宮隊と吉里隊の準備不足だ」

「東隊長にしては厳しいお言葉ですがその分期待されているんでしょう」

 

 B級になって満足している隊員への喝とも言える言葉を述べる、間宮隊と吉里隊はもちろんB級で燻っている隊員全体へのいい刺激となるだろう

 

「さて、今回8点の大量得点を獲得した今井隊は15位へ一気にランクアップ。気になる次の対戦相手は11位鈴鳴第一来馬隊と14位荒船隊となります。ステージ選択権は今井隊です、快進撃の幕開けなるか次の試合も注目していきたいと思います」

「鋼と今井か、面白いな」

「いや、荒船も居る。あそこはスナイパーだけだから今井に対して有利に立てる」

「それでは今回はここまで、ゲストは太刀川隊長と東隊長でした。ありがとうございました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ、面倒臭ぇ所が来やがったな」

「では橘さんにも出て貰いますか?」

「いや、まだ俺一人でいく。アイツが出るのは上位に入ってからだ。それに、それまでにはもう一人合流するからな」

「はぁ、わかりました。では来馬隊と荒船隊のデータは要りますか?」

「アスカに見せとけ、いずれ必要になる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 





今回の今井邦彦のトリガー

メイン:弧月、旋空、メテオラ、テレポート
サブ:バイパー、テレポート、グラスホッパー、バックワーム



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